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大好き!
作:七海 華



第十七話 ずっと。(後編)


 ホームルーム終了と同時に、前に座る優希君が振り返った。
「部活、考えてきたか?」
「うん。とりあえず、美術部か家庭部、見学しようと思って」
「美術部か。いいじゃん。舞子、都展で特別賞もらったもんな」
「うん」
 絵を描くのは大好きで、時間があると描いている。昨年の夏、担任の先生の勧めで、都の展覧会に絵を出した。それが、特別賞を取り、区役所に呼ばれ、区長さん自ら賞状を渡された。あんなに緊張したのは、生まれて始めての経験だった。同時に、自分が誇らしく思えたのも。
「でも、家庭部っていうのも、舞子らしくていいよな。舞子、料理上手だし」
「そっ、そうかな?」
 全開の笑みで褒められて、頬が熱くなる。
「優希君は美術部と家庭部、どっちがいいと思う?」
「どっちでも」
 そんな、さらりと即答しなくても。
 少しは考えてくれても、いいのでは?
「書道部の活動日は、火曜日と金曜日。美術部の活動日も同じ。家庭部は金曜日。どっちを選んでも、部活の後、一緒に帰れるからな」
「えっ?」
 思いも寄らぬ言葉に、私は目を見開いた。
「あっ、でも家庭部選んだら、火曜日は一緒に帰れないのか」
「……もしかして優希君、私が、美術部か家庭部に入ると……思ってた?」
「うん」
「……それで書道部……選んだとか?」
 優希君が、私と一緒に帰ることを、部活を選ぶ基準に入れているなんて、考えてもみなかった。
 心臓がトクトクと早まる。
「写真部と迷ったんだけど、活動日が月曜日と木曜日なんだ。どうせなら、一緒に帰れる方がいいだろうと思って」
 当然のように答える優希君に、両頬が熱くなる。
 これってかなり嬉しいかも。
 まずい。
 勝手に頬の筋肉が緩んできた。
「あっ、勿論、字が上手くなりたいっていうのが、一番の理由だからな」
 にやける私の姿に、喋りすぎたと感じたのだろう。頬を赤らめ、慌てて言葉を紡ぐ優希君の姿が可愛かった。普段のクールな優希君からは想像出来ない姿に、悪戯心が頭をもたげる。
「もし、私が他の部を希望したら、どうするつもりだったの?」
「そんなことあるはずがない」
 きりっとした眼差しで、きっぱりと断言する優希君に、思わず吹き出した。
「すんごい自信!」
「当たり前だろう。舞子のことは、何だって分かってるんだから」
 胸を張るように答える姿に、私は、たまらず笑いだした。優希君、私がサッカー部希望だったってこと、全然知らないんだろうな。
「何笑ってるんだよ」
「なんでもない」
「本当は舞子、俺がなんにも分かってないと思ってるんだろう」
「そんなこと思ってないよ」
「俺、分かってるんだからな。本当は舞子、サッカー部に入部しようと思ってたこと」
 一瞬耳を疑った。
「どうして知ってるの!?」
 私、サッカー部に入りたいなんて、全然、一言も、これっぽっちも言ってないよ!
 思わず身を乗り出した私のおでこを、優希君は、人差し指で軽く突いた。
「言っただろう。舞子のことは、なんだって分かってるって」
 そう言って優希君は、茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべた。
 そっか。
 優希君、舞子のこと、ずっと見てていてくれたんだ。
 それは、きっとこれからも変わらないだろうな。
 多分、ずっと。












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