アグスタ戦闘終了!次回戦後のごたごたについて書きます。
第二九話、ホテル・アグスタ 3
〈機動六課・新人達〉
「クリス、危ないだろ!指示が出される前に行動するな!」
「すみません。」
「まぁ良い、今は戦闘だ。」
ラグレイトは攻めるようなことは言わずに戦闘に集中するよう言った。本当はこうなる前に避難民と一緒に戦闘現場から逃がすつもりだった。しかしスバルを頼らないと民間人を逃がせられない現状を作り出した本局所属の指揮官はそれを許さず、結果として現場に取り残されてしまったのである。もちろん逃げ遅れた陸戦魔導師はクリス達だけではない、だが皆戦力外なのだ。
「良いか、あの装甲着ている魔導師は問題ないようだ。だからあいつを中心に部隊を編制する。」
「本局魔導師はどうしたんですか?」
「半分は民間人の護衛と避難誘導をしている。残りは今殆ど殺された。」
「そんな・・・」
クリスは自分の目の前で殺された魔導師が戦力の殆どだと知ってあきらめ始めていた。しかしそれはクリスだけではない、数少ない地上本部所属の指揮官達に集まっていた新人達が気を落としている。
「しっかりしろ!陸戦魔導師はいつもこういう戦場に立たされる。経験なら敵よりはるかに多い、俺達に従えば生き残れる!」
「本当ですか・・・?」
「ああ、任せろ!」
ラグレイトはクリスの頭を力強くなでると皆の気を引き締め、作戦の説明を始めた。こうしている間にもティアナと数少ない本局魔導師が戦っているのだ。
「俺達陸戦魔導師はあの最前線に飛び込んでも攻撃を防ぎ続けることは不可能に近い。そのため距離をとりクリスとキャロは狙撃で確実に気絶させろ。」
「「はい!」」
「エリオとスバルは床や席を壊してそれを投げろ。たとえダメージが少なくても注意をひきつけて仲間を戦いやすくすることはできる。」
「「はい!」」
「俺達は装甲着ている魔導師の後ろを守る、だから攻撃も殆どあの魔導師に集中して安全だろう。だが油断するな良いな?」
「「「「了解!!」」」」
〈機動六課・隊長陣〉
ロングアーチにもこの状況は伝えられており、すでに戦場が外部から内部に完全に移っていることは知らされていた。また、すでにガジェットを全て破壊したことは伝えられており、いつでも内部にいける状況であることは把握していた。しかし現状がそれを許さなかった。
「どうして!?私達が戦わないとエリオやキャロが死んでしまうかもしれないんだよ!行かせてよ!!」
「すでにオークション参加者はホテルから脱出しています。私達は民間人の護衛任務が新たに与えられています。」
「何でや!他にも魔導師はいるやろ!」
「若手のエースが守っていると知れば安心すると考えているようです。それに参加者全員重要人物ですし・・・」
「フェイトちゃん、はやてちゃん、今は早く移動させよう。それからだよ。」
「うん。」
「せやな。」
なのは達は護衛のため行動を開始しようとすると武装ヘリと装甲付きの輸送車両が会場にやってきた。車両の殆どが無人で、あくまで民間人の避難目的で持ってきたようだ。なのはは確認のためロングアーチに問いただした。
「現場指揮官がランスター警備保障の装甲輸送車両を利用することを決定しました。空戦魔導師は車両周辺を護衛せよとのことです。」
「内部に本局魔導師を派遣しないんか?」
「はい、一度で避難できないので護衛のため待機するそうです。」
「ならあのヘリはなぜ来たの?」
「内部に警備会社所属の魔導師がいるそうで、ポイントを指示してもらって対地攻撃をするそうです。」
三人の頭には誰がいるか想像ができた。『ティアナ・ランスター』が重装備で今頃戦っているのだろう。そして今は彼女に頼ることしかできないことを知り自分の無力さを悔やんでいた。
「ティアナがいるなら問題ないやろ、今は目の前のことに集中するんや。」
「「了解。」」
三人は念話でシグナム達にも連絡し、護衛に集中するよう注意した。しかしクリスを中心とした新人魔導師は本局所属である隊長達が自分達を見捨てたと思い、恨みを持つ者がクリス以外にも現れてしまった。
このことは戦闘終了後後悔することとなり、機動六課内部で事件として発展することとなった。しかしそれを知ることはできなかった。
〈恭也〉
恭也達は現場には行かなかった。魔法を使えば現場の状況を映像つきで知ることもできるし、指揮官である自分がやられるわけにはいかない。離れた場所にあるここなら戦車などに守られて安全なのだ。
「今現場はどうなっている?」
「民間人は外に脱出したそうです、しかし内部では戦闘が続いているそうです。」
「ホテル責任者は今回のことをなにか言っているか?」
「できれば宿泊施設にまで被害は出ないよう早く解決して欲しいそうです。なので会場を破壊して良いそうです。」
「そうか。」
最悪の事態は回避できているので後は敵を殲滅するだけという状況だった。しかしそれを簡単にはできない状況をテロリスト達は作り出していた。おそらくティアナが現場で調査しなかったら被害を拡大させていただろう。
「この解析結果は本当か?」
「はい、テロリストが掘り進んだせいで耐震強度が極端に落ちています。ピンポイントで攻撃しないと内部の魔導師が生き埋めになります。」
そう、掘った場所が悪く、このままだと強度を維持することができないと機械が判断したのだ。そのためヘリに搭載した対地上攻撃兵器が使えず、攻撃力が弱い機関砲くらいしか攻撃手段がなかった。
「魔導師を派遣して精確な位置情報を手に入れろ。それを元に天井の穴から攻撃する。」
「了解!」
「崩壊の危険がある以上戦闘を続けるわけにはいかない、陸戦魔導師の撤退を最優先にしろ!テロリストは魔導師が撤退すれば勝利したと思い撤退するだろう、そう伝えろ。」
「了解!」
〈ティアナ〉
戦闘は激化している。何人か自分の後ろで砲撃しているが、穴から出てきて戦闘しているテロリストは全く減らない。しかもテロリストの攻撃で柱にヒビが入り、嫌な煙が柱や壁から出ている。崩れるのを恐れて集中できない魔導師が時間と共に増えている。
「武御雷!弾種対人炸裂弾、フルオート・・・シュート!」
右手の銃型デバイスから魔力弾が発射される。発射された弾はテロリストの前で破裂して小さな魔力弾が凄い速さで襲い掛かっている。魔導師ではないなら攻撃力はあまり必要ない、防弾ジャケット以外にあたれば気絶したり、おびえさせることができる。このような戦闘ではありがたい魔法である。
「?どうやら陸戦魔導師の準備が整ったようね。」
さっきまでなかった精密射撃が始まり、大型兵器を持つテロリストや危険な武器を持つテロリストが次々と気絶させられている。他にもいろんな物が投げられ、避けるたびに攻撃されテロリストが一方的に攻撃を受けている。
これはテロリストの戦略が悪かったのだ。戦力の殆どが穴の中で参加できず、たおれた仲間が邪魔で戦闘にも問題が起きているのだ。それに巨大な武器は運べないので荷車などで運べるレベルに限定されてしまう。つまり奇襲攻撃が成功しなければ意味がない戦略なのである。
「このまま戦闘を続けるわけにはいかないわね。どうにかしないと・・・」
正直戦力不足なのである。一度に攻撃したくても魔導師が足りないため数が少なく勝敗が決定的な状況を作り出すことができず、だからといってだらだら戦闘を続けるわけにもいかない。『賭けに出る必要がある』と思ったとき、モニターが自分の前に開いた。
『社長!そこは崩壊の危険性があります。今魔導師を派遣しました。精確な座標を送ってください、誘導弾で攻撃します。』
「分かったわ、すでにヒビが酷い状況だから急いで!」
『了解!』
少しすると簡単なボディーアーマーを身に着けた魔導師がやってきて陸戦魔導師の撤退を支援し始めた。それと同時にサーチャーが凄い数でテロリスト周辺に作られ、位置情報が送信された。
その後上空に武装ヘリがやってきて魔力弾を発射、天井の穴を通りテロリストに命中。まだ隠れている魔導師にまで命中し一時的にテロリストからの攻撃がやんだ。
「今よ!テロリストに総攻撃!穴の奥へ追い返すわよ!」
管理局の魔導師と協力して総攻撃を始めた。今までと違い強力な攻撃がテロリストを襲い、撤退を始めた。しかしテロリストの攻撃ですでに限界に達していたのか崩壊を始めてしまった。
「急いで!崩れるわ、避難するわよ!」
空戦魔導師は天井から脱出し、陸戦魔導師は穴の中に退避した。完全に建物が崩壊し穴が瓦礫でふさがるとティアナが砲撃して退路を確保した。すると魔導師が近寄ってきた。
「大丈夫ですか?」
「ええ、私達もテロリストも無事よ、逮捕をお願いするわ。」
「分かりました、協力感謝します。」
魔導師達は犯人を穴の外に運び出し、一人ずつ手錠をはめている。どうやら地下からの攻撃が全てだったようで外でテロリストからの攻撃はなかったようだ。
「任務完了、さあ会社に帰るわよ!」
「了解!」
ティアナは仲間を連れて会社に戻った。その後本局から苦情がきたが状況を映像で残していたため自分達の活躍を認めさせ、管理局を黙らせることができた。しかし問題は別なところで起きていた。
機動六課の新人四人は隊長達と対立するような関係になっていた。しかしラグレイトだけは別で新人達から厚い信頼を手に入れていた。地上のことを知らないなのは達は大きな問題と直面することとなってしまったのである。
この状況を見てロングアーチはなのは達を心配しており、新人達の味方にはならなかった。差別するような行動をロングアーチがとることがどれほど問題がある行動かこのときは理解していなかった。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。