挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界でアイテムコレクター 作者:時野洋輔

Episode04 短編増殖

90/682

大会前の胃腸薬

~前回のあらすじ~
ルシルが料理大会に出ることになった。
「ルシルが料理大会に出るっ!?」
「そうなの。私の隠された実力を見て、どうしてもって頼まれて」

 おいおい、シメー島の連中。お前等大丈夫なのか?
 もしかして、島民全員揃って自殺志願者とかじゃないよな?
 確か、その料理大会って、多くの観光客が見に来るんだよな。
 大丈夫か? 下手したら死人が出るぞ。解毒ポーションは足りるか? 手元には30本しかないんだぞ。
 最悪、アルティメットポーション総動員させるか。
 いや、ルシルの料理に睡眠薬をしこんで明日大会に出るのを防ぐしか手がないか。

「楽しみねぇ、料理大会」

 とても楽しそうに笑うルシル。
 そういえば、ルシルが誰かに頼まれて料理を作るのって初めてか。

 ………………………………。

 いや、何感慨深げになってるんだよ。
 料理を作って誰かが苦しめば、一番辛いのはルシル自身じゃないか。
 あ、いや、やっぱり一番辛いのは料理を食べた人のほうか。
 うん、あの地獄は食べた人間にしかわからないよな。

「ルシル、あのな……」
「コーマも見に来なさいよね。私の晴れ姿を!」
「あ……あぁ……」

 頷くことしかできなかった。
 そして、俺は最後の悪あがきに、何かルシルの料理が劇的に上手くなるアイテムはないかと模索してみた。
 ひき肉やジャムや沢庵、大福にセミの抜け殻などを入れたシチューでもおいしくなる調味料、みたいなものを作れないか?

 ルシルが明日に備えてイメージトレーニングをすると魔王城に帰ったので、俺は一人で日没前の町に出た。
 いろいろなスパイス、酒、食材などを買い、いろいろと作ってみる。

……………………………………………………
薬膳の素【素材】 レア:★★★★

料理の持つ治癒能力を上げる粉。
ただし、僅かに苦味が増してしまう。
……………………………………………………

 作ってはみたが、これもダメだ。そもそも、薬草汁ですら、毒汁のドラゴンに変えてしまったんだからな。
 料理の治癒能力が上がってもそれ以上に毒能力を上げてしまいかねない。

……………………………………………………
胃腸薬【薬品】 レア:★

胃と腸の薬。消化を増進させ、胃痛、胃のむかつきを抑える。
ストレスで胃が痛い人もどうぞ。
……………………………………………………

 うん、今すぐ飲みたい。本当にストレスで胃が痛い。これは作っておこう。
 材料のクサラクサはまだまだあるからな。
 って、こんなので満足していられない。

……………………………………………………
愛のエプロン【服】 レア:★

ピンク色のエプロン。大きなハートの柄が特徴。
新妻は朝ごはんを作るとき、裸のままエプロンだけを着る。
……………………………………………………

 特別な効果がないんだな。まぁ、材料も価値の低いものばかりだったし。
 ……それにしても説明文がひどい。久しぶりにツッコませてもらう。

――それは最高だ! 

 まぁ、俺はまだ結婚できないだろうが、クリスを騙して、水着の上にこのエプロンを着せるか。
 って、それよりも次だ。

……………………………………………………
バッカスのワイン【酒】 レア:★×7

バッカスが作ったといわれる幻のワイン。
かつて、このワイン一本のために戦争が起こったと言われる。
……………………………………………………

 なんか凄いものができたが、これでもない。
 むしろ、ルシルがこんなものを使ったら、本当に戦争を引き起こす化け物を作り出しかねない。

 俺はその後も、いろいろな試行錯誤を重ねていろいろなアイテムを作ったのだが、結局これといった解決策が見つからず、あとは解毒ポーションを作るだけで終わった。

 そして、(ルシルにとっても俺にとってもこの島にとっても)決戦の日の朝が訪れた。

 貸し工房に、ルシルを迎えに馬車が訪れた。
 どこかの王族が乗るような馬車にルシルが乗り、護衛役のタラも乗り込む。
 俺とコメットちゃんには特別に最前列のチケットが渡された。

 関係者席だという。
 これは助かる。万が一……いや、万が一じゃなく、起こるべくして起こる災厄を未然に防ぐためにはこの席はありがたい。
 タラの護衛役というのも、ルシルの護衛ではなく、観客に対する護衛という意味だからな。

 どういうわけか、ルシルの作った料理はルシルを襲うことはない。
 例外としては、海に戻ってきたという焼き魚だけだが、あれも鮭の本能で生まれた場所に戻っただけで、ルシルを襲おうとしたわけではないからな。

 大会の会場は、島の中央。
 コロッセウムのような円形闘技場で行われるらしい。
 すでに多くの客が列を成していた。

「おおい、コーマ! こっちだこっち!」

 警備本部の垂れ幕のかかった仮設テントから、スーの声が聞こえた。
 シーも横にいる。

「コーマ、遅いじゃないか。もうすぐ始まる……ん? そのこは?」
「ああ、彼女は……武器を作る助手に雇った獣人のユメちゃんだよ。彼女も大会を見たいっていうからさ」
「へぇ、そうなのか……」

 スーは値踏みをするようにコメットちゃんを見て、

「……お姉ちゃん、そろそろ行かないと」
「だね。コーマ、じゃあ大会を楽しんでいきな。なんでも、今年の大会はものすごい新人が出るらしいからね」
「あ……あぁ」

 別の意味で凄い新人なんだろうけど。
 ついでにと、スーが関係者口に案内してくれた。
 勇者の従者とその関係者ということで、並ばずに闘技場の中に入れた俺達は、観客席へと向かう。

 すでに選手入場は終わったらしく、闘技場の中央に16人の料理人が揃っていた。
 老若男女、年齢、性別、種族を問わず様々な料理人が並んでいる。

 そして、その中にルシルがいた。
 やっぱり目立つな。身内贔屓を抜きにしても女性選手の中で一番可愛いと思う。
 会場の隅に、スーとシー、そしてタラの姿もあった。

「…………緊張するな」
「緊張しますね……大丈夫でしょうか」

 俺とコメットちゃんはすでに手に汗握る状態だ。
 こんなので、最後まで大会を見物できるのだろうか?

「おい、兄ちゃん。大会の見物は初めてかい?」

 後ろから、頭に赤いバンダナを巻いた男が声をかけてきた。

「え、ええ」
「まぁ、気軽に笑えばいいさ。この大会はそういうもんだよ」
「笑える状況ならいいんですけどね」

 ……ん?
 俺は違和感があり、男に向き直って問いかけた。

「あの、料理大会なんですよね」
「そうだよ」
「料理大会って、そんなに笑えるものなんですか?」

 俺がそう尋ねたら、男は不敵な笑みを浮かべ、

「そうか、兄ちゃん達は何も知らないんだな。いいか、この大会は――」

 その時、大きな声が会場に響いた。

『レディースエーンジェントルメーン!』

 その声は、会場の中央に立つ男が発した声だった。
 その手に持っている石。

……………………………………………………
拡声石【素材】 レア:★★★

声を吸収し、大きくして反射する石。
石が大きいほど声が大きくなる。
……………………………………………………

 鳴音の指輪の材料になった石だ。
 その石を使い、男は司会進行をしていた。

『皆様お待たせしました。これより、シメージマ! ()()料理大会のルール説明をいたします!』

 ……え?

 殺人料理大会?

 その不穏な言葉に、俺はルシルが料理人として選ばれた理由を改めて理解した。
ルシルのフルコースだけで十数話いってしまったら、
4章は下手したら3章より長くなるんじゃないだろうか?
明日は1話のみ、23時頃更新になります。

~コーマは間違えてこんなものを作っていました~
ヌライムの核 単体作成
……………………………………………………
ヌライム【魔法生物】 レア:★

スライムの形をしているがスライムではない何か。
スライムと同じ能力を持つ。つまりただの雑魚。
……………………………………………………

コーマ「俺以外にもいたんだな、スをヌにした者が」
ルシル「それより、どこでヌライムの核を入手したの?」
コーマ「……謎だ」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ