挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界でアイテムコレクター 作者:時野洋輔

第一部 東大陸編 Episode01 勇者試験

9/677

本日の目玉のドーピング薬

~前回のあらすじ~
奴隷を買いました。
 金貨3枚をセバシに払い、ヴリーヴァの主人を俺へと書き換えてもらった。
 あと書類上もヴリーヴァの主人を俺に変えておいてくれるとのことだ。

「では、何かありましたらどうぞ当館をご利用ください」
「私もこれで失礼します」

 そう言って、二人の男が去り、俺とヴリーヴァだけが残された。
 これからこの店がどうなるのか?

「改めて、俺はコーマだ」
「メイベル・ヴリーヴァです」
「じゃあ、メイベルと呼ぶな。メイベル、最初の命令だ」

 俺が鋭い目でメイベルを見る。それに応じるように彼女もゴクリと唾を飲み込んだ。

「これから俺は何をしたらいいか教えてくれ」

 正直、店を開くなんて思ってなかったからな。
 開店資金は十分あると思うんだが。


「コーマ様はギルドに登録されてますか?」
「ギルド? 登録してるのかな、レメリカさんに聞いてみないとわからないが」

 一瞬、とてもいけないことを言った気がしたが、気のせいだよな。

「レメリカさんと知り合いなんですね。彼女なら問題ないでしょう。ならば即座に店舗登録できます。あと、どのような店にしましょう?」
「何でも屋だな。とりあえず、あとで店に並べるアイテム持ってくるから、メイベルにはそれを売ってほしい」
「何でも屋ですか、リュークさんの店とかぶりますね」
「リュークさん?」
「三軒隣にある迷宮で見つかったアイテムの買取所です」

 倉庫のような建物ですよ? と言われて、俺はようやくそれがどの店なのかわかった。

「あぁ、行った行った。あそこの店主がリュークさんなのか」
「はい、店員のエリックさんとも顔なじみですから、できれば店の種類が被るのは」
「大丈夫だと思うぞ? むしろ、俺がアイテムを作る材料はその店から仕入れることになりそうだしな」
「コーマ様は錬金術師なのですか?」
「まぁ、そうだ」

 そういい、俺はメイベルに銀貨を10枚手渡した。

「じゃあ、ギルドに店舗登録を済ませた後、掃除用具を買って店内の掃除な。これで足りるか?」
「あの、コーマ様。掃除用具でしたら銅貨5枚で十分ですが。店舗登録の費用はかかりませんし」
「ま、そのあたりは任せるわ。じゃあ、売り物になりそうなものを持ってくるから」

 そう言って、俺は宿屋へと戻った。
 時刻は間もなく夜の10時。まだまだ町は盛り上がっている。
 そして、まだクリスは気持ちよさそうに俺のベッドで寝ている。
 くそっ、ほっぺたツンツンしてやる。

 あ、やべ、気持ちいい。

 と、いかんいかん、今は急がないと。

 荷物を全て籠に入れ、俺は店へと戻って行った。
 まだメイベルは戻っていなかったので、とりあえず今は売れそうなアイテムを作るか。

「アイテムクリエイト!」

 大量に仕入れてあった薬草と、水、げんこつ岩を使って、力の妙薬を50本作成。
 鋼の剣や防具一式も作り、バリエーションもほしいので、鉄の防具や剣一式を作成。
 材料がなくなったので、三軒隣の店に行き、鉱石を大量に購入。
 銅、鉄、鉄鋼の装備一式を作って作って作りまくった。
 アイテム図鑑も【ランク:★】~【ランク:★★★】が埋まっていく埋まっていく。
 ちなみに、現時点でのアイテム図鑑の状況はこうなっている。

……………………………………………………
 レア:★   283種
 レア:★★   42種
 レア:★★★  32種
 レア:★★★★  9種
 レア:★×5   7種
 レア:★×6   1種
 レア:★×7   1種
 レア:★×8   1種
 レア:★×9   0種
 72財宝     1種


377/862139218
……………………………………………………

 先はまだまだ長い。


「ただいま帰りました」
「おう、お帰り! とりあえず、売れそうなもん持ってきたぞ」
「え? これ……えぇぇぇぇっ!」

 メイベルがプラチナダガーを持って驚きの声を上げた。

「なんで白金を使った装備がこんなにあるんですか!?」

 メイベルの絶叫が開店前の店内に響き渡った。
 彼女も鑑定スキルを持っているらしく、商品名だけはきっちり判別できるらしい。
 いい買い物をしたようだ。

 彼女から聞いた話だと、凄腕の錬金術師でも、白金鉱石からプラチナダガーを作るのに1ヵ月はかかるという。

「作った人間と知り合いでね……知られたらまずいかな?」
「まずいどころじゃないですね。その人に隣国から引き抜きの依頼が殺到しますよ。これらは貴族からの質流れ品として売ることにしましょう」

 俺が一晩で作ったということは黙っておこう。
 まぁ、彼女は奴隷なので秘密を漏らすことはしないだろうが、念のためだ。
 時期がくればきっちり話すさ。

「うん、そのあたりは任せた。あと、俺がオーナーだってこともできるだけ黙っていてほしい。ギルドに知られるのは仕方ないとして」
「わかりました。影のオーナーですね」

 なんかカッコいいな、その表現。

「じゃ、俺は帰る。これ、運転資金に使ってくれ。また明日くるから」
「値段設定や運営方針についてこれから話をしたいと思っていたのですが」
「珍しいアイテムがあったら一度倉庫に保管してくれ。それ以外は任せる」
「わ、わかりました! 私、精一杯頑張ります」

 俺は残りの金貨の入った麻袋を置いて、店を後にした。
 店を去る間際、「え、なんですか、この大金! こんないっぱい店に置いておけませんよっ!」
 と悲鳴とも聞こえる声が店から聞こえてきたが、言っただろ、後は任せた。

 拳大ほどの鉄鉱石を握りながら、レアアイテムが店に来るのを楽しみにしようと思い、宿屋に戻った。

 そして、気付いた。
 クリスのベッドが空いていることに。
 そこで寝たらいいんだ。

 さすがに今日はよく働いたので、熟睡できそうだ。
 十分後、クリスが再び自分のベッドに戻ってきて、俺を抱きしめてくるまでは熟睡できた。


 そして、翌日。
 レメリカさんに呼び出され、夜に店を開業させたことで散々愚痴を言われ、一人で朝食を終えて店を出た。
 勇者試験は昼の12時からだから、まずは店の様子を見に行くか。
 とはいえ、昨日開店したばかりだから閑古鳥が鳴いているだろうな。日本と違って折り込みチラシとかないしな。
 開店セール用のアイテムでも作ればよかったかな。
 銀貨5枚以上お買い上げの先着300名様にポーション1本プレゼント、みたいな。

「コーマさぁぁぁぁんっ‼‼‼‼」
「おぉ、クリス。先にギルドに行ってたんじゃないのか?」
「大変なんですっ! すぐに来てください!」
「何があったんだ?」
「勇者試験を有利に進めるための裏アイテムが販売されているんですっ!」
「裏アイテム!? すぐに行くぞ!」

 勇者試験もそうだが、裏というからには相当なレアアイテムに違いない。
 アイテム図鑑に登録する絶好のチャンスだ。
 いや、もしかしたら72財宝かもしれない!

 その品が出回っている店というのは、すぐ近くにある店らしい。
 ってあれ? この方向ってまさか。

 人だかりの山に囲まれたその場所を見て、俺は冷や汗を流した。

「さぁ、1時間の間だけ筋力が5割増しになる力の妙薬、残り3本ですよ!」
「おい、姉ちゃん、銀貨50枚は高すぎるだろ! せめて銀貨10枚にまけてくれ」
「勇者になれば金貨何枚だって稼げますよ! これを買ってとっとと勇者になってきてください!」

 店主の女の子が、勇者候補の男達のクレームを弾き返して力の妙薬を販売していく。

「コーマさん、早くしないと売り切れちゃいますよ! あれさえあれば、強敵が登場しても楽々魔物を倒せます!」
「…………ちなみに、力の妙薬の相場ってどのくらいなんだ?」
「普段は銀貨20枚で売ってたみたいですけど、この時期だとどうしても高いですね。長持ちする商品でもないですから」

 50本全部売れたとして銀貨2500枚の販売利益か。金貨25枚か。

「買わないんですか?」
「いや、俺、今の仕事やめて別の仕事したほうが幸せになれるんじゃないかとか思ってな」
「何言ってるんですか、力1.5倍ですよ! あれを買わないで勇者試験合格するのは難しいんじゃないですか!? 魔物を倒すときだけじゃないです、荷物を運ぶときにも絶対に使えますから」

 クリスのセールストークを全て無視して、俺は冒険者ギルドへと足を運んだ。
 勇者試験がいよいよはじまる。
~ドーピング薬~
一時的にステータスを上昇させるアイテム。
テイルズシリーズやMMOでは料理がこの薬の代わりになることが多い。
特にMMOではイベント時や対人戦闘時などは必ずと言っていいほど利用することになる。基本的に副作用はないのも特徴だ。力2倍になるアイテムを使っても筋肉痛にならないとか、それはもはや一種の魔法と言える。

 地球におけるスポーツでのドーピング使用の歴史をたどれば、興奮剤と呼ばれる薬の利用が1865年、水泳競技において使われたのが最初と言われている。
 ただし、興奮剤は副作用も強く、1886年の自転車競技ではトリメチルの過剰摂取で死亡。1960年のローマオリンピックでも別の興奮剤の使用により死亡している選手がいる。
 スポーツの中だけではなく、アニメのワン〇ースでも、砂漠の国の戦士が豪水という薬を飲んで一時的に強さを得て、結果死亡したり、魚人の海賊団がE・Sの副作用で老人になったりしている。
 遊〇王でも「ドーピング」というカードがあり、最初は攻撃力が700アップするが、毎ターン攻撃力が200下がっていくという副作用がある。

 ゲーム以外の架空の物語においても、やはりドーピング薬というのは禁忌のように扱われることが多いのだろう。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ