挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界でアイテムコレクター 作者:時野洋輔

第一部 東大陸編 Episode01 勇者試験

8/678

新たな契約は指輪とともに

~前回のあらすじ~

胸の感触が二の腕に
 昨夜のことだ。クリスのせいで眠れなかった俺は、白金インゴットを作り、そこからアイテムを作った。

……………………………………………………
プラチナダガー【短剣】 レア:★★★★

白金で作られた、魔法攻撃をも切り裂く短剣。
芸術性もさることながら、その威力に多くの者が虜となる。
……………………………………………………

 うわ、説明文使いまわし乙。

……………………………………………………
プラチナリング【指輪】 レア:★★★★

白金で作られた指輪。強い魔法耐性を持つ。
婚約指輪として贈られたいです。
……………………………………………………

 え? 説明文って、性別:女なの? 結婚に憧れる年頃なの?
 あと、プラチナヘルムやプラチナシールド、プラチナアーマーにプラチナスピア、プラチナアックス、プラチナブーメランなど多くの装備を作った。
 調子に乗って作りすぎたから、アイテムを保管する倉庫が欲しいな。

 とりあえず、残りの白金鉱石をプラチナリングに作り直して、これを売りにいこう。
 クリスは眠っているが、まだ夜の七時くらいだろうが、宝石店とか開いているかな?

 勇者試験前日ということで、町の中は祭りのように賑わっていた。
 夜にもかかわらず、多くの店が開いている。
 宝飾品店は町の中央通りにあり、建物の中に入っていった。

 宝石店の中はカウンターとカタログのみで、宝石などは一切置かれていない。
 強盗対策なのだろうか。
 ただし、高級店らしい雰囲気はあるが、入口には屈強な男が二人、(どちらも奴隷)がにらみを利かせている。

「いらっしゃいませ、どのような御用でしょう?」

 スーツを着た男が笑顔で尋ねた。彼も奴隷のようだ。

「指輪の買取を頼みたいんですが、こちらで可能でしょうか?」
「商品を見せていただいてもよろしいですか?」
「こちらです」

 そういい、俺は5つのプラチナリングを取り出した。

「ほぉ、プラチナリングですか」
「わかります?」
「はい、低レベルですが鑑定スキルを持っているので名前だけは。それにいい品ですね。1つ金貨7枚、5つで金貨35枚でいかがでしょう?」
「よし売った」

 さすがは貴金属店といったところか、金貨を35枚、即金で用意してくれた。
 3500万円といったところなのだろうが、そんなにあっさり売ってくれるのだろうか?
 身分証明書とか要求されるかと思ったが。

「あ、あと、不動産屋を教えてください」
「不動産屋ですか?」
「はい、倉庫が欲しくて」

 金貨の入った麻袋を懐にしまい、近くの不動産屋へと向かった。
 さすがに一軒丸々買うことは無理だろうが、借りることならできるだろう。

 それほど大きな不動産屋ではないが、壁に物件情報が書かれている。
 だが、倉庫の情報がないなぁ。

「もうすぐ店じまいなんですが、何か物件をお探しですか?」

 俺が壁を見ていると、50歳くらいの恰幅のいい男が声をかけてきた。

「倉庫を借りたいんですが、いい物件ありませんか?」
「倉庫ですか? すみません、勇者試験が行われていて、隣国の商人が多く訪れている現在、貸し倉庫はどこもいっぱいでして」

 そういえば、町中いろんな店でいっぱいだったからな。
 どうやらこの町では勇者試験は一種のイベントなのだろう。

「そうか……じゃあ、家とかそういうのを借りようかな」
「ご予算はいかほどをご考えで?」
「とりあえず、月銀貨50枚ほどでいいかと思ってるんだけど」

 多少安めに申告。本当は金貨1枚でもいいと思ってるけど。

「それでは店を借りたらどうでしょう?」
「店?」
「はい、ちょうどいい広さの物件があります。迷宮のすぐ近くですよ」

 そう言って、男は物件の見取り図を見せてくれた。
 カウンターと陳列棚はそのままの状態で、奥には倉庫があるらしい。

「じゃ、それ借りるわ。とりあえず、一年分前払いするから」
「え? 一年分でございますか? 実際に見なくてもよろしいので?」
「うん、いけるよね?」
「はい、すぐに書類をご用意します!」

 まぁ、多少ボロボロでもアイテムを置くだけだしな。
 防犯の面だけ考えればいい。
 プラチナの金庫でも作ってみるかな。あ、でもそんなことしたら金庫ごと持っていかれそうだな。
 プラチナの金庫っていくらで売れるんだろう?
 などと考えながら、書類にざっと目を通し、金貨6枚を渡した。
 1年は12ヶ月でいんだよね?
 とか今更思ったが、間違いなかったようで、不動産店の店主はほくほく顔で金貨を受け取った。

「では、これから案内いたしますね。ついてきてください」
「はい」

 店主の言った通り、空き店舗は迷宮から目と鼻の先にあった。
 というか、さっき白金鉱石を購入した店の三件横だ。
 店主がカギをあける。
 中は少し埃っぽいが、すぐにでも店を再開できるんじゃないか? という感じだ。
 広さでいえば、貴金属店よりも広い。宿屋の一階の飯屋くらいの広さはある。

「倉庫はこちらになります」

 倉庫もまた広い。これならアイテムを山のように作っても保管場所に困らないな。

「へぇ、良い部屋だ! 気に行った! といっても契約済ませちゃったけどね」
「ありがとうございます。ところで、コーマ様は店を経営なさる予定はないのですね」
「あぁ、面倒そうだしなぁ」
「そうですか。ならば、彼女には謝らないといけないといけませんな」
「彼女って?」
「いえ、もしもこの店を借りる人が現れたら、ぜひ自分を雇ってほしいからと言っていた奴隷がいたんですよ」
「奴隷?」

 ……そうか、商売とか全部奴隷に任せたらいいのか。
 販売もそうだけど、珍しいアイテムを買い取ってくれたらアイテム図鑑を埋めるにはいいな。
 店をしないにしても、倉庫の管理人として雇うのもありだ。

「もしよかったら、その奴隷を紹介してもらえませんか?」
「はい、それはこちらとしては願ってもないことです」

 商人は本当に喜んだようで、「では、少しお待ちください。すぐに彼女を連れてきます」と言った。
 なんで奴隷を連れてくるだけで喜ぶのだろうか?
 中間マージンでももらえるのかな?

 暫くして、店主は一人の少女と老紳士のような男を連れてやってきた。
 少女は、緑色のショートヘア、俺と同い年くらいの少女だ。そして、奴隷の証である首輪をつけている。
 ただ、首輪よりも気になったのは、彼女の耳。尖っている。

「はじめまして、奴隷商をしております、セバシと申します」
「コーマです。先ほどこの店を1年借りることにしました。倉庫代わりに使う予定だったんですが」

 俺がそういうと、脇にいた少女が驚き叫んだ。

「え、倉庫代わりですかっ! もったいない、ここは一級地で人通りも多い、とてもいい条件の物件なんですよっ!」
「こら、ヴリーヴァ! 店の使用法は借りたものの自由だ」

 セバシがヴリーヴァと呼ばれた少女を怒る。

「いえ、いいんです。えっと、ヴリーヴァだっけ? どうしてこの店で働きたいんだ?」
「ここはもともと父が経営していた道具屋だったんです。でも、まぁ父はヒトがよすぎて、知り合いの連帯保証人になって借金まみれになったまま過労で死にました。そのせいで私は奴隷に」
「なるほど、それで、何ができる? さすがに店を開くとなったら何の技能もない人を雇おうとは思わないが」
「えっと……身体で払いましょうか?」

 頬を赤らめて科を作る。

「……そういうのは間に合ってます」

 というか、そのせいで夜の町で倉庫を借りるハメになっているんです。

「冗談ですよ。よかった、真面目そうな人で」

 はたして、本当に冗談だったのだろうか?
 なんとなく彼女にはこの店への執着を感じる。

「私は父が病気になってから父が死ぬまでの三年間、一人で店を経営していました。借金も金貨70枚あったのですが、金貨54枚にまで減りました」
「なるほど、3年間で一人前に働き、金貨16枚、いや、利息分を考えたらそれ以上の稼ぎを出したということで、間違いないですかね? セバシさん」
「はい、その通りでございます」

 セバシに尋ねるのは、彼女がウソをついている可能性が僅かにでもあるからだ。なるほど、この店も彼女の父が連帯保証人にならなかったら順風満帆だったんだろうな。彼女の父が死んだことで、借金の期限が前倒しになり、彼女が奴隷にならざるをえなくなった。というところか。

「彼女はいくらですか?」
「店を売り、残った借金の額が金貨2枚。その他費用を含めて金貨4枚ですが、この店で雇っていただけるのでしたら金貨3枚でかまいません」

 人ひとりの値段としては安いのか高いのか。俺の感覚でいえば安すぎる。

「実は私も、そこの店主も彼女の父とは旧知の中でしてな。できることなら彼女には幸せになってもらいたいと思っているんです」

 セバシが説明を加えた。ならば彼女の借金の肩代わりくらいしてあげなよ、とか思うが、だいたい予想がついていた。
 彼女、この店で働くために奴隷になったのだろう。
 奴隷の方が店で雇われやすいのを知っていたんだろうな。
 何が彼女をそこまでさせるのか、それは俺にはわからない。

「ヴリーヴァ、俺はこの店をずっと借りるというわけではない。俺がこの店を引き払ったらどうする?」
「引き払わさせません」
「それはどういう意味だ?」
「コーマ様に損得勘定があるとすれば、この店を引き払ったら損だと思わせるほどに店を大きくしてみせます」

 この瞬間、俺は彼女を買うことに決めた。
~指輪~
指輪はアクセサリーと呼ばれるアイテムです。
プラチナリングには宝石がついていませんが、基本はついている宝石によって属性効果がえられます。ルビーなら火、エメラルドなら風、サファイアなら水みたいな感じですね。
基本、なぜか1個とか2個しか装備できないです。
指10本あるんだから10個装備してもいいと思うんですけど、それだと成金感半端ないですね。

指輪と契約の関係といえば、結婚指輪ですが。
でも、結婚指輪、最初は夫が嫁を買い、その証として嫁の父親に指輪を渡した、というのがはじまりみたいなんですよ。
まるで、今作品に登場する隷属の首飾りみたいですね。
結婚指輪に憧れる人はこんな話、とっとと忘れてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ