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異世界でアイテムコレクター 作者:時野洋輔

Episode03 海上都市

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二本の剣による鯨狩り

~前回のあらすじ~
鯨との接近戦が始まった。
 飛べ飛べ飛べ飛べ飛べ! 動け動け動け動け動け!

《壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ》

 俺の欲望と破壊衝動とが見事なハーモニーを奏でる。なんて思ってる暇はない! 

 背中の翼を動かそうとするが、どうやったら翼が動くのか全く分からない。
 そもそも、成人男性の平均的な体格と変わりない、16歳の俺の身体を浮かせるほど飛べるものなのか!?

 それでも俺は必死に空を飛ぼうとする。
 このままだと、俺の身体は一角鯨の背中に叩きつけられてしまう。

「くそっ、火炎球ファイヤーボール火炎球ファイヤーボール火炎球ファイヤーボール

 俺の腕から出た、先ほどとはくらべものにならないほどの巨大な火の球が落下していく。その反動で空を飛べないか!? とも思うが、飛べるわけなかった。
 火炎球は霧を晴らしながら、巨大な影――一角鯨に命中……2000程度のダメージを与えた。
 このままでは鯨に叩きつけられる。そう思った時だ。

 俺の目の前に、水の膜が何重にもなって現れた。
 その水の膜はあたるとすぐに破れるようなものだが、徐々に俺の落下速度を和らげてくれた。
 マユだ。マユのやつ、空から落ちてくる俺に気付いてくれたようだ。

 この姿でも俺に気付いたのか。
 俺の心を読んだのかもしれないが、でも助かる。落下速度を減速させながら、俺はこうなったときのためのアイテムをアイテムバッグから取り出す。

 竜殺しの剣グラムをアイテムバッグから取り出した。

雷剣サンダーソード

 一角鯨まで残り5メートル、最後の水の膜を自ら剣で破り、俺は重力とともに一角鯨へと落ちて行った。



    ※※※


 私とメアリさんはただひたすら前へ前へと海の上を走っていました。
 コーマさんの作った靴のおかげで、水の上なのに本当に陸の上を走っている感覚で走ることができます。
 私達が一角鯨に到着する前に、霧の中に轟音が鳴り響きました。
 唯一残っている浮島にいた男の人達の最後の雷の杖によるものだと思います。

 霧のおかげで一角鯨も雷の存在に気が付かなかったのでしょう。どこに命中したのかはわかりませんが、一角鯨がうめき声をあげました。
 ダメージは少ないでしょうが、塵も積もれば山となります。
 1ダメージでも10万回与えたら10万のダメージになります。
 それだけ喰らわせたらさすがに大きな魔物でも倒せるでしょう。それでも倒せないようなら、100万回攻撃するまでです。

 そう思い、無数の幻とともに攻撃をしかけようとしたのですが、突如として一角鯨が向きを変えます。それにより海面が大きなうねりを上げました。
 巨大な壁となった海を私は蹴りあげて越え、いなづまの剣を鞘から抜きました。
 一角鯨の横腹に向けて剣を振り下ろします。

(硬いっ!!)

 思わず弾かれそうになりましたが、剣を滑らせました。それだけでも、いなづまの剣から放出された雷が一角鯨の身体に流れていきます。
 そして、私はいなづまの剣を左手に預け、右手でアイテムバッグからプラチナソードを取り出し、その巨体へと突き付けました。
 一角鯨が雷の痛み、そして剣で突き付けられたことに反応し、その身体を大きくうならせます。
 振り落されないようにプラチナソードの柄をしっかりと握りながら、私はもう一度いなづまの剣を一角鯨へと突き付けようとしますが、硬い皮が剣をはじきます。
 並みの剣では傷一つつけられない……プラチナソードの威力について心内でコーマさんに感謝しながらもどうにかならないかと思います。

 メアリさんのほうも私と同様のようで、先ほど一角鯨が身体を揺さぶったときに落ちてしまいました。
 プラチナソードなら傷つけられるのに……どうにかしていなづまの剣で体内に雷を流したら……

(そうだ……)

 とても簡単なことに気付き、私は一角鯨の身体のゆさぶりがおさまったのを見計らい、多段ジャンプスキルの利用で大気を蹴りあげ、プラチナソードを抜きます。
 そして、その横に再度突き刺し――先ほどプラチナソードが開いた傷口にいなづまの剣を突き刺しました。

(傷を付けることがないのなら、すでにある傷を利用すればいいだけです!)

 いけぇぇぇぇっ!
 いなづまの剣を強く押し込め、そこから流れ出た雷が、直接一角鯨の体内へとへとダメージを伝えた。
 これで間違いなく大ダメージを……

 刹那――一角鯨がいきなり海へと潜っていきました。
 やばっ……剣を握ったままの私は一角鯨とともに海の中へと引き込まれる。その力に、水蜘蛛改の力は役に立ちません。

(戻れっ!)

 激しい海流に意識を失いそうになるも、いなづまの剣に力を集中。
 海の中で雷がスパークした。私はコーマさんが作った雷の護符のおかげでダメージは受けませんが、一角鯨にはダメージが伝わっているはず。
 でも、息が続かない……。
 こんなことなら、あの不味いエラ呼吸ポーションを貰って飲んでおくんだった。
 そう思いながら、一角鯨が水上へと戻っていくのを感じ、私は剣の柄から手を離した。

 水流で錐揉み状態になりながら浮上していくと同時に、一角鯨も海上へと浮上したようだ。
 剣は――剣の位置は! 霧の中なのでよくわからない。
 私は剣の位置を確認しようと頭上を確認したとき――一角鯨の巨大な前ヒレが私を叩き潰そうとし――

(避けられない!)

 覚悟を決めたときだった――空から巨大な火の球が三回、降り注いだ。
 全てが一角鯨の頭上に命中し、その反動で前ヒレが私より僅かに前に落ちた。
 前ヒレの生み出した波で、後方へと流され――私が突き刺したプラチナソードを見つけた。
 でも、刺さっていたはずのいなづまの剣が無くなっていた。
 刺さりが甘かったのかもしれない。

(いえ、一本残っていただけでも喜ばないといけません)

 私がそう思い、剣を握ろうと海面を踏みつけて跳び、空気を再度踏んで跳び、プラチナソードの柄を握った――その時だった。


 空から……それが降ってきた。

 大きな翼と角を生やした怪物の姿が霧の中でシルエットとなって落下し、剣を一角鯨へと突き刺した。
 刹那――エレキボムと同じくらいの巨大な雷が、一角鯨の背中に弾けた。

 霧が僅かに薄くなり、私は謎の魔物の姿を捉えた。
 そこにいたのは、竜の鱗に身を包んだ……私達とそう変わらない大きさの生き物でした。

(人間……なんでしょうか?)

 そして、私はソレ(・・)が一角鯨に突き刺した剣を見た。
 雷を帯びている剣ですが、似ています。

 私が騙し取られてしまった……お父さんの残した剣に。

「あの……」

 私はソレに声をかけると、ソレは私を見て……何故かイヤそうにため息をしました。
 そして鯨の頭の方向へと走って行きます。

 なんなんでしょうか……あれは一体。

 どこかで会ったような気が……しないことはないような気もしますが。

「竜……剣を持った竜」

 なんだろう。なんなんだろう。
 そして、私は閃いた。

「とりあえず、人のような竜(竜のような人かも)だから、竜人と呼ぶことにしましょう」
いつもご覧になってくださりありがとうございます。
Episode03もいよいお大詰め。
そろそろEpisode04の準備をしないといけないのですが、メインストーリーがまだ煮詰まっていない状態なので、04は少し短めのメインにあまり関係しない話にしようと思っています。

そこでお願いです。活動報告でアンケートを行っております。
04をどういう話にするか? というアンケートです。ぜひご協力をお願いします。(締切は2015年8月25日です)

※たくさんの投票ありがとうございました。無事締切ました。
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