挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界でアイテムコレクター 作者:時野洋輔

Episode02 呪いの剣

32/730

孤児院に贈られたおもちゃ箱

~前回のあらすじ~
借金取りさんにお金を返しました。
「なんとお礼を言ったらいいのか。お金は必ずお返しいたします」

 シスターが申し訳なさそうに頭を下げる。

「いやいや、いいんだって。もともと、シスターが経営している孤児院に寄付するために来たんだから。なぁ、コメットちゃん」
「シスター、このかたは私が今働いている店のオーナーのコーマ様です。孤児院の経営状況を知って寄付してくださることになったんです」
「まぁ、そういうこと。細かいことはメイ……俺の部下に任せてるから。今日は挨拶だけに来たんだよ」
「そうなのですか、ではお茶をお出ししますね」

 シスターがそう申し出てくれた。喉は渇いていないけど、断ったらシスターはさらに申し訳ない気持ちになりそうだしな。

「お言葉に甘えます。あ、でも先に孤児院を見に行ってもいいですか?」
「では、私が案内しますね」

 コメットがそう言い、俺はシスターに会釈をして教会の裏口から外に出た。
 すると、本当に教会のすぐ裏に建物がある。

「こちらです。今の時間なら、みんな室内で遊んでいると思います」
「……あぁ、待ってくれ、コメット」

 俺はそう言うと、アイテムバッグの中に手を突っ込み、

(アイテムクリエイト)

 と小声で唱えた。
 そして、アイテムバッグからスカーフを取り出した。

……………………………………………………
疾風のスカーフ【装飾品】 レア:★★

風の力が篭った身のこなしが良くなる緑色のスカーフ。
風のイメージカラーが緑なのは、風に揺れる草木の色。
……………………………………………………

 これを、コメットの首に巻いてあげる。
 ちょうど、隷属の首輪が隠れるように付けることができた。

「プレゼントだ。弟や妹達にその首輪を見られたくないだろ」

 シスターはコメットが奴隷になったことは誰にも話していないだろう。
 そんなことを言えば、他の子供も自ら奴隷になると言ってしまいそうだ。

「……ありがとうございます」

 コメットは少し驚き、うれしそうにそのスカーフを撫でるように触った。
 そして、俺が孤児院の扉を開けると――

「出たな! 魔王! 勇者カイル様が相手だ!」

 いきなり正体を見破られただとっ!?

「こら、カイル! お客さんに失礼ですよ。すみません、コーマ様。子供たちの中で勇者ごっこが流行っていて」

 だよな、うん。
 穴の開いた鍋をかぶって木の枝を持った男の子、草の輪っかを頭につけた女の子、あと魔物役なのだろう、うつ伏せに倒れた男の子など7人の子供が、魔王城と同じくらいの広さの部屋にいた。
 壁を背にしている右目を包帯で覆った女の子……彼女は何の役だろうか? もしかして、現在日本では伝説となった木の役とか?

「あ! コメ姉ちゃんだ!」
「コメ姉ちゃん! どこ行ってたの!?」
「シスターに聞いただろ、コメ姉ちゃんは大きな店で働いてるんだよ」

 子供たちがコメットちゃんを囲うように集まってきた。
 コメットちゃん、コメ姉ちゃんって呼ばれてるのか。

「みんなただいま。シスターの言うことちゃんと聞いてた?」
「「「「うん」」」」「聞いてない!」

 うわ、一人天邪鬼が混じってるな。でも、ああいう子供に限って実は孝行者だったりする。

「ねぇ、このお兄ちゃん、もしかしてコメ姉ちゃんの彼氏?」
「ち、違う! この人は――」
「俺は、勇者クリスティーナの従者のコーマだ!」

 そう宣言したら、子供たちから「「「おぉぉぉぉっ!」」」と感嘆の声が上がった。
 勇者の名前は子供には凄いな。一人だけ「女の尻に敷かれてるのか」とか言ってきた天邪鬼な子供がいた。
 いや、勇者を尻に敷いているのは俺のほうだからな。

「今日は勇者クリスティーナより、皆にプレゼントを預かってきた」
「え? プレゼント? なぁに?」
「お菓子かな」
「あぁ、菓子はあと作ってやるからな。今はおもちゃだ」

 よし、季節外れのサンタクロースだ。
 俺はそう言い、アイテムバッグから、

……………………………………………………
玩具の兵隊【雑貨】 レア:★★

ぜんまいで動くブリキのおもちゃ。
その動きはとてもぎこちなく、頼りにはならない。
……………………………………………………
ドラゴンぬいぐるみ【雑貨】 レア:★★

ドラゴンの形のぬいぐるみ。綿がもこもこ。
枕代わりに使うこともできます。
……………………………………………………
女の子人形【雑貨】 レア:★★

女の子の姿を模した人形。名前はリリちゃん。
誤飲防止のため、足の裏は苦くなっている。
……………………………………………………
トランプ【雑貨】 レア:★

54枚のカード。様々なゲームに使われる。
大抵、1枚無くなってしまい遊べなくなる。
……………………………………………………
ゴムボール【雑貨】 レア:★

柔らかい球。様々な球技の練習に使われる。
投擲武器として使うには柔らかすぎます。
……………………………………………………

 他にもさまざまな形のぬいぐるみや人形を取り出した。
 図鑑を埋めるために作ったアイテムの中で子供が遊べそうなもののなかで価値が低いものを全て放出した。
 それらに子供が目を輝かせ、

「わぁ、凄い! 手品だぁぁぁっ!」

 あ、玩具よりもアイテムバッグに興味津々のようだ。
 この世界にも手品ってあるのか。なんか、大体の手品は魔道具で解決できそうな気がするが。
 あとで、トランプを使って俺の知ってる手品を見せてやろうと思ったが、順番を間違えたな。
 手品はまた今度の機会にしよう。

「……あれ? あの子、さっきから動かないけどどうしたんだろ?」

 5歳くらいの木の役をしているかもと思っていた女の子。
 さっきから全く動いていない。

「あ……彼女はアンちゃんです。目が見えないから、あまり動かないんです。前に、寝ているカイルを踏んじゃって」
「病気?」
「お医者様の話だと、原因は虫毒らしいです。解毒ポーションを使っても効果がなかったみたいで。今は目が見えないだけですが、このままだと全身に毒が回って……」

 コメットちゃんは悲しい顔で言った。
 借金をしてまで解毒ポーションをシスターが買ったそうだ。そうか、あの借金、アンちゃんのためだったのか。だいぶ利息がぼられたんだろうな。

 ちなみに、アンちゃんの病気が命に関わるものだとは、他の子供も、アンちゃん本人もしらないそうだ。
 コメットちゃんがシスターから事情を聞いたときには、店の解毒ポーションは売り切れていたので、シスターは他の店で解毒ポーションを買ったそうだが。

 それにしても虫毒か。解毒ポーションでも治らないってことは、下手したら呪いの一種かもしれない。
 最悪、シスターが買ったという解毒ポーションそのものが偽物だったかもしれない。
 俺はアンちゃんに近付いていき、

「こんにちは、アンちゃん。俺、コーマ。勇者クリスティーナの従者だよ」
「アンは……アンなの」

 小さな声で、アンちゃんは自己紹介してくれた。

「実はクリスティーナから、アンちゃんに薬を持ってきたんだ。苦いけど、飲んでもらえるかな?」
「お薬?」
「そう、飲める?」

 俺が言うと、アンちゃんはコクリと頷いた。
 そして、アイテムバッグから一本の瓶を取り出し、アンちゃんの手に握らせた。

 アンちゃんはその瓶をゆっくり飲んでいく。
 半分くらい飲んだところで、アンちゃんの目の色が変わった。
 目に光が灯った。

「目、見えるの!」
「そっか、よかったな」

 俺はそう言ってアンちゃんの頭をなでてあげた。
 そして、右目の包帯をとってあげる。

「アン、目、みえるの!」
「うんうん。右目も綺麗だし。あ、一応最後まで薬飲んでね」
「はいなの」

 ぐびぐびとあの不味い薬をアンちゃんは最後まで飲んでくれた。
 その光景に一番驚いたのは、やはりコメットちゃんだった。

(あ、あ、あの、コーマ様、この薬は)
(あぁ、アルティメットポーション)
(アル……そんな高価な物!?)

 HPも状態異常も治せるから、虫毒とそれによって死んだ細胞くらい治療できるかと思ったけど。

(いやぁ、効いてよかったよ。あげてよかっただろ?)

 薬を飲みほして、皆に祝福されているアンを見ると、コメットちゃんも「勿体ない」なんて言えるわけない。
 コメットちゃんには、今度から困ったことがあれば、俺かメイベルに相談するように言った。

「さて、シスターが来るまで、みんなで遊ぼ――」

 と、通信イヤリングから反応があった。
 2番目、クリスか。

「なんだ?」
『あ、コーマさん? 今どこです?』

 俺は教会の場所を伝えると、

『今から冒険者ギルドに来てもらえませんか? お話したいことがありますので』
「わかった、今から行くよ」

 そう言い、俺は通信をオフにした。

「悪い、勇者様からお呼び出しをくらった」

 そして、最後に俺はアイテムバッグの中に手を入れ、牛乳、小麦粉、砂糖を材料にアイテムクリエイトでクッキーを作成。
 お皿に乗せた。

「おやつだぞ! 仲良く食べるんだ。コメットちゃんは今日はここに泊って行けばいいよ。メイベルには俺から言っておくから。あ、今夜のおかずはこれで買ってね」

 俺はそういい、アイテムバッグから銀貨を10枚ほど渡した。
 これでいけるよな?

「多いですよ、コーマ様。銀貨1枚で十分です」
「あぁ、じゃあ銀貨2枚で。シスターにはお茶はまた今度って言っておいて」

 やばいな、本当に金銭感覚がバカになっている。
 思えば、銀貨10枚って10万円くらいだもんな。
 そりゃ高いわ。

「勇者のお兄ちゃん、行っちゃうの?」
「うん、またね、アンちゃん。あと、俺は勇者じゃないんだよ」
「勇者のお兄ちゃん、またね、なの」

 勇者じゃないんだけどなぁ。
 魔王なんだけどなぁ。

 優しい魔王……か。
 ルシルに言われたその言葉を思い出しながら俺はクリスの元へと歩いて行った。
~通貨③~
前回の続き。
チートによってインフレが続いた結果、運営は、チート及びチートの恩恵を受けた人全員をアクセス禁止処置にしていきました。

それでインフレはある程度おさまりをみせたのですが、今度はRMTも完全に禁止にしました。その結果起こったのは、未曽有のデフレでした。

といっても、私はインフレになりすぎた時に嫌気がさして辞めた人間なので、今はどうなったのか本当はわからないんですけどね。

同じ現象がF〇11のRMT関連でも起こりました。

①ゲーム内で「ギ〇」を稼いだ人が業者に「円」で売り、
②金持ちが業者から「ギ〇」を「円」で買う。

①の人はお金を稼ぐため、こつこつ魔物を倒したりして頑張ってギルを増やすわけですから、ゲーム内通貨の流通量が増えます。②の人が金にものをいわせ、中国観光客の爆買いみたいにアイテムを高値で買うわけですから、インフレが起きました。

で、RMTが禁止にしたり、システムを変更したりして、「ギ〇」を回収。
結果、デフレが起こり、品物がだんだん安くなっていった。

たかがゲームというけれど、通貨相場の変動も見ていると面白いです。
新作紹介 そのスライム、ボスモンスターにつき注意
スライムに人外転生した男がダンジョンのボスになり、いろいろと面白おかしく生きるファンタジーコメディーです!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ