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異世界でアイテムコレクター 作者:時野洋輔

Episode02 呪いの剣

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秘密の暴露は金貨とともに

~前回のあらすじ~
コメットちゃんを見つけました。
「手伝ってくれてありがとうございます、コーマ……さん」
「いいっていいって、気にしないで」

 力の神薬を飲み続けた結果、この程度の荷物は軽い軽い。
 木箱に入った荷物を見る。
 果物や野菜、肉に魚。

「これ、全部コメットちゃんが食べるの?」
「ち、違います! 皆さんの分の夕食です」
「だよね。あぁ、びっくりした」

 俺がうれしそうに笑うと、コメットちゃんは少し顔を赤らめて、それでも愛想笑いを浮かべてくれた。
 店の経営やら魔王やら勇者の従者やらいろいろやってるけど、まぁ、こういう日常も悪くないなぁ。
 妹がいて、一緒に買い物をするとしたらこんな感じなのかな。
 まぁ、あくまでも妹のいない人間の幻想であって、本当に妹を持っている世間のお兄からしたら、「そんな妹はいねぇ」と言うんだろうな。

「そういえば、コメットちゃん、仕事はもう慣れたの?」
「はい、皆さんとてもよくしてもらってます……ですが」
「どうしたの?」
「コーマさんならわかると思いますが、寮の設備がとてもよすぎて……ちょっと弟や妹に申し訳ないかなと」

 あぁ、確かに、あの寮は俺にとって可能な限り最高の設備で作り上げたからなぁ。
 ただ、一応秘密があるので、誰でも住んでいいとはいえない。

「コメットちゃんって、弟と妹がいたんだ」
「血のつながった弟や妹ではなく、同じ孤児院で育った年下の子供たちなんです」

 孤児院出身。思わぬ返答に俺が言葉を詰まらせると、コメットちゃんはさらに話をつづけた。

「私の本当の両親は山賊に殺されたらしいので。奴隷になったのも、教会の経営が厳しくて、シスターに黙って身売りをしたからです」
「重いよ、重すぎるよ、コメットちゃん!」

 いや、まぁ、奴隷になっちゃうなんて、普通の人生ではないんだろうけどさ。
 道で雑談のように話す内容としては重すぎるよ。

「結果的にフリーマーケットで雇ってもらえて、私は幸せなんですよ」
「あぁ、終わりよければ全て良しか……メイベルに感謝しないとな」
「はい、メイベルさんとオーナー様には足を向けて寝れません」

 コメットちゃんは「オーナー様には会ったことないんですけどね」と照れたように言った。
 今、ここで会ってるんだけどね。
 でも、ここで俺がオーナーだと言うには恥ずかしすぎる。
 俺の顔も赤くなってるだろうな。

 そして、俺たちは従業員寮にたどり着いた。
 一階はレストランになっているが、11時から14時まで限定であり、時間外は部外者の立ち入りができない。
 俺はクリスの従者として出入り自由になっていて、たまに入らせてもらっているが、2階より上には立ち入り禁止となっている。
 俺が決めたルールなので不満はない。

 まぁ、従業員全員に俺がオーナーだと知らせた後で入ってやろうとは思っているが。
 女子高とか女子寮って、なんでこうキュンキュンするんだろうなぁ。

「コーマさん、荷物はそこに置いてください」
「ここでいいのか?」
「はい、あとでしまいますから……コーマさん、何か召し上がります? オーナーの一品はなくなったんですけど」

 オーナーの一品とは、この店のオーナー、つまり俺がきまぐれで作る限定料理のことだ。
 今日の一品は、

……………………………………………………
フカヒレあんかけ焼き飯【料理】 レア:★★★

フカヒレの入った餡を焼き飯にかけちゃいました。
パラパラに炒めたチャーハンがどろっとなります。
……………………………………………………

 だった。フカヒレの数の都合で10人前しか作れなかったが、完売したんだな。
 俺も自分で試食したので、別に注文するつもりはなかった。
 ちなみに、作った料理はアイテムバッグの中に入れるため、温かいまま保存可能。
 他の定食もアイテムバッグの中に保存し、余ったものは従業員が食べることになっている。

「あぁ、じゃあ日替わり定食できるかな?」
「はい、残ってますよ」

 今日の日替わり定食はハンバーグ定食だ。ハンバーグとパンとサラダ。
 ハンバーグというと、カカオ豆100%のスライムハンバーグを思い出してしまうが、本物のハンバーグを食べてハンバーグの認識を元に戻さないとな。

 そして、コメットちゃんが用意してくれたハンバーグは……なんと肉でできていた! しかも動かない!
 って、普通のことなんだよな。
 ナイフとフォークで切り分けてハンバーグを食べる。
 肉汁が口中に広がり、玉ねぎの甘みとハーモニーを奏でる。
 これが……ハンバーグなんだよな。

「あの、コーマさん、なんで泣いてるんですか?」
「いやぁ、普通っていいんだなぁ、って思ってさ」

 おいしいなぁ。
 幸せだ。

「喜んでもらえてうれしいです。今日のハンバーグは私が作ったんですよ」
「へぇ、凄いなぁ。食べられるんだもんなぁ」
「コーマさんの味の基準に不満があります」

 いやいや、素直においしいよ。
 メイベルの作ったサンドイッチもおいしかったし、この店の女の子の料理の腕はいいらしい。

「そういえば、コメットちゃんのいた孤児院って今はどうなってるの?」
「ええと、あまり状況はよくないみたいですね。でも、私が貰ってる給金を送っているので、少しは――」
「ふぅん、じゃあ、フリマに寄付させればいいじゃん。儲かってるみたいだし」
「そんなことできません! オーナーにはただでさえお世話になってるのに」
「そんなことないって。ちょっと待ってて」

 俺はそう言うと、食べかけのハンバーグをそのままにして、部屋の隅に行く。
 そして、三番目の通信イヤリングを作動させた。

『あ、コーマ、ちょうどよかった! たったいま新作料理ができ――』
「間違えました」

 俺は即座に通信をオフにする。
 三番目を選んだつもりが一番目を選んでいたようだ。
 今度こそ三番目の通信イヤリングを作動させる。

『どうしました? コーマ様』
「時間があるときでいいから、食堂に来てほしいんだけど」
『かしこまりました、すぐに伺います』

 俺は通信をオフにして、パンをちぎって、ハンバーグのソースを付けて口に運んだ。
 うまいなぁ。
 ちなみに、通信イヤリングの存在を知らないコメットちゃんには、俺が一人で喋っていたように見えただろうな。
 痛い人間と思われてないかな。

 ハンバーグを食べ終わると同時に、メイベルがやってきた。

「お、メイベル! 話があるんだけど」
「はい、なんでしょう?」
「コメットちゃんのいた孤児院、経営が危ないみたいだから、フリマから寄付できないかなって思って」

 俺がメイベルに言うと、「コーマさん、本当にいいんです。すみません、店長、私がちょっとコーマさんに話してしまって」と弁明するが、メイベルは少し考え、

「そうですね、では金貨20枚ほどでどうでしょう?」
「金貨20枚、まぁ、そんなもんでいいか」
「店長、そんなオーナーの許可ももらわずに金貨20枚も……」

 コメットちゃんの言葉に、メイベルが俺を見た。俺は黙って頷き、

「オーナーの許可ならすでにあるぞ?」
「え?」

 コメットちゃんは何を言われたのかわからない様子だ。

「コメットちゃん、ここにいるコーマ様が、フリーマーケットのオーナーなんです」

 紹介された俺はVサインをした。『ドッキリ大成功』の看板があったら使いたいほどのコメットちゃんの驚きよう。
 そして、この後くるであろう反応を予想し、俺は耳を塞いだ。

「えええええぇぇぇぇぇっ!?」

 耳を塞いでもその絶叫は無事に俺の鼓膜へとたどり着いた。
~通貨~
貨幣もまた重要なアイテムです。
ファンタジー世界の通貨は、大体、金貨、銀貨、銅貨などが使われ、紙幣は使われません。その一番の理由は、国の信用でしょう。

なぜ、1万円札は1万円札なのか?
それは、日本国が1万円札が1万円札です、と保証しているからですよね。
1万円と子供が書いた紙は一万円ではありません、国が保証してくれないから。

その昔は金本位制の時代です。
金が一番。金貨が本来の金。とはいえ、全ての通貨を金で賄おうと思ったら、金がいくらあっても足りないし、パン1個買うための金なんてそれこそ砂粒程度になります。そのためにあるのが補助通貨。銀貨と銅貨ですね。

ですが、それでも金貨には限りがあります。
そこで、最終的には金貨に、その中に含む金以上の価値がでてきます。
1万円分の金が100万円分の金貨になる、みたいな状態になるわけです。
まぁ、金貨が100万円の価値というのはやりすぎなんですが。

あと、金貨の上位貨幣に白金貨ってのが作品によっては出てきます。
プラチナ金貨ですね。ただ、前にも書きましたが、プラチナは加工が困難なうえ、その価値が出てきたのは最近のため、あまり存在しないです。
 贈答用に作られたり、一部の国では実際に発行されましたが。

あと、イメージの違いとしては、銅貨のイメージも違いがあります。
銅貨は青銅のほうが多いです。錆びにくいですね。

ゲーム内の通貨についてはまたいつか。
新作紹介 そのスライム、ボスモンスターにつき注意
スライムに人外転生した男がダンジョンのボスになり、いろいろと面白おかしく生きるファンタジーコメディーです!
+注意+
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