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竜化第二段階

~前回のあらすじ~

ベリアルの力は圧倒的だった。

 目の前のオーガジェネラルに対し、私は炎の剣を構えました。

 オーガは巨鬼族とも呼ばれる種族で、攻守ともに優れた魔物です。通常Bランクの冒険者が相手をする強者で、兵士が討伐しようと思えば安全を考え、小隊を組んで倒す魔物です。


 このあたりにはあまりいない魔物ですが、西の大陸の山の中に住んでいる魔物で、冬に山から下りてきたオーガと私も一度だけ戦ったことがありますが、目の前のオーガジェネラルからはその時のオーガとは別種のオーラを感じます。


「クリス殿、コメット、三人で同時に仕掛ける」


 タラくんが私に提案を投げかけ、私は無言で頷いた。

 1対1で戦うには私達の力は足りません。


「皮膚は硬くて簡単には剣は通りません、身体を狙うなら首か付け根を狙ってください」


 私の指示に二人も頷いた。


 そして、オーガジェネラルが一歩前に出た、その時コメットちゃんとタラくん、私が同時に跳び、コメットちゃんが左、タラくんが右から攻撃を仕掛けます。


 オーガジェネラルが右腕でコメットちゃんの、左腕でタラくんの攻撃を受け止めようと構えた……そのため、前ががら空きです!


――覚悟!


 私はオーガジェネラルの首を目掛けて剣を突こうとした――その時だった。

 オーガジェネラルはコメットちゃん、タラくんの剣を受け流した。前方向に、私の方向に。


 残り零コンマ数秒でオーガジェネラルの首に届くところまで来ていたんですが、コメットちゃん、タラくんが私の前に倒れそうになり、思わず剣を引き、オーガジェネラルは私達三人相手に右肩で体当たりをしてきました。


 剣を横にして、盾代わりに攻撃を防ごうとしますが――後ろに大きく跳ばされます。


――ここまで違うとは。


 厄介なのは剣の受け流し。

 あれをどうにかしないと――そうだ、あれを使えば。


「タラくん、コメットちゃん、ここは私一人に任せてください!」


 特訓により発現させた一つのスキル、あれを使う時が来ました。



   ※※※



 横目でクリス達の戦いを見る。

 あっちも苦戦しているようだ。あの受け流し攻撃はベリアルと同レベルだな。


「強いだろ、あいつの受け流し、俺様も覚えるのに苦労したんだぜ」


 ベリアルはとても楽しそうに部下であるオーガジェネラルを褒める。

 てか、ベリアルの受け流しはあのオーガジェネラルの技を見て覚えたのか。


「コーマ、行くわよ、準備して」

「ああ」


 覚悟しろ。

 あの時を思い出せ。

 自分で自分を抑えられなくなり、カリーヌを殺しそうになったあの時のことを。

 クリスの胸を貫いたあの時の感触を。


 二度と御免だ。


 コーマは――ルシファーに負けない!


【竜化状態が第二段階になりま殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ】


 破壊衝動が叡智のメッセージを打消して俺の心を埋め尽くす。

 伸びた爪がさらに伸び、鱗がさらに黒く染まる。

 このままだと前のように暴走してしまう――だけど……


「コーマっ! しっかりしないと気付けに私の料理食べさせるわよ」


 ルシルの声が聞こえた。


【殺せ殺せ殺せ殺――ふざけるな! それは気付けじゃなくてとどめだ!】


 俺のツッコミが破壊衝動を打消した。

 大丈夫だ、まだ余裕がある。

 それどころか、成長し、女子高生バージョンになったルシルを見て気分は高揚している。

 相変わらず美人だな。


「なぁ、ルシル。お前、料理が気付けになるって、作っている料理が普通じゃない自覚あったんだな」

「……あと半年練習したら普通の料理になるわよ」

「ならないよ。金貨100枚賭けてもいい……でも、まぁ時間は十分あるんだ、二人でお前の料理が上手くなる方法を考えようぜ」


 そして、俺はエントキラーを構えて前に突き出す。


「このベリアルを倒してな」


 膨れ上がる殺意を抑えて――俺はベリアルを見た。

 ベリアルは余裕の笑みを浮かべてこっちを見ていた。


 俺はかなり隙だらけだったのに、攻撃をしてくる様子はまるでなかった。


「変身シーンを待ってくれるとは、お前はなかなか悪の怪人の素質あるぞ、ベリアル」

「当たり前だ、俺様はお前と戦うために来たんだからよ! いいぜ、コーマ! さっきの殺意なんて久しぶりに鳥肌もんだったぞ」

「悪いな、こっちは生きるために戦うんだ、殺意はそうそうだせねぇぞ」

「そいつは残念だ」


 問題はベリアルの受け流し攻撃だな。

 斧は受け流されやすい武器でもあるからな。


 ならば――攻撃方法を変えるしかない。


 両手で持っていたエントキラーを――右手一本で持つことにし、左手には轟雷の杖を握った。

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