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異世界でアイテムコレクター 作者:時野洋輔

第一部 東大陸編 Episode01 勇者試験

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反則まがいの召喚石

~前回のあらすじ~
自立した女の子の素晴らしさを知った。
 翌朝。
 まさか二日連続睡眠代替薬を服用することになるとは思わなかった。
 睡眠不足は解消されるが、疲れが抜けるわけではないので正直、少し辛い。
 ちなみに、一本は徹夜で作業しているメイベルにあげたのだが、商品として売ると言っていた。
 商売熱心だ。

 宿屋に戻り、クリスをたたき起こして朝食をとり、俺たちは冒険者ギルドへと向かった。
 早速、昨日までの順位が張り出されている。

 俺たちは――72位か。
・討伐ポイント 37点
・探索ポイント 22点
・寄付ポイント 28点

「よし、予定通りだな」
「なんで予定通りなんですか、合格圏外じゃないですか」

 ちなみに、1位は風の騎士団。
・討伐ポイント 92点
・探索ポイント 69点
・寄付ポイント 42点

 全てにおいて負けている。

 ぎりぎり合格圏内の10位は、獅子隊。自称傭兵の一団らしい。
・討伐ポイント 82点
・探索ポイント 43点
・寄付ポイント 51点

 負けているなぁ。
 合格圏まで119点足りない。

「安心しろ、予定通りだ。俺達の勝負は6日目と7日目だからな。しばらくは魔石集め頑張るぞ」
「……本当に大丈夫なんですか?」
「俺を信じろ!」


 そして、その日も、次の日も俺達は20階層から40階層で魔物を狩り続けた。
 もう魔石の数は1000個を超している。
 魔石の一部はルシルに回し、さらに一部は魔道具を作ってメイベルに渡した。店の目玉になると喜んでくれた。
 ちなみに、メイベルには仕入れだけではなく人事権を含めた全てを任せると言ったので、今度訪れたときは多くの店員に出迎えられるかもしれないな。

 4日目にはミノタウロスを見るために一度90階層にいったが、凄い人の量で遠目で戦いを眺めることしかできなかった。
 クリスは戦いたそうにしていたが、俺は彼女の襟首をつかんで20階層に戻った。
 そして、5日目。
 俺たちは順調に順位を落としていき、現在10位とは130点差。

 でも、全然余裕だ。
 何しろ、探索ポイントは迷宮で拾ったアイテム、もしくは迷宮で拾ったアイテムから造り出したアイテムによってポイントがもらえる。
 いままではバカ正直にアイテムをそのまま渡していたが、今日からはアイテムクリエイトでここのアイテムからレアアイテムを量産する。
 もちろん、世間に出回ってもいいアイテムのみだが。
 ちなみに、迷宮によってアイテムから微量の魔力が発せられるらしく、他の場所から持ち込んだアイテムを材料にした場合はギルドのアイテム審査でばれてしまう。
 まぁ、そんなこといったら、去年拾ったアイテムを今年まで保存していればいいのじゃないか? とか思うけれど、長い間地上、もしくは他の迷宮で保存された場合、アイテムから発せられる魔力の波長が変わってしまうらしい。
 抜け道があるとしたら、去年のうちにアイテムを溜め込んで、この迷宮の中に隠しておく方法しかないな。

「よし、少し早いけど、今日から逆転劇を始めるか!」
「……もう無理ですよぉ、いまから90層に行っても」
「90層にはいかない、勝負はあくまでもこの20階層だ」
「うぅぅ……」

 あきらめモードになっているクリスをよそに、俺は大量の緑色の石をばらまいた。

「ほれ、クリス。健康ジュース」
「うぅ、いただきます」

 緑色の液体を飲みほした。
 涙目だが、相変わらずいい飲みっぷりだ。

「次に、ほれ、力の妙薬」
「あ、これ……コーマさんも買ってたんですか? でも20階層でこの薬が必要になるような敵なんて……」
「相手がミノタウロスなら別だろ?」
「え? ミノタウロス?」
「この石はな、召喚石っていう石でな――」

……………………………………………………
召喚石【魔道具】 レア:★★★

同じ迷宮内の魔物を召喚する石。見たことのある種族の魔物しか召喚できない。
レアモンスターの召喚ばかりしていると周りに嫌われますよ。
…………………………………………………… 

 ちなみに、材料は転送石とカレイド石。

「とまぁ、そういうアイテムだ」
「え? そういうアイテムって、どういうアイテムですか?」

 あぁ、説明するのが面倒だな。
 百聞は一見に如かず。

「じゃあ、戦闘準備! あそこにミノタウロスが現れるからな」 

 俺が召喚石を投げると、斧を持った二足歩行の巨大な牛の怪物、ミノタウロスが出現した。

「よし、クリス、行けるか!」
「行ってみます!」

 直後、光が――消えた。
 今の彼女に白光の二つ名は相応しくない。瞬迅の二つ名を授けよう。
 そのくらい素早い攻撃に、ミノタウロスの胴体が真っ二つになった。
 魔石(中)とミノタウロスの角だけが残る。

「凄い……これが力の妙薬の効き目なの?」
「いや、力の妙薬はあくまでも基礎力がないと効果がないからな」

 もちろん、種はある。彼女が毎日健康ジュースと言われて飲まされていたのは、力の神薬。
 それを、試験前日から今日まで6回飲んだ。
 ただ、これだけの力を見たら思ってしまう。

(俺は、もしかしたら恐るべし敵を生み出してしまったのではないか?)

「コーマさん、次お願いします!」
「おう、お前には勇者になって借金を返してもらわないといけないからな!」
「う、頑張ります!」

 クリスは嫌なことを思い出してしまった、と言わんばかりに顔をしかめた。
 借金がある限り、俺が優位なのは変わりないかな。


   ※※※

 迷宮93階層。
 ミノタウロスが多く生息するはずの階層だが、今日はどういうわけかミノタウロスの姿が全く見当たらない。
 それでも、我々、風の騎士団は魔物を探して屠ってきた。
 ボス級の力を持つミノタウロスだけではなく、この階層にはリザードマンの亜種、リザードキングも生息する。
 とはいえ、その数はミノタウロスの比ではないため、やはり苦戦を強いられている。
 90階層より下のどの階層も同じようで、迷宮全体からミノタウロスが逃げ出したのではないかという憶測があがっている。
 そんなことがあるものなのか?

 我々騎士団は常に一位であり続けなければいけない。
 そして、前線で戦い続けなければいいけない。
 だが、前線でこの魔物の量なら、今は一度80階層まで戻り、他の種族の魔物と戦った方がいいのではないか?
 そんな焦りが油断を呼び、先ほど、リザードキングの一撃が頬を掠めてしまった。

「ジークフリード隊長、大丈夫ですか?」
「大したことない、かすり傷だ。だが、魔物がいないのはいかんともしがたい」

 やはり、明日は80階層まで後退し、別の種族の魔物を狩ったほうがいいのではないだろうか?
 そう思った矢先だった。

「うわぁぁぁぁぁぁっ!」

 悲鳴が聞こえてきた。

「魔物かっ! 行くぞっ!」
「「はいっ!」」

 六人で一つの風となる我々に敵はない。


   ※※※

 試験6日目の朝。
 俺はクリスと一緒に朝食を済ませ、冒険者ギルドに順位の確認をしにいった。
 昨日の夜、ミノタウロスの角を245本、レメリアさんに見せたところ、怪訝そうな顔をされた。
 どうやら、他の冒険者たちはほとんどミノタウロスを狩ることができなかったらしい。
 俺達が独占してしまったわけだが、レメリアさんは俺達がどんな手段を講じたか、深くは追及してこなかった。
 また、俺が持ち込んだ大量の薬や魔道具にも疑っていたが、全てギルド迷宮の魔力を放っていることが確かめられた。
 クリスは、「どうやって短時間であれだけのものを作れたんですか?」とか訊いてきたので、金貨5枚で教えてやると交渉してあげたら、それ以上何も言わなくなった。
 とにかく、これで順位は大きくあがることだろう。
 少なくとも20位以内には入っているはずだ。

「おい、大番狂わせだ!」
「今年の勇者試験は大荒れだぞ」

 冒険者ギルドから男達が出てきて、そんなことを叫んでいた。

「私達のこと、もう噂になっちゃってますね」 
「そうか?」

 俺達の噂だとしたら、俺達の顔を見た時、もう少し反応すると思うんだが。
 ギルド内に入ると、多くのものが情報を求めていた。

「何があった?」「試験はどうなる?!」「情報を早くよこせ!」

 怒号さえも飛び交う中、俺は順位を見た。
 クリスティーナ……現在4位。

「やりました、コーマさん、4位ですよ! 4位!」
「……おい、クリス、順位は喜ばしいが、掲示板を見てみろ」
「え? 何を見たら………………え?」

 ようやくクリスも気付いたようだ。
 昨日まで上位陣にいたはずの多くの勇者候補が、そろって失格になっていた。

(今年の勇者試験は大荒れだぞ)

 そう言っていた男の言葉がよみがえる。

 勇者試験、残り2日。予断は決して許されない。
~召喚アイテム~

召喚アイテムとは、魔物や人などを呼び寄せ、魔物と戦わせるためのアイテムです。召喚アイテムには二種類あり、

・遠くにいるものを呼び寄せる
・封じ込められたものを呼び寄せる

に分かれます。

後者のほうで有名なアイテムといえば、魔法のランプに封印されたランプの魔人でしょうか? ランプを擦ると現れ、願い事を3回叶えてくれます。
他にも、魔石やクリスタルに封印された魔物を召喚したりすることもあります。
最近のアプリゲームにおける、カードから魔物を呼び出す、という場合もカードが召喚アイテムになっていますね。

ですが、召喚魔法となると、ほぼ前者です。
召喚魔法といえばゲームみたいですが、神を降臨させるための儀式に使われるための宗教上の道具も召喚アイテムになります。生きた動物や人間などの生贄をアイテム、と呼ぶのは少し抵抗がありますが。
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