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金髪っ子集まれー

作者: やー

あると思おう?

 やっほーティンだよ!

 クチバイェローシティの外れにあるナノグデ山にある孤児院兼剣術道場、影山剣術道場練習生!

 で、何で此処に居るのかって言うとね。(私達が居るのはスカウディシティのパーティ会場の一室ですかわ。貸切ですの)

 何か、すっごい大きな意思みたいのが「金髪っ子集まれー」とか言う感じのお告げがあってね。(全く、良い迷惑ですわ)

 そんで此処に来たの! 後、今ぱそこんって言うので打ち込んでるんだよ!

(後、ティンと言う子の外見は白みの含んだ少しウェーブの掛かった長い金髪の少女ですわ)



 と言うことであたしことティンは何やらすっごいパーテー会場にやってきました! イエイ!

 あたしリポーターなのー。料理おいしー。

「……んで、何であたしらが来なきゃいけないんだ?」

 金髪でふわっふわの短い髪の羽のついたカチューシャを付けた美人さんがすっごく面倒そうな顔をしてそんな事を言ってた。

 ドレスみたいな鎧を身に着けてて、本当にキレーな人ー。

 そしたら同じくらいキレーな金髪の長い、騎士服を身に着けた女の人がその人の事を「はしたないですわよ、お義姉さま」と叱ってたよ(綺麗だなんて、まあ本当の事ですわね)

「……ふむふむ、このお魚さんは元気の良いお魚さん。調味料や調理法も良い……良い人に調理されたね」

「ふふっ、当然ですわ。

 このノルメオン家に仕えて長いコックを数人選んで調理させていますわ。

 味は我が家の誇りをかけて保障させていただきます」

 長いストレートの金髪に蒼いジャケット――フェザーシリーズ一式を着た人は一口一口出された料理頬張りながらそんな事を呟く。

 美味しいなら何でも良いと思うんだけどなー。

 そしたら金髪のキレーな人が胸を張って偉そうに何か言ってた。(実際に偉い方ですわね)

「良いのかよ、んなこと言って」

「お、義、姉、さ、ま? 貴女は女王なのですよ? 言葉遣いにはお気を付け下さいませと言っているではありませんか」

「公務じゃねえし、別に良いだろ?」

「公務でなくともです! 貴女は女王なのですよ女王陛下!

 イヴァーライル王国の女王なんですよ!?」

「その前にデルレオン公国の公爵夫人で王国騎士だよ」

 キレーな金髪ロングの人は「あー言えばこー言う」とキレーな髪を搔き毟ってた。(わ、私とした事が何とはしたない事を……!)

「……あのぅ」

 何か他の三人と同じくらいキレーな金髪で長い……髪長いの多すぎ! みんな切ろうよ!(貴女が切りなさい!)

 えっと、長い金髪で先がぐるぐる巻きになってる人……ぐるぐる巻き!?

「お、おおおおお! すっごいドリルヘアーだ! 始めて見た!」

「ひぅっ!?」

 思わずダンシングステップで近寄ってバネみたいになった髪を引っ張る。

 お、おおおお、も、戻るぞこれ!

「おおっ、凄い凄い! 引っ張るとびょんびょんする!」

「あ、遊ばないで下さいぃぃぃっ……!」

 引っ張って遊んでるその子はそそくさと部屋の隅っこに逃げ込んじゃった。残念。

「……お前ら、いい加減自己紹介しろ。名前が分からんとめんどいぞ、おい。

 ったく……私はエーヴィア・デルレオン。デルレオン公国家公爵夫人にしてイヴァーライル王国女王だ。

 公爵でも女王でも陛下でも好きに呼べ。後、面倒には巻き込むな」

 何か睨みながらそのじょーおー様は言った。

 そしてコップの中のワインをぐいーっと……一口だけ飲んだ。

「はぁ……私の名はラルシア・ノルメイアと申します。このパーティ、いえお茶会の主催でございますわ。

 皆さん、何卒よろしくお願いします」

「……え、え、えええええっ!?  ノルメイア!? も、もしや、ノルメイア武器製造株式会社の……?」

 ドリルの子が部屋の隅から戻って来た。

 あれ、ノルメイアって何処かで聞いたような。

「あら、知っていらしたのですか。

 てっきり知らぬものかと思っていましたわ、リリー・フィクスウェルさん」

「わ、わたしをご存知で……?」

 ラルシアって人は髪をかき上げながらそう言った。

 と言うか、知り合いだったんだ。

「ええ。フィクスウェル社のお店にもうちの商品を送っている筈ですわ」

 フィクスウェル……ああ、そう言えばそんなデパートあったなー。

「え、ええ……で、でも顔は……」

「あら、10年ほど前に一度お会いしたではございませんか」

「え……あ、あの時!? で、でも、あれからもう10年……」

「ええ、貴女の会社が覚えておくにあたいしなければ、失礼ながらももう一度名前を伺った所でしょう」

「あ、ありがとうございます」

 何かよく分からないけど、ドリルヘアーの人……リリーさんだっけ。

 なんかお礼言って頭を下げてる。

「おい、そこの二人。後部屋の隅っこでがちゃがちゃやってるそこの奴もとっとと自己紹介しろ」

「この人、やたら偉そう」

 さっきから料理をもぐもぐしてる金髪ロングのフェザーさん――だってフェザーシリーズ身に着けてるし――が感想をいってる。

「うっせえよ、とっとと自己紹介しろ、斬るぞ手前」

「女王陛下。それは一国の主として如何な発言かと。

 と言うかナチュラルに斬るぞとか手前とか言わない剣に手もかけない、本当いい加減ご自分が女王だと思ってくださらない!?」

「思ってるから自分で言ったんだろうが」

「口調を! せめて口調を女王らしく!」

「んー……十分女王らしくね?」

「どの辺がですか!?」

「偉そうな部分。なあ、お前ら」

 じょーおー様が私達に視線を投げ付けて来た。

「うん、チンピラみた」

 ――瞬間、剣があたしの首元に飛んで来た。吃驚、反応するのが遅れちゃった。

 これって居合いだよね。と言うかこのじょーおー様すっごい。テーブルをずらす事もなく居合いを繰り出したよ。

「で、もっぺん言ってみろ」

「うん、チンピラだね」

 魔力を集中させて剣を召喚――しようと瞬間、頭叩かれた……痛い。

「そこまで」

 さっきまで部屋の隅で何かしてた長い金髪を結い上げて、軽鎧を身に付けた人が何時の間にかあたしの背後に回って頭を叩いてた。

 しかもじょーおー様の剣を握って止めてる。すっごいよこの人。何時の間にこんな事したんだろ?

「これ以上やったらホントの斬り合いになるよ」

 みしみしと鳴り始める剣を手で抑えつけるよこの人。

 すっごい力持ちだ!

「……電磁力ってとこか」

「うん、そうだよ。取り合えず皆仲良く自己紹介しようよ。

 私、エレナ。エレナ・プラズテル。宜しくね、エーヴィア女王陛下様?」

 でんじりょく? 何かそういう力でじょーおー様の力を抑え込んでるみたい。

「でんじりょくってなーに?」

 食べてばっかだったフェザーさんが行き成り喋り出した。

 この人、何でさっきから食べてばかりなんだろ? 食いしん坊さんなのかな。

「えっと……磁石って分かります?」

「えっと……くっ付いたり離れたりする奴の事?」

「……ああもうそれでいいや……」

 何かぼそりと、すっごい早口で結い上げさんは言いきった。(何と言っていたかは浅美さんからの情報ですわ)

「はえ? それで?」

「あ、えっとね。そう言う磁石の力は電気力で起こせるの。

 だから今、この女王様の剣と私の手を磁石みたいにして抑え込んだって事」

「え、じゃあ結い上げさんの手、磁石になっちゃったの!?」

 すっごい! 手が磁石になるんだ!

 じゃあ、さっきは手が磁石だから剣を素手で抑えられたんだ……。

 あれ、何で結い上げさんは頭抱えてるの?

「どうしたの結い上げさん。頭痛いの?」

「い、いえ、大丈夫……と言うか結い上げさんじゃなくてエレナです」

 エレナさんなんだ、結い上げさん。

「……エレナです。エレナ・プラズテル。結い上げさん止めて下さい」

「え、でもそれ結い上げてるし」

「エ、レ、ナ! エレナ・プレズテル! 10万Vの電流流しますよ!?」

 むー、確かにそれは困る……じゃあエレナさん(結い上げさん)でいいや。

「ティン(・・・)さん、知ってます?」

「え、何を?」

「電気魔導師って、電波を操れるんですよー?」

「うん、知ってる」

「電波って、人間の脳にも流れてるって、知ってます―?」

「あ、そうなんだ……え?」

「知ってます? 電気魔導師って、集中すればその人の電波に干渉して脳で考えてる事を読み取ったり」

 エ、エレナさん(結い上げさん)は私の肩を掴んですっごく優しい笑顔をあたしに向けて来た。

「考えてる事を……送り込んだりできるんですよー?」

 そっ……と額をくっつけ、「私は、エ! レ! ナ! です!」と言う何かの意識と同時にすっごい衝撃が来た――



(これ以降はライターが暫く気絶してたのもあり、「これ以上書きたくないよー!」と訴えて来たので已む無く変更となります。

 ライターはティンさんから結城浅美さんとなりますので、ご了承のほどをお願い申し上げます。

 以上、本作品補佐役のラルシア・ノルメイアがお知らせします)



 えっと……今わたしは何処かのパーティ会場に居ます。

 料理がおいしいです。もぐもぐ……ん、このお肉の調理法、美味しい。

 ハーブと塩が……ん、この塩良い塩。これ何処で取れた塩何だろ?(後ほどコックに聞いておきますわ。塩とは盲点……)

 胡椒も良い……このソテー、ソースが無いけどハーブ、塩、胡椒が絶妙に絡み合って良い味出してる。

 このお肉、良い人に調理されたね。(有難うございます。うちのコックにも伝えて置きますわ)

「うgygぎゃああああがががががががbあgあbあbあbあbbbbbbbbbbgbgrrrrrbんbbbb!?」

 ……何か、声なき声が聞こえて来た。後焦げ臭い。

 振り返って見ると少し波を打った感じの金髪の長い子が電撃を受けた様になってのびてた。

「……何があったの?」

「えーっと、脳内ハッキング食らって、電気魔法使いの怒りの電撃食らってのびた」

「ふーん」

 そーいー風にじょー……女王様が返した。(じょーおーじゃなくてじょおーなんだね)

 林檎が言ってたっけ。電気魔法使いは脳内の電波を読み取って人の考えが読めるって。

 取り合えずわたしは出された料理を食べることにした。

 何でこんな美味しい料理を皆食べないんだろう? 調理された食材が勿体無いよ。

 全く。こんな美味しい料理を作った人も、美味しい料理になった食材達にも失礼だよ。

 美味しい料理を作ってもらったら全部食べて、美味しいって言うのが礼儀だよ。(……今度から食べ残しを出すのを止める様徹底させましょう。ええ)

「つーかお前も食ってねえでとっとと自己紹介をしろよ」

「そういうあなたも食べなよ」

「何で。つーか人の話を聞いてるか」

「だってお料理を残したら勿体無いじゃん」

「ああ、大丈夫だ。うちが責任持って帰るから。だからとっとと自己紹介しろ」

「うん、結城浅美って言うんだよ」

 エーヴィア女王様は呆気にとられた顔でわたしのことを見ていた。

 そして頷きながらまた口を開く。

「……ようしそこのお前、もいっぺん自己紹介言ってみよっか」

「うん、結城浅美だよ」

「そっか。ところで漢字の説明も出来るか?」

「ん? 良いけど」

 んー読みは珍しいって言われるけど……まあ読めない訳じゃないしなあ。

「結束の結に、お城だよ。名前は浅瀬が美しいと言って」

「いや、名前じゃねえよ。家名だよ姓だよ」

「かばね? ……屍?」

「家の名前だよ!」

「ん? そう?」

「それ、普通ゆうきって読まないか?」

「うちは、けつじょーだよっ」

「……あー、そかい」

 女王様は諦めた様に呟いてる。

 そしたら後ろの純白の騎士服を着ている金髪のロングの……えーっと、ラルシアさん? だっけ。その人が「女王様、突っ込みは律儀にするのですね」とか囁いてた。エーヴィア女王様は「うるせーよ」と返してた。

「んじゃあ次はそこの巻き髪女。名前何つったっけ?」

「……リリー・フィクスウェルです、女王陛下。

 えっと、フィクスウェルと言う大型デパートを運営してる会社の娘です。

 その……今は見聞を広める旅に出ています。そ、その……わっ、我がフィクスウェルデパートを、何卒よろしくお願いします!」

 ……なんか、デパートの宣伝してた……フィクスウェルって、何? デパートってなんなの?

 みんな知ってるのに、何で私だけ知らないんだろう。何か、やだ。みんな、知ってるのにわたしだけ知らないのやだ。

「ええ、こちらこそよろし」

「ねーねー、フィクスウェルって何? そんなデパート、私知らないよ。おっきいの?」

 あれ、何かリリーって人、しおしおと泣き崩れた。

 何でだろ? 何か、すっごい微妙な何かになってる。

 部屋の中がすっごく滑った感じ。

 何か、すっごく絶望し切ったような目で女王様が見てくる。

「……お前、空気を読め」

「空気? どういうこと? わたしは知らないから聞いただけだよ?」

「うん、こういう時はしらなくても知ってる空気を作るべきだよ」

 そうエレナさんはそっと囁いてくる。

「じゃあエレナさんは知ってたの?」

「ん? ううん、知らないよ。大型デパートなんて興味ないし。

 あたしが行くのは路地裏とかにある電気製品のパーツや電子回路とかだから」

「あーあなた方、聞こえてます聞こえてます。

 と言うかリリーさん、あなたもこの程度で挫けない。こういう時は堂々と自社の紹介を行うものですわ」

「そ、そうですよね! え、えっと、わ、我がフィクスウェルはデパート……百貨店を経営しています」

 ……ひゃっかてん? 何だろ?

「ねーねーひゃっかてんって何?」

「百の品を取り扱う店ですわ。うちはあらゆる品物を取り扱っているんですよ」

「……それって、カーメルイアって言うお店のこと?」

 また泣いて部屋の隅に行っちゃった。

 何かラルシアさんもすっごく気の毒そうな顔をして対応に困っているみたい。

「……おい、お前」

「ん? どうしたの、エーヴィア女王様」

「カーメルイアは百貨店じゃなくて雑貨屋の会社だぞ?」

 エーヴィア女王はそんな事を行って来た。

 余計にきまづい表情をしたラルシアさんが女王様に話しかける。

「お、お義姉様?

 カーメルイアはもう既に百貨店の会社です……と言うかもう色々手を出し過ぎて一つの種類にまとめられません……」

「……え、そうー……なのか?」

 ラルシアさんは静かにこくりと頷いた。

 何か、さっきよりも滑ったような空気になった。うーん、これって……。

「リリーさんの会社が、すっごく残念?」

「言うな、そこ」

「それは言わないのが優しさです」

 エーヴィア女王様とエレナさんが同時に突っ込んだ。

 そういえばこの二人って瑞穂さんの友達だっけ。

「そう言えば……これで全員ですか?」

「いいや、そこで寝てる奴がまだだ」

 そう言って皆部屋の隅で焦げ焦げになって倒れてる子に注目する。

「あ、そう言えばティンさんまだ自己紹介してませんね」

「……眠らせたのはお前だろうが」

「いやーはは、ついカチンと来て電撃を」

「つーか何でお前だけ名前知ってんだよ」

「電波介入したらご丁寧に自分の名前を語ってくれましたよ」

「あ、そ」

 ……なんだろ、この穏やかなで不規則な呼吸音に、お腹辺りに空気が溜まって、出て行く感じ……これって。

 風を操ってティンって言う人の呼吸を探っているとエーヴィアさんがティンさんの肩を掴んで揺らした。

「おい、起きろ。もういい加減目え覚めてんだろ」

「……すぅ……」

「おい、起きろつってんだろ。まだ気絶してんのか?

 ちっ。おい、風の魔法使える奴いるか?」

「はーい」

「この女、まだ気絶してんのか分かるか?」

「……いいや、これは……」

「ううん、その人」

 エレナさんがティンさんの額に手を当ててそんな事を言った。

 とり合えず、わたしの思った事を言ってみる事にした。(……貴女、言いたい事があるならもっと早く言いなさい)

「寝てるね」「寝てるよ」

「……ごちそう……いっぱい……もっと……むにゃぁ……」

 ……また空気が滑った。ついでに寝言も滑った。

「ねえ、何でさっきから空気がすべるの?」

「……空気は読めるがその上での行動ができない、と」

「ん? 何?」

「こっちの話だ阿呆」

 エーヴィア女王様は全てに呆れた顔をしてティンさんの方に向き直った。

 無言で指を鳴らす女王様。

「手荒な事しちゃ駄目ですよ、女王様」

「そうですわ、せめてレディらしい対応をお願いします」

 ラルシアさんとエレナさんが言った直後、ドゴッと言う鈍い音と一緒に軽く揺れた。

 続いて呻き声が漏れ始め、誰もが茫然とする中。無表情の女王陛下が立ち上がって言った。

「何か文句あっか?」

 チンピラでも女王になれるって凄い世の中だね。



(話の脱線が酷過ぎるので、閑話休題ですわ)



「えーと、ティンです。

 クチバイェローシティの外れにあるナノグデ山にある孤児院兼剣術道場、影山剣術道場練習生です。

 と言う感じに剣士です。ども」

 やたら焦げてたりお腹抑えたりしながらその人……ティンさんは自己紹介を終えた。

 ちなみに私達はラウドンテーブルの席に付いた。

「つーわけだ。あたしら此処に集まって何すりゃいいんだよ」

「ではまあ、親睦会と言うのは如何でしょうか」

 エーヴィア女王様の言葉にすかさずラルシアさんが提案した。

 慣れてるね、この人。(私も慣れたくて慣れた訳ではございませんわ)

「親睦会ねえ……っつかよ」

「何でございましょう、女王陛下」

「……金髪ロング多くね?」

 わたし、金髪ロングストレート。

 ティンさん、金髪ロングゆるいウェーブ付き。

 リリーさん、金髪セミロングで髪の先っぽがドリル。(巻き髪と言いなさい)

 ラルシアさん、金髪ロングストレート。

 エレナさん、金髪ロングでポニーテール。ああいう風に髪を結い上げてるのはポニーテールと呼ぶって、メイリフさん言ってたしね。

 わ、皆金髪長いのばっか。切れば良いのに。(貴方が切りなさい!)

「ふむ、では……」

 ラルシアさんが言った切って私達に向き直り、口を開いた。

「私以外の金髪ロングの方、皆切りなさい。と言うか切れこの愚民ども!」

 ……空気が、固まった。

 何か、自分以外の金髪ロングは止めろって言い始めた。

「……って、それおーぼーだよー!」

「そーだそーだー」

 ティンさんが席から立っておーぼーだーって言い始めた。だから便乗しておいた。

 そーだそーだー。

「横暴?

 何をおっしゃいます……私の許可なく、私と同じヘアスタイルにする貴方達の方が横暴です!」

「お前いっそ清々しい程の横暴っぷりだなあおい」

「女王陛下は黙ってて下さい」

 女王様も黙らせたよこの人。

 すっごいよ、こーゆーのを下剋上って言うんだよね。どっちかと言うと女王様が呆れて黙った感じがするけど、気のせいだね。

「あ、あの……愚民って私もですか、ラルシアさん?」

「あら、リリーさん。分かっていませんでしたのね。

 では仕方ありませんわ。はっきり言って差し上げましょう」

「え、何を……?」

「私と、エーヴィア女王陛下以外全ての人種が愚民と同等です!

 ご安心を。私は差別は致しませんのよ? 一切の例外はありませんわ!」

「ひ、酷いよこの人、おーぼーだー!」

「おーぼーだーおーぼーだー!」

 ティンさんがまた席を立って叫び出したから、また便乗。

 おーぼーだーおーぼーだー。

 ちなみにエレナさんは何かお絵かきしてる。何してるんだろ?

「……面倒だ、もう少しほっとくか」

「女王陛下、何かおっしゃいまして?」

「お前の好きにしろっつっただけ」

「ええ、当然。私は、いつだって私の好きな様に生きているのですわ!」

「おーぼー女ー! ぜー金返せー!」

「返せー」

「……はい?」

 一緒に便乗したけど、ぜー金って何?

「だからぜー金返せー!」

「えっと、ぜー金って税金……ですわよね……? 何故、私に……?」

「え、だって偉いんでしょ?」

 偉いの? ラルシアさん。

「えと、まあ……偉いと言えば、ええ……」

「じゃーぜー金返せー! このぜー金ドロボー!」

「えーと……意味、分かっておりますの?」

 ぜー金って何―? お誰か教えてよー。

「えーと……何か金返せー! って奴でしょ?」

「……あのー……えー……っとー……」

「税金返せって言ってるぞ、あいつ」

「女王陛下、少し黙ってて下さいませ」

 女王陛下は何かニヤニヤしながらラルシアさんに突っ込んだ。

 それよりねーねーぜ―金って何ー? ぜいきんってなーにー?

「こらーぜー金返せー! このぜー金ドロボー!」

「ええいやかましい! 私がいつ貴女から税金を取った言うのですか!? 言いがかりも甚だしい!」

「おい商人、お前らいつも消費税って言うのを搾り取ってるだろ」

「それを言ったら私の方が数十倍は持ってかれてますわよっ!

 と言うか私達の方が払ってる税金の桁がちがいますわ!」

「あ、そうなん?」

「ぜー金返せー! どーせ自分以外の人間なんて皆金蔓とか思ってんだろー!?」

「ええいうるさいですわ! 少しお黙り!」

「そうだ。違うぞ」

 エーヴィア女王がラルシアさんとティンさんの間に口を挟んだ。

「この女は高い所から街を見下ろして「ほら御覧なさい。社会の蟻どもがせっせと働いていますわ」っていう様な奴だぞ」

「ちょ、お義姉様!? そんな事思っても口にしませんわよ!?」

「思ってはいるのか」

「あ……その、いえ……」

「ほら、やっぱり悪徳貴族だ!」

「だぁぁぁから私は貴族ではなくて商人の娘ですわぁっ! ぜーっ、ぜーっ」

 ラルシアさんは息を切らしながら叫んだ。

「んー……やっぱ部品どっかで買い足すかなぁ……」

「え、えーっと……何処で止めればよろしいのでしょう……・?」

 エレナさんはお絵描きしながらぶつぶつと呟き、リリーさんは顔をきょろきょろしながら呟いてた。

 だからぜー金って何なの?

「ぜー金返せー!」

「ねーねーぜー金って何ー?」

「だぁぁぁぁぁかぁぁぁぁぁらぁぁぁぁぁっっ!」

「あ、そうだ。ねえリリーさん、リリーさんとこって電子製品の部品売ってる?」

「電子製品の部品……ですか? えっと……うちは家電製品ならありますがそういうのは……」

「くく……あっははははは! ラルシアが丸め込まれてる所なんて久しぶりだなぁおい。

 愉快でしゃーねぇや、くくく……」

 皆してあーだこーだと言い合いっていた。

 わたしはいい加減ぜー金が何なのかを聞き、ティンさんはぜー金返せと叫び、ラルシアさんも叫び上げ、エレナさんは電子せーひんってのをリリーさんから買おうとして、リリーさんの家には無いようで、エーヴィアさんが何か笑ってるー。

 むー、皆してあーだーこーだ煩いー。

「だからぜー金って何ー?」「ぜー金返せー!」

「だぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉうっっ!

 うがあああああああああああああああああああああああああああっっ!」

 とうとうラルシアさんは髪を掻き毟って咆哮を上げた。

 そのまま椅子に体を放って黙り込んだ。(……思い出したくありませんわ)

 何か、シーンとなった。

「……取り合えず、一旦休憩。流石にこいつをこのまま放置は流石に不味いだろ」

 と言うことでお茶会なのに休憩を挟む事に。

 何でこーなったんだろ?(もう突っ込み気力もありませんわ……)



 と、一旦皆してお茶飲んだり料理食べたりお菓子食べたりしながら雑談を休憩していた。

「さてと、ところで少し良いかな?」

 さっきまでお絵描きしてたエレナさんが……。

――絵ではなく、設計図ですよ。

 ん? 絵じゃなくて設計図?

 そんな意識がわたしの中に入り込んで来る。この感覚……電波?

 林檎にやられた事がある。こう、電波を送り込んででんわの様に会話出来るんだっけ。

――そうそう。いわゆるテレパシーに近い物ですね。

 設計図って……何?

――えっと……これは武器の構図を描いた物ですよ。後、ぜー金ではなく税金。土地の主が住んでる人達から貰うお金の事だと思って下さい。

 武器の構図を描いた物? へー。ぜー金じゃなくて税金? ふーん、よく分んない。

――私もです。

 と、エレナさんが立ち上がってごほんとするまでに此処までの対話をしていた。

「えーっと、エレナさんでしたか? 何でしょう」

「商売しても良いですか?」

「……はいなぁ?」

 ラルシアさんがぼーっとしてる間にエレナさんががさごそと何かの絵を取り出す。

「さぁって本日ご紹介する商品はこちら! 全自動式電動装甲車です!」

 バンとテーブルの上に何かの絵を……バイク?

「……へえ、で。お幾らですか?」

「はい。しめて……十億enです」

 ラルシアさんは凄く優雅な動きで耳掃除の棒を取り出して、耳掃除をしてもう一度笑顔でエレナさんに向いた。

「もう一度、お願い出来ます?」

「十億enです」

「顔を洗って出直していらっしゃい」

 ラルシアさんは優雅にエレナさんを追い払う様に手を動かした。

「え、ええっ!? ど、どうして!?」

「はぁ……じゃあ、端的に言ってさし上げますと……」

 ラルシアさんは言って魅入る様な優雅な動きで椅子から立った。

 そして、見下すようなポーズで。

「この値段で物を売ろうだなどと、寝言はまくら下でいいなさい!」

「え、ええええええっ!? 高い!? 嘘ぉ!?

 これでも開発費用から百分の一を下回っているんですよ!? もう大赤字の覚悟ですよ!?」

「こ、これで大赤字!? 一体どんな費用をかけたと言うんですか!?」

 エレナさんはいやあと頭をぽりぽりとかきながら照れ臭そうに説明を始めた。

「そのぉ、何て言うかぁ……つい」

「ついで十億の百倍以上の費用!? あなたは何をしていたんですか!?」

「いやあ、お金に糸目のつけない開発だったからぁ、つい」

「ついじゃありませんわよ!?」

「でも、量産費用はすっごく安いよ? この更に千分の一」

「何があったのですか!?」

 ラルシアさんはまたヒートアップして叫び出した。

 喧しい人だなあ。(貴女に……もう良いですわ)

「んーと、術式の開発費用で……ど派手に。

 大丈夫、開発した術式はちゃんと別の機関に流用して無駄にはしてないから!

 車体自体は特に費用はかかってないし、電属性魔力が使えるなら誰でも問題ないですよ!

 それに私がちゃんと開発責任者として使用体験者をしていますし!」

「と言うか、もう電気エネルギー自体古臭いです。

 使えても精々二、三世紀が限度。もうすぐ新しいエネルギーが生まれる時代が直ぐそこに迫っているんですのよ?」

「――え?」

 途端にエレナさんの表情は固まり、ラルシアさんを真っ直ぐ見つめた。

 次に口を開いたのは、リリーさんだった。

「ご存じないのですか?」

「存じって……どういうこと?」

「今、魔力そのものがエネルギーに出来ると言う研究が進んでいるんですよ。

 これが実用化された場合、魔法を使える人全てがエネルギーを生み出せる様になるんだそうです。

 流石にそこまでの実用化はまだ数十世紀もかかると思いますが、もう直ぐ電気エネルギーは廃れるかと……」

 何か音がした。

 見ればエレナさんの手許から鞄がおちていた。中に詰まっていたと思う絵が描かれた紙が宙にまい、床にばら撒かれた。

 エレナさんはただ呆然と立っていた。

 ただ呆然と、虚空を見つめていた。見てて、何か可哀想だった。

 一先ず床に落ちてた絵を一枚拾った……何これ?

「変形型電気武装兵器……?」

「ぇあ……ああ、それですか」

 エレナさんは正気をとり戻したのか、わたしの手にある絵を取った。

「これは私が開発し、現段階において実験を重ねてる試験器ですよ」

「……ほほう、実物はあるのですか?」

 何か、ラルシアさんが目を光らせた様な気がした。

 エレナさんは「あ、はい」と言って指を鳴らす。

 そしたら部屋の何処から何かが動くのを感じる。

 動いた所を探って視線を移せば部屋の隅に置いてあった鞄が開いて、三つの棒が飛び出てエレナさんの手許に納まるとそれは……杖になった。

 ラルシアさんは呆気に取られた顔をし、次に顎に手を当てて考えはじめる。

「……それ、内蔵電池は?」

「いえ、電属性の魔力を流す事で起動するので。

 内部は杖のギミックを取り込んでいるので魔導師どころか、魔法使いなら誰でも使える武器です。

 三つの形態に変形し、戦斧と大鎌と大剣に変形します」

「へえ……魔法使いなら……ん? つまりあなた……まさか、戦士ではない?」

「あ、言ってませんでしたね。私の戦闘クラスは魔導師に近いです」

「……ほほう、それは……つかぬ事をお聞きしますが、その武器は量産体制に入っておられますか?」

「え、あはい。製作の為の理論は出来てますし、現在の試験状況も中々ですし。

 もう少しデータを取ればうちの方で正式に販売を「買った」……はい?」

 なんかラルシアさんがエレナさんの言葉をさえぎる様に言うとけーたいでんわを弄り始める。

「その武器、我がノルメイア社が買い取ります。

 うちの方でテスト、研究の補助、後資金の援助等をさせていただきますわ。

 もしやもう既に何処かと契約を?」

「い、いえ、うちは村で商売ですので、契約してるとすれば実家の方に」

「ご実家とはなしをさせてくださいます?

 その技術、時代の流れで腐らせるには惜しい技術ですわ。

 ちょっと失礼。もしもし、工場長? 私、ラルシアですわ。ええ、良い話がありまして……」

 とか言いながらラルシアさんは部屋を出て行った。

「……あの、どうします? ラルシアさん、いっちゃいましたが」

「ほっときゃ良いんじゃね? わたしゃもうお開きでいいんだが」

「じゃあ、取り合えずここの料理全部もってって良いの!?」

「別にいいぞ。どうせこのまま置いといても誰もくわん」

「やったー!」

 ティンさんはそう言って喜んでるとエーヴィアさんが指を鳴らし、人が出て来る。

 すると料理にラップをかけていった。

 ……終わり?



(どうも、本作品の補佐役を勤めているラルシア・ノルメイアでございます。

 この度は本作品を読んでいただき、誠にありがとうございます。

 それでは、またいずれ。どこか出お会いしましょう)

と言う事で好き勝手に書いてみた。

以上。

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