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March 21 AM00;00
 春休ミノ事ダ。

 三月二十一日。今日デ私コト九条瀬名ハ忘却ノ竈ニ放リ込マレ。

 『死ンダ』

 当タリ前ノヨウニ

 マルデ

 最初カラ存在シナカッタノ様ニ――――。

 
 ◆◇◆◇

 第一章《忘却ノ女王ハ呪イヲ詠ウ》

 
 
 嗚呼、なんてことだろうか。

 九条瀬名は住宅街の入り口付近で立ち止まり頭を抱えていた。

 どうやら財布を落としてしまったらしい。

 まずい、非常にまずい、バイト帰りで今月のバイト代を貰って自宅に帰る途中だというのに。

(アレが無いと俺の明日からの生活は一体どうなるんだよっ!?)

 大声で叫びそうになり来た道を戻っていく。

 あのバイト代は明日から一週間弱の生活費用のの予定だった、それが無いという事は水を飲んで暮らせということになる、それだけは本当に勘弁してもらいたい。
 一人暮らしの生活はキツイのですよ。

 ……

 

 残念ながらバイト代の入った茶封筒はどこにも落ちてなかった。
 もう誰かが拾って行ったのかもしれない、交番に行ってみるのも良いかもしれないが正直しんどい。

「どうすりゃいいんだよ、くそっ!!」

 コンクリートで出来た地面を殴り飛ばし皮が向け血が滲む。
 痛い。
 明日からの生活代が無くなれば空腹のままバイトを行わなければならない、それもやっぱり正直しんどい。

「ぁー……どうすりゃいいんだよ」

 悪態をつきその場で座り込む、親からの仕送りは今月いつ来るかわからない。

 状況は至極絶望的なものだった。
 家に残っている金は殆ど無い、もう絶望感しかない。


『どうかしましたか?』

 ふと、俺に声がかかった。
 透き通るような女性の声だった。
 俺は振り向くと同時に絶句していた、その理由は女性の容姿が異常だったからだ。
 ストレートヘアの黒髪は一本一本が黒曜石の様な輝きを放ち、肌は異常に白くてそれがまた綺麗だった。
 が、俺はこれで興奮なんてしなかった。
 俺と同い年、多分高校生位の少女は魔的なまでの美しさを放っていたからだ。
 その美しさは人間のものではなかった。

 まるで世界を誘惑する悪魔の様な美しさ。
 人間が触れる事が出来ない悪の女神、いや言葉では表しように無い妖艶さが纏わりつきその女性は立っていた。
 黒曜石の瞳が俺を見つめている。
 俺は何回か口をパクパクと開閉するのを繰り返し、やっと言葉を紡いだ。
「なんでもないです」

 自分でも寒気がするほど平坦な声だった。
 直後に悪寒が走り、壊れた様な笑みで微笑むとその場から離れていった。

『ねぇ――』

 女性の声に俺はビクリと肩を震わせ振り返る、女性は紺色の皮の財布を右手で持っていた。
「あっ……」
 俺の財布だ、と気づくと瀬名は一歩前進していた。

「それどうしたんですか?」
 先程までとは打って変わって明るい口調で話していた、ナイス臨機応変。
 女性はニコリと冷ややかな笑みを浮かべると『さっき道端に落ちていたんですよ』と呟き。

『これは貴方のですか?』
 財布を瀬名に差し出し女性は問う、俺は「そうです」と明るく答えておいた。



『そうですか』

 女性は悲しげに微笑む。
 刹那、瀬名の視界は黒一食に埋め尽くされる。

 ………………………

 

 ◆◇◆◇

『昨夜、花財公園にて大学生の『九条瀬名』さんが遺体で発見されました、凶器は現場に落ちてはおらず、警察は――』

「へぇ……物騒なもんだね」
 俺はニュースを見て呟くと木製の椅子に座りカップの中に入った珈琲を一口飲んだ、舌で転がして苦味を覚えるとテーブルの上に置かれたシュガースティックを三本開封しドバドバと入れていく。
「ねぇ、刹那はどう思う?」
 俺は呟きコーヒーを飲む、まだ苦い。
 シュガースティックを更に二本追加した。
「今の世界なんて物騒なことばっかりだろうよ」
 返答はソファから帰ってきた、立ち上がってソファを覗く、そこには少女が寝転がっていた、ゴスロリ調の世間から見たらイタ……では無く少々凄い服を着た少女の名は刹那、色素の薄い髪を振るい刹那がソファから起き上がった。
 伸びをしてソファに深く座り込むと続ける。
「核兵器所有国だって馬鹿みたいに居るんだぞ? 人間同士で殺しあう奴だって居るし、詐欺で人を騙す奴も居る、貪欲と憎悪が立ち込めるこの世の中を平和と言える奴なんて中々居ないと思うぞ??」
 珍しく真面目な答えに俺はニヘラと頬を緩ませて「少なくとも俺は平和だと思うよ?」と返す、刹那は不機嫌そうな顔をして「あのな」と呟く。
「お前は憎悪を込めて殺され掛けた事が無いからそんな事が言えるんだよ、もしそうなってみろ……平和なんて単語人生の中で浮かばないぞ?」

「そーかい」

 俺が適当にあしらうと少女の顔が沈んだ。
 どうやら過去のトラウマ的な物が出てきたらしい。
 気まずくなって椅子に座ると「チン」と豪く間抜けな音が聞こえた、どうやら電子レンジに入れておいたピザが焼けたらしい。

「刹那ー、ピザいるかい?」
「いらない、脂っこい物は嫌いだからな、それより却、朝からそんなもの食べたら太るぞ?」
 そーかい、ともう一度返して俺は台所へと入っていく。
 デフォルメ熊が描かれた皿を取り出し電子レンジの中のピザを取り出す、うん、良い匂いだ。
  
 俺の名前は『忘却』面倒くさいらしく刹那からは『却』と呼ばれている勿論本名ではないし本来『死神』である筈の俺達には名前なんて必要も無い。
 
「まぁ、在った方が便利だけどね」

 台所からリビングに戻り無言のままにピザを食べ終わる。
 暫くソファでだらけて「ぁ」と呟いた。
 面倒くさそうな声で(実際面倒くさいんだろうけど)刹那が「どうした?」と問うた。

「刹那、さっき朝からピザ食べたら太るって言ってたよね?」
 刹那がソファから起き上がり不機嫌そうな顔をした。
「それがどうしたって言うんだ?」
「消化されるんじゃない? 普通」
 俺が笑顔で答えると刹那は溜息をついてソファに寝転がる、何だ、なんかしましたか?

「それに……俺はもっと早めに消化するよ」

「どう言う事だ?」

 ソファから問われた。
 俺はクローゼットを開いてパジャマから黒を基調とした黒のコートとズボンに着替えた、髪の毛まで黒いから黒一色だ。

「今から事件現場に行くからだよ、一緒に行く?」
 
 返事は無かった。
 俺は苦笑すると事務所のドアを開き階段を降りて事件現場へ向かった
閲覧ありがとうございます、魔辿狼です

あらすじで書いた時点で何となく把握したと思いますが…
おそらく瀬名君主人公じゃないです(ぇ)
まだ最初ですがなるべく更新していきたいなー、とか思っていますので応援宜しくお願いします。


作業用BGM
UVERworld GO-ON
及び過去のアルバムなど


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