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やっちまったよシリーズ開幕。
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作:理


 「いやー。あれだね。流石勇者の剣が入ってる箱だね。びくともしねぇは。」
 「テメェのせいだろうが!勇者さんよぉぉぉ 」
 上半身を黄金の鎧で包み、下半身を短パンで包んでいる勇者様とその仲間達のやり取り。
 今日、論戦になっているのは、勇者様が開けるのをさらりと諦めた宝箱。
 「あんたが様々なトラップを無視するから鍵が手に入ってねぇんだよ。」
 アックスを持った、伝統的力自慢系大男が叫ぶ。
 「あー、うるさいよ。二流戦士が。無駄に固かったりしてすぐ逃げるけど、手に入る経験値だけは多いモンスターより価値ねぇくせに。」
 その意見を生ゴミを見る目付きで蹴り落とす勇者様。
 「ぁんだと!」
 「それよりさ、この宝箱もTeiku outするから袋の中に入れといて。」
 それを華麗にスルーして、指示を飛ばす勇者様。・・・・宝箱を入れる?彼は何を言っているのだろうか?
 「いや、もう無理っすよ。今でさえ、カクカク、いっぱいになっているんすよ。これ以上入れたらアバババ。的状況になっちまうっすよ。」
 勇者様の注文に答えたのは、赤黒い服を着た異様な雰囲気の男。腰には呪われているような刀を挿している。いかにも、短気な王国騎士という感じである。
 「黙れよ魔法使い。何の為に重力操作と封印のの魔法覚えさせたんだよ。」
 魔法使いだったようだ。
 「うっさいっすよ。それに、異空間開放の魔法覚えた方が便利だったじゃないっすか。」
 「異空間開放の魔法は敵戦で使えねぇだろうが!」
 「良いんっすよ。俺、敵戦じゃぁ刀使う派っすし。」
 しかも、剣士の魂が入った。
 「あの・・・。」
 熱い論戦が繰り広げられている中に、凛とした高い声が小さくでた。
 「ん〜?何だい、銃使いくん?」
 自尊心の塊である勇者様が甘い声を出す。
 「みなさんが争う様なら、その箱は僕が持ちましょうか?」
 そう言ったのは、勇者様の身長の半分ぐらいしか無い銃使い。まだ幼さの残っているか・・お・は・・・・・。
 ・・・・・・・。
 ・・・・・・・。
 ・・・・子供である。
 十代いっているかどうかの子供である。旅の仲間の中で一番異質である。
 そもそも、こんな子供が生き残って来れたのが不思議である。
 「お〜。偉いねぇ。でも、君はそんな事しなくても良いんだよ。」
 勇者様は甘々、デレデレだし。
 「こんな可愛い子まで荷物持ちにならなきゃいけないのか。明らかに、一人だけ持てそうな大人がいるのになぁ。僕を省いてぇ。」
 そう言いながらも、勇者様の視線は伝統的力自慢系大男の方にちょろちょろ動いている。
 「おっ、俺を見るんじゃねぇ!持たねぇぞ。俺は宝箱以外の荷物全般を持ってるんだからな。」
 伝統的力自慢系大男の必死の拒否アピール。
 「いいから持てや。電ノコで身体殺すぞ(ばらすぞ)。」
 そう言って、普通のノコギリを出す勇者様。そこに、副業が魔法使いの奴から受け取ったカプセルを加える。
 すると、あら、不思議。ノコギリがトルネードもびっくりの速度で廻り始めたでは有りませんか。
 「あ、あの。一つ提案が。」
 今まさに、旅の仲間が減ろうとしているほのぼのした処に銃使いの可愛らしい声が響く。
 「何だい?言ってごらん。」
 相変わらず、銃使いには甘い勇者様。
 「えーと、そのですね。」
 「うんうん。」
 「仮魔ほっ・・魔法使いさんのレベルを上げて異空間開放の魔法を覚えさせたら、良いんじゃないかと思うんですけど・・・・。」
 「おいコゾー。テメェ今、俺を仮魔法使いって言おうとしたろ。謝れ、ないし報いを受けろ。」
 ただでさえ怖い魔法使いの顔がより怖くなる。まさに、鬼が如く。
 「おぉ〜。良い考えだね。流石だよぉ。」
 しかし、銃使いと魔法使いの間に甘々の勇者様が入ってくる。
 そして、魔法使いの方に目を動かし一言。
 「次はねぇぞ仮魔ほっ・・・魔法使い。」
 低く野太い声で少々のスパイスを含ませて言う。
 「勇者さん。てめぇも今、仮って言おうとしたっすよね。飛ばすっすよ?魔王城辺りに。」
 顔の凄みが増す。まさに、ホラーゲームの驚かし役の敵が如く。
 「そうと決まったら引き返すぞ。仮まっ・・・・魔法使いも何時までもカリカリしてねぇで行くぞ。」
 「・・・・・。」
 暫くの沈黙。重苦しい空気が辺りにはびこる。
 「ウワァァァン!みんな大っ嫌いだー(泣)」
 沈黙を破った魔法使いが泣き崩れる。しかし、涙が出ている様子は無い。つまり嘘泣きである。
 「取りあえず、引き返しましょう。魔法使いさんも元気出してください。」
 銃使いが皆を動かし始める。そして、廻れ右をして歩き出す。みんながそれにワンテンポ遅れで続く。
 「いたっ!」
 先頭を進んでいた銃使いが、いきなり吹っ飛ばされる。まるで不可視の壁に当たったみたいだ。
 「な、なんだ!何が起きた!」
 銃使いが地に付く前に、その身体を受け止めてた勇者様が血相を変えて叫ぶ。
 「あぁ、あれじゃないっすか?」
 「何だ!」
 「ほら、前の町で村長が、魔王城のテリトリーに入ると、もう現実世界には戻ってこれませんぞ、って言っていたじゃないっすか。」
 勇者様の腕の中でぐったりしている銃使いと、魔法使い以外が・・・つまり、伝統的力自慢系男と勇者様がびっくりしている。
 「ヒヒッ。ヒハハハハハハハハァ!ハハハ。ヒヒッ。」
 突然、勇者様が狂ったように笑いだした。
 「ならばぁ、魔王を速攻で殺す。何であれ、俺の進行と銃使いに手を懸けた奴はぶっ殺す。」
 皆が嗚呼、という顔をする。よくある悪い癖なのだろう。
 「異議は言わせねぇ!魔王の元に直行だぁ!」
 そう言い残し、魔王の元に銃使いを抱き抱えたまま走って行く。
 皆がそれに付いて行く。しかも、皆かなりのスピードで走って行く。


 「魔王ちゃん。見ぃつけたぁ。」
 魔王城の最上階・・・・では無く、何故か三階トイレの中にある魔王の席。威厳も糞もあったもんじゃ無いのである。
 「アホー!トイレ中に襲いに来る勇者がいるかぁ!」
 魔王専用の席では無く、純粋にトイレ中だったようである。
 「どうでも良いんだよ、んな事は。俺はてめぇを虐殺するのが目的だから。不利とか有利とか糞喰らえ。」
 身体を何処で施してきたか判らないが、真っ赤な液体と薄鮮やかな赤色の臓物を付けた勇者様が言う。
 「おまっ、本当に勇者か?性格、悪魔入っちゃってるよね?」
 最もな事を言う古典的魔王。
 「おぉ、流石魔王だ。俺の事を様付けで呼ばない。そこらにいる玩具とは格が、いや、王どもとは違うと言う訳か。」
 勇者様が身体を震わせながら言う。
 「それは勇者の言う台詞じゃねぇ!」
 古典的魔王が悲しみの顔で叫ぶ。
 「おっ・・・お兄ぃ。魔王さんが可哀相だよ。普通に戦ってあげようよ。」
 何時からいたかは想像しかねるが、取りあえずいた銃使いが勇者様を止める。
 「おぉ〜、銃使い。無事だったか。お兄ぃは凄く心配してたんだぞ。本当に良かった。」
 勇者様の顔と声がごろにゃーん、になる。そして、銃使いをひし、と抱きしめた。血は何時の間にか無き物になっていた。
 「銃使いがそう言うから止めるぞ。命を数分延ばせれたな魔王。」
 勇者様はそう言い残して、トイレから出て行った。後に残された魔王はその場で泣き崩れた。
 「も、もう嫌だ。」
 トイレの魔王の声遠く。


 魔王城最上階。今まさに、勇者様達と魔王の戦いが始まろうとしていた。周りには観客がわっしょいわっしょいいる。
 「バトルスタート!」
 レフリー役の手だけの不思議野郎がゴングを鳴らす。
 「さぁ来い勇者どもよぉ!」
 古典的魔王の威勢の良い声。ギャラリーの熱が一気に上がる。
 「早めに自決しておけばよかった、と後悔させてやるわぁ。」
 勇者様の戦羅物の声が響く。
 「速攻で片をつけさせてやるわ!喰らえ、何かよく判んないんだけどクソ強い魔法かっこ、避けられんよ、かっことじる。」
 古典的魔王の手から放たれる黒くて禍々しいものごっつ強そうな魔法が放たれる。
 絶体絶命の勇者達。彼等はどうするのだろう。
 「行け!魔法使い!てめぇのアイテムを開放しろ!」
 勇者様の言葉の意味が判ったらしい魔法使いは、持っていた宝箱を自分達の前に壁になるようにばらまいた。
 バッチーン☆
 宝箱と古典的魔王の魔法がぶつかる。当たっていくらもしないうちに、宝箱が消えていった。
 何か強そうな魔法が消えた後、宝箱があった場所に残ってたのは沢山のアイテムだった。
 「作戦成功だぜ。」
 勇者様がニヤリとする。
 「ここまでうまくいくと笑いが零れるぜ。」
 ここまでくると魔王の方が勇者に見えてくるから面白い。
 「見せてやるぜ、魔王さんよ!俺の究極の装備を!」
 勇者様はアイテムを回収して、姿を消した。
 二十分後という文字が表れる。
 最上階の部屋で、勇者様の仲間と魔王が人生ゲームの二回戦目を始めようとしている処に彼は来た。
 その姿はまさに後世まで語り継がれるような勇猛で堂々とした姿だった。
 そう思えたらいいのになっ♪そうじゃ無いから、ど畜生ぉぉぉ!
 カッコ悪い。カッコ悪すぎるのだ。もう、阿保じゃねぇか。変態じゃねぇか、って言いたくなるほどカッコ悪い。現に旅の仲間が呆然と?
 たび・・の・なかま・・・だけ・である。敵さんは何故かざわめいている。
 「ハハハ。敵には判るようだな。
 見ろ魔王。これが魔剣、カッターナイフだ!」
 勇者様が取り出したのは人間の背丈ほどある、カッターナイフ。神々しさも禍々しさも持っていない。
 「くっ、まさかお前が魔剣を手に入れていたとはな。」
 カッターナイフに怯える魔王。さっさと死んで欲しくなってきた。
 「これだけじゃ無いぜ!見ろ、剛盾ブン・ド・キ、だ!」
 勇者様の左手にある半透明の盾。半円で目盛りが書いてあるそれは、教師用のでかい分度器にしか見えない。
 「まだまだあるぜ!俺が頭に付けているのはドラゴンヘルム。手にあるのはドラゴンアーム。胴装備はドラゴンメイル。腰にはドラゴンフォールド。脚はドラゴンブーツだ!」
 頭に付けているのは工事現場の安全第一ヘルム。手にあるのは裁縫するときに使う指を守護するあれ。胴装備は『ユニ○ロ』と書かれた服。腰には表と裏を隠すための葉っぱ二枚。脚はトイレのスリッパ。
 ・・・・・・・・泣ける(┬_┬)。
 「ゆっ、勇者。」
 「勇者さん・・・。」
 「お兄ぃ・・・。」
 旅の仲間が絶望の言葉を。
 「「カッコイイ。」」
 (°Д °)ほげー。
 「宝箱の中身は伝説の装備一式だったんですね。」
 「いやー。今、持ってて良かったと思ったっすよ。」
 「そんな隠し玉持っていたなんて、流石お兄ぃだね!」
 もう何でも来い、である。
 「くっ。だがな、その装備を揃えただけで我に敵うと思うなよ!」
 一瞬怯んだ魔王だが、直ぐによくあるパターンを取った。
 「ウォォォォ!行くぜ!バトルスタート!」
 戦闘に入る彼等。人類と魔族の命運を賭けているとは思えない戦いが始まりそうである。
 「行くぜ必殺!」
 高らかに叫ぶ勇者様。
 「リアルタイムアタッァク!」
 RPGの基本であるターン制を無視して動き出す勇者様。
 「えっ?ちょっ、ちょっとタンマ!それは卑きょっ、ギャァァァァァァ。」
 ボスの特権、二倍速行動を持っている事で優越感に浸っていた魔王は、あっさりと外道勇者様にボッコボッコにされていく。
 「畜生ぉ!ならこっちだって反則技使ってやる。喰らえ多人数アタック!」
 勇者様の猛攻の一瞬の隙をつき、言葉を放つ魔王。
 魔王の言葉に反応して、観客が一斉に勇者様に襲い掛かる。
 流石の勇者様もこれには対応できず、逆の立場に追い込まれた。
 「み、皆さん。あの、お兄ぃを助けませんか?」
 「あっ?嫌だよ。だるいし。」
 「右に同じっす。」
 銃使いの提案をことごとく潰す二人。
 「さっきまでお兄ぃを褒めてたじゃ無いですか!」
 「あぁ、あれね。」
 「何か言っとかないとまずいっしょ。」
 そして、本音がぽろり。
 「皆さんひど過ぎます!」
 「じゃぁ、何でてめぇは真っ先に行こうとし無ぇんだよ。」
 「えっ、だ、だって、怖いじゃないですか。」
 「良いからはよ助けに来んかーい!」
 敵さんの山の中から、勇者様の声が発せられる。
 旅の仲間達が渋々といった感じで動き出す。
 バーン。
 銃使いが撃った球が飛んでいく。
 飛んで飛んで飛んで

 ビス。

 魔王の眉間にCritical Hit!
 「あっ!」
 「「へっ?」」
 銃使いの短い悲鳴の後、とぼけた声が皆の口から漏れる。
 「ここまでのようだな・・・・。だが、わしは・・・人間に・・やられ・たりは・・せん・。」
 最後の力を振り絞り、言葉を残していく魔王。
 「さらば・・だ・・・。勇者よ・・・。」
 はらりと窓からその身を空へと投げ出した。
 「魔王・・・。立派な最後だった。そうだ、俺らは魔王を殺していない。あいつは己の誇りの為に自決したのだ。」
 仲間の加勢と魔王の消失によりリンチから開放された勇者が締めの言葉を言う。
 「あのー、勇者さん。」
 「何だ?全てが終わった処に新しい問題を持ち込むな。」
 伝統的力自慢系大男を叱る勇者様。
 「いやっ、だって、この塔崩れかけているんですよ。」
 いきなりの爆弾発言。
 「なっ、何だってー!」
 流石にうろたえる勇者様。
 「速く逃げっ
 ドカーン!
 辺りが暗くなり、激しい音が鳴り響く。


 「いやー、酷い目に遭った。」
 瓦礫の上に腰掛けている勇者様。その傍らには三人の人影が。
 「もう、する事無くなっちゃったっすね。」
 「そうだなぁ。」
 ほっ、としている。だが、何処か淋しげな声。
 「じゃ次は国王でも殺しに行くか。」
 「良い案ですね。」
 「それって凄いや。」
 「決まりだな。」
 「じゃぁ、行くぜ!新たな旅へと!」
 夕日をバックに四人は進んでいく。


  THE END


 「どうよ?俺達映画研究部の新作は!」
 にまっ、と笑う。暇人で莫鹿な奴と思う。だが、それは、この映画に少しだけ魅入られてしまった、私が言える台詞じゃ無い。



勇者の装備がカッターナイフ。こっから始まった今作品。勿論、終わり方等一切決めておらず、終盤苦労しました。そして、苦労の末に出来た終わり方がこれ。酷いもんでしょう。
 後、今作品は貸し携帯から作成しましたので、今休載中の作品についての文句は一切受けつけません。













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