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さくら怜音ちゃんの小説の二次創作:WINGS

終わらない音を唄おう

作者: 咸月眞綺

―終わらない音を唄おう―




透明な風が空を舞う。

どこからともなく優しい、あたたかなピアノの音が聞こえてきて青年は振り返った。

雨でも降るのだろうか、湿気を纏った風が身体に張り付くように感じる。

あのピアノはどこから聞こえてくるのだろうか。

懐かしくも切なく、涙が出そうになるような音――――――。

優しくてあたたかいのに、何故か心を締め付けるような、そんな音楽。

青年は音が聞こえる方へ足を向ける。

心なしか、少しずつ足早になっていく自分が不思議でならない。


早く、

早く、早く、


その音に近付きたかった。

やがてぽつり、ぽつりと雨が降り出す。

それでも音はやまない、青年の足も止まらない。

とうとう青年は走り出して音のする方へ向かった。


見つけた音の、ピアノ奏者の主はたった独りで雨の中、少し木陰になった場所で楽し気に目を伏せて鍵盤を叩き続けていた。

そこだけは太陽光(ひかり)が射しているかのように、雨が一粒一粒光り輝いて見えた。

ピアノ奏者の彼は、青年には気付かず、ただ思うがままに音楽を奏でている。

青年は足を緩めて、そっと彼に近付いて行く。

彼の手元には楽譜などない。

ただ、感じるままに、思うままに目の前の鍵盤を叩くのみだ。

青年はぽーん、と一音だけ鍵盤を叩いて、彼の気を自分に向けさせる。

心底驚いたような彼に、青年は手元に抱えていた分厚い本の中から数枚の楽譜を出して手渡してみた。

彼はしばらく不思議そうにそれを眺めていたが、それをピアノに立てかけると、ゆったりとしたスピードでそれらを奏で始める。

その音に、音楽に、青年はにこり、と微笑みかけた。

想像通りだった。

この音楽を、この透明な風と雨と、そして太陽光(ひかり)と融合させられる魔法の手。

そして―――――


すぅっと息を吸い込んだと思うと、青年はその音に唄をのせた。

それはまるで、2人の間に溶けたような声で。

何もかもが一瞬にして優しくあたたかく、懐かしく切なく、力強く激しく――――いろんな感情を込めて溶け込んでいくような声。

音と音の融合。

風と雨と太陽光(ひかり)も一瞬のうちに呑み込んで。

彼も驚いたように一瞬顔を上げたが、また楽しそうに鍵盤を叩き始めた。

青年もまた、彼の感情豊かな音楽に、純粋に音を楽しんでいる音楽に、心揺さぶられながらも声の限り唄をのせた。


さあ、終わらない音を唄おう

キミと、共に―――――


END 20151013

WINGSの1000文字シリーズ第三弾w

今回は微妙すぎる内容です。

WINGSのPVで前奏、唄い出しからが勝行くんが唄うところからで。

でもラスト一文に関しては彼が亡くなっているのかどうかも分からない、という。

そんなイメージだったんですが。

でもこれそんなの関係ないですよね。

読まれる方の捉え方にお任せします的な抽象的すぎるカンジ?

昨日140文字SSに初挑戦したんですが、それが楽しかったのでちょっとまた超短編やってみました。

どう、でしたかね…?

また名前出してません!w

でも光くんと勝行くんです!

…多分?www

有難うございました~。

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