プロローグ
「うっわ・・・」
あまりの凄さに、私は言葉が出なかった。
――――― ◆◆◆ ―――――
私は先週、親の都合で都会に引っ越してきた。
これまでずっと田舎暮らしだった私には、都会というものがどんな所なのか想像すらできなかった。けれど、テレビに映っているようなすごい所なのだと、有名人がたくさんいるところなのだとなんとなく思った。引越しの話を聞いたときは、私もテレビの世界に入れるのだとまだ見もしない都会に焦がれた。
そして、これから住む家の下見に行ったときには、都会にとても驚かされた。
まっすぐに伸びた高層ビルや、道路にびっしりとひしめく車や、行き交う人々のそれはそれは多いこと。
私はというと都会に来てたったの10分だというのに人ごみに呑まれ、迷子になりかけ、しまいには人ごみに酔ってぐったりしていた。
しかし、それでも私の都会への憧れの気持ちは変わることはなかった。
引っ越すということは、当然今まで住んできた愛着のある故郷から離れなければならないわけであり、それはとても寂しかったけれど、これから始まる新しい生活はとても楽しみだった。
そしてついに、私は夏休みの間に都会に引っ越してきた。
荷物もすべて置き終えて、やっと落ち着いてカレンダーをみると、いつの間にか引っ越してきてから一週間が経っていた。
そのころには、学校に行く用意もできていた。
私は新しい学校生活が楽しみで楽しみで仕方がなかった。転校先の高校のパンフレットを何度も見て、この学校でどうやって過ごしていこうか、友達はたくさんつくれるだろうか、と期待に胸を踊らせた。一度高校の下見にも行ったけれど、部活中の生徒も見ることができた。見ているとますます登校日が待ち遠しくなった。
そして数日が経ち、ついに学校の登校日がやってきた。
その日は、緊張のせいでいつもよりだいぶ早く起きた。私は新しい制服に着替え、身だしなみもきちんとして、行ってきますと両親に告げて家を出た。
そして、迷子になった。
ビルがたくさんあるせいで目的の高校も隠れて見えないし、目印もどれも同じに見えて役にたたなかった。
初めて田舎に帰りたいと思った。もう一面田んぼでもかまわない。ずっと遠くが見えて緑の景色が綺麗な故郷へ帰りたい。
下見のときには見つけられたのに、何故この日に限って見つけられないのか・・・。なんかもうだんだん泣きたくなってきた。
ネガティブに考えていると、私に救世主が現れた。
ああ、向こうに、私と同じ制服を着た高校生がいる!
助かった!この子についていけば、高校にたどり着くことができる!
私はその子にありがとうと言いたいような気持ちだった。
しかし・・・。
私が到着した高校は、もらったパンフレットの写真とはまったく似ても似つかない、超豪華な高校だった。
何かを言葉にしようとしても、言葉にならなかった。
もう、終わりだ・・・。今更家に帰ってから目的の高校を捜しても間に合わないよ・・・。
私は登校初日に、遅刻の危機に陥った。 |