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帝都はあの騒乱以来、初めてと言っていいほどに活気のある賑わいを見せていた。
あちらこちらに露店が立ち、なし崩し的に中断させられた春の大祭を改めて楽しもうと、大通りは多くの人々でごった返している。
しかし、その盛り上がりとは裏腹に、まだまだ無惨な姿をさらしているところもあった。物資の配給が追いつかず、人手不足も深刻だ。騒乱の爪痕は、確かにまだ残っていた。
それでも、人々の顔には輝きが戻りつつある。
くよくよ悩んでいても仕方がない、泣く暇があったら体を動かす――口で言うのは簡単だが、実行するのはそれとは比較にならないほど難しい。それをなすことができる帝都の民はたくましかった。
まだ主要な大通りでさえ復旧が叶っていないところが多いというのに、これだけの人が集まっているのには訳があった。
今日は〝大葬祭〟が開かれる日であった。もちろん、あの騒乱によって犠牲となった人々の弔いのために催されるものだ。
これは、大神殿側からの提案だった。
あの被害を最も深刻に受けたのは、建物などの施設よりも人々のこころであった。それを少しでも慰撫し、明日への活力を取り戻してもらおうと下位の神官たちが考えた。
あまりに犠牲者が多かったために、葬儀をいちいちやってはいられないという現実的な理由もあった。神官の数が足りないのはもちろん、そもそも葬儀を自前で行えるだけの余力を残した市民はほとんどいなかった。
遺体はすでにすべて埋葬され、略式の弔いは行われていた。それらを放置しておけば、大規模な疫病の発生につながりかねなかった。
それを行ったのは、町の衛兵でも神官でもなく一介の市民たちであった。誰が命じたわけでもなく、いつの間にか自発的にやるようになった。
帝都内の復興に関しても同様だ。さすがに物資は諸侯から送られたものだが、実際に動いているのはその大半が市民たちであった。
帝都の主要施設が集中的に狙われたことで、衛兵や役人たちはごっそりいなくなってしまった。今を生きる者たちが身分にとらわれず、とにかくやるしかないのだった。
「みんな、すごいわね。私なんて、しばらく立ち上がる気にもなれなかったのに」
ベアトリーチェは、優しげな目で今も活発に動く人々を眺めていた。
ここから見るかぎり、もう泣いている人はひとりとしていない。すでに過去と決別し、未来に思いわずらうこともなく、今に集中しているからこそ大きな困難をも克服できると思えた。
こういった本当に逞しい人たちを見ると、神殿という閉じた世界の中で修行をすることにいったいどれほどの意味があるのかと疑問に思う他なかった。
市井の人々は強い。
それは現実の世界という荒波の中で常にもまれているからこそ得られる、真の強さだ。神殿という、ある種独特な狭い世界にいては、真に強い人間になることはできない。独りよがりな、いい加減な思想を身につけてしまうことはあるにしても。
自分が神官を辞する決意をしたのは、けっして間違いではなかったと思う。
己を鍛えることは、どこでもできる。
信仰を捨てたわけではない。しかし、教祖ソウの教えを真に理解するためには、いったん神殿を離れなければならない、そんな確信があった。
自分の決断を、アリーセも許してくれるのではないだろうか。褒めてくれるのではないだろうか。自分は生まれて初めて、みずから己の進む道を決めたのだ。
「本当にいいのか? 大神殿とかいうところから誘われていたんだろう?」
隣にいたヴァイクがさり気なく問うてくる。意外にも、最後まで反対していたのは他ならぬ彼だった。
「いいの。私には、もっと大切なことができた」
直々に誘いの言葉をくださったライナー大神官には申し訳ないが、自分の道がおぼろげながらも見えてきた以上は、余計なことにかかずらわっているわけにはいかなかった。
それよりも、逆に気になることがあった。
――ヴァイクこそ、どうするつもりなんだろう。
その問いはあの悲惨すぎる戦が終結してからずっとこころの内にあったが、これまで聞くに聞けないでいた。
怖かった。
もし、これからも同じ道を歩めるのならいい。しかし、まったく違う方向に進むことになったら、それは別れの時が近いことを意味する。
自分の正直な気持ちが、ヴァイクと離れたくないと訴えかける。
それは、ひとりで歩けない自分の弱さなのだろうか。それとも――
「ねえ」
勇気をふりしぼって聞くことにした。もう、うやむやにしていられるほど時間が残されているわけではない。
「ヴァイクは……これからどうするつもりなの?」
「そうだな、とりあえずノイシュタットというところに行ってみる。アセルスタンもそこに行っているかもしれないし、それにレベッカに会わなきゃいけない」
「そうね、リゼロッテのお墓参りもしたいし……」
しかし、そこでヴァイクが不思議そうな顔をした。
「墓? ――ああ、そうか。人間はそういうものを作るんだったな」
「え? どういうこと?」
「翼人は墓なんてものはつくらない。死者の魂を弔うことはあっても、死者の亡骸を拝んだところでどうしようもない」
「それはそうだけど……」
「大事なのは今なんだ。死という過去の出来事なんかじゃない。死者の分もがんばろうとすることは大切だが、それが今を生きる人を犠牲にすることであってはならない。それは、当たり前のことじゃないか?」
「でも、先人の大切な意志を受け継ぐためにも、お墓は意味があると思うけど」
「先人が偉大であるとは限らない。その意志が受け継ぐべきものかどうかは、その時々だと思うけどな。まあ、仮にそれが大事なことであっても、それはひとりひとりが胸に秘めていればいいことだ。いちいち、石や木の棒を拝む必要なんてない」
「…………」
初めは釈然としないものを感じていたが、よくよく考えてみればそれは理に適っているのかもしれなかった。
先人から受け継ぎ、次代へとつなげていかなければならないものも確かにある。
しかし、大切なのはあくまで〝今〟だ。
過去を生きた死者でも、未来を生きる子孫でもない。
今まさに呼吸をしている自分たちがしっかりとする。
それができなければ結局は、過去の知恵を活かし、未来へ受け渡していくことなどできるはずもない。
そのためには、死を悲しんで墓の前で泣いているようでは駄目だ。死者から受け渡されたものは大切だが、死者そのものはもう過去の記憶でしかない。
それに囚われないためにも、いっそ墓などつくらないほうがいいのかもしれなかった。人によっては、忘れたほうがいい過去もある。
「死者は土に還るだけだ。そして、他の生き物の糧となる。それで十分じゃないか」
「そっか、そいうことなのね」
「だが、やはりリゼロッテをどうしたのか聞かないとな。気になって、どうしても先へ進めない」
「ええ、あのレベッカという女性は悪い人には見えなかったけど」
同じ部族であることはほぼ間違いない。翼の色がまったく同じだったことが、その何よりの証だ。
しかし、それでもリゼロッテのことはずっと気がかりだった、幾ばくかの不安の種とともに。
「やはり、ノイシュタットというところに一度行ってみないと。〝極光〟と戦っていた例の翼人たちと何か関係があるのかもしれない」
レベッカもはぐれ翼人のようだった。それでも、確信を持って西へ――ノイシュタットへ向かっていった。ということは、そこに何かがあると見て間違いない。
「そうね。じゃあ、私も一緒に行く」
「……なぜ?」
ヴァイクが不思議そうに聞いた。
ベアトリーチェは、それにきっぱりと答えた。
「だって、私もリゼロッテのことが知りたいから」
「そのことだったら、俺があとで伝えてやる。自分で行く必要はないじゃないか」
「駄目。これからの私は、どんなことも自分でやらないと気が済まないの。今までは、何もかも人任せだったから――」
今回の騒動で、よくも悪くも自分の無力さを痛感させられた。
一方で己の限界を知り、それによってみずからの立ち位置がわかったことで、次へ進むべき方向もようやく見えてきた。
一連のことは、事実、つらいことばかりだった。それでも、すべてがけっしてマイナスではなかった。
悲しみを乗り越えたからこそ見えるものがあった。苦しみを知ったからこそ感じるものがあった。
それこそが、人としての大きな可能性なのかもしれない。
自分たちは、苦労を糧に明日への飛躍とすることができる。
失敗から成功への必要物を知ることができる。
負を正へと転ずることができるのだ。
大きな被害を出してしまったこの〝帝都騒乱〟も、長い目で見れば理想へと至るための大きな一契機となるのかもしれなかった。
また、そうでなければ犠牲となった人々に申し訳が立たない。彼らの死を無駄にしないためにも、生き残った自分たちがやらなければならないことはあまりにも多過ぎた。
「お前の言うとおり、自分のことは自分でやるべきだ。でもな、与えられた使命というのは人それぞれなんだよ。はぐれ翼人の俺には、俺なりの役割がある。神官のお前には、お前なりの役割がある」
「…………」
「大神官とかいうのは、アルスフェルト神殿の再建も約束してくれたんだろう? 故郷へ戻ったらどうだ。あのときはわからなかったが、生き残っている神官もいるかもしれない」
「…………」
ベアトリーチェは『この鈍感!』という思いをのみ込んで、ただ黙っていた。その分、目つきがきつくなってしまったが。
「なぜ睨む? 俺はおかしなことを言っているか?」
「いいえ、正しすぎて腹が立つけど」
「なぜ怒る? わからん女だな」
「とにかく、私も行くの! 大の男がごちゃごちゃ言わないで」
「…………」
理不尽ともいえる怒りをぶつけられ、ヴァイクとしてはもう沈黙するしかない。
だがベアトリーチェは内心、彼の言うことにも一理あると思っていた。
いつかは、一度アルスフェルトに戻らなければならない。
意識のなかったカトリーネのことが気がかりだし、オイゲーンやテオらに一連の事情を報告する必要がある。ヴァイクが言うように、神殿や町の人たちのこともずっと気にかかっていた。
とはいえ、その前にやっておくべきことはあまりにも多い。己の道が見えてきたといっても、それはまだ蜃気楼のように儚げなものでしかない。
まだ具体的に何をすればいいのか、どうすればこの世の中をよくしていけるのかは自分でもよくわかっていない。
これから己の基礎をつくるには、自分自身を鍛えるのと同時にこの世界のことをもっと知る必要があった。
「ベアトリーチェ」
「うん?」
呼ばれて横を見やると、どこか心配げな顔をしてヴァイクが口を開いた。
「肩の傷はもういいのか?」
クラウスに、マクシムもろとも貫かれた傷。男でも耐えがたいほどの痛みがあったはずだ。
しかし、ベアトリーチェは力強く微笑んだ。
「大丈夫、ミラーン様が診てくれたから」
「ミラーン?」
「〝癒し手〟と呼ばれるすごい大神官様よ。どんな怪我や病気もすぐに治してしまうの」
「そんな簡単に治るもんじゃないだろう。本当はまだ痛みがある。そうだろ?」
「それはそうだけど……もう、ある程度動かせるの」
そう言って腕を少しだけ上げてみせる。まだ完治には程遠いが、確実に回復はしているように見えた。
「たいした女だ。翼人の戦士でもなかなかそうはいかないぞ」
「そう? ヴァイクにそう言ってもらえるなら、自慢していいのかな」
いたずらっぽく笑っていると、前に向き直ったヴァイクが目で合図した。
「始まるようだぞ」
つられて下のほうを見ると、急づくりの楽隊が何かの曲を演奏しはじめた。
古くからある鎮魂歌だ。その曲はどこか物悲しく、失われた命の尊さを深く感じさせる。
その楽隊が、南の大通りを北へ向かって進んでいく。
その後ろから、死者の象徴たる大がかりな棺を担いだ人の群がつづている。その棺桶には、この帝国を象徴する盾を模した紋章が付けられていた。
そうした棺がいくつも列をなして、北のほうへと連なっていく。
ヴァイクがおかしなものに気がついたのは、列がかなりの長さになったときのことであった。
「あれは……」
よく見ると、棺のうえに何枚もの布を重ね合わせた何かを載せているものがある。
ベアトリーチェは、それが何を示しているのかすぐにわかった。
「ああ、あれは翼ね。演劇とかでよく使う物よ」
「――なぜだ? 人間にとっては、少なくともここの人たちにとっては、翼人は憎しみの対象でしかないはずだ。それなのに、どうして……」
信じがたかった。
帝都をここまで壊滅させたのは、翼人が飛行艇を墜とすという暴挙に出たからだ。直接彼らの手にかかった人間も多いはず。それがわかっていて、なぜ仇を弔おうというのか。
しかし、ベアトリーチェにはその理由がはっきりとわかった。
「みんな見ていたのよ。助けてくれた翼人もいたってことを、翼人がすべて悪いわけじゃないってことを」
そのことに気づいた人たちが、帝都の市民の中にも相当数いたということだ。でなくば、わざわざこうして大葬祭で、命を落とした翼人の冥福を祈ろうとはしないだろう。
その後方には、見慣れたカセル侯の紋章もあった。
反乱者の側にあらゆる非があったわけではない、咎人だから悪なのではなく、その罪を負うに至った背景こそが問題なのだと、騒乱より数日がたち、多くの市民は理解しはじめていた。
翼人も人間も、犠牲者も反逆者も、分け隔てなく弔う。まさしく大葬祭と呼ぶにふさわしい行事であった。
「おい、ベアトリーチェ。あれを見ろ」
「え?」
はじめ、それが何かわからなかった。
大きな荷物を背負った人――いや、違う。
あれは羽、一対の巨大な翼であった。
そうした人々が、建物や塔の上に何人もいた。そして、それぞれが神妙な面持ちで葬列をじっと眺めている。
かく言う自分たちも、南大門の塔の陰に潜んでいるのだが、まさか同じようにこの大葬祭を見つめる翼人たちがいるとは思わなかった。
中には、人間と翼人が一緒にいるように見えるところもある。そして地上にいる人々もそちらに気づいている節はあったが、取り立てて騒ぐことはなかった。
「すごい光景だな」
「すばらしい光景よ。人間と翼人がこんな風になれるなんて……」
ベアトリーチェは瞳を潤ませた。
いつかそうなればいいと思い描いていた理想の姿。それが今、目の前にあった。
翼人と人間は、互いにわかり合えない存在などではけっしてない。たとえ仲違いすることはあっても、こうしてひとつの世界、ひとつの場所で生きられる。
今ここにいる皆が、そのことを力強く証明してくれていた。
「え?」
ふと、視界の片隅に見慣れた姿があったような気がした。それが誰だったのか頭の中で確認した瞬間、思わず声を上げてしまっていた。
「ネリー!?」
すぐにそちらに目を向けるが、そのときにはすでに影も形もなかった。
「まさか、ね」
「どうした?」
「――ううん、なんでもない。それより、この光景を目に焼きつけておきましょう。きっと私たちにとってもみんなにとっても、大事な大事な一瞬になる」
「そうだな」
翼人と人間の共存する世界――それは、自分たちが目指すべきひとつの理想郷。そこに至るまでには多くの困難があるだろう。しかし、だからこそ真に到達すべき価値のある目的。
つまらない垣根を取り払いたい。
誰もが、安心して暮らせる世界をつくりたい。
誰かのために誰かを犠牲にしなければならない業から、この世界を、生きる人々を解放したい。
そのいずれも、誰もが抱く当然の希望でありながら、しかし実現にはおそろしく遠い。ただし、それであきらめてしまってはいつまで経っても実現することはできないままだ。
だから、一歩ずつでいいから前へ進もう。
時には立ち止まってもいいから、夢を捨てずにいよう。
たまに喧嘩することはあっても、仲間を信じる気持ちを抱きつづけよう。
それを少しでも長く継続できれば、いつかきっと目的地にたどり着ける。
それまでは、ただひたすらに〝今〟を頑張るしかない。現在が過去の瞬間瞬間の積み重ねであるなら、未来もまた現在の積み重ねの上にあるはずだ。
今この瞬間の尊さ。
この数日間、壮絶な経験をしたからこそ、それをこころから実感することができた。
〝今しかない〟
〝目の前のことに全力をもって集中する〟
それさえできれば、未来はおのずと開けてくる。そういう確信があった。
人は、誰しもけっしてひとりではなかった。常に誰かがそばにいる。自分が孤独だと思うのは、周りが見えていないだけだ。どんな強者も、絶対にひとりでは生きられない。
どんな孤独な人間であってもかならず誰かの世話になっている、そういった人たちとつながっているということ。皇帝でさえ農民がつくった食物がなければ生きられず、大神官長でさえ職人がつくった服がなければ生きられないように。
今を精一杯生きることは、確かに大変ではある。しかし、すべてをひとりでやる必要もない。
常に誰かと手を取り合い、支え合い、そうして自分のペースで生きていけばいい。
もし、そうしたことを多くの人々が実践できるようになれば、そこにこそ理想郷は生まれる。
それまでは、ひたすらに耐えて耐えて耐えて、川をさかのぼるように、雪山を進むように、逆風を飛ぶように意地でも前進するしかない。
すべては、それを実行するための覚悟があるかどうか、情熱の炎があるかどうか、高い志があるかどうか、それであった。
「やるしかないんだよな」
「そうね、やるしかない。私たち自身が」
長く長くつづく葬祭の列を、天高くから日の光が優しく照らしていた。あたかもその光は毛布のようで、壮大な意志をもつ何者かが自分たちを祝福してくれているような気がした。
「――そろそろ行くか」
「ええ」
ヴァイクは、ベアトリーチェを抱えて飛び上がった。
高く高くへと、舞い上がっていく。
その胸には、あの少女の小袋と赤いペンダントがあった。
「ベアトリーチェ、やっぱり軽いな。お前のときだけ、ずっと軽く感じる」
「気持ちのせいじゃないの?」
「なんで気持ちで軽くなる」
「……もういい」
またふてくされてしまったベアトリーチェに困り果てたヴァイクを救ったのは、城壁の向こうから聞こえてきた、どこか懐かしい声だった。
「ああっ、ヴァイク! それにベアトリーチェ!」
「あれは……」
目をこらすと、中肉中背の男が何やらわめきながら、こちらに手を振って走っているのが見えた。
ベアトリーチェもそれを確認し、満面に喜色を浮かべた。
「ジャン!」
「ベアトリーチェ! よかった、二人とも無事だったんだ!」
「なんだ、お前も生きてたのか」
「ひどいよ、その言い方! ずっと二人を捜し回ってたのに!」
言葉とは裏腹に、ヴァイクもうれしさを隠そうとはしなかった。
反対に、ジャンのほうは息も絶え絶えの様子だ。
「ジャン、そのまま走ってついてこい」
「ええっ!? そんなぁ!」
切実な悲鳴を聞いて、上空の二人が笑い声を上げる。それは空の青さの中に溶け、そして雲の白さの中に包まれていった。
これからどうなるかは誰にもわからない。
しかし、希望は常にそこにある。
それさえ忘れなければ、どこまでも飛んでいける、いつまでも走りつづけていられるだろう。
どんなに深い闇も、いつかきっと振り払われる。
青空の訪れぬ日は、けっしてないように。
そのことをこころに刻み、すべての人々が光の翼で飛び立たんことを――
終




