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※この作品は、吸血鬼モノです。
※吸血シーンや宗教的表現、また、バトルシーンにおける多少の残虐表現が含まれます。
※恋愛を描いています。18禁表現はありませんが、軽めの性的描写があります。
※苦手な方はご遠慮下さい。


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第一章 Destiny
ある日の光景
 ――強烈な突風。
 一昨日咲き始めたばかりの桜の花びらを容赦なく巻き込み、乾ききった校庭の砂埃を盛大に舞い上げる。轟々と音を伴いながら吹き付ける強風は、その風下に建つ体育館へ、花と砂粒とを次から次へと叩きつけて行く。

 ガタガタと、全開にされた扉が風の圧力に悲鳴を上げるが、その音すらかき消す悲鳴が、体育館から出てきた制服姿の少年少女たちから上がった。
 ――女子は、綺麗に整えてきた髪型があっという間に台無しになるのを何とか防ごうと、髪を手で押さえながら。
 ――男子は、見る見るうちに真っ白になっていく学ランから、少しでも砂を払おうと、あちこちパンパン叩きながら。
 ……彼らの後ろから、既に半分ほどズレたカツラを、これ以上飛ばされまいと必死の抵抗を試みながら、年配の男性教師が続いて出てくる。
 彼らの胸元には皆一様に花が飾られており、生徒たちは皆校名が綴られた筒を手にしている。

 ――その表情は皆様々。目を赤く腫らしながら、友人と抱き合う者。世話になった教師と話し込む者。ずっと憧れていたあの人に、第二ボタンをせがむ者。春休みの予定を友人と相談する者……。
 それぞれが、それぞれなりの時の過ごし方をする中、一人集団から外れた場所で、何の感慨も無く冷めた様な瞳で彼らを眺める少女がいた。皆が、それぞれ友人や教師、後輩達と過ごす中、彼女に声をかけようとする者は――ただの一人もいない。

 吹き付ける強風。生徒指導の教師たちの目をかい潜ってギリギリまで短くしたセーラー服のスカートを、多くの女子が気にする中、一人濃紺色のブレザーを着こんだその少女は、後から出てきた保護者達の群れへと視線を向けた。
 母親同士、お喋りに花を咲かせるもの。我が子の担任に挨拶をしに行く者。我が子の元へ駆け寄り、他愛もない話で盛り上がる者。クラス会の幹事を任され、他のお母さん方と場所や時間の確認をする者。こちらも人それぞれだ。

 しかし、少女はその中の誰かを待つでもなく、一人淡々と重たい学生鞄から手帳を取り出し、電車の時間を確かめた。校門横に立つ時計塔を見上げ、時間を確認し――その視線をほんの僅かの間、級友たちに向けた後、クルリと彼らに背を向け歩き出した。
 その足取りに、躊躇ためらう様子はない。強烈な突風に髪を乱されるのにも、制服を砂だらけにされるのにも構わず、彼女はその街を後にした――。


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