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魔王がいなくなったわけ
作:Gunter


 とある世界のとある国に一つの大きな城がありました。
 城の周りには大きな湖や山々が連なり、余りに険しい道のりのせいか誰一人そこには近寄りません。
 それにその城には彼が、魔王が住んでいたのです。

「嗚呼、暇だ……」

 歴戦の雰囲気を漂わせる顔面に一本の傷入りの男が――魔王がそうつぶやく。

 「今日で691回目ですよ、陛下」

 如何にも執事な雰囲気を醸し出している老紳士が答える。

 「あぁ、わかっておるわかっておる、だが他に言うこともやる事もないのだから仕方ないだろう?」

 魔王は自分の周りを見回す。
 大理石の床に金のシャンデリア、年季の入ったアンティークの数々に色彩豊かな花達。
 少し古くなった壁には幾つもの絵画が並んでいる。
 その中の一つを見て魔王は溜め息をついた。
 それは彼の妻の絵、自分を倒すために魔王城へと攻めてきた若き勇者の絵。

「嗚呼、エーリカよ……何故逝ってしまった?お前が死んで……あれ? 何年だっけ?」

 以外とバカな魔王様でした。

「200と62年です、陛下」

「そうかそうか……エーリカよ、お前の娘も今では立派な勇者だ…………お前に似たのか同じ道を辿りおって……最近ではワタシを殺そうと色々と計画を立てているようでな……ふふふ」

 ちっとも笑い事ではない事実に失笑を漏らす魔王。
 その表情は幾つもの国を滅ぼし、何人もの勇者を退け、神すらも殺した男とは思えないほど草臥(くたび)れて、最早(もはや)諦めが浮んでいた。

「それもコレも………………嗚呼、あの時あんな話をしなければ……」

 魔王はいつの間にか自分と肩を並べるほどの実力をつけ、勇者の名を冠してしまった娘を思い、追憶する。





「おとーさまぁー、まおーってなぁに?」

 白いワンピースをきた可愛らしい少女が鈴の鳴るような高く綺麗な声で魔王本人である父に問う。

「そうだな……魔王というのはこの世界を統べる一番強くて偉い人だよ」

「へぇー!じゃあじゃあ……」

 少女はその天使のような微笑みを浮かべたまま再度父に問う。


「まおーとおかーさまはどっちがえらいの?」

「!?」

 それは魔王にとって最も聞かれたくないことだった。
 魔王と呼べば愛する娘の機嫌を損ねるし、かと言って自分のプライドを投げるようなことも出来ない。
 実際どちらが偉いのだと聞けば魔王だと胸を張って言えるが、結構に尻に敷かれていたし。
 (人間の娘に恋した挙句、尻に敷かれていたなんて…………魔王失格か?)
 話がズレたが、彼にとってこれは最も選び難い選択の一つなのだった。
 ここで彼は選択肢を選び間違えた。

「そっ……それはもちろん魔王だ、魔王ほど強く気高いものはいないぞ!」

「そうなの!? じゃあねぇ」

 少女は予想した結果とは違い、目を輝かせて言葉を告げようとする。
 魔王はそれが彼にとっての死刑宣告とも知らずに次の言葉を待つ。

「わたしがまおーをぶっころしておかーさまよりおとーさまよりかっこよくなる!!」

「…………………………」


 これが彼の人生を決める一言になった。
 この時、一瞬だが彼女の顔が天使から悪魔にかわったように見えたと魔王は言う。


 今思えばあの時、母が一番偉いと答えれば彼女にとっても自分の今後にとっても一番だったのではないだろうか?
 そうすれば彼女は戦士になろうとなど考えもしなかっただろうし、魔王討伐をする気にもならなかっただろう。

 魔王は後悔する。

 自分のプライド故に命を投げ打ったことを、娘を戦いの道へとたたき出してしまったことを。


 外から声が聞こえる。
 どうやら愛娘が自分を殺しにきたらしい。
 父としては彼女に殺されてやりたいが、魔王の本能がそれを許さない。
 己の中の魔王が勇者との戦いを望んでいる。



 嗚呼、古に殺してしまった神よ。
 できることなら……今一度ワタシと愛する我が娘(サーシャ)に貴君の加護を。


 そして魔王は若き日の妻に良く似た美しく凛とした雰囲気をもった銀髪の少女とその仲間を城へと迎え入れた……。


ちょちょいと修正しました。
この物語は『魔王がいなくなったわけ』→『故に彼女は今日も語る。』→『嗚呼、新しき日々よ。』へと続いております。
面白いなー、このキャラクターが好きだなぁー、作者が嫌いだから粗捜ししてやんよ・・・ウッヘッヘッ、等。
何でも誰でもOK(最低限のマナーは守って)なので目を通してくれると狂喜乱舞します。

でわでわ、誤字脱字評価感想バッシング、何でもかんでもお待ちしております。













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