表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
圧倒的ガチャ運で異世界を成り上がる!  作者: ケンノジ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/114

40話

 ベージャ地下遺跡。

 魔物自体、そう強くはないらしいけど、誰も奥に行けないのだとか。


「扉を守っている中ボス的な奴が強いってワケじゃないのか?」

「うん、そうみたい。一般的に言われている最深部が、地下7階。でもね、天界にある情報だと最深部は地下10階ってなってるの」


「……どうしてリーファさんは誰も行ったことがないのに、最深部が地下10階だとわかるのでしょう?」

「がう、不思議なの」


 クイナとひーちゃんが首をかしげている。

 説明してもわかってもらえないだろう。

 適当に、「そういう噂らしいぞ?」ってことでお茶を濁しておく。


 ベージャ地下遺跡は、ここ、ログロの町から南に行ったとこにあるのだとか。


 水と食料を町で揃えていざ出発。


 ドラゴンひーちゃんに空を飛んでもらい移動する。

 リーファはドラゴン酔いをするのでアイボの中だ。


 あっという間に目的地が見え、バサバサとゆっくり降下していく。

 遺跡入口には、冒険者風の男たちがいくつかのグループにわかれてたむろしていた。


「今回の目的は――」

「もしはぐれたら――」


 どうやらこれから遺跡に入る人たちらしい。

 その人たちを尻目におれたちは遺跡の中へ入る。


「ジンタ、お願いがひとつあるの」

「…………金なら貸さんぞ」


「違うわよっ! 私そんなイメージついてるのっ?」


「で、なんだよ? 珍しいな、改まって」

「うん……今回、私を先頭にして欲しいの」


「先頭って。……真っ先に戦うんだぞ?」


「リーファさん、大丈夫なのですか? そもそもリーファさんは」


「わかってる」


 覚悟を決めたような顔をされると、もうおれもクイナも何も言えなかった。


 この前、浄化スキルを檻に阻まれたからかもしれない。

 たぶん、自分の力不足が嫌だったんだろう。


 っと、さっそく魔物が現れやがった。


 ゴツゴツした大きな岩に目と口があり、体からは硬そうな手足が生えている。

 身長は人の腰くらいで、動きはあまり早くない。


――――――――――

種族:石鋼族

名前:ロックズ

Lv:23

HP:2500/2500

MP:77/77

力 :380

知力:20

耐久:590

素早さ:30

運 :15


スキル

突進

絶対防御(石鋼族一子相伝の固有防御スキル)

――――――――――


 固有防御スキル……なんかすごそう!


 リーファに戦わせるっていっても、ここは地下。岩っぽい魔物が多い。

 攻撃魔法がない以上、杖の物理攻撃じゃ、ちょっと難しい。


 ドドドドド、とロックズがこちらへ走り体当たりしてくる。


「ムォオオオンッ!」


 それぞれ回避すると壁に激突。動きが止まった。


「要するに、強くなりたいってことだろ? ギリギリまでHPを削るから仕留め役はリーファでいこう」


 ロックズは近くにいたひーちゃんにむけてパンチを打とうとする。


「ガルァアアアアアアアア!!」

「むぉお……」


 ひーちゃんの咆哮にロックズがびびっている。

 キラリと涙がロックズの目に見えた。


「ガルゥウウ…………ッ」


 爪を振るおうとするひーちゃん。


「むおおおお、おおん」


 ロックズが鳴く。いや、物理的にもうすでに泣いてる!

 ひーちゃん、もうやめたげて!


「ムオッ」


 ロックズの両手足が消えて、ただの大きな岩になる。


「隙ありっ――ていっ!」


 リーファが杖で叩くけど、HPは減っていない。


「これがロックズの絶対防御ってワケね? さすがに手強い……!」


 いや、おまえの攻撃がショボいっていう可能性忘れてね?

 絶対防御ってどんなのかと思ったけど、亀が甲羅の中に入るのと一緒なんじゃ……?


「……」

「ここから手が出てきたよな……」


 ブスリと穴に切っ先を刺してみる。


「むぉおおおおおおおおおおおお!?」


 びょん、と両手足と飛び出てきた。

 HPめちゃくちゃ減ってる。絶対防御、とは……。


 またロックズは絶対防御を展開する。


「リーファ、ここ、この穴」 


「いっくわよー!」


 ズン、と杖の柄を勢いよく突き入れる。


「ムオッ……」


 声をあげると、ロックズはごろんと倒れた。


「えいっ、たあ、やあっ!」

「もうHPゼロだぞー? もう突かなくていいから」


 ふぁさぁ、とリーファは長い髪をかきあげる。


「激しい戦いだったわね」

「穴を突くだけの簡単なお仕事だったけどな」


「まあ、ジンタ様ったら。それでは今夜、その『お仕事』を」

「そういう意味じゃねえから」


 そんなこんなで、仕留め役をリーファに任せ、おれたちはどんどん地下へ降りていく。


――――――――――

種族:神族

名前:リーファ

Lv:23

HP:4800/4800

MP:7900/7900

力 :122

知力:670

耐久:75

素早さ:65

運 :11

スキル

浄化魔法 9/10

治癒魔法

――――――――――


 それなりにリーファのレベルもあがり、治癒魔法に至っては完全習得。浄化魔法もあと少しだ。


「なあ、リーファって自分のスキルって覚えないの? ちなみに今23レベル」

「23? あ、それならもう少ししたら覚えるかもっ」


 おれも自分のスキル覚えねえかな。【黒焔】【灰燼】は、あくまでも剣のスキルだし。


 今、そのスキルは【黒焔】9/10【灰燼】9/10

 どっちももう少しで習得できる。


 ひーちゃんが魔物を脅かし、おれとクイナがHPを削り、リーファが仕留める。

 そんなふうに戦いながら、永晶石を回収しつつさらにダンジョンを地下へともぐる。


「ここが、地下7階ですね」


 ここだけ、大きなフロアになっている。

 戦いの跡があったりしているけどずいぶん古いものだ。


「「「「キキッ」」」」


 鳴き声に上を見あげると天井には、30体ほどの魔物がぶらさがっていた。

 ぱっと見はコウモリだけど、体が岩で出来ている。

 ただ、体が少し大きく、人間の子供くらいのサイズだった。


――――――――――

種族:岩獣

名前:ロックバット

Lv:24

HP:1700/1700

MP:330/330

力 :120

知力:150

耐久:50

素早さ:490

運 :50


スキル

ドレイン

突進

――――――――――


「ふわああ……、あんなにいっぱいるとさすがにキモいわね」


「「「「ギキィィィイイイッ」」」」


 ロックバットたちが一斉にこっちにむかってきた。

 結構早い。

 うん、やっぱ数が多いとキモイ!


「ガルァアア!」


 ひーちゃんがブレスを吐く。

 空中が一瞬炎で真っ赤に染まる。


 ぼとぼと、と焦げたロックバットが落ちる。けどまだまだいっぱいいる。


 仕留め役がどうこう言っている場合じゃないな。

 おれが剣を抜こうとすると、


「ジンタ様が戦うまでもありません」


 おれの前に出たクイナが弓を構える。


「エアリアルアロー!」


 短い風魔法の矢が無数に放たれる。


 ババババババババババ――ッ、

 弾幕みたいな攻撃は正確にロックバットへ命中していく。

 残りの敵を全部撃ち落とした。


「おぉー」


 思わず声がでる。クイナがおれを振り返りパチンと可愛くウィンクした。


「むぅぅぅぅ……」


 リーファはおれとクイナを交互に見て頬をぱんぱんに膨らませている。


「強くなっているのは、リーファさんやひーちゃんさんだけじゃないんですからね?」

「前は弓、持ってなかったよな?」

「はい、攻撃のバリエーションを増やしたくて。それで必要になったので一度里に取りに帰ったのです」


 そういや、一日だけクイナがいない日があったけど、そういうことだったのか。


「ジンタ様を驚かせたくて、こっそり練習をしていたんです」


 にっこりとクイナは微笑んだ。


「ギ、ギキィィィ――ッ」


 地面に落ちていたロックバットが牙をむきだしにクイナへ突進する。


「クイナ、後ろ――ッ!」

「え」


 クイナが振り返るよりも早くおれは剣を抜く。同時にロックバットを両断した。


 ……今のは、結構危なかった。


「クイナ、油断厳禁」


 ビシッとチョップする。


「あう。……ジンタ様に怒られてしまいましたぁ」

「ま、無事でよかったよ」


「ど、どうしてでしょう、叱られてしまったのに、わたくし、嬉しい……」


「「は?」」


「ジンタ様、もっとわたくしのことを叱ってください貶してくださいっ!」


 白い頬を上気させながらクイナはおれに迫ってくる。


「おいおいおい、どうしたんだよ、落ち着けってクイナ」


「もっともっとわたくしのことを叱ってください貶してくださいぃぃぃっ」


「おーいクイナさーん!」


「女神ぃぃぃぃ、ぱんちっ!」


 ぽかり、とリーファがクイナにパンチ。


「……、あれ。わたくし……?」


 リーファがクールな目つきをする。


「危なかったわね。私の女神ぱんちがなかったら、もう二度とあちら側から戻ってこれなかったわ」


 そんな大層なもんなのあのパンチ!? てか、あちら側ってどちらだよ!?


 コホン、とおれはひとつ咳払いをする。


「まあ、今後は敵を倒したあとも気を抜かないようにってことで」


 マントの素材になるらしいので、ロックバットの羽と永晶石を回収しておく。


 もう周囲に敵はいなさそうだ。

 確かに、ここに来るのは普通の冒険者でも難しいことじゃない。


「ここからさらに地下があるはずなんだけど……」


「これはもしかしたら、古代精霊文字ではないでしょうか?」


 正気に戻ったクイナが壁を指差すと、みんなそこへ集まった。


 古代精霊文字? これが?


「確かに古代精霊文字ね。何て書いてあるのかしら」


「え。おれ読めるけど……?」


 みんながきょとんとしてこっちを見てくる。


「みんな、読めないの?」

「さすがに旧世暦の失われた精霊文字なんて読めないわよ。女神の私でもねっ?」


 何で得意げなんだよ。


 おれには読めるけどみんなには読めない。

 何でだろう?


 ――ここ下は 護り手棲む これ読める者 四角岩押して 先進め


 片言っぽいけど、そう書いてある。

 ……あ、どうしてみんなが読めないのかわかった。


 この文字――漢字とひらがなだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ