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圧倒的ガチャ運で異世界を成り上がる!  作者: ケンノジ


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26話


 通路を戻って、今度は右の道を進んだ。

 ここだけ妙に道が整っているな……。

 すごく歩きやすいし、雑ではあるけど手を加えているきちんとした道だ。


「グギギ――ッ!」

「ゲギャゲギャ!!」


 っと、早速おでましだ。

 どすどすとこちらに走ってくるゴブリンは5体。


――――――――――

種族:ゴブリン(幹部)

Lv:20

HP:470/470

MP:28/28

力 :69

知力:8

耐久:78

素早さ:20

運 :12

――――――――――


 近づくにつれてそのサイズがわかる。背丈はおれと一緒かそれ以上ある。


 さっきのやつはサイズが合ってなかった鎖帷子も、きちんと着こなしている。

 剣もかなり長めのロングソードだ。


 なんだ、こいつら。しかも幹部って……。


「このゴブリン、かなり強そうね……!」

「なかなか大きいです……奥に大事な何かがあるということでしょうか」


「とりあえず、やる気満々らしいから倒すぞ!」


 ひーちゃんが息を吸い込み、口の中に溜まった火炎を一気に噴き出す。

 同時に、リーファが魔法で追い風を起こす。


 ブレスが風によって増長し、巨大な炎となった。


 ドガァン! 先頭のゴブリンに直撃。小爆発を起こす。


「ゲゲ、ゲギャ……」


 効いているけど倒せてはいない。おれはそのゴブリンへ一気に迫る。

 底を尽いたわけじゃないけど、何かあったときのためにMPは温存しておきたい。


 抜剣。


 ヒュ、と短い風切り音をさせ、魔焔剣を焦げゴブの胴へ叩き込む。

 ドズッ、と重い手応えと同時に鎖帷子ごとゴブリンを両断した。


 次!


 おれにむかって3体のゴブリンが突進してくる。

 1体目の剣を弾き飛ばし、魔焔剣を突き刺す。剣は足を使って体から引き抜いた。


 さらに別の1体が斬りかかってくるところを、懐へ入り鎖帷子を掴んで背負い投げ。

 幹部ゴブリンを地面に叩きつけ、剣を突き立てる。


 鳴き声をあげる3体目が剣を振りおろしてきた。


「っと――」


 鼻先で斬撃を回避。

 一歩踏み込むと同時に斬りあげ、ゴブリンの体に斬撃を刻む。

 声にならない声をあげて、ゴブリンは息絶えた。


 こっちは片付いた。ラスト1体は――!?


 ひーちゃんの鳴き声やクイナの魔法の音、リーファの祈りの言葉は聞こえていた。


 振りかえると、最後の1体がちょうど倒れたところだった。


 よかった、なんとか倒せたみたいだ。

 ゴブリンを見ると、焦げていたりクイナの風魔法の傷痕があったりした。


 クイナとひーちゃんにも、完治しかけの傷があるのがわかる。

 傷を負ったそばから回復させていたのか、リーファのやつ。


「ねえ、ジンタ。ここだけ、雰囲気違うわよね……?」

「雑魚ゴブリンも出てきませんし……変ではないですか?」

「うん、確かに変だな……」


 10分ほど休憩してから、おれたちはまた奥へと進みはじめた。


 やがて、拓けた場所に出た。

 森の中なのに、更地のようにぽっかりそこだけ何もない。


「今度は、何の部屋なのでしょう……?」


 あたりを見回していると、巨木の陰で大きな何かが動くのがわかった。


「グギャォオオオ――ッ!」


 放たれた音波がビリビリと肌を打った。

 そいつが、のっそりと陰から出てくる。

 他のゴブリンと見かけだけは一緒だけど、サイズが全然違う。


 な、なんだこいつ……。で、でけぇ……。

 二階建ての建物と同じくらいの背丈があるんじゃないか?


 ごつごつした手には、岩を削って作ったような棍棒があった。


――――――――――

種族:キングゴブリン

Lv:48

HP:1560/1560

MP:77/77

力 :411

知力:109

耐久:430

素早さ:43

運 :25

――――――――――


 こいつがこの巣のボスだな。キングってついてるし、間違いないだろう。


「ガルアア――ッ!!」


 ひーちゃんが吠え、口の中に蓄えた炎を一気に吐き出す。

 石柱みたいな棍棒をキングゴブリンが振ると、ブレスはあっさりかき消されてしまった。


「がうぅ……」


 こらこら、しょんぼりしないの。いや、気持ちはわかるけど。

 ひーちゃんでこのステータスだ。


――――――――――

種族:竜族(幼少)

Lv:20

HP:3040/3040

MP:110/270

力 :315

知力:145

耐久:355

素早さ:175

運 :22

――――――――――


 キングとレベルが倍違うもの。同レベルなら負けないんだろうけど。


 今のおれがこんな感じだ。


―――――――――――

Lv:27

HP:6300/6300(2300)

MP:800/3360(360)

力 :2230(230)

知力:1680(180)

耐久:140

素早さ:130

運 :999999


スキル

【黒焔】1/10

【灰塵】3/10

―――――――――――


 前に見たときより、ゴブリンを倒したおかげでレベルがちょっとあがっている。

【灰塵】スキルも使用回数を重ねたからか、少し上昇していた。

 MPは全快してるわけじゃないけど、やるしかない。


 ズシンズシン、と重い音がしたと思ったら、キングがこっちにむかって迫ってきている。

 近づけば近づくほどでかく見える。

 フォウン、と風の音がすると、キングが棍棒を振り上げたところだった。


 ドタバタと走ってその場を離れるひーちゃん。

 クイナもリーファもキンゴブから距離を取った。

 おれも後方に何度かステップを踏む。


 ドゴォオオオン!!


 轟音とともに砂煙が舞い、土片や石の破片がいくつも顔をかすめていく。

 おれたちがいた場所は地面がえぐれ、大きな穴ができていた。


 ん? その程度?


 もっと派手に吹き飛ぶかと思ったんだけど……。


 大きかろうが名前にキングがつこうが、ゴブリンはゴブリンってことか。


「な、何よあのパワー……!」

「えぇ……ありえません……」


 リーファとクイナが驚きをつぶやく。

 ひーちゃんはかなり離れた場所で体を丸めて防御の体制を取っている。


 ひーちゃん、めちゃくちゃビビッる! 離れ過ぎ!

 頭抱えて翼も畳んでる!


 ブレスが通用しなかったせいでネガティブになってるんだろうな、きっと。


「ジンタ、どうするの……?」


 リーファが不安そうに訊いてくる。

 ジンタなら大丈夫、と前に平原で言ったものの、攻撃を目の当たりにするとそれも弱気になるらしい。


「どうするって、倒すに決まってるだろ。二人はちょっと下がってて」


 そう言っておれは、キンゴブにむかっていった。


【灰燼】を使いまくったおかげで、MPを使う感覚は掴んだ。

 ベヒモス倒したときは加減が一切できなかったけど、MPを放出する微調整はちょっとくらい出来るはずだ。


 だから今なら――手加減して倒せる気がする!


 魔焔剣を抜き、MP放出をはじめる。

 前回のように、足元に深紅の魔法陣が広がった。

 刀身に黒い焔が巻きつく。


 うん、前よりも力をセーブ出来ている感じがする。

 5つの赤黒い魔法陣が刀身の根元から剣先にむかってできた。


「ギャギャゴッ!?」


 なんかビビってるぞ、キンゴブのやつ。

 あ。あいつも棍棒振り上げやがった。

 ま、いいや。


 おれは上段に構えた剣をキングにむけて振り下ろした。


「【黒焔】!」


 放たれた黒い魔弾。

 それが一直線にキングへむかい直撃。


 ドガァアアン!


 爆音が耳を刺す。真っ黒の閃光が視界に飛び込んでくる。

 同時に衝撃波が走って森中が震えた。


「うわっ――!?」


 吹き荒れた爆風に吹き飛ばされになるけど、どうにかこらえた。


 あんなにセーブしたのに……やりすぎた??

 衝撃音も大きかったから、まだ耳がキーンてする。


 キンゴブがいたあたりは黒煙がもくもくと漂っている。

 それが晴れると、そこにはもう何もいなかった。


 爆心地は、前回の1000分の1くらい。

 キンゴブとその周囲をきれいに吹き飛ばせたみたいだ。


 そこに、少し大きめの永晶石がぽつんと落ちていた。さっそく回収しよう。

 色は深紅。大きさは野球のボールと同じくらいだ。


 手にとってみると、永晶石からは凄まじい魔力を感じた。


【王の魂 (王の器を備えし者の魂。王になるための資格の一つ)】


 どうやら永晶石じゃなくて、なんらかのアイテムだったらしい。

 でもステータスにはこれだけしか書いてなくて、それ以外の説明がなかった。

 それどころか、レアリティもわからない。


 アイボに入れておいて、あとで何なのかリーファに訊こう。

 ぱたぱた、とリーファとクイナが駆けよってくる。


「ジンタ、大丈夫?」

「うん、この通り大丈夫だ」

「ジンタ様、ご無事でよかったです」


「……私は、全然心配してなかったんだけどね」

「と言いつつ、リーファさん、『じ、ジンタがやられちゃったらどうしよぅう……』なんて言っていました」


「い、言ってない! 言ってないから」


 顔を赤くしながらリーファは否定する。

 クスリと小さく笑ったクイナは、まっすぐおれを見た。


「ジンタ様のパートナーとして、恥ずかしくならないように、もっと精進いたしますね?」

「私ももっとがんばるから!」


 クイナは風魔法が使えるし、リーファは情報兼ヒーラーだ。

 二人はこのままでもいいと思っているんだけど、きっと守られているだけが嫌なんだろう。


「二人とも、ありがとう」


 気持ちだけでも受け取ることにして、おれは二人の頭を撫でた。


 で、ひーちゃんは何してんだ?

 探してみると、ひーちゃんはキンゴブが出てきた巨木の陰にいた。


 よく見てみると、何かくわえているのがわかる。

 何だあれ? 試験管のような……?

 パリンと噛み砕くと、中から液体が流れ出した。


「コラ、ひーちゃん、何でもかんでも食べたらダメだろー?」

「がうぅ」


 返事をすると、今度はひーちゃんの体から強烈な光があふれた。


 わ、まぶし。なんだ? ひーちゃん何食ったんだ?


 目を細めていると。

 ぺたぺたぺた、と裸足で走る音がこっちに近づいてくる。


「ご主人様っ、ご主人様ぁぁっ」


 おれを呼ぶ声に目を開けると、小さな女の子がいた。


「誰!? ど、どこから出てきたんだ!?」


 キンゴブに捕まっていた子供、とか……?


 赤い髪の毛に、赤い瞳。尖った歯。お尻のあたりからは尻尾が生えている。

 背中には小さな翼があった。

 天使? じゃあ、ないよな……?


「誰……?」


 素っ裸だから目を逸らしながら訊くと、幼女はぴょんとおれに飛びつくる。


「がうっ、ご主人様、ボクなのっ!」


『がう』ってまさか――!?


次回も二日後の1月13日17時頃更新予定です!

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