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23話


 翌朝、朝食を食べ終えていざ平原に。


 今日も手分けして探すけど、どこにでもいそうなあのゴブリンどもの姿が見えない。

 本格的にひーちゃんにビビって隠れちまったのか?


 そんなことを考えながらゴブリンを探していると、


「「うわぁああああああああ――!?」」


 遠くから悲鳴が聞こえた。


 聞こえたほうへむかっていると、ゴブリン数体に襲われている商人を見つけた。


 何かヤバそうだ――。


 荷馬車に取りつくゴブリン2体と小剣を振り回しながら護衛らしき男二人と戦うゴブリンが4体いる。


 商人のおじさんも1体のゴブリンを相手に、震えながら剣をふるっている。


 全部で7体――護衛のほうも苦戦してる。

 助けないと!


 ゴブリンのレベルは少し高めの11Lv。

 けど、これくらいならスキル無しで十分だ。


 魔焔剣を抜き、おじさんを攻撃しようとしたゴブリンを叩き切る。


「ギャフッ!?」


 荷物をまさぐっていたゴブリン一体がおれに気づき、小剣で切りかかってきた。

 それを剣で叩き伏せる。


「ギュア……!?」


 まだ荷物にひっつく一匹をひきはがし、地面に叩きつけ切っ先を突き立てる。


「ギャ……ッ」


「――がうがうっ!」


 別方向からひーちゃんが走ってくるのが見えて、立ち止まった。


「ガァアアルァアアアアアアアアアア!!」


 おぉう……。本気の咆哮だ。

 ひーちゃんはドラゴン、ていうのを再認識させられる。


「ガァア――ッ」


 口の中に炎が見えた。

 それだと荷物ごと燃えちまうぞ!?


「ひーちゃん、ストップ!」

「がう?」


 ぼしゅん、と吐き出しそうだった炎は消えてなくなった。

 危ねえ……。荷物も丸焦げになるところだった。


 護衛の2人は浅い傷を負いながらもまだゴブリン4体と戦っている。

 数ではゴブリンのほうが多いのと武装しているのが原因だろう。


 あとはあの4体だ。


 おれが走りだそうとすると、


「スカイランス!」


 クイナの声がしたと思ったら、風の矢がゴブリンを貫いた。


 ひーちゃんの声が聞こえたんだろう。


 急いで駆けつけたらしく、クイナもリーファも息を切らしていた。


「ジンタ様、お力添えいたします!」

「サンキュー、助かるよ! リーファ! この人たちの治癒を頼む!」

「任せて!」


 リーファが駆け寄り、へたり込んでいるおじさんのところへ走る。

 よし。あとは残りのやつを倒すだけだ。


「ギャギャギャ――!」


 おれが余所見をしていると、鳴き声と共にゴブリンが小剣で切りかかってくる。


「遅ぇよ」


 すっとよけて、足をかけるとゴロンとこけた。


「ギャグ!?」


 そういや、こいつら小剣なんてどこで手に入れたんだ?

 この前は誰もこんな武器は持っていなかった。


 死んだゴブリンが持っているのも、刀身も柄も同じタイプのものだ。


 お揃いの装備……?

 物資を輸送中に襲われるって冒険者ギルドでは言われてるんだっけ。


 どの道あと少し永晶石は要るんだ。

 こいつを泳がせて、後をつければ巣か何かがあるかもしれない。


 こっちのほうがやみくもに探すよりもずっとマシだ。


 ゲシ、と頭を踏んで身動きを取れないようにしておく。

 持っていた小剣も蹴飛ばす。


「グギャ……、ギャギャ!」


 放せ、とか言っているのかな?


 リーファは、商人と護衛に治癒魔法をかけている。

 三人はちょっと怪我しているけど、命に別条はなさそうだ。


「もう大丈夫」


 その治療も終わって、商品の確認をするおじさん。

 盗まれていたり、ダメになった商品はなかったらしい。


 どうやら、売り物の服を運ぶ途中だったらしい。……ユ○クロか?


 到着があとちょっと遅かったらヤバかったかもしれない。


「みなさん、危ないところを助けていただきありがとうございました」


 商人のおじさんや、護衛の人にもお礼を言われた。


「いえいえ。何事もなくみんな無事でよかったです」


 遠ざかる荷車を見送ると、みんなが集まってきた。


「ジンタ様。これでさらに6つの永晶石が集まりました。今足元にいるそれを合わせれば、必要な永晶石はあと3つです」


「ジンタ、なんでゴブリン踏みつけてるの?」


「ああ。あと少し永晶石が必要だろ? こいつをここで離したら、巣まで案内してくれるんじゃないかと思って」


「なるほどね」


「こいつらが持っている小剣はどれも一緒なんだ。荷物を襲うっていう話だったし……」

「どこかにこの小剣を置いてある場所があるかもしれない、ということですか?」


「うん。その場所が巣なんじゃないかって思って」


 足をどけると、すっくとゴブリンは立ち上がった。

 戦意はないようで、すぐに背をむけて走りだす。


「ギャギャ!」



 おれたちはそのあとを追いかけた。




次回は1月7日17時頃更新します!

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