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17話


 翌日。

 徐々に賑やかになりはじめた繁華街を歩き、リーファに道を教えてもらいながら冒険者ギルドを目指した。

 町も大きければ、建物も少し大きくなるのか、ホヒンのものより立派な四階建ての建物だった。


 入口脇にある掲示板のクエストをのぞいてみたけど、ランク制限や人数下限があり、受けれそうなクエストが見つからない。


「相談すればちょうどいいクエストがあるわよ、きっと」


 てくてく先をリーファが歩くのでおれもクイナも後を追った。


 空いているカウンターを見つけて、受付のお姉さんに早速相談した。

『アナヤ』と胸の名札に書いてある。


「何か良い感じのクエストってありますか? まだランクはGなんですけど」


 おれはアナヤさんに冒険証を渡すと、前回のミランさんみたいに後ろの部屋へ入り、書類と共に戻ってくる。


「本部から取り寄せたジンタの資料ね。あれにジンタのクエスト履歴が書いてあるの」


 そうリーファが教えてくれていると、アナヤさんが席に戻ってきた。


「カザミ様は、功績は十分なのでクエスト成功回数を増やせば、すぐにランクは上がります。あと9回の成功でFになります」


 ランクを上げるには、功績・成功回数の二つが必要になってくる。

 簡単なクエストばかりこなすだけじゃダメってことらしい。


 おれは逆のパターン。

 成功回数イコールその冒険者の信頼度につながる。

 冒険者ギルドが安心してクエストをその冒険者に任せられるか、ていう指標にもなるらしい。


 だから、難しいクエストには必ずランク制限や参加人数の下限があるのだとか。


「9回か……」

「『飼い猫探し』なんていかがでしょう? お手頃でランク制限もございませんし」


「他はないですか?」

「それでは、先ほど依頼がきました『薬草5種採集』なんていかがでしょう」


「ベヒモス倒した功績って考慮してもらえないんですか?」


「冒険者ランクや難易度でクエストを振り分けております。平等を期すために特別扱いは致しかねます。ご了承ください」

「そっか……わかりました」


「方法としては、どこかのユニオンに入れば、成功回数は増やしやすいので、当局ではオススメをしております」


「ダメよ、ジンタは人見知りだから他人のユニオンに入るなんて」

「そ、そんなことねえよ……」


「ぼっちマスター」

「変な称号つけるのをやめろ」


 強がって否定したけど、うん、人見知りです……。

 何でリーファは知ってるんだ? あぁ、転生する前の履歴書に情報があるのか。


「戦えるクエストがいいんですけど、何かありますか?」


 そうですね、とアナヤさんはファイリングされた依頼票に目を通す。


「これはどうでしょう。『ゴブリン掃討』」


――――――――――――――――――

『Fランク ゴブリン掃討』

 場所:レフォン平原

 成功条件:10日以内にレフォン平原で20体以上のゴブリンを討伐し、永晶石20個の鑑定書を掲示。

 条件:Gランク冒険者2人以上要。

 依頼主:ログロ商会

 報酬:5万リン

――――――――――――――――――


「これは、この町の商業ギルドからの依頼です。商品運搬中にゴブリンに襲われる事案が多発しており、その被害に悩んでいるそうです。倒しても倒してもきりがないので、先方も当方としても非常に困っております」


 お。冒険者らしいクエストきた。成功報酬は5万だけど、最初はこんなもんだろう。

 あ。でも……2人以上か……。


「すみません、1人で出来るクエストでお願いします」

「あら。後ろの方々は冒険者ではないのですか? これは失礼いたしました」


「大恩あるジンタ様のためなら、このクイナ、冒険者にも嫁にも奴隷にもなりますよ?」

「いいのか? それだと助かる」


「どういたしまして。リーファさんは放っておいて、2人でクエストをこなしましょう」

「わ――私も冒険者になる」


「リーファはやめとけって。冒険者しなくても十分助かってるんだから」

「ジンタがクイナと二人きりだなんて、なんか、もやもやする……」


 もにょもにょと小声で言うリーファ。クイナは呆れ顔をしている。


「理由はどうあれ登録しましょう、リーファさん」


 二人はおれが以前やったのと同じように冒険者登録して登録証を受け取った。

 当然ランクはG。

 けど、これで『ゴブリン討伐』クエストの下限は満たした。


 改めてそのクエストを受けることにして、おれたちは冒険者ギルドを後にした。


「リーファ、女神の力はさっぱりないんだろ?」

「そうだけど、でも……」


 ちらっとクイナを見るリーファ。


「リーファさん? わたくしに対抗意識を燃やすのは構いませんけれど、戦えるのですか? 見たところ、武芸をしているようには見えませんし、魔法を使えるようにも正直見えません」


「まあまあ、クイナ、おれたちがフォローしてやろう」

「ジンタ様はリーファさんには甘いというか優しすぎるといいますか……」


「そんなことねえよ」

「ジンタ様がそう言うのであれば、わたくしは構いません」

「だから、私強くなるから!」


「……そういうことでしたら、早速準備いたしましょう」

「準備? おれはこのまま行っても平気だけど」


「わたくしやジンタ様の準備ではありません。リーファさんの準備です」


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