病的短編ストーリーズ縦書き表示RDF


この物語は、理解不能なノイズともいうべき内容が多く含まれています。どうか気にしないでください。どうしても気になった方は、評価の方に書いてください。
病的短編ストーリーズ
作:並盛りライス


なんといってもゴム長靴は最高だ。

いままで持った中でも最高の逸品といえるだろう。

しかしそれには一つの欠点があった。

このゴム長靴はまったくといっていい程、水に弱いからだ。

大きさも、色艶も、弾力性だって、コレほど素晴らしいものはないだろう。

もし、ゴム長靴コレクターなんてのがいたら絶対に高い値段がつくだろう。

しかし、僕は銭湯に入るときにゴム長靴をはくことはないし、ゴム長靴を被ることもない。

実に惜しい。

だが、僕はゴム長靴コレクターですらないのだ。

僕は、もったいないと思いながらもゴム長靴を置き去りにして銭湯に向かった。



ある所に銭湯があった。

ある所といっても赤坂や六本木にあるわけではなく、かといって温泉町にあるわけでもなかった。

その銭湯にはいつも長蛇の列ができていて、日によっては赤坂から六本木ぐらいの距離の列になることも珍しくなかった。

その人気の秘密は、最近発明されたという、最新型の温泉製造機を使用しているからだ。


なにしろ、ある大学の先生が調べたところによると、あらゆる病気や怪我、美容にも効果があるらしい。

試しに行った友人の話では、
「あれはまさに温泉だった」
と話していた。

惜しげもなく温泉の元を湯水のように使用して、少し粉っぽいところも、まさに温泉だったそうだ。




ある大学の教授がいった。

「君はあの、困難な数式にひとつの解答を導きだしたとでもいうのかね?

馬鹿馬鹿しい。

君みたいに、なんでもかんでも研究、研究で数式にする術しか知らないような人間がいるから困るんだ。

本当はもっと考えなければいけないことがあるんじゃないのかね?

それとも…君はいっそのこと27と結婚して、子どもに52と名付ける気なのか?

休日も研究室に篭って鉛筆をカリカリやりながら老後を過ごす気なのか?


信じられんね、そうゆう神経を持っている人間がこの世にいることが不可思議でならないよ

えっ?何?もういいって?
そうだろう君は家に帰ってゆっくりゴルフの事でも考えて休みなさい。

後はワシがやっておくから心配しなくていいよ」





52を産んでからというもの、私はかなり母親らしくなったと思う。

昔は、いろいろな無茶をやったり遊び歩いていた時期もあった。


でも、今はすっかり子育てに夢中だ。

化粧もしなくなったし、新しい服を買うにしても、自分よりも53の為に服を買うようになった。

そりゃあ、やっぱりちょっと疲れたり悩んだりもするけど、55の笑顔を見ればすぐに元気になれる。

やっぱり、母親になると人は変わるんだなぁと思う。


ボクがはじめて留守番をしてから三日目に初めてお客さんが来た。

お母さんが病院にいっていてお家にはボク一人だった。

ボクが背伸びをしてドアの窓から外を覗くと、そこには大きなカエルがいた。

カエルは、パイプを口にくわえながら言った。

「ボウズ、お母さんはいるか?」

「いま、病院にいってます。」

練習していたとおりにちゃんと言えた。

「そうか、ならいいんだ。なぁ、ボウズ。」
「ケンタだよ」

「なぁケンタ。スポイドって知ってるか?」

「スポイド?スポンジなら知ってるよ」

「まぁ、おんなじ様なものさ。そいつをちょっと渡してくれないかい?」

「なんで?」

「それが必要なんだ。なんなら玉葱でもいい。」

ボクには玉葱とスポンジがどう関係しているのか分からなかった。

ボクが、玉葱を渡すとカエルは

「ありがとう。これで助かった。」

と行って去っていった。

あとで、お母さんに話すと。お母さんは信じてくれなかったけど、そのベタベタした両手のことはハッキリと覚えていた。



料理ってものは、微妙な力加減と、寛大な心さえあればできるとオイラは信じていたんだ。

「玉葱はキツネ色だって?冗談じゃない」

カエルが言った。

カエルはそのヒクヒクとした頭。もしくは背中にちょこんと白いコック帽を被っていた。

料理本を穴が空きそうなぐらい見つめながら、まるでそこには世界の全てが詰まっているみたいな顔で、もしくは背中で…。

「だって、そんなことはこの本に書いていなかったじゃないか」

カエルは、グジュグジュと涙を流しながら悪態をついた。

鍋には、お湯と、溢れんばかりのスポンジがグツグツと音をたてている。



近所で評判のレストランがあった。

そこには世界中のどこにもないような、珍しい食材を使った料理を扱っていた。

その中でも、最高の食材はスポンジのシチューである。

そのまったりとした吸収のよさと、ゴワゴワとした歯応え、そしてなによりも珍しいさからますます評判になった。


もちろんたったのは悪評だったが…。



スポンジ工場は村のはずれのそのまたはずれにあった。

どれぐらいはずれかというと、一番近い家からひと山越えなくてはならないくらい辺境にあった。

そこでは、毎日毎日、スポンジ職人達が手作業でスポンジを作っていた。

固めたり、丸めたり、形を整えたり、縮ませてみたり、あらゆる角度から検査が行われて、一級品と二級ひん、そしてクズに分別される。


そして出荷先によって、箱詰めされて郵送される。

最近のスポンジ景気は上がり調子で、職人達は休む暇がない。

なによりも、クオリティが大切だから手は抜かない。
それが職人達のモットーだ。



スポンジを積んだトラックが山道を走る。

かなりの悪路で、下手をすれば崖下に落ちてしまいそうになる。

天候も悪く、雨で地面がドロドロに溶解している。

運転手は、カーブを曲がる度に冷や汗をかいた。


そして、やっとのことで、最後の緩やかなカーブにさしかかった時、突然目の前に、ランニングしている老人が飛び出してきた。


トラックは、老人を避けるも横転して谷底にまっ逆さまに墜落した。

運転手はこの時、死を覚悟したという。

しかし、積み荷のスポンジというスポンジが、すべてのショックを吸収して、奇跡的にトラックは無傷だったという。

だが、さすがに中にいた運転手は多少、体を打ったため怪我をしてしまった。

その時、運転手の頭の中には宙を舞った華麗なスポンジの姿が浮かんだに違いないと私は想像する。




塚本じいさんは、近所でも有名な元気なお年よりだった。

杖を使わなくても歩けるだけでなく、マラソンを走らせたら村一番のスポーツマンだ。

しかし、塚本じいさんは少しボケているため道筋が覚えられなかった。

そのため、コースを大きく外れて日本一周をいつのまにか達成してしまったぐらいだ。


じいさんの楽しみは実はマラソンではなく、庭の盆栽だったが、周りの人間はマラソンこそがじいさんの生き甲斐だと思っているので、盆栽は荒れ放題だ。














ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう