Stage7
ガタン ゴトン
ガタン ゴトン
電車の出入りが激しい駅。
新大阪駅だ。
ベージュの半ズボン、水色のフード付きの春服・・・そして、青いリュックを背負った、小学1年生くらいの男の子が、そこにポツンと立っていた。
そして、男の子は身長が足りないのか、駅員を連れて来た。
切符を取ると、駅員のお礼を言い、その場を去った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
きゃあきゃあと、とある学校―――改方学園の前は騒がしかった。
正確には、1人の男の子を囲み、中等部、高等部の女子が黄色い悲鳴を上げていた。
しかも、徐々に徐々にと人間が・・・増えていっている気がしないでもない。
男の子は、外面笑顔で、内面苦笑していた。
江戸川コナン。
それが、小学生1年生ぐらいの男の子の名前だった。
「なあ、坊や。今日はどうしたんや??」
何か用事でもあるんか?
独自の大阪弁が、耳に入る。
「うん。お姉さん、“服部平次”って人、知ってる?」
「服部君?服部君に用事あるん?」
「分かった!アタシが呼んできたる!」
「何言うとんのや!アタシが行く!」
いつの間にか、その場は争奪戦となっていた。
コナンは、苦笑いしながらも、さてどうしようか、と考えていた。
「―――でも・・・もう、遅いみたいやで?」
今日、剣道部、顧問の先生が休みやからなあ・・・練習、あらへんし。
ええっ!と、辺りから残念そうな声が上がる。
「何や、どうしたんや?こないな所に集まって・・・」
「あっ!服部君!!」
お客さんやで!めっちゃ可愛いんや!
「こんにちは、平次お兄ちゃんv」
(く・・・く、く、工藤っ!?)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「―――で?」
どーしたんや?大阪まで・・・。
何か、よっぽど大事な用があるんやろ?と、平次はコナンを見る。
「ああ・・・」
コナンは頷いた。
平次はそれを見ながら、学ランをベットの上に放った。
「んで?その大事な用っちゅうんは何なんや?」
「これだよ、これ・・・」
ん〜?と平次は差し出された紙を見る。
(何や、コレ・・・)
眉間を顰め、もう1度紙を見る。
「・・・何や、コレ・・・何かの暗号なんか?」
「いや、パズルだよ」
「パズルやて!?コレがか!?」
「ああ」
(そう・・・三倉礼司が残し、俺が5歳の時に解いたパズル・・・)
コナンは、そうとは一目見ただけじゃ分からないがなと、肩をくすめてみせた。
子供らしくないその仕草と口調と頭脳。
これの何処がパズルやねん?と平次は顔を顰めながら首を捻った。
「コイツがネットに流されとったんか?で、これが解けたら何でもくれてやるっちゅうわけなんやな?」
・・・世界1週旅行がほしい言うたらくれるんやろか・・・。
「・・・行きたいのか?」
何だったら用意してやってもいいぜ。
「―――この坊ちゃんが・・・」
コナン・・・新一の父親は世界的推理小説家の工藤優作、そして母親は元美人大女優の工藤有希子・・・世界1週の用意のツテなどが大量にあれば、行けるだけの金もあるのだろう。
「・・・でもなあ・・・コレ、俺には暗号にしか見えへんぞ?」
「だろうな。俺も、最初は暗号だと思ってたんだ。・・・だけれど、これを暗号だと思ってやっていたら、いつまでたっても解けない」
「そりゃそうやけど、コイツを見た限り、誰もパズルだなんて思わへんで?」
「そうさ。誰も思わないからコイツを誰も解けない」
だから、ネットに流すという非常手段をとったんだろうよ。
コナンは暗号―――否、パズルに目を落とす。
「何や?どういうこっちゃ、それは・・・?」
「コイツをネットに流した人物は・・・答えを知らず、答えを探すためにネットに流したって事さ」
「ちゅう事は・・・コレをネットに流した奴は、答えを知らんのか?」
ああ、とコナンは頷く。
「何でや?答えを知らへんのに・・・どうやって正解やと判断するんや?」
「どうだな・・・」
「はっ、アホらし。何やねん、それは」
「・・・・・・」
平次は、俯き、自分の両足を見つめるコナンを見て、顔を顰めた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「―――なあ、工藤。まさか、お前・・・コイツをネットに流した奴、知っとんのとちゃうんか?」
「・・・いや、ネットに流した奴は知らねえよ。だが、コイツに関係のある奴なら知ってる・・・と言っても、たった数日間の間だけだから、名前ぐらいしか知らねえけどな」
俺んとこの親がさ、ロスに家を買ったっていうから見に行ったんだよ。
・・・確か、5歳くらいん時だっけな。
平次は、やっぱりお金持ちの庶民は違うなと思った。
何しろ、大阪府警本部長と世界的推理小説家のうえ、世界中にファンを持つ人間では・・・お金の額が断然と違うだろう。
「そのパズルはさ。・・・ある日、ロスに行く前に覗き込んだ、郵便ポストの中に入ってたんだよ。俺宛にな」
あの両親にバレると何されるか分かんねえから・・・とりあえず、解く暇もなかったからロスにそれを持ってたんだよ。
「・・・ほんで、解いてまったんか?」
コクン、とコナンは頷く。
それを解いた時、年齢は5歳だった。
「最初はさ?暗号だと思って解いてたけど・・・ある時、それが暗号じゃなく、パズルだと気付いたんだよ。んで、あーだこーだとパズルを組み立てて・・・・完璧に解き、誰にも知られていなかったそれがバレちまってな。―――他の人間にも見られて、おかしな事になっちまった」
「おかしな事?」
「・・・騒ぎ出したんだよ。その他人の女がな」
「騒ぎ出したあ?」
「ああ。・・・んでさ、流石にヤバイかと思って、その場からトンズラしたんだが・・・」
平次は、眉間を顰めた。
「そん時、パズルは解けてたんやろ?せやったら、何で今更、コイツをネットに流さなあかんのや?」
「・・・もう1人・・・解いた奴がいたんだけどな。俺の名前は分かるとして・・・そのもう1人は名前すら分からない。・・・しかも、俺は行方不明・・・ソイツは正体不明」
「・・・ネットに流すしか、方法がなかったちゅうわけか」
「ああ・・・」
コナンはパズルに目を移した。
そして、眉間を顰めた。 |