Stage4
―――夕方の川沿いの草原の坂に座る1人の少年。
他に人はいない。
坂の上の道にも誰もいない。
自然が綺麗な場所だった。
「やあ、坊や。1人でどうしたんだい?」
散歩でも?
笑いながら近づいて来た男。
ニコニコと笑っているが、少年は警戒心丸出しだった。
「そんなに警戒しないでくれ。怪しい者じゃないから」
「初めて会った人間をそうそう信用出来るかってーの」
フン、と少年は鼻を鳴らした。
やれやれ、と男はわざとらしく言ってみせた。
「―――で?何か用なのか」
・・・まさか、何もねえなんてことはねえよなあ?
「何もなかったら君に話しかけてなんかいないさ」
ニヤリ、と男は不敵な笑みを浮かべる。
男の方に振り向こうとしない少年、その後ろに立つ男。
・・・傍から見れば、親子にも見えるかもしれない。
そう、事情を知らない、第3者が見れば・・・。
「―――ゲームをしようか」
「はあ?ゲームぅ?」
何のゲームだよ?
「ゲームが始まる日は今から」
だが、8年経つまで君達はゲームに参加出来ない。
丁度、君達が17歳の時かな?
「8年後〜!?んなの、覚えてられっか!」
そん時に誘ってくれ!
少年は、やっと男の方に振り向く。
その顔は、不機嫌気味だった。
―――今から始まるゲーム。
今年、9歳になったばかりの少年がそのゲームに参加するのは17歳の時。
「大体、何で17歳なんだよ?別に、んな微妙じゃなくてもいいじゃねえか」
「いやいや。・・・全ての準備が整い、君達が参加できるまでの月日が8年なだけさ」
もし、それよりも早く巻き込まれてしまえば・・・ゲームに参加してもらう。
まあ、そんなことはないだろうけどね。
クスクス、と笑う男。
その表情は実に楽しげだった。
「・・・拒否権はないよ、君には」
いや、正確にいえば“君達”か。
その言葉に、少年は眉間を顰める。
流石に、意味が分からない言葉までは、どんなに知能指数が高かろうが分からなかった。
「“君達”・・・?一体、他に誰がゲームに参加するんだよ?」
「君と私、他に2人、かな」
「4人〜?・・・4人で本当に面白いのか?」
「面白くなかったら誘っていないさ。まあ、基本的には参加自由」
中心人物が君と私と他の2人なだけさ。
(・・・拒否権がないうえに中心人物が俺にアイツ、他に2人?・・・意味分かんねえよ)
更に、眉間を顰める少年。
それに苦笑し、男は口を開いた。
「―――意味なら、その時に分かるさ。きっと、楽しく面白いゲームになるはずだよ」
男は更に笑みを深くして。
少年はそれに眉間を顰め。
・・・男は口を開いた。
2人のことを、沈みかけた夕陽が照らしていた。
「・・・・・私にとって、君と他の2人はゲームを面白くするための駒」
思う存分動き回り・・・ゲームを面白くするといいさ。
最後らへんの言葉は口パクだったが。
少年には、それがしっかりと読み取れた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
目を覚ますと、そこはいつもと変わらない部屋だった。
隣にはいびきをかき寝ている毛利小五郎。
強いて違うといえば、いつもより早く目覚めたことだった。
(―――そういえば・・・あれから丁度、8年だよな・・・)
そう思い、カレンダーを見た。
(・・・今年が“始まりの時”なのか―――?)
・・・始まりの時。
それが、“Pandora game”始まりの序幕。 |