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マイバイブルは『異世界召喚物語』 作者:ポモドーロ

第一章 マイバイブルは『異世界召喚物語』

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エルーダの迷宮8

「続きをやるかい?」
 新人教育担当の男がひょっこり顔を出した。相変わらず胡散臭さそうな笑顔をしている。
「特に希望がないなら、続き、やってみないかね? 無料だし」
 手揉みまでしているこの職員の助言は結果だけ見れば的確だったと言えた。だからもう少し付き合ってみようと僕は黙ってうなずいた。
「よし、それでこそ冒険者だ」
 そういうと掲示板を見つめながら、依頼書を物色する。
「よし、次はこれいってみよう!」
 提示された依頼書『依頼レベル、C。依頼品、ウツボカズランの毒嚢。数、五。期日、水前月(みずまえづき)の末日まで。場所、エルーダ迷宮洞窟。報酬依頼料、金貨二十五枚、全額後払い。依頼報告先、冒険者ギルドエルーダ出張所』
「ウツボカズラン?」
「膝丈ほどの植物で、壺のような形をしている。レベルは十五ほどだな」
「え? 地下蟹より弱いの?」
「こいつらは群れで行動するからな、団体ではレベル二十五ぐらいの感覚だな。こいつらの特徴はとにかくウザイ! ことだ」
「うざい?」
「そうだ、ウザイ! だ」
「『硬い』の次は『うざい』ですか?」
「『硬い』の次は『ウザイ!』だ」
 顔を赤くして、むちゃくちゃうざそうな表情をしている。
「どんだけうざいんですか?」
「まず、こいつらは小さい。薄暗い洞窟のなかでいつの間にか足元にいたりする」
 確かにそれはうざい。
「こいつらは外敵を見つけると……」
「見つけると?」
「……」
「……」
「逃げる」
「へ?」
「逃げるんだよ! こいつらはいきなり逃げやがるんだ。それも二本の触手を上手に使って軽やかなバックステップで!」
「うわっ、それは嫌ですね」
「嫌ってもんじゃないぞ。こいつらは逃げ回わりながら次々仲間たちとリンクしやがるんだ。そして相手より優勢になると一転、反撃してきやがるんだ!」
「ええーっ!」
 そ、それは…… う、うざすぎる。
「たまに接近されたことに気づかずに、忘れた頃に襲われたりするんだよな。むちゃくちゃパニクるぞ」
「そんな馬鹿な……」
「二本の触手を弓のように使ってな、自分自身をスリングの弾のように打ち出してくるんだよ。体当たり攻撃だぞ。体当たり。それがまた痛くないんだ。こいつら質量がないからな、当たってもたいしたことないんだ、やんなるぜ」
 フーッと溜息をつく。
 全身むず痒くなるウザさだ。
「こいつらの最大の武器は毒だ」
「ウザッ!」
 思わず口に出た。
「ぶつかった拍子に毒を吐くんだよ。弱い神経毒なんだがな。吸ったら麻痺して動けなくなる。ダメージが累積すると心停止で死に至ることもあるぞ。というか動けなくなったら終りだ。あとはゆっくり指先から消化されるだけだからな」
「なんでこんなの相手にしなきゃいけないんですか?」
「楽してちゃ訓練にならんだろ?」
「そりゃそうですけど……」
「では、がんばってきたまえ、若人よ。成功報酬は蟹の五倍だよ、ゴ・バ・イ。毒対策もしっかりなぁ~」
 男は依頼書を持ったままスキップして事務室に消えていった。残された僕は、すでに戦意喪失状態だった。
「やめときゃよかった……」
 窓口で依頼書の写しをもらうと、うなだれてその場をあとにした。
 そういえばずいぶんと日に焼けた依頼書だったな。長い間、引き受け手がいなかったに違いない…… 体良く使われてしまったのかも知れないな。
 依頼放棄の罰金は、依頼報酬相当分の半分。つまり金貨十二枚と銀貨五十枚である。諦めろということだ。
 初投稿から一週間が経ちました。
 感想としては「一回に投稿する原稿量が想定していたより多いな」というところでしょうか。
 今のところ登場人物も少ないので会話文も少ないですし、地の文だけでこの量は結構堪えますかね。

 とにかく長期連載を続けている作家さんたちに頭が下がる思いの今日この頃です。

 それと少しずつ見てくれる人が増えているみたいなので、序の口ですが、ここで感謝を。
 がんばります。
 
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