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ストレイ・ワーカー 作者:新殿 翔
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7-46

 ――――――――――――――――――――――――――。

 ――――――――――――――――――――――――――。

 ――――――――――――――――――――――――――。

 ―――――――――――?

 ここは、どこだろう?

 身体をゆっくりと起こす。

 そしてしばらくじっとその場所を眺めていた。

 ……ああ。

 そうか、ここは……俺の家だ。

 どうして気付かなかったのだろう。

 俺が今いるのは家の、寝室。

 ベッドの上だ。

 頭がどこかおかしくなったろうか。こんなことにも気付けないだなんて。

 ベッドから降りて、背を伸ばす。

 と、壁にかけてある制服に目がいった。

 ……着替えるか。

 手早く、制服を着る。

 自室を出るとリビングに向かって、食パンを一枚、焼かずに手早く胃袋に収める。

 そこで、インターホンの音が鳴り響いた。

 なんとなく誰が来たのか、分かった。

 俺はそのまま学校の鞄を脇に挟むと、玄関に向かう。

 そしてドアを開けると……そこに、天利が立っていた。


「おはよ、嶋搗。起こしに来てあげたわよ?」
「とっくに起きてたよ」


 まったく、わざわざそんなことでここまで来ることもないだろう。

 俺の家は天利の家から見れば、学校までの遠回りにしかならないのに。

 なんというか……奇特なやつだよな。


「少しは女子が起こしにきてくれるって自分の立場を喜びなさいよ」


 天利が苦笑して言う。


「なんで喜ばなくちゃいけないんだ。恩着せがましい」
「そういう言い方ないでしょ?」


 軽く肩を殴られる。


「ま、いいわ。それより早く行きましょ。準備は出来てるんでしょ?」
「ああ」


 俺は玄関を出て鍵を閉めると、そのまま天利とエレベーターで階を下り、マンションを出た。


「ねえ、嶋搗。今日は放課後何か予定ある?」


 唐突に天利が尋ねてくる。

 俺は少し考えて、特に予定がなかったということを確認した。

 あったとしても、それは異界研に行って異次元世界に出るという程度のもの。

 別に、どうしても行かなくちゃならないとうものではない。

 だから俺は首を横に振って答えた。


「特に何もないが」
「ならちょっと、さ。付き合ってよ」
「……まだ買い物の荷物もちか?」
「そゆこと。物わかりがいい嶋搗は嫌いじゃないわ」


 そう天利が笑う。

 ……こっちの気にもなれっていうんだ。


「荷物持ちにされる俺はたまったもんじゃないな」
「そんなの知らないわよ」


 しれっと言ってくれる……。

 傍若無人だよ。本当に。

 これは断ってもしつこくされるだけだな。

 半ば諦めて、俺は溜息をついた。


「皆見でも連れていけばいいだろうが」
「それでいいんだけどねー、皆見は今日はアイと用事があるみたいだし。それに、皆見を連れていったら変なものとか買わされるんだもの。平然ときわどい下着とか買わせて来ようとする男って、普通に変態よね」


 皆見はそのうち警察のお世話になるのではないだろうか。


「それでそれを買ったのか?」
「あら、興味ある?」


 にやり、と。

 天利が意地の悪い笑みを浮かべた。


「いや、別に。ただ流れ的に聞いてみただけだ」
「……つまらない男ねえ」


 面白い男になりたいなんて欠片も思わないし、それで一向に構わないな。


「あ、ちなみにその下着、実は今日、履いてたり」
「ふうん」


 なんだ、結局買ったのか。

 それとも俺の気を引こうとしてついた嘘なのか。

 どっちでもいい。


「……あれ、なんか殺意が沸いてきた」


 いきなり天利がそんなことを呟く。

 事実、じっとりとした殺意が俺に向けられていた。


「なんだ物騒な……ストレス溜まってるのか」
「だとしたらその原因は一つだけどね」


 半眼で天利が俺を見る。

 その視線を無視して、俺はさっさと歩く。


「……はあ」


 肩を落として、天利が気を取り直すように頭を軽く震う。

 そんな天利の様子を視界の端に確認しながら、俺はふと空を見上げた。

 青い空。

 浮かぶ雲はゆっくと流れてゆく。

 ……。


「平和だな」
「え……?」


 思わず口からそんな言葉が零れて、天利が反応した。


「いきなりなに言ってるのよ?」
「いや……別に。ただ、こういうのもいいな、と思っただけさ」
「……変な嶋搗ね」
「そうか?」
「そうよ」
「そうか……」


 天利が言うのなら、まあ多分そうなのだろう。


「でも……確かに平和なのはいいことね。お陰で嶋搗と呑気に歩いてられるわけだし」


 天利が、ぼそりと小さくそんなことを口にした。


「ね、嶋搗」


 すると、天利が俺の前に回り込んできた。

 足を止める。


「それじゃ、今日の放課後、荷物持ちよろしくね?」
「……ああ、分かったよ」


 頷く。


「そ。ありがと……」


 天利が、微笑んだ。

 思わず惚けた。

 だってその天利の表情はとても……、


「約束よ、嶋搗」


 天利が素早く俺の手を取り小指を絡めてくる。

 そして、それを上下に振るう。


「荷物持ち、だからね? 破ったら針千本、のんでもらうから」


 ああ……。

 それは……嫌だな。

 仕方ない。肝に銘じておくとしよう。

 さて、と。

 それじゃあその約束を守る為にも……。



 ――さあ、夢はここまでだ。



すみません!
偉そうに一日二話とかいいつつ連日一話ずつしか上げられませんでした!
ちょっと友達の家に泊まりにいってて……。
明日からはちゃんとします!
そしてクライマックスです!
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