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VS
作:F



彼の想いとその情熱



「好きです!」

「嫌いです」


こんにちは、僕は鴨居カモイ浩太郎コウタロウって言います。
今の場面は…お恥ずかしながら、愛する先輩に直球で告白し見事に玉砕した場面です。
通算24回目。
初めて告白したのが入学後少し経ったときでしたから、そろそろ5月の半ば…あぁ初夏にさしかかろうとしていますね。

あ、その先輩のことを言い忘れてました。いけないいけない。
先輩の名は春日井カスガイ奈々ナナ。僕より1つ上の2年生です。
とっっっても可愛らしい名前でしょう?
その容姿は見るものを虜にし、目が合った瞬間茹蛸状態のようになること間違いなしってくらいの和風美人さんです。
右目の側にある泣き黒子、腰まで流れるように整った真っ直ぐな髪、か細い印象を受けるけれど、実は結構背が高くて凛としている、などなど。
先輩の魅力はまだ沢山あるのですが、これ以上言い続けると終わりそうにないのでこの辺で。
とにかく、ものすごく素敵な方です。

こんな風に言ってますが、実は僕、入学当時は先輩のこと、少し苦手だったのです。
とっても美人さんなのですが、その周りに漂う雰囲気が、少し恐くて。
入学当時、学校のことを教えてくれた先輩からにも遠まわしに近づかない方がいいよ、と言われたこともあって、僕の中では近寄りがたい存在だったんです。

それが変わったのは。

僕と先輩が同じ図書委員での仕事を任されたときでした。
そのとき僕は…自分で言って情けないのですが、ビビってました。ものすごく。

図書委員の仕事は主に書棚整理とカウンターの受付。
書棚整理はそれぞれの持ち場を与えられて個々に活動するのですが、カウンター当番となると、その、隣同士に座って作業をするんです。効率がいいだとか。単に場所が狭いせいだと思いますが。

僕は非常にあせってました。
とても綺麗な方だけど何考えてるのかよくわかんない、そんな風に先輩のことを思っていたのですから。
だから、そのときの僕はすごく挙動不審だったんだと思います。
時々発せられる言葉にビクッとしたり言葉遣いが変だったり、視線を合わせないようにしたり。

でも、一緒に作業しているうちに気づいたんです。
ビクビクオロオロしている僕に対して、幾度となく話しかけてくれ、僕の反応が悪くても気にせず、それどころか、まだ慣れない仕事に戸惑っている僕のためにさりげなくフォローを入れてくれて。
それに気がついたとき、思わず泣きそうになりました。

少なくとも、僕は、先輩に対して決して良い反応をしてないのに、先輩はそのことに気づいてるはずなのに、それでも先輩は見て見ぬふりをして僕を気遣ってくれた。
それなのに、周りの反応と第一印象のせいで先輩のことをあまり良く思っていない自分自身が本当に情けなく思ったんです。

不思議なことに気づいた途端先輩のことが段々見えてきたのです。
時々発せられる言葉は一言ずつだけど、よく考えてみればその内容は的確で仕事のやり方がわからない僕のためにわかりやすく言ってもらっているということ。
話す必要があれば話すし、必要でないならば話さない。
先輩は…ただ当たり前のことをしているのであって、決して怖い行動をしてるわけでは、ない。

話す頻度だって人それぞれだし、先輩はきっと、ただ話すことが少ない人なのではないでしょうか。
そんな風に思うことはすごく傲慢で不躾だけど、それでも、少なくとも先輩は皆が言っているような冷たい人じゃない。

とても優しい人なんだ。
そう思っているうちに、何だか、顔や耳が熱くなってきて…。
恋に、落ちてしまったのです。

恋と自覚したのが先輩とカウンター当番をしている時だったから、余計に顔を見られるのが恥ずかしくて。
表情は変わっていないように見えて、でもさりげなく僕の様子を案じてくれてる先輩。
それも分かると余計顔が熱くなってきちゃって。もう、心臓バクバク、隣に先輩がいるって改めて思っただけで余計にし、心臓の音が…。

なんてそんな僕の感情はいいのでした。
とにかく、そんなことがあって、先輩への見方が変わり、そして恋してしまったのです。

こんな感情になったのは初めてで、でも恋したということには間違いなくて、もうどうしようもなかったのですが少しでも先輩と仲良くなれるように、が、頑張って下の名前で呼ぶようにしました。
それを聞いたときの先輩が苦笑するのは忘れません。
先輩の笑顔って貴重なんです。めちゃくちゃ可愛いのです。

好きになってから気づいたことですが、先輩は図書当番以外でも図書館にいます。
ちょうど、夕方辺りで人がいなくて静かなとき。
僕もよく放課後本を読むし、先輩といたいという欲もあったため、ある日隣で本を読ませてもらおうと思って声をかけたら怒られました。怒鳴られ、涙ぐみました。
…先輩、そんなに本読む邪魔が嫌いなんですか?

先輩、少女漫画とかも読むんだなーと思いながら迎えた夜。
このままでは、毎週1回の委員会の仕事でしか先輩に会えない。
この時既に僕は先輩と毎日いたい衝動に駆られてました。
会いたい会いたい会いたい。

それに、先輩は少し恐れられてるみたいだけど、絶対影じゃ人気のはずだ。
こんな所で躊躇していたら誰かに攫われてしまう!

そう思って、翌日、告白する決心をしたのです。
…まぁ、結果は無残なものでしたが。

そして、
ご覧の通り、24回告白し24回ともバッサリ斬られている僕。
普通なら1回2回で容赦なく断られたら可能性も何も無くあきらめるかもしれません。
その方が、告白する側にとっては傷は浅く済むのですから。しつこい男って嫌われそうですし。

それでも、僕はあきらめきれないのです。
どんなに手酷く振られても嫌いになれず、むしろどんどん好きになっていくばかり。

それに、まだ告白したりないくらいです。
それに。
先輩は僕の嫌な態度にもめげずに話してくれた。
だから、僕もめげずに想いを伝えようと決めてるんです。

先輩が恋愛対象として見てもらえるのはかなり低い確率ですが…(僕ちっちゃいし)。
それでもいつか、先輩が僕の想いに応えてくれる日を願いつつ、僕は明日も挑戦しようと思います。







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