表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

死にたがりアリスと不思議の国

作者: 桜川藍己

 草木が生い茂る密林の奥深く。

 幼いアリスが一人佇んでいた。

 普段、綺麗に輝いているだろう緩くウェーブのかかった長い金髪は、土埃によって輝きを失わせ、寝癖のようにあらぬ方向に跳ね放題になっている。くりくりと可愛らしい瞳には涙を浮かばせ、今にも声をあげて泣き出してしまいそうな印象を見るものに与えていたのだった。

「ここは……?」

 その呟きは理性的な響きを孕んでいて、とても目の前にいる幼い少女から発せられたとは思えなかった。

 突然、アリスは怒ったような表情を浮かべたと思うと「だから、ここは何処と聞いているのよ? 案内人さん」と右の方を向きながら吐き捨てるように言った。

 すると、烏の顔をした三つ足のタキシード青年が驚きの表情を浮かべながら木々の隙間から出てきた。

「本当はあと一時間は出てきちゃいけないルールなんだけどね。なんで僕のことが分かったの?」

 アリスはその問いを聞いたとたんに怒りの表情を深め、岩を思いっきり投げつけるように答えた。

「二回目だからよ。なんでそんなに邪魔をするの」

「ああ、二回目だったか。じゃあ説明はいらないね……と言いたいところだけど、ルールで説明しないといけないって決まってるからさせてもらうよ」

「べつにいいわよ、ここは不思議の国。死にたかったら物語を終わらせ、でしょ?」

「そうアリス、君は選ばれたんだ」と八咫烏の青年は芝居がかったように両手を広げ近づいてきた。

「……なにが選ばれたよ? 人の邪魔ばかりして」

「しょうがないじゃないか、最近多いんだよ。君みたいな人間が」

 とてもとても僕たちだけじゃあ捌ききれないよ。とこれもまた芝居がかったように肩をすくませた。

「たしか地獄が一杯になったのよね?」

「そう。だからそう簡単に死なせられなくなったんだ」

 どうせ、死んでも生きても地獄なのだからね。

「ほら、また来たみたいだよ」

 アリスは慌てたように振り向いた。

 ──物語を終わらす上で同じ配役の人と会ってはいけない。

 物語の中で基本中の基本といっても良いルールだった。

「まずッ! 早く離れな……ッ!」

 アリスは素早くこの場から離れようとしたが「急に慌てて何処に行こうっていうんだ? まだチュートリアルは終わってないよ」と八咫烏が軽く指を鳴らすと、急に力が入らなくなったかのように倒れこんでしまった。

 そして、そのままアリスはアリスの目線に吸い込まれていき──

「残念、アリス。また待っているよ」

 ──目を覚ました。

~た。を連発したなかで読みやすさを求めたのですが、多分失敗ですよね~

できれば感想がほしいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろかったです。ありがとう
2019/11/12 14:47 退会済み
管理
[良い点] 可愛らしいキャラクター達 これからどのようにことが運ぶかワクワクします。 [一言] すみません。 一回感想を上げましたが、やはり失礼にあたると思いもう一回あげ直させていただきます。 アリ…
[良い点] 二度も繰り返しているなんて・・・死ぬの頑張りますねアリスさん。 この後の話がとても気になる話でした!長編出たらいいなー(チラッ [一言] 『た』の多様があるとありましたが、 どうでしょうか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ