10 人の波の中で 中編
しばらく経ち、李典、于禁が合流し、早速会議が始まる。
「まずは、確認されている賊の数は?」
「およそ、三千から三千五百程です、もしかしたらまだいる可能性もあります」
「予想以上に多いな…。それで柵の状況は?」
「問題ないです、東門だけ心もとないくらいやな、せやかて何分急造やからどの程度保つかはわかりません」
「そうか…、韓当どう思う?」
俺っすか!?何故俺に振る?
テキトーに言っとくか
「そうですね…とりあえず、東門に夏候淵さんと許緒ちゃん、正規軍を配置、西門を俺と于禁、南門を楽進、李典を配置するのが汎用性が高いと思います。
そして、各所にそれぞれ分けて弓兵を少しずつ配置するのがいいと思います」
「ふむ、その布陣ならば、持ちこたえられそうか…、それでいこう」
採用されちった☆
いいのか!?三秒で考えた案だぞ!!
三人娘からなんだか羨望の眼差しが送られてくる。やめて!そんな綺麗な瞳で俺を見ないで。
「では持ち場にいって、装備を確認してくれ、弓兵は、此方で装備を整え次第各所へ送る」
夏候淵さんがそう言って解散となる。
「韓当さん凄いの〜、夏候淵様に物怖じしないで発言するなんて〜」
「そやで、普通はあんなに堂々言えへんで」
そんな言葉をかけられる。
いやぶっちゃけどんな偉さか、知らないだけなんだけどねー。
「そいじゃウチは、柵の最終確認に行ってくるわ」
「私は南門の兵をまとめに行こう」
「はいなの~、凪ちゃん、真桜ちゃん、頑張ってなの~」
二人を見送り、俺達も西門に向かう。
西門では、兵士さん達が装備の確認をしていた。
「それで韓当さん、どうするの~?」
どうしようね?俺が聞きたいよ…。基本的に俺は前衛だもん。
「あっ。そうだ。何人かで、これ位の岩を集めてくれないかな?」
一抱え程の大きさを示して言う。
「そんなデッカい岩どうするの~?投げるにしてはデッカ過ぎるし…でも分かったの」
「悪いね~」
兵士の元へ駆けて行く于禁。
さて、まぁ遠距離戦もこれでいけるだろ。さて、どうなるやら。
「てっ敵襲ーーー!!」
カーンカーンカーン
朝日が昇る頃に、それはやって来た。
警鐘の音に、仮眠をとっていた俺は跳ね起きる。
来やがったー!
鉄甲を身につけ、西門に走り出す俺。
「状況は!?」
「まだなの!後少しで接敵なの!」
緊迫した様子で答えが返ってきた。
矢倉に登り、見渡す。
「CG?」
思わずそう呟いた。
平原に広がる人の波。映画の中でしか見たことのない、まるで一つの生き物のようなうねり。
横から見たら壁に見えるし、上から見たらこんな風に見えるんだなぁ。
同じ目線からでしか見たことなかったが、改めてデタラメな数だよなぁ。
はっ!今まさにうってつけのセリフが!
「見ろ!人がゴミn…「韓当さん!接敵したの!」」
せっかくいいところだったのに…。
まぁやることやらねばな。
「于禁、頼んどいた岩は?」
「なにいってるの、そこにあるの」
え?右見て、左見て、あるぇー?こんな所に壁あったか?それになんか粗雑な作りだな…
「ってこれ!?」
「そうなの。どれくらい必要か聞かなかったから、とりあえず用意できるだけしたの」
頑張り過ぎだろ…。そしてよく集めたな。どこにこんなにあったんだよ…。
まぁ、やりますか。
さて、それじゃ。
「いくぞ黄巾党一一一一一一一兵の貯蔵は充分か」
・
・
・
・
戦端が開かれ、三時間程経った。
「状況はどうなっている!?」
「はっ!防柵は二つ抜かれましたが、いまだ奮戦しております!」
まだこちらは持ちこたえられるな、西門と南門はどうなっているか…。
「報告します!南門はいまだに健在!まだ持ちこたえられるそうです!」
やはりあの者達は優秀な人材のようだな。三方に別れているとはいえ、各門に千人近くはいる。それを相手に、寡兵でこれほど持ちこたえられるのだからな。となると、残りは西門だが…
「報告なの~」
響く于禁の声。
む?副官が直接連絡に来た?まさか、抜かれたか!?
「西門の敵壊滅なの~」
は?今なんと言った?壊滅?味方が、ではなく敵がか!?
「夏候淵様?」
「すまない、私も大分疲れているようだ、もう一度報告してくれ」
「はいなの、西門方面に展開していた賊は殲滅しましたなの~、なので、西門の弓兵を連れてきました」
聞き間違いではなかったらしい。
一体西門でなにがおこったんだ…。
・
・
・
・
その半刻ほど前。
「これは俺の分!
そしてこれも俺の分!
おまけにこれも俺の分だぁぁぁ!」
ヒューンヒューンヒューン
ドゴゴゴーンッ
ふははは、我が軍は圧倒的ではないか!!
俺の俺による俺のための人力投石機!
「凄いの…」
あんぐりして見ている于禁+兵隊さん達。
いや仕事しろよ。
ふむ、こんなもんか?
休憩を挟みつつ、2時間くらい投げてたら、殆ど岩は投げてしまった。
岩は数える程しかのこっていないが、賊も数える程しか残っていない。
岩が当たらなかった賊も、尻尾を巻いて逃げて行った。まぁ逃げたやつらのほうが大分多いんだけどね。
あとは味方の近くにいた敵と、射程圏外にいた敵だけだ。
「于禁、それじゃ残りを片付けにいくぞ」
「分かったの!」
二刀を取り出し、俺の後に続く于禁
残りも半刻ほどで片付いた。
「よし、こんなもんだろ、于禁!少し兵を残して、他の所に向かおう」
「分かったの~」
「夏候淵さんの所は頼む、俺は南門へ行く」
「ご武運を~なの~」
「于禁も頑張れ~」
ゆっるい挨拶を掛け合いながら走り出す。
弓兵は全部于禁に任せた。
元々夏候淵さんの弓兵だし、そのほうが上手く活用できるだろう。
しかし、やっぱり一抱えもある岩が飛んでくるのは恐ろしいんだろうな。まぁ俺でも怖いしな。この時代には投石機ってなかったんだっけ?
ゲームではバリスタとかあったから、投石機くらいあってもよさそうなんだが。
とか考えているうちに、南門にたどり着く。指示を飛ばしていた李典を見つけ駆け寄る。
「おーい、李典!」
「あれ兄さん!?どないしたんや?」
「いや、終わったから手伝いに」
「はぁ!?終わったって、どういうことや!?」
「どうもこうも、敵さんやっつけ終わったから、きた」
「……さよか、兄さんほんま噂通りの人やな…」
失礼な!人なんか食うか!!……欠食青年だった頃は少し頭をよぎったがな。流石にそのラインは越えてない。つか越えてたらあそこで行き倒れてなんかいない。
「ってそんなこと言ってる場合やない!最前線で凪が戦っとる、助太刀してやってぇな!」
「了解!」
そう言って柵を飛び越えて助力に向かう俺。
最前線で敵をなぎ倒す楽進。
「はぁぁぁ!」
ドカァン!
なにあれ!?今の気だよね気!!ヤバい超カッコイい!あれ使えれば俺も遠距離で戦えるよな!
テンションだだ上がり。って助太刀しにきたんだった
「楽進!」
バカンッ
叫びついでに、手近な賊を蹴り飛ばす俺。
「韓当殿!?」
「助太刀にきたぜぃ!」
「しかし、西門は!?」
「大丈夫、終わらせた!」
会話しながらも、まわりの賊を蹴散らす二人。
「そうでしたか、ご助力感謝します」
そう言ってまた気を蹴り出す楽進。
いいなぁいいなぁ!俺もやりたい!
そして半刻ほどたったとき
ジャーンジャーンジャーン
これは…銅鑼の音?
「報告します、北東に軍勢!旗印は曹です!」
味方の到来に、士気が俄然あがる。
援軍も加わり、あっという間に黄巾を蹴散らし、この戦に終止符が打たれた。
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