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学校日和2
作:めろん



第52回 おかえり日和


「ぷわあぁ……」

 朝の食堂にて、プリンがいつものように欠伸をすると、

「やー、やっぱりプリンはこっちじゃないとねー?」

と、ココアがアイスココアを口に運びながら、しみじみと言った。

「みゅ?」

欠伸の後なので、疑問を表す言葉がいつもとは若干違う、こしこしと目を擦りつつ小首を傾げたプリン。

「あはは……なんて言うか落差が激しいよね」

「激しいって言うか激しすぎるよねー」

「??」

のほほんと会話しているミントとココアに、プリンが浮かべる疑問符を倍増させていると、

「……ネクタイ曲がってるぜェ、枕?」

プリンの対角線上にいるポトフが、朝食が終わったのか、テーブルの上に頬杖をつきながらそう言った。

「ぴっ!? ……あ、ありがとう」

突然そんなことを言ってきたポトフに驚きつつも、プリンがネクタイを直してからお礼を言うと、

「どォいたしましてェ♪」

ポトフはにっこりと笑って返事をした。

「ぷあ?!」

いつもと対応が違いすぎる彼に、思わず寒気を覚えるプリン。

「♪」

「ポトフはポトフで超ご機嫌だしねー」

「あはは、まあ、初めて勝ったんだしね」

彼の反応を気にすることなく上機嫌なポトフと、再びのほほんと会話をしたココアとミントに、

「???」

疑問符をまた一つ増やす、ゴマの時の記憶がないプリンであった。












ポッポー

 蒸気をもくもくと煙突から出しながら、蒸気機関車は走り出した。

「やーっと夏休みだねーっ!」

車内の個室についている窓を開けて、ココアが元気にそう言うと、

「うむ。そうだな」

「ココアちゃんと離れたくないー!!」

「あの家に帰りたくないー!!」

こくりと頷いたプリンの隣と対角線上から、何やら悲鳴が聞こえてきた。

「「! なら家に―…」」

「あ?」

「む……」

窓の外に顔を向けて聞こえないふりをした顔が赤いココアの隣で、これだけは譲れないのか、バチバチと火花を散らし始めるポトフとプリン。

「ミント、俺の家にはお医者さんと美容師さんがいるぜェ?」

「む。ミント、僕の家なら……。……。と、取り敢えず広いし、セキュリティは万全だぞっ!」

そして、何やら自分の家を紹介し始めた二人。

「って、いやいや、何自分の家をオレに売り込んでるのさ?」

「あはは、ミントもてもてだねー♪」

呆れたように笑いながら突っ込みを入れるミントと、そんな彼を茶化すココア。

「あっはっはっ……勿論、ココアちゃんも大歓迎だぜェ?」

「よーし、じゃー私、ブドウのとこに行ってくるねー!」

流し目ポトフの左足を思い切り踏み付けた後、ココアは爽やかに個室から出ていった。

「いや、ヒールは真面目に痛いってココアちゃ……」

ヒールの高いブーツに踏み付けられたポトフは、足を押さえて震えていた。

「あはは……そう言えば、プリンの家ってどのくらい広いの?」

 ポトフに気の毒そうな笑みを向けてから、ミントは疑問を投げ掛けた。

「む? ……むう……」

その問いに反応したプリンは、少しの間考えた後、

「たぶん、ミントが百人寝ても大丈夫な部屋が三十個ぐらいあるぞ」

と、さらりと答えた。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……なんか、物置の宣伝みたいだね」

「ね」

彼の答えを聞き、ミントとポトフは思わずフリーズしてしまった。

「む……でも、別館もあるから……」

いくつあるんだ? と真剣に記憶をめぐらせて指折り数え始めたプリンの隣で、

((……住んでる人が把握し切れない家って一体……))

とか思うミントとポトフであった。









 駅を出て、大通りを抜けて、運河の上に架ったアーチ状の橋を渡って、白亜の城と反対方向に進んで三番目の角を曲がった所に、その家は存在していた。

「……出た……」

この家を目指して此処まで歩いてきたクセに、まるでオバケが出たようなもの言いをするミント。

「「……!」」

「?」

すると、庭の方から何か声が聞こえてきたので、ミントがそっと家の門から庭を覗いてみると、

「アイ」

「アム」

「「メルヘン!!」」

(いきなり不審者おる……)

覗かなきゃよかった、と心底後悔した。
それは、彼の庭の真ん中でシルクハットを被った紳士とピエロ少女が何かやっていたから。

(よし、公園に行こう)

彼らに激しく関わりたくなかったミントは、荷物を引きながら公園に逃げることにした。

カラカラカラカラカラカラ

 荷物を引く音を響かせながら、ミントは公園にやって来た。

「……! ……!」

が、此処でも声が聞こえてきた。

「?」

公園から声が聞こえてくるのは当たり前のことなのにも関わらず、ミントは入り口にある門から、先程と同じように中を覗いてみた。
――すると、

「ユウ、準備完了、です」

「よしきた」

『"よしきた"じゃないわよって言うか此処から出せって言うかこの二人なんとかしなさいよアオイいいいい?!』

「ふふ、小鳥さん、こんにちは」

『聞けええええええ!?』

「さてと、始めるか」

「はい、です」

『いやいやいやいやいや待て待て待て待て待てホントお願いします此処から出してくださいリン様ユウ様仏様ああああああああ?!』

公園の木の下に、今まさにサンドバックごっこを始めようとしているリンとユウと、麻袋に入れられて木の枝にロープで吊されているウララと、小鳥を指に止めているアオイがいた。

(……本当にプリンかポトフの家に行こうかなあ)

何やら安息の地を失ってしまったかのように、心の底から溜め息をつくミントであった。

「あ、ミント!」

(!!)

「……ミントさんも参加します、ですか?」

「今なら無料承り中だ」

『キャンペーンんんんんん?!』

見付かっちゃった……。












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