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学校日和2
作:めろん



第4回 大掃除日和


 蒸気機関車の終着駅を出て、広大な森を抜けた先の小高い丘の上にある、縦にも横にも巨大な城のような国立魔法学校の大広間で、始業式が開かれていた。

『……では次に、学校長挨拶』

『えー、げふんげふん』

進行役の先生に言われた通り、学校長は腰かけていた椅子から立ち上がり、長々と語り出した。

「ぷっはー! やっぱりコーラは最高だね! グゥレイトォだね!」

「うむ。やはりプリンはカスタードに限るな」

 一番後ろの席だから、向こうからは暗くてよく見えないだろうと踏んだのか、学校長の話をこれっぽっちも聞かずに、長テーブルに用意してあったコーラをことごとく飲み干していくミントと、カスタードプリンを上品に頂くプリン。

「ちょっとポトフー!? いつまでこうしてる気なのよー?!」

彼らの向かい側の席で、未だポトフにお姫様だっこされているココアが、小さな声でポトフにもの申した。

「あっはっはっ! それは勿論、死が二人をわかつまで(ハート)

すると、ポトフは爽やかに微笑んでココアにそう言った。

「あれ? おっかしいな。なんか急に寒くなったね、プリン?」

「うむ。不思議。何やら急に寒くなったな、ミント」

その寒い台詞が耳に届いてしまった為、体感温度が急降下したミントとプリン。

「ふざけたこと言ってないで早く降ろしなさいよー! って言うか、どうしてお姫様だっこなのよー!?」

頬を若干紅潮させながら、彼に言い返すココア。

「どうしてって、ココアちゃんがお姫様だから」

「なっ―…」

すると、ポトフはココアの赤らんだ頬に左手を添え、

「勿論、俺だけの……♪」

流し目。

「わあ! 見て見て、プリン! あっちにバケツプリンが置いてあるよ!」

「うむ。その隣にはコーラタワーが置いてあるな」

「わはー、凄いね! 早速移動しよっか?」

「ふふふ。うむ。早速移動しよう」

寒さに耐えられなくなったミントとプリンは、半ば現実逃避しつつ、ナルシストでキザリストなポトフと顔を真っ赤にしたココアを残して、足早にそこから立ち去った。












 国立魔法学校には四つの寮があり、生徒にとって、学期が終わるまではそこが彼らの家となる。
ウサギさん寮、おサルさん寮、ヘビさん寮、ヒヨコさん寮と、なんとも幼稚な名前がつけられている四つの寮は、それぞれが男子寮と女子寮に分かれている。

「わはー。もう三年目になるけどなんか久しぶりだねー?」

「うむ。久しぶりだな」

「あっはっはっ! 埃スゲェなァ!」

 始業式が終わり、ミントとプリンとポトフは、ウサギさん寮の男子寮の一室にやって来た。
その部屋は、春休みの間使われていなかっただけの筈なのに、ポトフが言った通り、埃で酷く汚れていた。

「うん。掃除が必要だね」

「うむ。掃除が必要だな」

「ウン。なんで俺を見るんだ?」

こちらに顔を向けたミントとプリンに、ポトフは微笑んだまま聞き返した。

「あはは、冗談冗談♪ 魔法でぱぱーっと終わらせちゃうのも一つの手だけど、今日は自力で掃除してみよう!」

「? どうして?」

腕捲りをして気合いを入れたミントに、小首を傾げるプリン。

「ノリで」

「ノリか」

プリンがすんなりと納得したところで、

「じゃあ、オレは此処で、プリンはお風呂。ポトフはトイレね?」

「なんで!?」

「ノリで」

「あっはっはっ、なァんだノリかァ」

三人は役割分担をして、自分達の部屋の大掃除を始めた。

「ねえ、プリン、ポトフ」

「む?」

「はェ?」

 しばらくすると、ミントに名前を呼ばれたので、プリンとポトフはこちらに顔を出した。

「此処に観葉植物置いていい?」

窓際の日当たりのいい場所を指さしながら、二人の同意を求めるミント。

「ふふふ。勿論、ミントの好きに―…」

「あっはっはっ! 勿論、ミントの好きに―…」

『『ジェララララ!!』』

すると、ミントが危険な笑い声を発する食人植物を出現させたので、

「「しないでください」」

二人は声を揃えてそう答えた。

「そっか。残念……」

((と言うか、それは絶対に観葉植物と違うかと))

そんなことを思いながら、彼らは掃除を続けるのであった。












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