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学校日和2
作:めろん



第2回 紹介日和


 春の麗らかな太陽の下。
真っ黒な蒸気機関車を降りた背の高い少年と背の低い少女は、その先にある国立魔法学校に向かう為に、深緑の森の中を歩いていた。

「うーん……ミントったらどうしたんだろねー?」

緩くウエーブがかかった、肩まである桜色の髪の毛の彼女は"ココア"。

「うむ……汽車の中と駅では見当たらなかったな」

流れるような水色の長い髪を後ろでひとつに束ねている彼の名前は"プリン"。

「……ふむ。もしかして」

「? もしかしてー?」

濃い桃色の大きな瞳を彼に向けてココアが続きを促すと、

「ミント、寝坊?」

眠そうな切れ長の蒼い瞳を彼女に向けてプリンが応えた。

「……それ、プリンに言われたら終わりだねー?」

「む?」

ココアは、プリンが抱えている両端に桃色のヒラヒラがついた白い枕を見ながらそう言った。
小首を傾げた飛び抜けて美男子の彼は、見た目はクールっぽいのだが、その可愛らしい枕がそのイメージをぶち壊している。

「……まー、もしかしたらチロルに捕まってるだけかもしれないしねー? そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよー?」

「ぴわわ?! ココア、それは余計に心配っ!!」

ついでに発言も。

「あはは♪ そうー?」

顔色を悪くして慌てた彼を見て、ココアは面白そうに笑った後、

「それにしても、ポトフは何処まで走ってっちゃったんだろねー? "ミントォォォォォ!!"って叫びながら」

再び前方に顔を向け、小首を傾げた。

「む? それこそ心配しなくて大丈夫だ」

するとプリンは、しゅっと元の無表情に戻った。

「あいつはお腹が空けば帰ってくる」

「……飼い犬?」










 プリンとココアが会話をしている頃、

「ミントォォォォォ!!」

少しクセがついた黒髪の少年"ポトフ"は、未だ"ミントォォォォォ!!"と叫びながら爆走していた。

「理由? そこに大地があるからサ」

そんなことは誰も聞いていない。

「こ……これだけ呼んでも返事が無いなんて……何処にいるんだよ、ミント……?」

叫びながら爆走して苦しくなったのか、ポトフは足を止めた。
プリンと同じように美形で背の高い彼は、右目に黒い眼帯をつけ、左耳に十字架がぶら下がっているピアスをつけている。

ガサガサ

「? ァん?」

前方でした大きな物音に反応し、ポトフがそちらに顔を向けると、

『うぱー』

そこには、大型の魔物がいた。
 "魔物"とは、たまに例外もいるが、性格が狂暴で、動物や人間を見たらほとんど理由もなく襲いかかってくる、非常に血の気の多い生き物のこと。
魔物は攻撃方法や魔力の他に、姿も様々で、動物のようなものもいれば、よく分からない姿のものもいる。

『うぱー』

只今ポトフの前に現れたのは、姿に似合わず可愛らしい鳴き声を発するワニのような魔物。

「わァお。おにィさんが見たら狂喜乱舞しそォ―…」

 自分より大きな魔物を見ても、顔色一つ変えずに呑気にそんなことを言っている途中で、

「――っ!?」

ポトフは魔物の鋭い牙に、帽子が引っ掛かっていることに気が付いた。

「……ミントを……」

ザワッ

と同時に、ポトフは魔物に殺気が篭った鋭い眼光を向けた。

『うぱうぱ』

すると魔物は、上等。カモン、とでも言うように、立ち上がって右の前足をちょいちょいと動かした。

「返しやがれェェェ!!」

『うぱー!!』

ほぼ同時に地を蹴り、かの有名なクロスカウンターのキックバージョンを披露するポトフと魔物。

『うばほうが?!』

が、当然のことながら、ワニの足は短い。
よって、ポトフの蹴りだけが魔物の腹にヒットした。

「このっ! くそっ! ミント返せよ!!」

『うば!? うば?! うぱば!?』

そのままマウンドポジションになって魔物の腹を殴るポトフ。

「返せよ!!」

『うばほああ!!』

ポトフの叫びも虚しく、魔物は断末魔の叫び声をあげて消滅した。

「……嘘……だろ……?」

その場に帽子以外何もなくなってしまったのを見て、力なく膝をつくポトフ。

「……ミント……」

ポトフは左目の端に光を宿し、帽子を握り締めながら大空を仰いで叫んだ。

「ミントォォォォォ!!」

「そこ退いてポトフうううううううううううう!?」

「って、ミントォォォォォォォォォォォォォォ?!」

すると、ミントが空から降ってきた。
そして、ガチコーンという痛々しい音が辺りに響き渡った。












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