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ファンタジー超短編集 作者:速水 流
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孕んだモノ

(EMPEROR)


「うー……」


 小さく唸りながらイルレは、真夜中の城をさ迷っていた。彼女が歩いた場所には、転々と血痕が残されている。


「……何をしている?」

「……おーさまー……?」


 目の前にジンガが現れイルレは足を止めた。


「……おなかいたい……、おなかすいた……、おーさま……おーさまぁ……」


 泣いて訴える彼女の服の袖から黒い何かが幾つも落ちる。


「……邪龍の眷属か」

「あー……やだぁ……おーさまたべちゃやだぁ……」


 何かが立ち上がり、ジンガに襲い掛かった。しかしそれはすぐに、抜かれた刀により斬り捨てられる。


「いたい……いたいよぉ……」


 床に踞り泣き続ける女。彼女を抱き上げジンガは地下へと向かう。


「おーさまぁ……いたいぃ……」

「少しの辛抱だ、すぐ楽になる」


 皇帝を狙うは、すぐ傍。
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