挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ファンタジー超短編集 作者:速水 流
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

242/385

始祖

(PHANTOM・過去編)


「がっ……!」


 血の海に沈むのは“執行者”。

 彼女の視界に居るのは“白き闇”。


「……何故、だ……何故……」

「……どうして君は、僕に刃を向けるんだい?」

「……な、に?」


 問われた、だが答えが見つからない。

 彼女を動かしていたのは、彼女の中にある“何か”。


「……やっと分かった……君は絶対に僕に勝てないんだよ」

「ざける、な……!」

「ふざけてなんかいないよ」


 普段の軽々しい口調ではない。

 思わず彼女は彼を見つめた。


「君は何処で産まれたの?」

「……え?」

「僕は知ってるよ……、君には兄弟が沢山いた筈だ」

「…………」


 一体何を言っている。

 自分の過去を知らない彼女の眼が揺れる。


「ゴメンね」


 彼女には理解出来なかった。

 彼の言葉の意味が。


「僕達は完全な始祖を作ろうとした……でも駄目だった、完全なんて無理だった、僕を超える事が出来なかった……。だけど紛いモノは言えど、出来た子供達は始祖の力を持っている……しかもそれは酷く不安定なモノで、外に出してしまえばどうなるか……。だから僕は、僕の独断で、全てを無かった事にしたんだ」

「……貴、様……!」

「人も、場所も、物も、全て破壊した筈だったのに……」

「貴様ァ!!」


 立ち上がった彼女は、彼の胸ぐらを掴む。


「私は……、私は……!」

「僕は自分勝手なんだ……僕を超える始祖が出来れば、僕を殺してくれると思ってた。……だけどそれは、その子が……僕と同じ道を辿るだけだと、やっと気付いた」

「…………」

「僕はね、自分の殺し方が分からないんだ……殺してもらおうとしても、身体が勝手に拒否してしまう……。だけど、僕は……」

「……っ、ぅぁあ……!」


 崩れ落ちる身体を彼は抱き締める。


「……ゴメンね、ちゃんと殺してあげられなくて」


 ありがとう。

 生きていてくれて。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ