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ファンタジー超短編集 作者:速水 流
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狂気の月

(AGAIN)


「…………」

「カイ、出掛けるの?」

「夜回り、今日、自分……」

「あ、そっか……じゃあ気をつけてね」


 千真に見送られカイは静かに屋敷を出て行く。

 夜空に雲は無く、満月が輝き闇夜を照らしていた。


「……静か……、じゃない」


 屋敷から大分離れた場所で彼は足を止めた。 すると雲ではない“何か”が月を隠す。


「……土蜘蛛」


 “何か”の名前を告げ見上げると、そこには巨大な土蜘蛛が居た。


「……月を隠すなんて、無粋の一言に尽きる」


 振り下ろされた足の下に彼居ない。彼は土蜘蛛の背に立っていた。


「月も、太陽も……我々神の物だ」


 剣で腹を割くと、中から子蜘蛛が大量に現れ地に降りた彼を囲む。


「……来なよ」


 眼に狂気を宿し、ツクヨミは笑う。

 満月は不気味な赤を見せた。


「遊んであげる」
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