序章 7 隠していたもの
実際もとの身体に戻る時、あるいは幼児化してしまう時の苦しさは耐えがたいものだ。
骨が溶けていくかのような激痛を感じ、身体は焼けるように熱くなる。あまりの痛みに声をあげずにはいられないほどだ。
今や灰原を実の娘か孫のように思っているらしい博士に(俺から見るとやや過保護だが)その姿を晒すのは確かに酷だ。
灰原の長い説明が終わった頃には、俺も落ち着きを取り戻していた。まだ聞きたいことはあったがあとで構わない。
「なんかのど渇いたな」
灰原は大げさにため息をつくと呆れた顔をしてみせた。
「まったく呑気なひとね。さっきも言ったけど私はいろいろやることがあって忙しいの。コーヒーを飲んだら帰ってよ」
「へいへい」
心底面倒くさそうに立ち上がり彼女はドアの向こうに消える。
俺はパソコンの画面を覗き込んでみたが、数字とアルファベットの羅列が続くばかりで、意味するところはすぐにはわかりそうにない。
するとまたすぐにパタパタとスリッパの音がして、勢いよくドアが開いた。
彼女はつかつかとパソコンデスクに近づき、解毒剤の瓶を白衣のポケットに入れる。
「なんだよ、その不自然な行動」
「あら、また誰かさんが勝手に飲んだら困るでしょう」
「だから違うって」
そして今度は右手を俺に差し出す。
「持ってるもの返しなさい」
「な……なんだよ」
思わず後ずさる。
「鍵よ、鍵。博士が渡したんでしょう。
あなたがそんなもの持ってるとおちおち着替えもできないじゃない」
「どういう意味だよ」
こうして鍵は没収され、灰原は今度こそコーヒーを淹れに行った。
とりあえずのせたという感じです。進展せずすみません。次回は少し話が進むと思いますが今大幅に手直し中です。
ここまでお付き合いくださっている方々、ありがとうございます。
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