第二章 8 疑い
新一からメールが届いたのは、もう明け方に近いぐらいの時間だった。
母のところに戻ってきてから何度か電話していたのだが、電源が切ってあるようだったのだ。
母のベッドの隣に敷いた布団の中で身体を起こす。母はもちろんとっくに寝息をたてている。
私は眠れない。
壁の向こうの和室からはかすかに父のいびきが聞こえてくる。また炬燵で寝てしまったのだ。母は口ではいろいろ言っていたが、すぐに毛布をかけてやるよう私に言いつけていた。
照れずに自分ですればいいのにと思う。
みぞれ混じりの雨は上がったらしく、カーテンの隙間からは月の明かりが漏れ入って私を照らしていた。
窓の横には濃いブラウンの鏡台が置かれている。左右に引き出しや扉がついた半三面タイプで、真ん中の鏡だけが両側のそれより倍以上広い。そのために閉じてあっても中央だけが縦に細長く鏡が露出している。
鏡を見る私が切り取られたように半分だけ映っている。
私は布団を出ると窓際に立って、カーテンの隙間から窓の外を見下ろしてみた。
母の事務所に程近い高層マンションの中階にあるこの部屋からは、正面の並木道を彩るイルミネーションが見渡せる。
でもその美しい光の川も、今の私には空々しく感じられた。
新一のメールはどこからしくないように思えた。でもどこがどう違うのか、突き詰めて考えてもよくわからない。ただなんとなくそんな感じがするだけだ。
風邪をひいて出かけられなくなったので、うちでビデオかゲームでも、という。
大丈夫なのか心配する反面、昼間の出来事は簡単には頭からはなれなかった。
私がいる事に気がついた時の、二人揃って見せた愕然とした顔が嫌でも思い出された。
私が何か言う度目配せしあう二人の様子が、追い払っても追い払っても頭に浮かんでくる。
もしかしたら二人は今まで一緒にいたのかもしれない。新一がこんな時間にメールを寄越すことは普段はまずない。今まで一緒だったから遅くなったのではないか。まさか今も二人でいるのでは。どんどん悪い方へ考えてしまう。
私は風邪はひどいのか尋ねるメールを送ってみた。
返事を待つ間、タクシーの中で受け取ったコナン君からのメールをもう一度読み返す。
新一が楽しみにしていると言っていた、という事だけで、コナン君がどこに泊まるかなど自分の事には一切触れていない。
コナン君もこのメールの後は音信不通だ。
私はもう一度布団にはいって横になる。
明日は必ず聞こうと思っていた。このまえ聞きそびれてしまった事を。本当に聞きたかった事を。
でも考えるほど躊躇いは大きくなる。
新一からの返信はこないまま、私はいつか眠りに落ちていた。
こんにちは。ここまで読んで下さりありがとうございます。
相変わらず話の流れがスローペースでスミマセン<m(__)m>
この話は私にもストレスフルでした。次回は発散するつもりです。
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