第二章 2 彼を捜して
今日は御留守だと思っていた。確か博士も哀ちゃんも北海道のフサエさんの実家へ行くのだとコナン君から聞いていたのだから。
電話をもらって母の家から慌てて来てみたけれど、本当に新一はここにいるのだろうか。
ふと見慣れた隣の家を見る。あの家に別の人が住むようになってどれぐらいたったろう。今は掃除に来る必要もなく、博士の家に鍵を借りに来るようなこともなくなってしまった。
どうしようか迷っていると、中から女性が怒鳴る声か叫ぶ声がかすかに聞こえたような気がした。
やはり誰かいる。
少し開いていた門の中へ入ってみる。
何かあったのだろうか。もしかして何か事件とか。
ドアに手をかけると予想外に抵抗なく開いた。
恐る恐る中へ足を踏み入れる。
「こんにちは。博士か哀ちゃんいますか」
自然に声は小さくなる。
事件かもしれないと思ったせいというよりは、ただ新一がいるかもしれないというだけで、非常識な行動をとっている自分への後ろめたさからかもしれなかった。
廊下を通り抜けリビングへ入る。
やはり女性の声がしているようだ。
園子から、車の中から新一を見たと電話をもらってからまだ30分ぐらいしか経っていない。今日はとても道が空いていたからだ。
自分の家の方向から歩いてきて、妙に嬉しそうに博士の家の前に立っていたというのだ。
園子自身は急いでいたので声をかけられなかったらしい。
いつにまにか足音をたてないよう歩いている自分に気がついた。
地下室から口論するような声が聞こえてくる。
つい誘われるように階段を降りて行く。
話の内容までは聞き取れないが、男女二人はいるようだ。どちらかといえば女性が怒っているように聞こえる。
男の声はくぐもっていてほとんど聞こえない。
どうやら事件ではなさそうだが、勝手に人の家に入ってきてしまい、しかも部屋の中も声をかけづらい状況のようだ。
しかし、中にいるのが新一かも知れないと思うと、ドアを開けてみずにはいられなかった。
ここまでお読みくださっている皆さまありがとうございます。
新志好きな方にはちょっとがっかりな一話だったかもしれませんが、この方を放っておくわけにはいかないと思いますのでご了承ください。
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