俺が引ん剥いたバスタオルの下に……恵理は水着を着用していやがった。
しかも肩ヒモナシの純白のビキニ。
胸の谷間部分で生地を
捻ってギャザーを寄せているデザインのヤツで、下は浅いハイレグだ。
……紛らわしいコトしやがって。
風呂に入るのに、そんなの着て来るのって違反だ……つか、ひょっとしてさっきの俺の願望が成就したってのか???
水着着用……の?
「課長、『洗ってあげる』つってましたよね?」
俺は恵理から剥ぎ取ったバスタオルを、ドアのタオルハンガーに引っ掛けながら確認する。
「……そ、そうだけど……」
オイオイ、マジで洗ってくれるツモリだったのか?
頬を染めて恥らう恵理に、俺の心臓がきゅん! となる。
だけど『ネ』がスナオじゃない俺は、恵理に向き直っていつもの軽口を叩いた。
恵理は俺の顔を見ながら、その合間にチラ×2と視線が下ってる。
また視線が『元気なココ』に来るのかよ?
いい加減に慣れやがれ……ねーかな?
やっぱし……
「そっ、その
心算だったけど、も、もう大丈夫そうだし……あ、ああアタシ、出るね?」
我を見失い掛けた恵理は、そそくさと俺に背を向けた。
お〜、ブラの後ろは大き目リボンのワンポイント。
チョットそのセンス、幼くね?
飾り(ダミー)だと判っちゃいるが、思わずそのリボンを解きたい衝動に駆られてしまう。
「ナニ言ってんスか? セッカク来たのに、それはナイっしょ?」
おーっと、そうはイカナイヨ?
俺は後ろ姿の曲線美に見惚れながら、細い左腕に手を掛けてカルク引いた。
「きゃっ?」
恵理は濡れた床に足を滑らせてバランスを崩す。
「っとお!」
「あ……んっ……」
俺はタイミングよく恵理を胸に抱き留めようとした。
恵理は身体を強張らせて俺の胸に縋り付く……と思ったら、その細い右腕を素早く俺の首に絡めるのとほぼ同時に、捻りをかけて屈みながらスッと重心を落とした。
「へっ?」
瞬間的に俺は無重力を味わう。
「う、うわあああ!!!」
ザッパーン!!!
恵理は細腕一本と、
体捌きの絶妙な体重移動で、自分よりも重い俺を簡単に投げ飛ばした。
派手な水飛沫と共に、真っ
裸の俺は頭からブザマに浴槽の中へとダイブする。
「ぷあっ、なっ、ナニ……?」
ってぇ、ナニすんの?
頭を水面から出すと、俺は左右に大きく首を振った。
俺が散らした水飛沫で、恵理が『きゃっつ』と小さく声を出す。
ご、護身術? 今度は合気道かよ?
あ〜ビックリした。
「ご、ごめ〜ん、司。つい……条件反射で遣っちゃった」
恵理はすまなさそうに両手を合わせ、肩を竦めて上目遣いに俺を見る。
マッタク悪意の無さそうな素振りで器用にウインクすると、ぺろっと舌を出した。
「つい……って……ひでぇや……」
『今のって、ワザとじゃね? こうなるの予期してただろ?』って思えるくらいの鮮やかなお手並み。
ったく……。
護身術なんか忘れちまえ。
自然と身体が反応して攻撃的になっちまうから、カレシが未だに出来ねーんだよ。
けど、『忘れちまえ』……なんて言ったって、頭より先に身体が反応するんだから……仕方ねーよな?
俺はそんな事を考えながら、浴槽の前で立っている恵理の姿を『ぢい〜〜〜っ』と見詰めた。
……ひょっとしたら、今の水飛沫で恵理が濡れて、水着も薄っすらと……
恵理の白い水着は確かに濡れてはいたが、胸にはカップがあるタイプだし、下もカンペキにガードされているヤツだった。
白い水着だからこその透け感にワクワクしてしまったのに……
ナンだ……期待してソンした。
がっくし……
ツイデに俺の相棒も、湯船の中で気が抜けた〜〜〜
俺の視線が恵理の水着に注がれているコトに、恵理も勘付いたらしい。
「な、ナニよ?」
そう言って不服そうに口を尖らせると、
頬を赤らめた。
慌てて胸を腕で覆い隠しながら身体を
捩る。
レースクイーン並みのスラリとした立ち姿がとてもセクシーだ。
俺は片手で濡れた顔を拭い、その手で前髪を掻き上げると、浴槽から出た。
あ〜あ、お湯が半分無くなったぞ。
シャワーが取り付けてあるすぐ横には、全身が見渡せる鏡が嵌め込まれている。
俺は恵理に背を向けて、その鏡の前に立った。
恵理が鏡越しに俺を見て、標準タイプに戻った俺の相棒に気が付いたみたいだ。
……だ〜ら、マジ見すんなってーの!!!
「あ、あの……司?」
「はい?」
俺は恵理の言いたい事が判っているクセに、ワザと聴き返して遣った。
「その……司の……その……ソレ……」
「はぁ? 『ソレ』ってナニ?」
にやり!
「う……」
コトバに詰まって恵理は困惑した。
「コレのコトかなぁ〜?」
俺はイジワルク言って恵理の右手を取ると、無造作に俺の相棒を押し付けた。
「いっ??? きっ、きゃあっ!!!」
恵理は驚いて小さく悲鳴を上げた。
トッサに手を引っ込めようとしたが、俺はその手をシッカリと握って放さない。
恵理は表情を引き攣らせ、僅かに息を呑んで退いた。
「……」
暫しの間――
引っ込めようとしていた恵理の手が停まる。
力ずくでは俺に
敵わないと諦めたのか、それとも『チャンス!!!』って思い直してなのか、腕の力を抜いて俺の意のままに
委ねて来た。
ナンだか少しだけ嬉しそうにも……見える?
=「んっ……さっきよりチッチャイ……」
が〜〜〜ん!!!
言うな〜〜〜! 聞えてるぞぉ!
しかも、『チッチャイ』だとおぉ〜???
有紀と一緒に来たオッサンからも言われるし……標準タイプならコウ(松永)とほぼ同じなのに……
俺、ショック……激しく傷付いた。
それでも恵理の手は除けないのな?
「あぅ……」
俺はキモチ良くなって、思わず声を漏らした。
ナンか、恵理が急に積極的に
触って来るし……
初めは俺の相棒に触れるのを、拒んで戸惑っていた恵理だったのに、慣れたのか俺の相棒と仲良くなったみたいだ。
ドウシテ?
「や〜ん、カワイ〜」
恵理ははにかみながら、イヌの頭でも撫でてるみたいなノリ。
あの……ペットじゃないんスけど……
俺としてはナンだか……凄く微妙だ。
でも、徐々(じょじょ)に俺の快感ゾーンが刺激されて、背筋がゾクゾクして来たぞ?
「……ねぇ、その……ドコが……キモチイイ?」
……意外とお嬢様は積極的。
恵理は俺の真正面で跪いて膝立ちになり、両手で触れて来た。
俺は腰が退けて上体を折り曲げる格好になる。
息遣いが乱れがちになり、自然と声が漏れた。
体勢とは反対に、俺の相棒は元気復活。
「うわ、凄ぉ〜い」
またしても恵理に観察されて……しまった……
ヤメロォ〜〜〜、恥ズイじゃねーかよ!!!
「……」
俺をマジ見していた恵理の目が、いつの間にかトロンと
蕩けていた。
その顔が俺の相棒に近付いて来る……こっつ、この状況はぁあ!!!
「……い……い?」
恵理のふっくらとした唇から、溜め息のような声が漏れた。
いや、チョットソレは……
嬉しいケド、タジログ俺。
チョッと怖いかも。
初心者の恵理が、果たして上手に遣ってくれるかどうか、メチャクチャ不安。
つか、ひょっとして俺って被験者で実験台?
……どうしよう?
って、俺がチェリー君みたいじゃねーかよっつ???
恥ズイだろうがっ!!!
恵理の舌がモゾモゾとギコチナク這って来る。
「……司、携帯で……こんな事……されてた……」
がぁ―――ん!
恵理の言葉に、俺ショック。
水守は有紀とのアレを、ズーム動画で恵理に送り付けやがったんだな?
俺は猛烈な羞恥心に晒される。
だけど……
見よう見真似で恵理はンなコト遣ってるのか?
有紀の時は嬉しくなかったけど、恵理が上手に遣ってくれるンなら……その……イイかな? なんて思ったりして……
「っつ!」
最初、チョットだけ気持ち良くカンジテいた俺は、刺すような痛みに飛び上がりそうになった。
俺は慌てて恵理の細い両肩を押さえた。
「……うん?」
「チョット……たっ、たんま!」
遂に俺はガマン出来なくなって、恵理の肩を掴んで引き離した。
そして俺の相棒を解放させる。
は〜〜〜っつ、痛かった〜〜〜☆
「もおー、課長はコッチ!」
俺は利き手の人差し指と中指を二本揃えて、恵理の艶やかな唇を割らせ、少々乱暴に捻じ込んだ。
イキナリ指二本を奥の方まで咥えさせられた恵理は、スコシ涙目になっている。
「コレで練習してからじゃないと、ダメ」
「……やら、ろうひれ?(ヤダ、ドウシテ?)」
涙眼になった恵理が、上目遣いで俺を睨んだ。
『アタシの遣り方、間違ってる???』って顔をする。
俺はフフッと口端で笑って答えない。
「練習してみて?」
「れっ、れる……ヨラレ、れそう……うっ」
頬を桜色に染めた恵理の口端から、透明な糸がつつっ……と首筋まで流れる。
口中から溢れた自分の涎に気付いた恵理が、恥らって咥えていた俺の指を放そうとした。
「イイんですよ。唾液なんか気にしなくって。ほら、舌で包むみたいに上手に舐めてみて?」
「ひにふるよぉ〜(気にするよぉ〜)」
「唾液で絡めるようにしてくれればイイんだって」
唾液はこのバアイ潤滑剤の役割をしてくれる。
「んふぅ……」
恵理は俺の指先に、エンリョ気味に舌を絡めて来た。
「そ、歯を立てないように……上唇と舌でガードすんの」
恵理の旨そうなチェリーピンクの唇から、更に唾液が
滴って、細くて白い顎から
喉へと伝い落ちる。
遣ればデキルじゃん?
俺は恵理の表情をオカズに、薄っぺらな恵理の掌で相棒を包ませると、目の前で自慰行為を見せ付けてやった。
「……」
恵理が驚き、蒼ざめてドン退きしているのが手に取るように判る。
「こ……んなの……見たの初めて?」
やっぱ、そうだよな?
俺の相棒には触れるの初めてだったし……恵理的には、ちょっとショックが大きいか???
恵理はまだ凍り付いている。
「ふううん……も、やらぁ……」
自分の於かれた状況から我に返った恵理は、俺の行動が理解出来なくなったのか、続行を拒否して首を横に振った。
怖くなったのか、潤んだ眼からポロッとヒトシズクの涙が毀れる。
「ちゃんと……遣って?」
「やらあぁ!」
半ベソを掻いた恵理は、俺から顔を背けた。
「……っだあああ〜〜〜!!!」
俺のヒメイが浴室に反響する。
恵理のヤツ、俺の指に噛み付きやがった!!!
「ヤダッツ!」
視線を戻した恵理は、真っ赤になって俺を一睨みすると、ツンとソッポを向いた。
ただ、両手は俺が右手でシッカリと掴んでいるから、拘束されたままの状態だ。
……サスガは自尊心のカタマリのお嬢様。
スナオに俺なんかに指南されるイワレはナイ! って?
「じゃ、もう止めましょう?」
セッカクだけど。
俺は手を放して、恵理の両手を解放した。
「うーっ」
怒っているのか?
恵理は膝立ちのまま、自分の掌に残されたモノをキモイとばかりに左右交互に見詰め、俺の股間を前にして呻った。
「ザンネンですけど、俺、途中ストップがデキルヤツなんッス」
ソレは俺自身が不思議に思っているコトだ。
今まで燃え上がったら最期、『イク』まで途中ストップなんか出来なかったし、そんなコト在り得ねーって思っていた。
――恵理と会うまではね。
その代わり、ケッコー精神的体力が必要だけど。
手を洗って立ち上がった恵理に背を向けて、俺はハードタイプのナイロンタオルにたっぷりとボディソープを付けると、ソレを恵理に差し出した。
コレは百円ショップで買った俺専用。
恵理のはシルクが含まれている高級タオルだ。
「はい。洗って……くれるんでしょ?」
俺は視界の隅に恵理の姿を捉えながら、ニッコリと笑った。
「〜〜〜」
一瞬、恵理が『いやあ〜〜〜ん』って言った気がした。
だけど、俺を洗うツモリで来たんだろ?
「優しくしてクダサイねぇ?」
ワザと言った俺のオネエコトバに、恵理が真っ赤になってドン退きしているのが判った。
俺はその様子をチラリと盗み見て、笑いを噛み殺すのに苦労する。
「くすくすくす……やっぱ、貸して?」
恵理にタオルでマッサージされていた俺は、肝心な場所に近付くとくすぐったくなってガマン出来なくなった。
そしてタオルを半ば強引に取り上げる。
「自分で洗いますから」
恵理がじっと見詰めている中、俺はいつもよりも手短にササッと洗って流し終える。
視線を向けると、恵理とバッチシ眼が合った。
恵理がハッとして俺を見上げる。
「洗って……あげましょうか?」
俺はにやっ☆ と笑い、アワだらけのナイロンタオルをカルク持ち上げた。
「……」
恵理は顔を引き攣らせて拒むのかと思いきや、急に切なそうな顔をして俺を見上げて来た。
意外だった恵理の反応に、俺はどぎまぎして落着かなくなる。
「え……」
言い掛けた俺は、言葉に詰まってゴクリと喉を鳴らした。
『処女は要らない』『途中ストップが出来る』……なんて、口からの出任せに決まってるし。
本当は俺、恵理のコトが欲しくて欲しくて堪らないだけなんだ。
だけど、恵理は大企業の社長令嬢。
恵理には将来を約束されている婚約者殿がいるんだろ?
財力も、実力もナイこの俺なんかが近付いたり出来ない、別の世界のオンナだろうよ?
俺は頭の中で、何度も問い掛け、必死に自分に言い聞かせていた。
……でも、『恵理が好き』なだけじゃダメなのか?
「恵理……」
躊躇いがちに俺は恵理の名を呼んだ。
そして、両腕を拡げて恵理を抱き締めようと試みる。
「……」
「っあ、ダメだ」
これ以上、近寄れねーっつ!!!
「どうしたの?」
恵理は俺を見上げたまま、不思議そうな顔をする。
そんなに無防備にならないでくれっつ!
俺、今にも野獣になりそうだ。
「恵理には……その、居るんだろ?」
「誰が?」
「そ、そのっ……け、結婚を約束した……ほら、あの……」
『婚約者』って
言葉が、俺にはどうしても言い出せなかった。