挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
アイコン三国志 作者:小金沢

第八章 夷陵の戦い

85/125

〇八四   蜀軍炎上

~~~夷陵いりょう城~~~


挿絵(By みてみん)孫桓そんかん
「今だ! 城門を開け! 突撃だ!」


挿絵(By みてみん)張南ちょうなん
「夷陵城の孫桓軍が撃って出てきたぞ!」


挿絵(By みてみん)馮習ふうしゅう
「チッ! これじゃあ前線の本隊が奇襲を受けてるってのに救援にも行けやしねえ……」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「まずは夷陵城の兵を退けることに集中しろ! 我らが敗れれば戦線は崩壊する!」


挿絵(By みてみん)張南ちょうなん
「ああっ!? こ、後方から火の手が上がったぞ!!」


挿絵(By みてみん)朱然しゅぜん
「火火ッ。綺麗な色してるだろ。燃えてるんだぜ、それ……」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「すでに別働隊を我らの背後に回していたか。
後ろから火に、前から敵に……これでは挟み撃ちだ!」


挿絵(By みてみん)馮習ふうしゅう
「クソが! 要は目の前の敵を蹴散らせばいいんだ!
籠城続きで疲弊した連中なんて物の数でもねえぜ! 俺に任せな!」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「よせ! 先走るな馮習!」


挿絵(By みてみん)謝旌しゃせい
「馬鹿め! 籠城している間もワタシらは英気を養ってたアルヨ!
練りに練った気功を見せてやるネ! 奥義! 陳武烈火拳!!」


挿絵(By みてみん)馮習ふうしゅう
「うああああああっ!!!」


挿絵(By みてみん)張南ちょうなん
「くっ! 馮習がやられたぞ!」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「やむをえん。一丸となって前方の敵中を突破し、劉備陛下の本隊と合流する!」


挿絵(By みてみん)孫桓そんかん
「後退ではなく、前進して劉備と合流するつもりか。
だがそれはお見通しだぜ。今だ! 李異!」


挿絵(By みてみん)李異りい
「よおっしゃあああ!!」


挿絵(By みてみん)張南ちょうなん
「さらに伏兵だと!? いったいいつの間に背後に回りやがった!」


挿絵(By みてみん)李異りい
「お前らの軍の編成は、俺が益州にいた頃とまるで変わってねえ。
隙をついて裏をかくのは朝飯前だぜ!」


挿絵(By みてみん)張南ちょうなん
「くっ! 程畿殿! ここは俺が食い止めるから先に行け!」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「すまぬ!」


挿絵(By みてみん)李異りい
「しゃらくせえ!」


挿絵(By みてみん)張南ちょうなん
「ぎゃあああああ!!」


~~~武陵ぶりょう~~~


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「な、なんだなんだ。孫権軍の数がやたらと増えてやがるぞ。
ぞ、族長!!」


挿絵(By みてみん)沙摩柯しゃまか
「…………騒ぐな」


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「は、はい!」


挿絵(By みてみん)沙摩柯しゃまか
「……………………」


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「な、なにも言わねえんですかい!
どうして孫権軍が増えたのかとか、俺たちはどうすりゃいいのかとか」


挿絵(By みてみん)沙摩柯しゃまか
「…………騒ぐな」


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「それはさっき聞きやしたぜ!
駄目だ! やっぱり族長とは会話が成立しねえ!
こ、こうなったら、馬良の旦那!」


挿絵(By みてみん)馬良ばりょう
「何も悩む必要はない孫権軍の戦力が増えた理由は単純に戦況が孫権軍の側に傾いたからに他ならないすなわち劉備陛下の本隊が陸遜軍に敗れたのだろうそこで孫権軍はかさにかかって我々も包囲殲滅に乗り出したというだけの話だ我々と武陵蛮の戦力が南でにらみをきかしているのは歩隲らにとっては面白くないことだろうからなおそらく山越や他の反乱鎮圧に向かっていた呂岱や賀斉の部隊もこちらに差し向けてきたのだろう我々と孫権軍の彼我の戦力差は大きいここは退却を選択するしかあるまい我々と武陵蛮がそれぞれ逆方向に逃げればかく乱と敵戦力の分散につなげられるだろう」


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「こっちはこっちで会話のキャッチボールができねえ!!
ああ……なんで死んじまったんだよ杜路。族長と馬良が意気投合したのに驚いて、
そのまま心臓発作でぽっくり逝っちまうなんて馬鹿な話はねえだろうよ……。
おかげで俺は変人二人に振り回されっぱなしだぜ……」


挿絵(By みてみん)歩隲ほしつ
「見つけたぞ! あれが頭目の沙摩柯だ!
早く殺せ! すぐにだ! 今すぐ殺せ!」


挿絵(By みてみん)賀斉がせい
「落ち着きたまえ歩隲殿。敵はすでにワガハイの包囲の輪の中に入っておる。
あとは真綿を締めるようにゆっくりと輪を縮めるだけだ」


挿絵(By みてみん)歩隲ほしつ
「能書きはいい! さっさとやるんだ!」


挿絵(By みてみん)呂岱りょたい
「やれ」


挿絵(By みてみん)賀斉がせい
「はいはい。せっかちな御仁たちに囲まれてワガハイも気苦労が絶えないよ。
――さあ、敵は盆地に布陣している。まずは金貨の洪水で溺れさせてやりなさい」


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「うおお!? や、山ほどの金貨を流してきたぞ!
こ、こんだけの金貨がありゃあ一生楽に暮らせ――
いやいや、その前に金貨の山に押しつぶされちまう!
族長! 馬良! さっさとずらかろうぜ!」


挿絵(By みてみん)沙摩柯しゃまか
「……………………どくせ」


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「へ?」


挿絵(By みてみん)沙摩柯しゃまか
「…………めんどくせ。…………息をするのもめんどくせ」


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「こ、このタイミングで族長がめんどくせモードに入った!!
ば、馬良の旦那!!」


         馬良ばりょう
「」


挿絵(By みてみん)劉寧りゅうねい
「い、いねえ! もう逃げてやがる!
さっきの二手に分かれて逃げよう発言はどこ行ったんだよ!?
杜路ーーッ! ツッコミが間に合わねえよーーッ!!」


挿絵(By みてみん)賀斉がせい
「今です。捕らえなさい」


挿絵(By みてみん)沙摩柯しゃまか
「……………………('A`)マンドクセ」


~~~夷陵 蜀 水軍~~~


挿絵(By みてみん)陳式ちんしき
「こ、黄権殿! は、早く船に乗ってください! 急いで退却しないと――」


挿絵(By みてみん)黄権こうけん
「いや、これ以上乗り込んだら
時間がかかりすぎて敵に追いつかれるし、重くて船が沈むタイ。
おいどんのことは気にするな。おまんらは早く逃げるタイ!」


挿絵(By みてみん)陳式ちんしき
「し、しかし…………」


挿絵(By みてみん)黄権こうけん
「がっはっはっ! 心配するな。船に乗れなかった5千の兵を道連れに、
討ち死にするつもりは無いぞ。おとなしく敵に降伏するタイ」


挿絵(By みてみん)陳式ちんしき
「こ、降伏されるのですか……」


挿絵(By みてみん)黄権こうけん
「だが関羽将軍や張飛将軍の仇の呉に降るのはしゃくに障るタイ。
国境を越えて魏にでも降伏するつもりタイ。とにかくここでお別れだ!
元気でな陳式殿! 呉班殿! 早く退却するタイ!」


挿絵(By みてみん)陳式ちんしき
「そ、それでは、こ、黄権殿を見捨てることに――」


挿絵(By みてみん)呉班ごはん
「黄権さん、合点承知の助でさあ!」


挿絵(By みてみん)陳式ちんしき
「ご、呉班殿!?」


挿絵(By みてみん)呉班ごはん
「黄権さんはねえ、覚悟を決めたんだ。
これ以上アタシらが引き止めることは、その覚悟に対する侮辱ですよ。
ですからねえ、ここは御好意に甘えるといたしましょうや」


挿絵(By みてみん)陳式ちんしき
「………………」


挿絵(By みてみん)韓当かんとう
「いたぞ! 劉備の水軍だ!」


挿絵(By みてみん)甘寧かんねい
「やっと出番キタぜ! ぜってー逃がさねーし」


挿絵(By みてみん)黄権こうけん
「ほらほら、敵が追いついてきたタイ! 後は任せろ!
おいどんらは呉軍を足止めしつつ、北上して魏の領内まで逃げ込むタイ!」


挿絵(By みてみん)陳式ちんしき
「こ、黄権殿……。どうか御武運を!」


~~~夷陵 蜀 劉備軍~~~


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「ご無事でしたか陛下!」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「程畿さん! 夷陵を攻撃してたのにここにいるってことは……」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「申し訳ござらん! 孫桓の逆襲にあい、撤退して参った」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「ほうか……。
わしが尚香さんとの婚礼で呉に来た時、幼い孫桓さんと遊んでやったものじゃ。
あの孫桓さんがのう……。尚香さんはいま何をしとるのかのう……」


挿絵(By みてみん)王甫おうほ
「陛下! お気を確かになされよ!」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「――はっ。す、すまん。ちょっと気が遠くなっておったぞ……。
いかんいかん。こんな時こそ冷静にならんとな」


挿絵(By みてみん)王甫おうほ
「我が軍の戦線は崩壊し、各部隊は散り散りになって逃げております。
一つでも多くの部隊と合流し、敗残兵を私の髭のように美しくまとめ上げましょう」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「う、うむ。ではこれからどこへ向かえばいいかのう」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「ひとまず馬鞍山ばあんさんへ逃れましょう。
あそこならば兵糧や軍需物資もある程度の備蓄がありますし、
見晴らしが利き戦況を把握できます。至急、各部隊へ連絡いたそう」


挿絵(By みてみん)王甫おうほ
「だが馬鞍山へ集結しろと味方にふれ回れば、呉軍も集まってきてしまうぞ」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「我が軍のほうが圧倒的に数で勝るのだ。兵力を集中させれば形勢を逆転できる」


挿絵(By みてみん)王甫おうほ
「なるほど。それならば――」


挿絵(By みてみん)丁奉ていほう
「傅彤は討ち取った! 次はお前の番だ劉備!」


挿絵(By みてみん)王甫おうほ
「もう追いついてきたか! ここは私が顔のように美しく食い止める。
程畿殿は陛下をつれて早く馬鞍山へ!」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「お、王甫さん!」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「陛下! 早くこちらへ!」


挿絵(By みてみん)丁奉ていほう
「邪魔だ!!」


挿絵(By みてみん)王甫おうほ
「抜かせん!!」


~~~夷陵 蜀 張苞・関興軍~~~


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「范彊! 張達! チキショウ……どこへ行きやがった……」


挿絵(By みてみん)星彩せいさい
「あんちゃん!」


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「お前まだこんなところにいたのか。本隊へ戻れと言っただろ!」


挿絵(By みてみん)星彩せいさい
「あんちゃんいいかげんにして!
范彊や潘璋の目的は、あたいたちの先鋒部隊を、本隊から切り離すことよ。
あたいたちが突出したせいで、本隊は撃破されちゃったわ!」


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「そんなことはわかってる……。でも范彊らを目の前にして俺は……」


挿絵(By みてみん)関興かんこう
「………………」


挿絵(By みてみん)星彩せいさい
「ほら、関興ももう諦めて戻ろうって言ってるわ。劉備陛下が心配だって」


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「関興はなんも言ってねえだろ」


挿絵(By みてみん)星彩せいさい
「関興の目を見れば言いたいことくらいわかるわよ!」


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「お前らいつの間にそんな仲に――」


挿絵(By みてみん)星彩せいさい
「だから違うって言ってるでしょ!」


挿絵(By みてみん)関興かんこう
「!?」


挿絵(By みてみん)潘璋はんしょう
「ほらほら、どうしたんだいボクちゃんたち。
憎っっっくき潘璋さんはここにいるぜえ?
もちろん馬忠や范彊、張達も一緒だぜえ?」


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「てめえら…………!」


挿絵(By みてみん)関興かんこう
「………………!」


挿絵(By みてみん)星彩せいさい
「やめてあんちゃん! 関興!!」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「そうだ! 大義を見失うな若将軍ら!」


挿絵(By みてみん)星彩せいさい
「り、廖化将軍!?」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「関羽将軍や張飛将軍は、常に漢室再興のため、万民のために戦われていた。
決して私怨のために戦うことなどなかった!
今一度、大義のために戦った偉大なる父君の姿を思い出すのだ!」


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「大義のために……」


挿絵(By みてみん)関興かんこう
「………………」


挿絵(By みてみん)潘璋はんしょう
「誰かと思えば俺らの捕虜になってた拳法家か。いつの間に脱走しやがった?
横からしゃしゃり出てきやがって。どけ!」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「さあ若将軍ら、ここは俺に任せて早く劉備と合流しろ!
劉備を失えば、関羽将軍らの夢も失われる!」


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「母ちゃんや関羽将軍の夢……。天下万民のため……」


挿絵(By みてみん)星彩せいさい
「あんちゃん!!」


挿絵(By みてみん)張苞ちょうほう
「わかってる! 逃げるぞ星彩! 関興!」


挿絵(By みてみん)関興かんこう
「…………ッ!」


挿絵(By みてみん)潘璋はんしょう
「余計なことをしやがって! てめえから殺してやる!」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「来い!!」


挿絵(By みてみん)呂常りょじょう
「ワッハッハッ! 無理をするな未熟者め! 手を貸してやるぞ」


挿絵(By みてみん)潘璋はんしょう
「む!? てめえは誰だ!」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「ま、また出てきやがったな呂常! どけ! これは俺の戦いだ!」


挿絵(By みてみん)呂常りょじょう
「病み上がりの挙句、ワシに一発喰らってフラフラのくせに偉そうなことをほざくな。
安心しろ。手を貸すのはワシではない。お前の弟弟子だ」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「お、俺の弟弟子?」


挿絵(By みてみん)??
「呂常師匠、こいつらがオヤジの仇か?」


挿絵(By みてみん)??
「悪そうな顔してるッキャ。頭も悪そうだにゃ」


挿絵(By みてみん)范彊はんきょう
「ああっ!! こ、この男は……」


挿絵(By みてみん)張達ちょうたつ
「か、関羽ちゃんの三男……関索!?」


挿絵(By みてみん)関索かんさく
「このツラ覚えていたか范彊に張達!
貴様らを倒すため、武者修行の旅から帰ってきてやったぜ!」


挿絵(By みてみん)鮑三娘ほうさんじょう
「キキッ♪ 索にゃんの修行中に出逢った鮑三娘も一緒だキィッ!」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「か、関羽将軍の息子が、呂常の弟子に……?」


挿絵(By みてみん)潘璋はんしょう
「関羽のガキだと? ちょうどいい、親父のもとへ送ってやんよ!」


挿絵(By みてみん)馬忠ばちゅう
「て、敵はたったの四人だ! かかれーーッ!!」


挿絵(By みてみん)関索かんさく
「俺たちをただの四人と思うなよ!
ラァァァイトニングゥゥ! フィンガァァァッッ!!」


挿絵(By みてみん)范彊はんきょう
「きゃあああああっ!!」


挿絵(By みてみん)張達ちょうたつ
「は、范彊!?」


挿絵(By みてみん)鮑三娘ほうさんじょう
「よそ見は禁物だキャ。必殺必中! 円月りぃぃぃん!!」


挿絵(By みてみん)張達ちょうたつ
「いやあああああっ!!」


挿絵(By みてみん)馬忠ばちゅう
「は、范彊と張達が一撃で……。あ、あいつらはやばい……。
そ、そっちのジジイなら弱そうだ。死ねええ!!」


挿絵(By みてみん)呂常りょじょう
「んん? 見物に来ているだけのワシにわざわざ手を出すとは愚かな。
超級! 魔王! 幻影弾!!」


挿絵(By みてみん)馬忠ばちゅう
「ぐぎぇぇえええっ!!」


挿絵(By みてみん)潘璋はんしょう
「馬忠!? こ、こいつら…………」


挿絵(By みてみん)呂常りょじょう
「ワッハッハッ。また関羽の仇をワシが討ってしまったぞ。
恨むなよ廖化。正当防衛だ」


挿絵(By みてみん)潘璋はんしょう
「くそっ!! なんなんだよてめえらは!?
……退却だ! 退却しろ!!」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「に、逃がすか潘璋!!」


挿絵(By みてみん)呂常りょじょう
「だからお前はアホなのだあああっ!!」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「うわあああああっ!!」


挿絵(By みてみん)呂常りょじょう
「張苞らに大義を見失うと説教しておいて、自分は関羽の仇にとらわれるのか?
そんな暇があったらさっさと張苞らに合流して劉備を――。
ワッハッハッ。また気絶しておるのか。だらしのない奴め」


挿絵(By みてみん)廖化りょうか
「……………………」


挿絵(By みてみん)鮑三娘ほうさんじょう
「あんだけ思いっきり蹴ったら当たり前だっキャ。
あいかわらず加減を知らないジジイだにゃあ」


挿絵(By みてみん)呂常りょじょう
「にゃーにゃーうるさいぞ小娘め。
――おい関索、廖化を蜀軍まで送り届けてやれ」


挿絵(By みてみん)関索かんさく
「俺が? 修行中の身だからあんまり表に出たくないんだけどな……」


挿絵(By みてみん)呂常りょじょう
「魏の禄を食んでいるワシが、のこのこと蜀軍の前に顔を出すわけにもいくまい。
行け。これも修行のうちだ」


挿絵(By みてみん)関索かんさく
「……わかりましたよ。なるべく目立たないよう送り届けよう。行くぞ三娘!」


挿絵(By みてみん)鮑三娘ほうさんじょう
「ラジャ!」


~~~馬鞍山 劉備軍~~~


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「……集まったのはこれだけか」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「はい。先鋒部隊を率いていた張苞将軍、関興将軍らは行方不明です。
敵の追撃を食い止めていた王甫殿も戻りません」


挿絵(By みてみん)陳式ちんしき
「す、水軍は呉班殿に任せて大半は撤退させましたが、
こ、黄権殿は敵の足止めに残られました。
そ、そのまま魏に降伏すると言っておられました……」


挿絵(By みてみん)伊籍いせき
「降伏ですって? 黄権将軍ともあろう方がまさか――」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「いや、わしらは黄権さんを見捨てたんじゃ。それもしかたなかろう。
張苞さん……関興さん……。わしは張さんや関さんになんと言えばいいんじゃ……」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「陛下! あなたがしっかりしなければ、我々は全滅の憂き目に遭いますぞ!」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「お、おう。すまんな程畿さん……。
わしがだらしないばっかりに苦労をかけるのう」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「いいえ。
陛下は万民が夢見る漢室再興、そして中原統一のためになくてはならない御方です。
どうか民のため、窮地を乗り切ることだけを考えてください」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
「あ、ああ!」


挿絵(By みてみん)程畿ていき
「ここに現れない将は討ち死にしたと思っていいだろう。
現在の戦力でこの場を無事に切り抜けるためには――」


挿絵(By みてみん)劉備りゅうび
(夢……か。あの時、桃園で誓ったわしらの夢は破れてしもうた……。
こんな時、亮さんがいれば…………)


~~~夷陵 陸遜軍~~~


挿絵(By みてみん)韓当かんとう
「陸遜、いや陸遜将軍。これまでの数々の無礼をお詫びいたそう」


挿絵(By みてみん)陸遜りくそん
「………………」


挿絵(By みてみん)丁奉ていほう
「将軍にこれほどまで遠大な計略があると知らなかった。
将軍の真意がわからずたびたび命令を無視してきた、我々が愚かだったのだな」


挿絵(By みてみん)吾粲ごさん
「武陵蛮に対する備え、孫桓殿へ救援を送らなかったこと、
黄権軍と水軍の進撃は見せかけだったこと、馬鞍山へと撤退すること……
あなたは全てを見抜いておられた。いやはや、感服しましたぞ!」


挿絵(By みてみん)陸遜りくそん
「………………」


挿絵(By みてみん)駱統らくとう
「り、陸遜殿……?」


挿絵(By みてみん)陸遜りくそん
「…………ぐわははははは」


挿絵(By みてみん)鮮于丹せんうたん
「へ?」


挿絵(By みてみん)陸遜りくそん
「ぐわははははは! 燃やせ! 焼け! 焼き尽くせ!
肉を、骨を、灰を、命を、魂までをも焼き尽くすのだ!
あまねくを灰燼と化し、ことごとくを焼却せしめるのだ!!」


挿絵(By みてみん)吾粲ごさん
「し、将軍……?」


挿絵(By みてみん)陸遜りくそん
「ぐわははははは! 韓当! 丁奉! 鮮于丹! 駱統!」


挿絵(By みてみん)韓当かんとう
「お、おう……」


挿絵(By みてみん)陸遜りくそん
「何をぼやぼやしておる。火事だけにボヤボヤってか?
やかましいわ! さっさと劉備軍を根絶やしにしてきやがれ!!」


挿絵(By みてみん)丁奉ていほう
「は――ははッ!! ただちに!」


挿絵(By みてみん)駱統らくとう
「し、出撃だ! 劉備を逃がすな!」


挿絵(By みてみん)陸遜りくそん
「殺せ! 殺しきり殺しまくり殺し尽くすのだ!
とっくに焼け死んでいたら骨を拾い灰をかき集めろ! ぐわははははは!!」


挿絵(By みてみん)吾粲ごさん
(わ……わからない! この男は何がなんだかわからない……!!)


~~~~~~~~~


かくして蜀軍は壊滅し、劉備は死地に追い込まれた。
陸遜の包囲の輪が絞られる中、劉備に救いの手は差し伸べられるのか?
夷陵の戦いはいよいよ決着を迎えようとしていた。

次回 〇八五   馬鞍山に死す
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ