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アイコン三国志 作者:小金沢

第六章 天下三分の計

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〇五三   弓腰姫の婿

~~~江東こうとう 会稽かいけい~~~


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「よう周瑜、調子はどうでェ?」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。見苦しい姿をさらしているな。
大事をとっているだけで、もう矢傷は問題ない。
じきに復帰できるだろう」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「そりゃよかった。……でも無理すんなよ。
兄貴が死んでからこっち、おめェはずっと働き詰めだからな」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「心配は無用だ。曹操の脅威が去った今、
いよいよあの計画を実行に移す時が来た。
休んでばかりはいられないからな」

挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「おう。魯粛が計画したアレか。
……益州えきしゅうを獲り、曹操と天下を二分する。
天下二分の計だな!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「だがそのためには、除かねばならない障壁がある」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「荊州に居座ってる劉備のヤローか。
前・荊州刺史の劉表りゅうひょうの息子を担ぎ上げて、
荊州の領有権を主張しているそうだな」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。正統性のある主張だと認めざるをえないだろう。
それに我々が認めずとも、荊州の民は劉備を支持している」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
長坂ちょうはんで民を盾にして逃げたヤローが、
なんで民から慕われてるんだろうな。
まったく、あの男は得体が知れねェぜ。
……それだってのに、なんでオフクロはあんなヤローのことを」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。なにか悩み事があるようだな。
ずっと浮かない顔をしているぞ」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「ああ、この前オフクロに呼び出されただろ。
そん時に、ちィとばかし厄介な頼みごとをされちまったんだ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「……察するところ、妹君のことかな」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「おめェには隠し事できねェな。そうなんだ。
オフクロがよ、尚香しょうこうの婿に劉備を迎えろ、
なんて言いやがるんだよ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「なるほど。尚香殿は英雄にしか嫁ぐ気はないと
常日頃から言っていたな」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「オフクロはそんなら妻を亡くしたばかりの劉備が
ちょうどいいだろってよォ。
いちおう同盟相手だし、何をしでかすかわかりゃしねェ劉備を
押さえつけることもできんじゃねェかとよ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。ご母堂はたいした軍師だな。
娘の婿取りだけではなく、孫家の未来まで考えておられる」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「……おめェは賛成なのか?」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「いや、私がどうこう言える筋合いはない。
それは兄であるあなたと、尚香殿が決めることだ」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「ん………………」


~~~荊州けいしゅう 江夏こうか~~~


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おう、わしは構わんぞ! 孫権さんの妹なら大歓迎じゃ!」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「……こっちからお願いしといてなんですけど、
そんな二つ返事で受けちゃっていいんスか?」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「アンタもそろそろこのバカの性格をつかみなさいよ。
こいつはね、考えないの。考えることをやめてるの」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「わしがあれこれ悩んでもろくなことになりゃせんからな!」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「大事な妹ちゃんをこんな甲斐性なしに嫁がせてもいいのか、
そっちこそよく考えたほうがいいわよ」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「いや、孫権のほうはあ、劉備さんさえよければいいって、
そういう意向ッスから」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「ほんなら決まりじゃな!」


挿絵(By みてみん)
簡雍かんよう
「劉ちゃんはバカだけど女には優しいから、
きっと大事にしてくれるぞ」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「じゃあ孫権にはそう伝えるッス。
快諾いただきありやっしたー」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「ところでその尚香さんとやらは美人かのう?」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「そりゃもう。
義姉の大喬だいきょうさん、小喬しょうきょうさんと並んだら、
まるで三姉妹みたいな」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「あの天下一の美人姉妹の二喬と!
むふふふふ。そりゃ楽しみじゃのう……」


挿絵(By みてみん)
簡雍かんよう
「劉ちゃん、よだれよだれ」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「でもぶっちゃけ尚香さん、見た目はともかく性格きついッスよ。
孫権つーか、兄貴の孫策さんや
親父の孫堅さんにそっくりらしくて――」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「あら、そんなの平気よ。きつい性格なら耐性あるから」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「……貴様らなぜ余を見る」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「ましてや女のきつい性格ならなーんも問題なしじゃ。
――魯粛さんや、わしはすぐにでも出発できるけど
そっちは大丈夫かのう?」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「ガチで話が早くて助かるッス。
使者を先に孫権んとこに行かせるんで、
すぐに来てもらっていいッスよ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「善は急げじゃ! さっそく花嫁を迎えに行くぞ!」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「趙雲、貴様がついていけ。
護衛がてらこの色ボケが羽目を外しすぎぬよう見張れ。
手に余るようなら斬れ」


挿絵(By みてみん)
趙雲ちょううん
「ウスッ! いちおう斬らない方向でがんばるッス」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「簡雍と孫乾も同行しろ。別に何もする必要はない。
劉備を野放しにしなければそれでよい」


挿絵(By みてみん)
簡雍かんよう
「あいよ。ツッコミ役は必要だもんな」


挿絵(By みてみん)
孫乾そんけん
「はい。定期的に軍師に連絡を入れます」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「孫権のもとには余の知人がいる。困ったらそいつを頼れ。
……いや、愚兄ではない。荊州一いい男だ。手配しておく」


挿絵(By みてみん)
趙雲ちょううん
「わかったッス」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「わはは。魯粛さんと龍さんがそろうと
スッスッスッスッにぎやかじゃのう」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「ぶっちゃけキャラがかぶってるのは気にしてたッスよ。
――そんなことより、孫権のもとへ案内するウイッシュ」


~~~会稽~~~


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「おう、てめェが劉備か。年のわりには若そうじゃねェか」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「ほう、あんたが権さんか。若造のわりには老けてるのう」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「言うじゃねェか。だったら兄上って呼んでくれてもいいんだぜ?」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「わはは。わしは本物の義弟にもそんな呼び方されたことないぞ」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「そりゃてめェが頼りねェからだろ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「もっともじゃな!
権さんは初対面なのにわしのことをよく知っとるのう」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「屈託のねェヤローだぜ……。まあ立ち話もなんだ。座れや」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「座るとも座るとも。――で、花嫁さんはどこにおるんじゃ?
わしは早く顔が見たいぞ」


挿絵(By みてみん)
簡雍かんよう
「劉ちゃん、よだれよだれ」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「そうがっつくな。嫁入りにはいろいろと準備があんだよ。
兄貴の前なんだから自制しろよな。いい年こいてんだしよォ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「わはは。権さんは本当にわしの兄上みたいじゃな」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。諸葛亮先生も愉快な方だったが、劉備殿はそれ以上だな」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おっ。名乗られずともあんたの名前は当てられるぞ。
江東一の色男こと周瑜さんじゃろ!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「虚名を知っていただき光栄だ。私が周瑜です」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「……なんか顔色が悪いみたいじゃが大丈夫か?
色男じゃからもともと白い顔なのかのう?」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「もともと色白なだけです。お気遣いは結構。
それよりささやかながら宴席を用意しました。
ごゆるりとお過ごしください」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おお! 江東は魚も酒も格別じゃと聞いとるぞ。
楽しみじゃな龍さん!」


挿絵(By みてみん)
趙雲ちょううん
「ウスッ。まず自分が毒見させてもらうッス」


挿絵(By みてみん)
孫乾そんけん
「ち、趙雲。そういうことを口にするな……。
劉備様もどうか飲み過ぎませんように……」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「毒見ならオレがしてやんよ。今日は無礼講だ。
浴びるように飲んでくんな」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「さっすが兄さんは話がわかるのう!」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「……兄さんはやめろ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
(……破天荒な男だ。
だがこの男の周りに張飛や関羽、なにより諸葛亮が集まるのか。
私には計り知れない、不思議な魅力があるのだろうか)


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
(……いや、能天気なだけだと思うッスよ)


~~~会稽 宴会場~~~


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「いやー江東の食い物は実に美味いのう!
魚はもちろん肉も野菜も絶品じゃ!」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「質がいいのは当然だが、最近いい料理人も入ったんだ。
何度も妻を亡くしてる不運なヤローだけど、腕は確かでよォ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「……なんかどっかで聞いた話じゃのう?」


挿絵(By みてみん)
小喬しょうきょう
「失礼します。お酌をさせていただきます」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おお! 美人じゃ! 超美人じゃ!
んふふふふ。もうちっとこっちゃ来い。名前はなんというんじゃ?」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「愚妻の小喬です」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「なんと周さんの奥さんか! それも二喬の一人じゃと!
んふふふふ。人妻の魅力がぷんぷんじゃのう~」


挿絵(By みてみん)
簡雍かんよう
「劉ちゃん、よだれよだれ」


挿絵(By みてみん)
孫尚香そんしょうこう
「ちょいと邪魔するぜ!」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「尚香さん!」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「へ? 尚香っつーと、わしの花嫁の?」


挿絵(By みてみん)
孫尚香そんしょうこう
「ふーん。こいつらが劉備んとこの連中か。
どいつもこいつもしけたツラしてんなァ!」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「尚香……何しに来たんだおめェ」


挿絵(By みてみん)
孫尚香そんしょうこう
「おれの旦那になろうってヤローのツラを拝みに来たに決まってんだろ!
お。こいつか? 劉備ってのは」


挿絵(By みてみん)
趙雲ちょううん
「サーセン。自分はお供の者ッス」


挿絵(By みてみん)
孫尚香そんしょうこう
「ええー。おれ、このイケメンのほうがいいなァ。
こっちに代えてくれよ兄貴ィ」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「バーカ。おめェと劉備の三下が結婚してオレらに何の得があんだよ」


挿絵(By みてみん)
孫乾そんけん
(うわあ……遠慮なくぶっちゃけるなこの兄妹……)


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「わしが劉備じゃよ尚香さん!」


挿絵(By みてみん)
孫尚香そんしょうこう
「……ああ。はいはい、おめーね。はいはい。
耳は長ェし手も長ェ。噂どおりの化け物体型だな……」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「いやーわしも有名になったもんじゃな」


挿絵(By みてみん)
孫尚香そんしょうこう
「うんうん。でも悪くねェぜ。凡人のルックスじゃねェもんな。
50過ぎてるわりに若そうだしよォ。
よく見りゃそこそこイケメンじゃねェか」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「むふふふふ。そんなに褒められたら照れるのう」


挿絵(By みてみん)
大喬だいきょう
「尚香! 勝手に上がり込んでどういうつもりなの?」


挿絵(By みてみん)
孫尚香そんしょうこう
「いけね。大喬ねーちゃんに見つかっちまった」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「大喬!? な、なんと二喬がそろい踏みじゃと!」


挿絵(By みてみん)
孫尚香そんしょうこう
「じゃあな劉備。兄貴とおふくろが決めた縁談だけどよォ。
おれもアンタのことまあまあ気に入りそうだぜ。
嫁入りしたらよろしくな!」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おう! 待っとるぞ尚香さん!」


挿絵(By みてみん)
大喬だいきょう
「尚香! なんてはしたない……。お待ちなさい!」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「はっはっはっ。おい、やるじゃねェかよ劉備!
あの跳ねっ返りに気に入られるなんてたいしたもんだぞ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
(尚香殿もあっという間に篭絡してしまうとは……。
やはり劉備という男、あなどれん……)


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
(いや、尚香さんと馬が合いそうな気はしてたッスよ。
これでひとまず安心ッスね。後は……)


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
(ああ。劉備には二度と荊州の土を踏ませはしない)


~~~~~~~~~


かくして劉備は孫尚香をめとった。
だが蜜月の裏には孫権と周瑜の思惑が潜んでいた。
単純な劉備は罠に掛かってしまうのか。それを読んでいた諸葛亮の対策とは?

次回 〇五四   孫家の女
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