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アイコン三国志 作者:小金沢

第五章 赤壁の戦い

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〇五一   南郡の戦い

~~~徐州じょしゅう~~~


挿絵(By みてみん)
陳登ちんとう
「援軍が到着したぞ。我らの勝利だ。勝ちどきをあげよ」


挿絵(By みてみん)
呂範りょはん
「惑わされるでない! 援軍など来ておらん! あれは撹乱だ!」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
「いや……今回ばかりは本当のようだ。
呂範殿! 後方に敵の増援が現れたぞ!」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
「荊州攻めには組み込まれなくてムカついてたけどよ。
太史慈と戦えるってーなら話は別だぜ!」


挿絵(By みてみん)
楽進がくしん
「よーし張遼! おいらと競争だ!」


挿絵(By みてみん)
臧覇ぞうは
「がっはっはっ。孫権軍は動揺しているぞ。一気に押しつぶせ!」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
「かなり敵の数が多い……。ここは退くしかないぞ呂範殿!」


挿絵(By みてみん)
呂範りょはん
「無念だがしかたあるまい。退け! 退けーーい!」


挿絵(By みてみん)
陳登ちんとう
「フッフッフッ……。私の徐州は誰にも渡しはせんよ……」


~~~柴桑さいそう~~~


挿絵(By みてみん)
吾粲ごさん
「徐州を攻めた呂範軍、合肥がっぴを攻めた
陳蘭ちんらん軍はともに敗走しました」


挿絵(By みてみん)
張紘ちょうこう
「さすが曹操だぞ。東方の守りも万全だったぞ」


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
「お前は曹操と孫権殿のどっちの肩を持つ気じゃ!
まったく嘆かわしいわい!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「東方に曹操軍の一部を引きつけたおかげで、
赤壁せきへきで大勝を得られたとも言える。
戦略的に見れば我が軍の勝利だ」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「なら次は荊州に居残ってる曹操軍の大掃除と行こうぜ。
南郡なんぐんには曹仁のヤローがいるんだって?」


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
(うむうむ。今日は居眠りもせず熱心ではないか孫権殿!)


挿絵(By みてみん)
諸葛瑾しょかつきん
「はいはい。曹仁は1万の兵で立てこもっております。
我が軍が逃げる曹操軍を追撃できないよう、
足止めするのが目的かと思われます」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「まずはあ、南郡を落とさないことには始まらないってことッスね」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「南郡の攻略は引き受けた。集中攻撃を掛けるとしよう。
――ところで、劉備軍に動きはあったか?」


挿絵(By みてみん)
張紘ちょうこう
襄陽じょうようを攻撃しようとしているが、
文聘ぶんぺいに道を阻まれているぞ。
襄陽は徐晃の軍が守っておるし、そう簡単には落とせんぞ」


挿絵(By みてみん)
虞翻ぐほん
「それなら劉備は放っておけばいいでゲスね」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「……あの諸葛亮が無策で襄陽を攻めているだと? 何かにおうな」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「たしかに怪しいが、狙いがわからねェ以上、
放っとくしかねェだろ。
少なくとも劉備は敵じゃねェ。今はそれだけわかりゃ十分だ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「わかりました。それでは主力を引き連れて南郡の攻略にかかります」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「おう、任せたぜ。
オレはおふくろに呼ばれてっから、
ちょっくら里帰りするんで、後はよろしくな」


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
(……妙に熱心に軍議に参加していると思えば、
さっさと終わらせたかっただけか。
まったく! こんな時に呼び寄せる御母堂もまったく!)


~~~南郡~~~


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「うおおおおおっ! どけどけどけえええっ!!」


挿絵(By みてみん)
牛金ぎゅうきん
「そ、曹仁将軍!?」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「わっはっはっ! 助けに来てやったぞ牛金!」


挿絵(By みてみん)
韓当かんとう
「総大将が自ら包囲された味方を助けに来るとは愚かな……。
曹仁も包囲して討ち取れ!」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「この俺様の前に立ちはだかろうなんて百年早いぞ!
どけえええっ!!」


挿絵(By みてみん)
程普ていふ
「敵はわずかです。落ち着いて取り囲みましょう」


挿絵(By みてみん)
蒋欽しょうきん
「左に回り込むでごわす!」


挿絵(By みてみん)
周泰しゅうたい
「曹仁は必ず城に戻るんだ。城門前に防衛線を築き待ち構えろ」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「無駄だ無駄だお前ら! うおおりゃああああっ!!」


~~~南郡 孫権軍~~~


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「――それで曹仁には逃げ切られたのか」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「ウイッシュ。ガチで化け物ッスよあんなの。
いったん城まで帰ったのに、まだ味方が取り残されてると知るや、
戻って助けて、無事に城へ逃げ込んだッス」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「赤壁から連戦で我が軍の兵も疲れていたのだろうが……
それにしても曹仁恐るべしだな」


挿絵(By みてみん)
董襲とうしゅう
「南郡城は孤立している。
無理に攻めず、兵糧攻めに切り替えるか?」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「そんなに悠長にしている余裕はない。
城の周囲を視察して弱点を見つけるとしよう」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
(周瑜め。焦っているようだな。護衛もろくに連れずに出てきたぞ)


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。なかなか堅固な城だな。
守将が曹仁でなくとも苦戦するところだ」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「こっちにも曹操軍みたく投石車があればいいんスけどね。
そういえば長沙ちょうさに発明家がいるって
聞いたんでえ、連れてきて造らせ――」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
「今だ射ていッ!!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「ぐっ!?」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「周瑜!? やばい! 敵がいるッス!」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
「よし、周瑜に命中したぞ! 引き上げろ!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ……。
私としたことが……これでは孫策の二の舞ではないか……」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「しっかりするッス! 周瑜!!」


~~~南郡 曹操軍~~~


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
「矢には猛毒を塗っておいた。
肩口に命中しただけだが、あれでは身動きもままならないだろう」


挿絵(By みてみん)
牛金ぎゅうきん
「これで我々の勝利は疑いないな!」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「おい陳矯!」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
「ど、どうされましたか」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「お前、たしかに周瑜に毒矢を撃ち込んだんだよな!」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
「ええ。しかとこの目で見届けましたが――」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「周瑜の野郎が元気に攻撃してきてやがるぞ!」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
「そ、そんな馬鹿な!?」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。この程度の矢傷で私が参ると思ったか?
覚悟はいいな曹仁よ」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
「あれは影武者ではない、本人だ……。
ええい、もう一度毒矢を浴びせてやれ!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「無駄だ。私に同じ策は二度と通用しない」


挿絵(By みてみん)
牛金ぎゅうきん
「や、やせ我慢に決まっている! 迎撃しやしょう将軍!」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「いや……ここは退却するぞ!」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
「な、なんですと!?」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「周瑜の野郎は覚悟を示したんだ!
命に替えても南郡を落とすという覚悟をな!
もう十分に本隊が撤退する時間は稼いだ!
これ以上、周瑜と戦う必要は無え!」


挿絵(By みてみん)
牛金ぎゅうきん
「し、将軍……」


挿絵(By みてみん)
陳矯ちんきょう
(たしかに我らの任務は時間稼ぎだ。
その任は十分に果たしたと言えよう。
だが、それ以上に将軍は、
周瑜の命を賭した覚悟の程に感じ入ったのだろうな……)


~~~南郡 孫権軍~~~


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「曹仁は城を捨てて襄陽へと退却したッス。追撃しますかあ?」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「私たちの目標は南郡城の奪取だ。それには及ばない……」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
(まあ、追撃しようにも、ぶっちゃけ周瑜がこの状態じゃ無理ッスね)


挿絵(By みてみん)
程普ていふ
「後は我々に任せて、周瑜様は後方に下がり療養してくださいませ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ……。これでは諸君の足手まといになるだろう。
済まないが、お言葉に甘えさせてもらう」


挿絵(By みてみん)
韓当かんとう
「いや、お前の覚悟は見せてもらった!
後は我々が引き受けたから安心しろ!」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
(周瑜が深手を負いながら陣頭指揮をとったことに、
老臣たちも心を動かされたみたいッス。
ようやく周瑜を中心に全軍がまとまりそうッスね)


挿絵(By みてみん)
吾粲ごさん
「し、周瑜殿! き、急報が入りました!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「どうした」


挿絵(By みてみん)
吾粲ごさん
「我々が南郡城を包囲している隙に、劉備軍が南下しました!
荊州南部の四郡を攻めています!」


挿絵(By みてみん)
黄蓋こうがい
「なんだと!?
我々が身動きできない間に火事場泥棒のような真似を……」


挿絵(By みてみん)
蒋欽しょうきん
「このままでは四郡をかすめ取られるでごわす!
劉備軍を止めるでごわす!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「……いや、それは無理だ。我々と劉備軍はあくまで同盟関係にある。
彼らがどこを攻めようと止めることはできない。
それにあの諸葛亮の策だ。
すでに四郡は劉備の手に落ちているだろう」


挿絵(By みてみん)
魯粛ろしゅく
「第一、いたずらに劉備軍と衝突すれば、
また曹操が喜んで戻ってくるッスからね」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「諸葛亮の狙いははじめから襄陽ではなく、
荊州南部だったのだろうな……。だがあわてることはない。
南郡さえ抑えておけば、曹操はもちろん劉備にもにらみを利かせられる。
我々はまだ戦略的には一歩、先んじているんだ……」


~~~~~~~~~


かくして周瑜は南郡を攻略した。
しかしその隙をつき、諸葛亮は暗躍する。
狙うは荊州南部の四郡。いま伏龍の牙が四英傑に迫ろうとしていた。

次回 〇五二   荊州南部攻略戦
+注意+
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