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アイコン三国志 作者:小金沢

第五章 赤壁の戦い

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〇五〇   城塞都市・合肥

~~~揚州ようしゅう 合肥がっぴ~~~


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「作物の収穫が落ちているな。昨年の日照りの影響か。
やはり東の丘の方にも田畑を広げて――」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「こんちはー温恢さん。あいかわらず精が出ますね」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「……お前は酒瓶を片手に仕事をする気か?」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「嫌だなあ。中身は水ですよ。
気分だけでも酒を飲んでる気になりたくって」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「水のわりには息が酒臭いようだが?」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「昨日の酒が残ってるんですよ」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「まったくお前は……。
その酒癖さえなければ、こんな所に飛ばされずに済んだろうに」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「じゃあ温恢さんは何癖が悪くてここに飛ばされたんですか?」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「私は劉馥りゅうふく殿に見込まれてついて来たのだ。お前とは違う」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「……こっからはマジな話、劉馥さんの体の具合はどうなんですか。
ここんところ寝たり起きたりみたいだけど」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「年は越せないだろうな」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「!」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「合肥をここまで大きくするために無理を重ねてきたんだ。
本人も覚悟はしておられる」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「温恢! 蒋済! こんなとこにいやしたか」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「おお、噂をすればなんとやら」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「無駄口叩いてる暇があったらこっちゃ来い。てえへんだぜ」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「どうしましたか。まさか――」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「そのまさかだ。
陳蘭ちんらん雷薄らいはくのヤツが裏切りやがった」


~~~合肥~~~


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「服従したとは言いかねますが、
陳蘭らはすっかり鳴りを潜めていました。
今になって急に反旗を翻すとは……」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「おおかた曹操丞相が赤壁で大敗したのを受けて、
調子に乗ってるんでしょうよ」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「さらに孫権軍が徐州じょしゅうに向かってるそうだ。
まあそっちは陳登ちんとうが相手してくれるでやしょうが」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
荊州けいしゅうでの敗戦がこんな東の果てまで
尾を引くとは……戦は難しいものだ」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「難しく考えることはないですよ。
要は陳蘭と雷薄を倒せばいいんだ」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「いや、倒すことも考える必要はありやせん。
すでに援軍を要請しやした。
倒すのは援軍に任せて、あっしらはこの合肥を守るだけだ」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「しかし守兵は当初よりも増えたとはいえ千にも満たないです。
これっぽっちの数では籠城戦も満足にできるかどうか……」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「ならいっそのこと先制攻撃でも仕掛けますか?」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「馬鹿言っちゃいけやせん。あっしらは戦は不得手だ。
戦は軍人に任せて、あっしらはあっしらの
できることをするだけでいい……」


~~~合肥 陳蘭軍~~~


挿絵(By みてみん)
雷薄らいはく
「ヒャッハー! 今夜が合肥の最後の日だぜーッ!!」


挿絵(By みてみん)
陳蘭ちんらん
「劉馥には何度も煮え湯を飲まされたが、いよいよ年貢の納め時だ」


挿絵(By みてみん)
雷薄らいはく
「根無し草だった俺たちが、
明日からは合肥の城で寝られるんだよなアニキ!」


挿絵(By みてみん)
陳蘭ちんらん
「アニキはやめろと言ってるだろ」


挿絵(By みてみん)
雷薄らいはく
「脳筋の俺が今日まで生き長らえられたのはお前のおかげだからな。
ねんがんの合肥をてにいれる今夜くらいはアニキと呼ばせてくれよ!」


挿絵(By みてみん)
陳蘭ちんらん
「勝手にしろ。それより手はずはいいな?
お前が右、俺が左から攻めて――」


挿絵(By みてみん)
雷薄らいはく
「んん? ち、ちょっと待てアニキ。
なんだこの地響きは?」


挿絵(By みてみん)
陳蘭ちんらん
「こ、こいつは――」


挿絵(By みてみん)
曹真そうしん
「合肥はお前らにくれてやるにはもったいない!
代わりにこの大剣を馳走してやろう!」


挿絵(By みてみん)
曹休そうきゅう
「ふっ……。曹真はあいかわらず野蛮ですね。
それでは私はあくまでスマートに、
あなた方に安らかな眠りを差し上げるとしましょう」


挿絵(By みてみん)
雷薄らいはく
「そ、曹操軍の先制攻撃だ!」


挿絵(By みてみん)
陳蘭ちんらん
「馬鹿な……。合肥にこんな大軍は潜んでいなかったはずだ。
我々の蜂起にいち早く気がつき、待ち構えていたというのか!?」


挿絵(By みてみん)
雷薄らいはく
「くそっ! お前のすることにはいつも何かしら手落ちがあるんだ!
アニキなんて呼ぶんじゃなかったぜ!」


挿絵(By みてみん)
陳蘭ちんらん
「うるせえ!とにかくずらかるぞ!」


挿絵(By みてみん)
賈逵かき
「あちらにわざと退路を空けておきました。
敵はあちらに逃げるはずです」


挿絵(By みてみん)
曹真そうしん
「退路がわかればこっちのもんだ! 喰らえ!!」


挿絵(By みてみん)
曹休そうきゅう
「ふっ……。私に出会ったデスティニーを呪いなさい」


挿絵(By みてみん)
雷薄らいはく
「ぎゃああああああ!!!」


挿絵(By みてみん)
陳蘭ちんらん
「ぐわああああああ!!!」


~~~合肥~~~


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「……驚きました。こんなにあっさり陳蘭らの首を取れるとは」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「まあ、いくら敵が多かろうと、虚をつけばこんなもんでやしょう」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「それもこれも劉馥さんが
むちゃくちゃ早く陳蘭らの蜂起を察知したからでしょ。
やっぱり劉馥さんはすげーや」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「感心している場合じゃありやせんよ。
あっしが死んだ後は、あんた方に同じことをしてもらわないと」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「劉馥殿……」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「自分で自分の体のことくらいわかりやす。
あっしは年内にもぽっくり行くでしょうや。
そしたら合肥を守るのはあんた方の仕事だ。
今度の戦で、あっしは手本を示したつもりでやすよ。
しかも次に戦う相手は、山賊なんかじゃなくて
孫権軍の主力でやしょう」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「……せっかく苦労してここまで大きくした合肥だ。
俺も守りたいと思ってますよ」


挿絵(By みてみん)
温恢おんかい
「私も同じ気持ちです」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「合肥はまだまだ大きくなる。もっともっと重要拠点になる。
あっしが死んだ後はあんた方や、
援軍に来てくれた方々ら若い人たちの時代だ。
今までも、そしてこれからもあんた方を頼りにしてやすよ」


~~~~~~~~~


かくして合肥を狙う山賊は一掃された。
劉馥ただ一人から始まった城塞都市は、
後に曹操にとって大きな意味を持つこととなるが、
それはまた別の話である。
一方、赤壁で大勝利を得た周瑜は、曹仁の守る南郡に迫らんとしていた。

次回 〇五一   南郡の戦い
+注意+
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