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アイコン三国志 作者:小金沢

第五章 赤壁の戦い

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〇四四   三顧の礼

~~~荊州けいしゅう 隆中りゅうちゅう~~~


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「まったく調子いいんだから。
徐福じょふくの言うことを真に受けちゃってさ。
いくら曹仁の軍が長雨でいったん撤退したからって、
主人が城を抜け出していいのかしら」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「だって徐さんが言ってたろ。
万に一つ、諸葛亮さんが家臣になってくれるとしたら、
それはわしが自ら説得に行くしかないって」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「……アタイはアンタが自ら説得に行ったほうが
かえって成功率が低くなると思うんだけどね」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「………………」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「おまけに関羽までついてきちゃってるしさ。
しゃべらない男が説得の役に立つのかしら?
まあいいわ、最悪の場合は、その諸葛亮とやらの
首根っこつかんで、強引に連れ出してやるから」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「頼りにしとるぞ張さん!
おっ、第一村人発見じゃ。ちと道を尋ねてみよう。
おーい。すまんが諸葛亮さんの庵がどこにあるか知らんかの――」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「へ? なによあいつ。すごい勢いで逃げ出しちゃったわよ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「きっと張さんの顔が怖かったんじゃよ。
ほんなら向こうの村人に聞いてみよう。
張さんはちょっと後ろに下がっとれ。
おーい。悪いが諸葛亮さんの庵まで案内して――」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「ちょっとちょっとなんなのよ!?
今度は泡吹いて卒倒しちゃったわよ!」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「いったい何がどうなっとるんじゃ?」


挿絵(By みてみん)
??
「ははは。このあたりでその名は禁句だからですよ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おお、あんたは話が通じそうじゃな。で、何が禁句なんじゃと?」


挿絵(By みてみん)
??
「諸葛亮孔明という名がですよ。
その名を聞いて平静でいられる人間はこのあたりにはいません」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「な、なんでそんなことになんのよ?
それにアンタは平気なの?」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「申し遅れました。私は諸葛均と申します。
諸葛亮は私の兄です。兄に会えば、すぐにわかりますよ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「ほう、弟さんか! それはいい所で出会ったわ。
兄さんのとこまで案内してくれるか?」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「ええ。兄も劉備様たちがおいでになると知っています」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「へ? 知っとる?」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「ははは。兄は鋭い人ですからね。ともかくどうぞお越しください。
……会うかどうかはわかりませんが」


~~~隆中 諸葛亮の庵~~~


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「こちらが兄の住む庵です」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「……気のせいかしら、
なんかものすごく禍々しい気が漂ってるんだけど」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「ははは。みなさんそうおっしゃいます。
――おーい、兄さんはいますか」


挿絵(By みてみん)
??
「いませんです。お帰りくださいです」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「おお、月英がいたんだね。兄さんはお出かけかい?」


挿絵(By みてみん)
??
「いませんです。お帰りくださいです」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
龐統ほうとうさんの所にでも行ってるのかな?」


挿絵(By みてみん)
??
「いませんです。お帰りくださいです」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「……なんなのこの九官鳥みたいな女は?」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「兄の世話をしている黄月英こうげつえいです。
月英、こちらは劉備様とそのご兄弟だ」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「はじめましてです。お帰りくださいです」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「………………」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「ははは。
留守番を命じられたからそれしか答えないんですよ。
職務に忠実な子だからね」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「……なんとなく、諸葛亮ってのがどんなヤツかわかったわ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「とにかく諸葛亮さんがいないなら出直すしかないのう。
また明日来るから、よろしくな」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「わかりましたです。お帰りくださいです」


~~~翌日 隆中 諸葛亮の庵~~~


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「今日は色よい返事をもらえるといいですね」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おーい月英さんや。また来たぞ。諸葛亮さんはおるかのう?」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「いるです。お待ちくださいです」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「まったく二度手間なんだから……。
諸葛亮とやら、今日こそはふん縛っててでも連れ出してやるわ」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「貴様が劉備か」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おお、あんたが諸葛亮さんか?」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「余に何用だ」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「よ、余って……」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「余の貴重な時間を割いてやっているのだ。さっさと用件を言え」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「わしの軍師になってくれんかの?」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「断る」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「ち、ちょっと待ちなさいよ! そう簡単に帰すわけには――」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「御主人様から手を離すです」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「こ、この小娘いつの間に……」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「聞こえなかったか? とっとと手を離せ。
さもなくば喉から血の大輪が咲くぞ」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「チッ!」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「いい子だ。だが余の胸ぐらをつかむとは大したものだ。
いいだろう、貴様の糞度胸に免じて話を聞いてやる」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「なにを偉そうに……。
劉備、こんなヤツを仲間にするなんてアタイはまっぴらごめんよ!」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「うーむ。たしかに傲慢なやっちゃのう。
じゃが張さんよ。今まで張さんに胸ぐらつかまれて
ビビらなかったヤツがいたかのう?」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「ん……。たしかにいなかったけど、
単に面の皮が厚いだけじゃないかしらね」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「その通りです」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「貴様は黙っていろ。
――劉備、ならば問おう。なぜ貴様は余の力を欲する?
余の力を得て何を求めるのだ?」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「わしは皇帝になるんじゃ。その手伝いをしてくれ」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「…………ほう」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「どうじゃ? 手伝ってくれるか?」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「今日はこれから客が来る。明日また来い」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「ち、ちょっと待ちなさ――ああ、もう邪魔よ小娘!」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「明日またおいでくださいです」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ……」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「まあまあ、諸葛亮さんがまた明日と言ってるんじゃ。
そうしようじゃないか」


挿絵(By みてみん)
諸葛均しょかつきん
「ははは。貴重なものを見せてもらいました。
兄が物事を即断しないなんて初めてですよ。
これはひょっとするとひょっとするかも知れませんね……」


~~~翌日 隆中 諸葛亮の庵~~~


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「諸葛亮殺す。小娘殺す。劉備も殺す」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おちつけ張さん。
そんな殺気だらけじゃ諸葛亮さんの気が変わっちまうぞい」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「………………」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「この男は本当になんもしゃべんないからガチでいるだけだし……。
ああもう、関羽も殺す」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「ほ、ほれ。もう孔明さんの庵に着いたぞ。
き、今日こそ軍師になってくれるといいのう!」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「お待ちしてましたです。お入りくださいです」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「月英さんもだんだん愛想がよくなってるじゃないか!
きっといい返事がもらえるぞ張さん!」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「………………」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「来たかバカ兄弟。座れ」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「         」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「………………(#^ω^)ビキィ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「張さんおさえておさえて!
ああ、関さんまでブチギレ寸前の顔をしとるぞ!」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「兄弟ゲンカが終わったら余の話を聞け。
――劉備、貴様は皇帝になると言ったな。
曹操に一度も勝ったことのない貴様がどうやって皇帝になるつもりだ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「そりゃ曹さんには勝ったことないが、別に勝つ必要はないぞ。
曹さんに話した時も誤解されたが、
わしは献帝けんてい陛下に取って代わる気はないんじゃ。
陛下は陛下のままで、わしは皇帝になる。
それならそもそも曹さんと戦う必要がないじゃろ」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「ほう、見直したぞ。わかっているではないか」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「へ?」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「貴様は無能だ。曹操に勝つ方法はない。
ならばどうやって皇帝になる?
答えは一つだ。曹操から逃げればいい。
曹操の手が届かぬほど遠くへ、遠くへと逃げる。
そこで貴様の国を作ればよいのだ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「な、なるほどなるほど」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「どこへ逃げるか? たとえば益州えきしゅうだ。
天然の要害を誇り、袁氏に対しての北伐とは
比べ物にならぬほど侵攻は容易ではない。
あとはたとえば孫権や馬超に一大勢力を築かせ、
曹操に標的を絞らせなければ万全だ。侵攻中に留守にした都を、
孫権や馬超が窺うやもという不安が付きまとうからな。
益州に貴様の国を作れば、曹操といえども手出しはできん」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「お、おう……」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「……貴様、余の話を理解しておらんな?」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「り、理解しておるぞ! 益州は良い所じゃな!」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「……余が皇帝になるのは簡単だ。五年もあれば事足りる。
だが貴様を皇帝にするのは骨が折れそうだ。……面白い。
劉備、貴様に余の力をくれてやろう」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「ぐ――軍師になってくれるのか?」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「世界広しといえども、
貴様のような無能を皇帝にしてやれるのは余だけだ」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「やったな張さん! 関さん!」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「……いちいち口は悪いけど、言ってることは正論ね。
劉備が迎え入れるってんならアタイも反対しないわ。
でも諸葛亮、アンタのことを認めたわけじゃないからね!」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「張さんはこんなこと言ってるけど、
ちょっとツンデレ気味なだけじゃから気にしなくていいぞ」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「誰がツンデレよ!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「ヤンデレ」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「ヤンデレでもないわよ!
アンタ関帝様のくせに発言の半分がデレ関係だけどそれでいいの!?」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「……御主人様、本当に劉備に仕えるですか?」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「馬鹿な。神が余にかしずくことはあっても、
余は誰にもかしずくことはない。
言ったはずだ。劉備に力を貸してやると」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「劉備にぞっこん惚れ込まれたです。
御主人様が他人にデレるところは初めて見たです」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「黙れ。死ね」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「嫌です。
……御主人様がデレるのは私だけだと思ってたのに残念です」


挿絵(By みてみん)
諸葛亮しょかつりょう
「妄言を吐くな。死ね」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「嫌です」


~~~~~~~~~


かくして諸葛亮は劉備の軍師となった。
はたして"伏龍"の唱える天下三分の計は、劉備を帝位に導く切り札となるのか?
一方、曹操の魔の手は劉備の喉元へと迫ろうとしていた。

次回 〇四五   伏龍の智謀
+注意+
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