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アイコン三国志 作者:小金沢

第四章 官渡の戦い

33/125

〇三二   関羽千里行

~~~白馬城 南~~~


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「父上と二人旅は初めてです。
こんな時になんですが、うれしく思います」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「曹操は劉備様への帰参を許してくれましたが、
ここはまだ敵地です。
劉備様がおられる汝南じょなんへの道も遠いですし、
用心して参りましょう」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「さすが父上!
お前などに言われるまでもないということですね。
差し出がましいことを申しました」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「!」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「む! 怪しい一団がこちらに向かって来ます。
止まれ! 何者だ!?」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「誓って怪しい者じゃありやせん。
それがし姓を周、名を倉と申すしがない黄巾賊あがりでございやす。
後ろに控えたるは同じくかつての賊仲間。
一同お願いあって参りやした」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「我々は高名なる関羽将軍に仕えたく、ここに参った次第である!
関羽将軍に会えて俺は感動している!」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「劉備んとこへ帰るんだろ? 俺たちも連れてってくれよ」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「……父に仕えたいとは殊勝な心掛けであるが、
見れば怪しい風体の者ばかり。
おいそれと信用するわけにはいかんな。そうですよね父上?」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「これは私の考えがあさはかでした!
黄巾賊風情がなにを企もうと、
この関羽に危害を加えることは不可能だと言いたいのですね!

――おい、お前たち。同行を許すが、
もしくだらない考えを抱いてみろ。父の手をわずらわすまでもない。
この関羽が一子・関平の槍のサビにしてくれるからな!」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「我ら一同ただただ関羽将軍を慕うのみ。
お天道様が西から上がろうとも裏切ることはございやせん」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「もし怪しい素振りを見せたら即座に斬り捨てるがいい!」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「でも馬泥棒くらいは見逃してくれんだろ?
っていうかこの馬も盗んできたものなんだけど」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「お前たちがこの関羽を信頼するならば、
関羽もまたお前たちを信頼しよう!
……と父はそう思っている。父の度量の深さに感謝するがいい!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


~~~東嶺関とうれいかん~~~


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「関所が見えてきやした。
あれは東嶺関と言いやして、汝南へ行くには
必ず通らなくてはならない五つの関所の一つ目でさあ」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「なるほど。だが父は曹操から許可を得ている。
すんなり通れるはずだが――」


挿絵(By みてみん)
孔秀こうしゅう
「待て! 俺は東嶺関の守将・孔秀だ。
貴様ら通行手形は持っているか?
手形の無い者を通すわけにはいかん」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「これは異なことを申す!
我が父・関羽は曹操より劉備様への帰参を許されている。
帰参は許しても関所の通行を許さないとは何事だ!」


挿絵(By みてみん)
孔秀こうしゅう
「通行手形の無い者は誰であろうと通すわけにはいかん」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「やいやい門番さんよ!
この御方はどこからどう見ても関羽将軍じゃねえか。
将軍の顔が手形代わりだ。おとなしく道を空けな!」


挿絵(By みてみん)
孔秀こうしゅう
「規則は規則である。通りたくば手形をもらってくるんだな!」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「なんと聞き分けの悪い……!
かくなる上は力ずくでも押し通るのみ!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「!」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「父上お待ちを!
こんな小者相手に父上が腕をふるうまでもありません。
この関平が引き受けました!」


挿絵(By みてみん)
孔秀こうしゅう
「たったの五人で関所を破るだと? 血迷ったか貴様ら!」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「周りの雑魚は我々が引き受けやす。
関平殿はあいつに集中してくんなせえ」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「ありがたい! 行くぞッ!」


挿絵(By みてみん)
孔秀こうしゅう
「ははははは! そんなか細い槍でこの鉄壁の守りは貫けんわ!」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「まだまだぁ!」


挿絵(By みてみん)
孔秀こうしゅう
「何度やっても無駄だ!」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「まだまだまだまだぁッ!」


挿絵(By みてみん)
孔秀こうしゅう
「う、うおおっ!?
こ、これは盾の一点に集中して刺突を加えているのか!?」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「まだまだまだまだまだまだまだまだぁぁッッ!」


挿絵(By みてみん)
孔秀こうしゅう
「た、盾が集中攻撃を受けた一点から砕けて――ぎゃあああ!!」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「見たか! 虚仮の一念、岩をも通す!
関平が槍が盾を貫いたぞ!」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「敵は門を開いて中に逃げてるぞ! 今のうちに通るんだ!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


~~~洛陽らくようの関所~~~


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「第二の関所が見えてきた。
すでに我々が東嶺関を破った知らせは届いているだろう」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「ってことは、俺たちはお尋ね者ってことだな。
すんなり通してくれそうにねえな」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「元はと言えば融通の利かない孔秀とやらが悪いのだ。
今度の門番もぐずぐず言うようなら、関所破りするまでだ!」


挿絵(By みてみん)
韓福かんふく
「ほっほっほっ。これはこれは関羽様とその御一行様。
ようこそいらっしゃいました。私がここの守将です。
聞けば先の東嶺関では無礼を働いたとのこと。
お詫び申し上げましょう」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「これは丁寧なご挨拶いたみいる。
それではこの洛陽の関所は通してもらえるのだな?」


挿絵(By みてみん)
韓福かんふく
「それはもちろんでございます。ささ、お早くお通りください。
…………今です、射ちなさいッ!!」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「くっ! 騙し討ちとは卑怯な!」


挿絵(By みてみん)
韓福かんふく
「ほっほっほっ。関所破りに遠慮はいたしません。
いかな関羽様でもこの矢の雨は避けられますまい」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………ッ!」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「ま、そんなことだと思ってやしたよ」


挿絵(By みてみん)
韓福かんふく
「な!? い、いつの間に背後に!?」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「最初からでさあ。
それがし作り笑顔のお人は信用しないことにしていやす」


挿絵(By みてみん)
韓福かんふく
「うぎゃあああ!!」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「守将が討たれて矢の雨もやんだぞ。
今のうちに通過しましょう父上!」


~~~沂水関きすいかん~~~


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「これで二つの関所を破っちまったな。
もうこの先の関所では必ず襲われると思ったほうがいいだろうよ」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「早速、次の門番が出てきたな。
有無を言わさず斬り捨てましょうか?」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「あいや、待たれよ。
私は沂水関の守将だが、この通り丸腰だ。兵も連れてきていない」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「……たしかに付近に兵の気配はないようだ」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
(! こ、こいつらよく見れば黄巾賊の連中ではないか!)


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「おや? 失礼だがあんたさん、どこぞで会ったような……」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「い、いえいえ他人の空似でしょう。
そんなことより夜も近くなりました。
どうぞ今夜は我が関所にお泊りください」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「それは助かる。これまでの関所の連中も
お前くらい分別があれば、殺さずに済んだんだがな」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


~~~沂水関 夜~~~


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「関羽が寝ているところを襲う計画だったが、
まさかかつての黄巾賊の連中が同行しているとはな。
し、しかし私は黄巾賊にいた頃は常に仮面を着けていた。
正体がばれることはあるまい……」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「守将殿」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「は、はい!?」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「父が厠をお探しだ。どちらにあるのかな?」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「そ、それでしたら、庭を通ってあちら側の小屋でございます」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「わかった」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
(これは好機だ!
いかに関羽といえども便所では無防備なはず!
先回りして待ち構えてやる!)


~~~沂水関 厠~~~


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
(さあ来い、いま来い、早く来い……。
来たな! 死ね関羽!)


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「うおおっ!? 何しやがんだてめえ!」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「な、お前は裴元紹!
くそ、関羽の背丈で首を狙ったから外してしまった!
関羽はどうした! 便所を探していたのではないのか!?」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「将軍は便所に行くのが面倒で中庭で用を済ませたぜ」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「なん……だと」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「っていうかお前、なんで俺の名前を知ってるんだ?
……んん? その細い目は見覚えがあるぞ。
さては卞喜だなお前!」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「ぐうっ! ばれたか!」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「はっはっはっ。卞喜が便器の真似とは笑い話だな!
将軍を騙し討ちするつもりだったんだろうが、そうは行かねえぜ」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「こうなったらお前を口封じして計画を練り直すしかない。
行くぞ、卞喜バトルフォーム!」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「どうしたどうした便器野郎!
門番に鞍替えして腕がなまったんじゃねえか?」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「く、くそ! たしかに腕力が落ちている。斧が重い……」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「隙ありィ!!」


挿絵(By みてみん)
卞喜べんき
「あぎゃああああ!
せ、せっかく地道に出世したのに……」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「ケッ。便器野郎の墓場には便所がお似合いだぜ」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「おお将軍! 安心してくんな、
敵は一足先に片付けといたぜ!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


~~~滎陽れいようの関所~~~


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「お手柄だったな裴元紹!」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「いやいや、相手が元・黄巾賊の雑魚だったからな。
運が良かったぜ」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「どうされましたか父上?
さては我々の活躍を喜んでいらっしゃるのですな。
我々がいるからには、父上に指一本触れさせません!」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「四つ目の関所に差し掛かりやしたが……
早速、門番が出てきてやすな」


挿絵(By みてみん)
王植おうしょく
「俺の名は滎陽の守将・王植!
修行により鋼鉄の肉体を手に入れた男だ!
武器なんて捨ててかかってこいよ関羽!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………!」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「おおっ! なんという鍛え上げられた美しい肉体……。
これは負けてはいられん! 王植とやら! 我が筋肉も見よ!」


挿絵(By みてみん)
王植おうしょく
「なんと! こんな強靭な筋肉の鎧をまとう男が他にもいるとは!
まるで鏡を見ているようだ……」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「強靭なのは見た目だけではないぞ!
それを今から思い知らせてやる!」


挿絵(By みてみん)
王植おうしょく
「望むところだ! お前たち、手を出すなよ。
これは俺の筋肉と奴の筋肉の戦いだ!」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「うおおりゃあああああっ!!」


挿絵(By みてみん)
王植おうしょく
「ぬううううううううんっ!!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「敵は廖化と王植の戦いに見とれています!
この隙に関所を突破しましょう!」


~~~黄河の関所~~~


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「いやはや、素晴らしい戦いだった!
こんなにいい汗をかいたのは久しぶりだ!」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「で、勝負には勝ったのか?」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「そんなことはどうでもいいことだ!
我々は磨き上げた肉体美を競い合った、
それだけでよいのだからな!」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「廖化と王植の謎の友情はともかく、
いよいよ最後の関所が見えて来やしたな」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「今度も敵軍は関所の外に布陣しているようです。
――おや、父上?」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「ついに父上自ら戦われるのですか!
し、しかし父上が出るほどの相手では――」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「おや? 待たれよ皆の衆。様子が何か変じゃねえかい」


挿絵(By みてみん)
秦琪しんき
「ば、馬鹿な……黄河の関所を任されたこの俺が……
関羽ではなく、こんな浪人ごときに……」


挿絵(By みてみん)
陳到ちんとう
「またつまらぬ物を斬ってしまった……」


挿絵(By みてみん)
秦琪しんき
「ぐはぁっ!」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「おいおい、関所の兵がみんな逃げ出しちまったぜ。
あいつは何者だ?」


挿絵(By みてみん)
陳到ちんとう
「む? そのヒゲ、その出で立ち……
そちらに見えるは関羽将軍でござるか」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「何者だお前は?」


挿絵(By みてみん)
陳到ちんとう
「拙者は陳到と申す旅の者。
この関所を通ろうとしたが、通行手形があるにも関わらず、
もうすぐ関羽が来るから関所を通すわけには行かぬと、
理不尽に止められ申した。
いささか腹に据えかね、門番を斬り捨てた次第にござる」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「それにしても遠目に見ただけだが、
すさまじい腕前であったな!」


挿絵(By みてみん)
陳到ちんとう
「拙者いまだ修行中の身。
見苦しきものをお目にかけた非礼、許されよ」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「いやさ、この関平、正直言って恐れいった!
どうだ陳到殿、よければ我々と同道願えんか?
それほどの腕を浪人のままにしておくのは惜しい」


挿絵(By みてみん)
陳到ちんとう
「天下にその名の轟く関羽将軍に誘われては、否とは申せますまい。
この半人前の剣であれば、いくらでもお貸し致そう」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「こいつは心強い味方ができやしたな!
劉備殿も喜ばれるでやしょう」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


~~~汝南じょなん 北部~~~


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「…………」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
(か、関平さんよ、関羽将軍はどうしたんだ?
さっきからすげえ不機嫌そうだぞ)


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
(そうか? 私にはいつもの父上に見えるが……)


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
(たしかにどこか近寄りがたい雰囲気が漂っていやすな)


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
(わかったぞ!
父上は五つの関所を越えてもなお油断していないのだ。
勝って兜の緒を締めよの言葉どおり、
気を引き締め直しているのだろう)


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
(なるほど! さすが関羽将軍だ! 俺は感動したぞ!)


挿絵(By みてみん)
陳到ちんとう
「! 皆の者、誰か近づいてくるぞ」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「関羽! そこで止まってもらおうか」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「お前は夏侯惇!」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「まずは非礼を詫びるとしよう。
お前ほどの男を、五つの関所ごときで
止められると思ったのが間違いだった。
あんな雑魚どもでは、関羽を討つことなど、どだい無理な話だ」


挿絵(By みてみん)
周倉しゅうそう
「そりゃそうだ。
関羽将軍どころか我々だけで片付きやしたもんな」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「はじめから他人任せにせず、俺が出張ってくるべきだった。
関羽! お前を劉備のもとへ行かせては大きな災いとなる。
ここで――」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「!!」


挿絵(By みてみん)
裴元紹はいげんしょう
「おお! 皆まで言わせず将軍のほうから飛びかかったぞ!」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「関羽てめえ! 話は途中だぞ!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「ッッ!!」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「問答無用ってわけか! 面白え!!」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「あんなに鬼気迫る父上は初めて見る……。
まるでうっぷんが溜まりに溜まっていたようだ。
だが父上はここまでわずらわしい戦いを回避してきたのに、
いったいなにがご不満なのだ?」


挿絵(By みてみん)
陳到ちんとう
「……戦えなかったのがご不満だったのではござらぬか」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「え」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「たしかに水を得た魚のように暴れまわっているな……」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「ッッッ!!!」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「これが関羽の実力か! 強すぎてうれしくなって来るぜ!」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
「待て夏侯惇の旦那! 戦いをやめろ!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「!!!」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
「うわっと! 早とちりすんなよ関羽の旦那!
オレは加勢に来たんじゃねえ。止めに来たんだ」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「止めるだと?」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
程昱ていいくのジジイに吐いてもらったぜ。
アンタらの陰謀はここまでだ。
関羽の旦那が関所破りをしたのは、曹操の旦那も承知だ。
だが通行手形を渡し忘れたんだから、関所破りは咎めねえとよ。
関羽の旦那は無事に通行させろっつー命令だ」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「曹操め、余計な真似を……」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
「もしこれ以上、戦おうってんなら、
夏侯惇の旦那がお尋ね者になっちまうぜ」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「……フン。曹操の命令には逆らわねえよ」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
「つーことで関羽の旦那、安心して通ってく――」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「!!!!」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
「うおおっ!? ど、どうしたんだよ旦那!
オレたちは戦わねえって――」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「ッッッッッ!!!!!」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「チッ! 聞く耳持たずか!」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
「ず、ずらかるぞ夏侯惇の旦那!」


挿絵(By みてみん)
関羽かんう
「!!!!!!!!!!」


挿絵(By みてみん)
関平かんぺい
「父上…………」


~~~~~~~~~


かくして関羽は五つの関と千里の道を越えた。
一方、劉備と張飛は汝南の地で孤独な戦いを続けていた。
はたして流浪の主従を待ち受ける次なる運命とは?

次回 〇三三   皇帝への道
+注意+
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