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アイコン三国志 作者:小金沢

第四章 官渡の戦い

31/125

〇三〇   白馬の戦い

~~~易京えきけいの要塞~~~


挿絵(By みてみん)
趙雲ちょううん
「どくッス! 道を空けるッス!
公孫瓚先輩! 話を聞いてください!」


挿絵(By みてみん)
公孫瓚こうそんさん
「趙雲! 門を突破してまで何用だ!
さては俺の首を奪い、袁紹に寝返るつもりだな!」


挿絵(By みてみん)
趙雲ちょううん
「そんなことはしないッス!
前線に置き去りにされたことも恨んでないッス!
自分はただ、ただ」


挿絵(By みてみん)
公孫瓚こうそんさん
「黙れ裏切り者め! お前ら、断じてここの門は開けるなよ!」


挿絵(By みてみん)
趙雲ちょううん
「自分はただ、先輩に一言お礼を言いたくて……」


挿絵(By みてみん)
公孫瓚こうそんさん
「射殺せよ!」


挿絵(By みてみん)
厳綱げんこう
「くたばれ趙雲!」


挿絵(By みてみん)
関靖かんせい
「みなさんCM中も裏切り者を逃がさないでくださいよ!」


挿絵(By みてみん)
趙雲ちょううん
「先輩……。今までお世話になりました……」


~~~青州せいしゅう~~~


挿絵(By みてみん)
袁紹えんしょう
「フン、やっと易京の要塞が落ちたか」


挿絵(By みてみん)
田豊でんほう
「はい。地下から穴を掘り
ようやく城内へ忍び込むことができました。
公孫瓚とその一族、さらに主だった将の首は残らず挙げました」


挿絵(By みてみん)
審配しんぱい
「公孫瓚ごときにここまで手こずらされるとはな」


挿絵(By みてみん)
逢紀ほうき
「誰かさんがもう少しマシな策を立てれば
こんなに苦戦はしなかったのだがのう」


挿絵(By みてみん)
審配しんぱい
「なんだと」


挿絵(By みてみん)
沮授そじゅ
「やめられよ。逢紀殿は別に審配殿のことだとは言っていない。
それより今は戦勝を祝おうではないか」


挿絵(By みてみん)
許攸きょゆう
「デュフフwww 公孫瓚の一族の公孫度こうそんど
それに烏丸うがん族も拙者たちに降伏したしおすし。
もはや北方は拙者たちのものですなwww コポォwww」


挿絵(By みてみん)
袁紹えんしょう
「いやいや、名族の勢いは北方だけに留まるものではない。
かくなる上は――」


挿絵(By みてみん)
袁譚えんたん
「かくなる上は?」


挿絵(By みてみん)
袁紹えんしょう
「南方、すなわち逆賊・曹操を討伐し献帝陛下を奪回する!
そしてこの名族の威光があまねく天下を照らすのだ!!」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「袁紹様バンザーイ! 名族バンザーイ!」


挿絵(By みてみん)
許攸きょゆう
「………………」


挿絵(By みてみん)
沮授そじゅ
「………………」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「ん? わしなんか、おかしなこと言ったかのう?」


~~~許昌きょしょうの新都~~~


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「そうか、ついに袁紹君が動いたか。
優柔不断な男だが、決断するとさすがに早いね。
全軍を挙げて南下してるって?」


挿絵(By みてみん)
荀攸じゅんゆう
「はい。東の北海ほっかい方面から徐州じょしゅうへ長男の袁譚が、
西の并州へいしゅうからは長安ちょうあんへ次男の袁煕えんきが、
そして袁紹自身は中央から白馬はくばを目指しています」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「名族と名乗るにふさわしい正攻法の作戦だね。
正面から僕らを押しつぶす自信があるのだろう。
それじゃあ僕らも兵を割り振ろうか。まずは荀彧君」


挿絵(By みてみん)
荀彧じゅんいく
「はいはい」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「君には都の守りと僕が留守の間の政治を任せたよ」


挿絵(By みてみん)
荀彧じゅんいく
「わかりました。でも私だけでは間に合いません。
殿も二月に一度くらいは戻ってきていただけると助かります」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「ああ、そうするつもりだ」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「お、おい。
指揮官のお前がそんなに頻繁に前線から抜けるつもりか?」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「そりゃあそうさ。
袁紹君との戦いより、政治のほうが大変だからね。
それとも夏侯惇君は僕がいないと怖くて戦えないのかい?」


挿絵(By みてみん)
夏侯惇かこうとん
「お前なんかいらねえよ!
見てろよ、お前が留守の間に袁紹の首を挙げてやる!」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「それが一番助かる。ぜひよろしく頼むよ。
……つづいて徐州方面だね。そっちは曹純君と臧覇君に任せよう」


挿絵(By みてみん)
曹純そうじゅん
「袁紹のドラ息子は引き受けました。殿は安心して戦ってください」


挿絵(By みてみん)
曹仁そうじん
「大役を預かったな弟よ! 殿の期待に応えろよ!」


挿絵(By みてみん)
臧覇ぞうは
「ガッハッハッ! 俺もいるから大船に乗ったつもりでいろ!」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「徐州にはまた僕に降ってくれた陳登ちんとう君もいる。
彼は徐州と自分の身を守るためならなんでもするから、
頼りにするといいよ。
西のほうは、長安に詰めている鍾繇しょうよう君に任せればいいだろう」


挿絵(By みてみん)
董昭とうしょう
「わかりました。鍾繇様に伝えておきます」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「兵站はいつもどおり韓浩かんこう君に委ねるとして、
他に何か打っておくべき手はあるかな?」


挿絵(By みてみん)
郭嘉かくか
揚州ようしゅう


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「ふむ。がら空きの揚州に孫策君が手を出さないとは限らないね。
袁術君の残党も暴れているそうだし、なにか布石をしておくべきか。
それじゃあ、劉馥君」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「へい」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「君は袁術君のもとにいたから、土地勘があるだろう。
揚州に入り、地盤を固めてくれ」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「わかりやした」


挿絵(By みてみん)
程昱ていいく
(降伏したばかりの無名なこの男をそんな大役に抜擢じゃと……。
あいかわらず殿はとんでもないことを考えおるわ)


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「悪いんだけど兵はあんまり回せないんだが……」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「なあに、兵は300人も貸してくれれば十分でさあ」


挿絵(By みてみん)
王朗おうろう
「たったの300人だと?」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「何か腹案があるみたいだね。君の好きなようにしたまえ。
兵は貸せない代わりに、副官には
若手なら誰でも連れていってくれていいよ」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「じゃあ温恢おんかいを貸してくだせえ」


挿絵(By みてみん)
曹洪そうこう
「温恢? そんな奴いたか?」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「父の遺産を捨てて無一文で官吏になった彼か。
いいよ、連れていきたまえ」


挿絵(By みてみん)
劉馥りゅうふく
「貧乏暮らしが長く続きそうなこの任務にゃあ、
うってつけでやしょう?」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「もっともだ。それじゃあ頼んだよ。
名前を挙げなかった諸君は、
本隊として僕とともに白馬に向かってくれ。
袁紹君の兵は……そうだね、僕らの十倍はいるだろうから、
一人あたま十人を相手にするつもりでいてくれたまえ」


挿絵(By みてみん)
張遼ちょうりょう
「十倍か……! 面白えー。望むところだ!」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「そうそう孔融君、何か意見はあるかな?」


挿絵(By みてみん)
孔融こうゆう
「孔子曰く『袁紹は逆賊』と申す。この戦に反対はせぬ」


挿絵(By みてみん)
曹操そうそう
「孔融君のお墨付きももらった。
大義は僕らにありというわけだね。
それじゃあ出発しようか」


挿絵(By みてみん)
夏侯淵かこうえん
「おう! 先に行っているぞ!」


~~~白馬はくば~~~


挿絵(By みてみん)
侯成こうせい
「チッ……曹操のヤロー、
俺たちをこんな最前線に飛ばしやがって。
誰のおかげで呂布を殺せたと思ってるんだ」


挿絵(By みてみん)
宋憲そうけん
「当てが外れちまったな」


挿絵(By みてみん)
魏続ぎぞく
「恩賞はもらったが、それだけで一生暮らせはしない。
軍人を続けるのはしかたないが、
よりによって白馬への駐屯を命じられるとは……」


挿絵(By みてみん)
侯成こうせい
「若僧の張遼や山賊の臧覇が呂布軍の残党を率いてるってのに、
なんで古参の俺たちがこんな扱いなんだよ!」


挿絵(By みてみん)
宋憲そうけん
「まあ逆に言えば大手柄を立てる好機でもある。
聞けば袁紹軍の先鋒は、顔良がんりょうと劉備だそうだ。
どちらも名の知れた将だ。どちらかの首を取れれば……」


挿絵(By みてみん)
魏続ぎぞく
「私にいい考えがある。
劉備はかつて呂布に徐州を奪われた。
呂布を殺すきっかけを作った我々は、
いわば劉備のために徐州を取り戻してやった恩人だ」


挿絵(By みてみん)
侯成こうせい
「その徐州はあっさり曹操に奪われてるけどな」


挿絵(By みてみん)
魏続ぎぞく
「だが劉備は望んで袁紹陣営についたわけではない。
あの男は非常に単純な人間だという。
曹操に許してもらえるよう我々が取りなしてやると言えば、
誘いに乗るのではないか」


挿絵(By みてみん)
宋憲そうけん
「そううまく行くか?
だいいち俺たちが取りなしなんかできるのかよ」


挿絵(By みてみん)
魏続ぎぞく
「ただの方便だ。そのまま捕らえて曹操に突き出してやればいい。
もし誘いに乗らなければ、その場で殺すだけだ」


挿絵(By みてみん)
侯成こうせい
「二段構えの策というわけか。
どちらに転んでも俺たちにとってはおいしい話だな」


挿絵(By みてみん)
宋憲そうけん
「おっ。早速おいでなすったようだぜ」


挿絵(By みてみん)
魏続ぎぞく
「よし、出陣だ! 劉備を狙うぞ!」


~~~白馬 北部~~~


挿絵(By みてみん)
魏続ぎぞく
「ぐおおおおっ!」


挿絵(By みてみん)
宋憲そうけん
「うぎゃあああああっ!」


挿絵(By みてみん)
侯成こうせい
「く、クソが! 退け! 退けーーい!」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「……なんだったのかしらアイツら」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「全くけしからん連中じゃ! 袁さんを裏切れだと?
わしと袁さんの友情をなんだと思っておる!」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「……ちょっと親切にされただけで
すっかり袁紹に心酔しちゃってるわね」


挿絵(By みてみん)
糜芳びほう
「呂布に騙され、曹操に追われ、
人間不信になってもおかしくないアルからな」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「こいつはそんな繊細な人間じゃないわよ。単細胞なだけ」


挿絵(By みてみん)
顔良がんりょう
「さすがは名にし負う劉備殿! 曹操めの誘惑をはねつけ、
間者を即座に斬り捨てるとはお見事!」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「魏続を斬ったのはアタイだけどね」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「顔良さんこそ、宋憲とやらを
一刀両断にした腕前、惚れ惚れしたぞ」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「後ろから不意打ちだったけどね」


挿絵(By みてみん)
顔良がんりょう
「劉備殿と張飛殿がおられれば、曹操など恐れるに足らん!
この勢いをかって我々だけで曹操軍を壊滅させてやろうぞ!」


挿絵(By みてみん)
劉備りゅうび
「おうよ! 袁紹様バンザーーイ!」


挿絵(By みてみん)
張飛ちょうひ
「………………」


~~~~~~~~~


かくして前哨戦は侯成らの失策により、袁紹軍の大勝となった。
はたして袁紹軍はこの勢いのまま、曹操軍を圧倒するのか?
だが劉備の前には数奇な運命の罠が待ち構えていた。

次回 〇三一   劉備 VS 関羽
+注意+
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