挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
アイコン三国志 作者:小金沢

第三章 人中の呂布

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

22/126

〇二一   孫策の逆襲

~~~寿春じゅしゅん~~~


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
劉繇りゅうようを攻撃している孫静そんせい呉景ごけいから連絡です。
敵の防備は堅く、苦戦が続いているとのこと」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「あいかわらず孫静どもは孫堅の弟のくせに大したことないザンスね。
ミーは失望したザンスよ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「劉繇は名門の権威と揚州ようしゅう刺史の
地位を活かして数万の兵力を集めています。
孫静らの手勢だけではやはり難しいでしょう」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「フン、劉繇が名門ザンスか?
ミーと比べたらぽっと出の成金ザンス。
で、どうしたら孫静のバカは勝てるザンスか?」


挿絵(By みてみん)
楽就がくしゅう
「殿! 俺に任せてくれればすぐに大勝してやるぜ!」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。楽就殿のお手をわずらわせるまでもありません。
孫静には兵よりも将を送れば助けとなるでしょう。
孫堅の旧臣だった程普ていふ韓当かんとうならば、
手足のように使いこなせるはずです」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「周瑜がそう思うならそうすればいいザンス。
ところで、孫堅の息子の……なんといったザンスか?
あの山猿は」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「孫策ですか?」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「そうそう孫策。
あいつはまた飽きもせず狩りに行ってるザンスか」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「はい。来る日も来る日も野原を駆けずり回って、
虎やウサギとたわむれているようです。
他愛もないものです」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「孫堅の息子だけあって野蛮人ザンスねえ。
周瑜が呆れて、ミーに仕えるようになったのも納得ザンス」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。殿には孫策にはない、
名門ならではの気品がありますからね」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「うっひゃっひゃっ。さすが周瑜はわかってるザンス!」


~~~寿春じゅしゅん 郊外~~~


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「袁術の監視はまいたか?」


挿絵(By みてみん)
朱治しゅち
「ええ。影武者の方を追っていきました」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「ああ見えてしつこいヤローだぜ。
いまだにオレを監視してやがる」


挿絵(By みてみん)
呂範りょはん
「周瑜がわざと監視させているのだ。
孫策は毎日、狩りに出かけていると思わせるためにな」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「たまにゃあ本当に狩りに行きてェもんだな。
――で、今日は誰に会うんだ?」


挿絵(By みてみん)
朱治しゅち
「これまでにも多くの人材と会い、協力を取り付けてきましたが、
今日お会いしていただくのは、これまでで最も重要な相手です」


挿絵(By みてみん)
呂範りょはん
「はっきり言って、この二人の協力を得られなければ、
今までの努力が水の泡だ」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「二人? そんな面倒な相手と二人も会わなきゃなんねェのかよ。
で、どこのどいつだそいつらは」


挿絵(By みてみん)
朱治しゅち
「聞いたことはありませんかな、『二張』の名を」


挿絵(By みてみん)
呂範りょはん
「孫策、この二人を得られれば、いよいよ機は熟すのだ。
がんばって説得しろよ」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「超だりィ…………」


~~~寿春じゅしゅん~~~


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「なんザンスか孫策、ミーに改まって話なんて」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「急な話で悪ィんだけど袁術さんよ。
ちィとばかし兵を貸してくんねェかな。
苦戦してる叔父貴らを助けに行きてェんだ」


挿絵(By みてみん)
周瑜しゅうゆ
「フッ。狩りに飽きたら戦争ごっこがしたくなったのか」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「あっはっはっ。まあそんなところだ。
オレも20歳になったからよ、初陣に出て一人前になりてェんだ」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「さすが山猿……いやいや勇ましいことザンス。
でも残念ザンスが、貸せる兵は余ってないザンスね~」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「そうかい。残念だな……。
ところでガラっと話は変わるんだけどよ、袁術さん。
実はオレはこんな物を持ってるんだ」


挿絵(By みてみん)
玉璽ぎょくじ


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「そ・そ・そ・そ・それは!?
ぎ・ぎ・ぎ・ぎ・玉璽!?」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「親父が遺してくれた形見なんだけどよ、
もし良ければ袁術さんに貸してやってもいいんだが……」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「ど・ど・ど・ど・どうすればいいザンスか!?
兵か!? 兵を貸せばいいザンスか!?」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「ああ、親父の旧臣の兵を、ほんの少しでいいから貸してくんな」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「三千の兵と、馬五百を貸してやるザンス!
貸すだけザンスよ! ちゃんと返すザンスよ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「わーってんよ。返す返す。
その代わり、袁術さんも玉璽は預けるだけだかんな。返せよ?」


挿絵(By みてみん)
袁術えんじゅつ
「もちろんザンス!
ミーは約束を破ったことはないザンス! いつの日か返すザンス!
だから気が変わらないうちに兵馬を受け取って
さっさと出ていくザンス!」


~~~揚州ようしゅう西部~~~


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
「恐れ多くも陛下の所蔵される玉璽を、
袁術めなどにくれてやるとは!
孫策殿にはつくづく呆れ返ったぞ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「でもそのおかげで兵馬が手に入ったんだぜ」


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
「たかだか兵馬と玉璽を引き換えにするとは、
それこそ正気の沙汰ではないわ!」


挿絵(By みてみん)
張紘ちょうこう
「玉璽が偉大なのではないぞ。
偉大なる陛下が持たれてこその玉璽なのだぞ。
陛下以外の誰が持っていようと同じことだぞ」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「そうそう。
袁術なら玉璽をさぞかし大事に保管してくれるだろうよ」


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
「まったく……これがワシと『二張』と
並び称される者の言葉だろうか!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「呆れちまったなら隠居生活に戻ってもいいぜ」


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
「何をバカなことを! ワシの目が離れたら
諸君はより一層、好き勝手に振舞うに違いないわ!
特に孫策殿には教えなければならぬことが1000はあるのだ!
それを教え終わるまでは許さんぞ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「1000もあんのか……そりゃだりィな」


挿絵(By みてみん)
黄蓋こうがい
「若殿! よくぞ、よくぞ……。
この日を待ちわびていましたぞ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「久しぶりだな黄蓋!
そうか、袁術が貸してくれた兵の中にはお前もいたのか」


挿絵(By みてみん)
黄蓋こうがい
「若殿、いやもうそんな呼び方では失礼に当たる。殿!
我ら3千の寡兵とはいえ、全員が孫堅殿に鍛えられた一騎当千の兵!
必ずや殿の期待に応えてみせましょう!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「叔父貴んとこには程普と韓当もいる。
これだけそろって負けるわけがねェよ!
さあ、劉繇退治に出陣だ!!」


~~~曲阿きょくあ~~~


挿絵(By みてみん)
劉繇りゅうよう
「ふむ? 孫静に袁術のもとから援軍が送られただと?」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
「ああ。孫堅の子・孫策の率いるおよそ3千が孫静と合流し、
こちらに進軍してきている」


挿絵(By みてみん)
張英ちょうえい
「さ、3千だと。はっはっはっ!
たかが3千で我々と戦おうというのか!」


挿絵(By みてみん)
劉繇りゅうよう
「張英、そう笑っては気の毒だ。
彼らは命を賭して我々と戦お……さ、3千で、我々と戦お、ぶふぉ。
ぶふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!」


挿絵(By みてみん)
許劭きょしょう
「孫策という男、子供の頃に人相を見たが、
好戦的で野卑な印象を受けた。
どうやらそのまま大人になってしまったようだな」


挿絵(By みてみん)
劉繇りゅうよう
「ぶふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!
いやいや、笑ってばかりもいられんな。
張英、1万の兵を預ける。
孫策殿を丁重に出迎えて差し上げなさい」


挿絵(By みてみん)
張英ちょうえい
「さすがは殿、たった3千の兵にも礼を惜しみませんな。
私の自慢の珈琲で手厚くもてなしますとも!」


~~~牛渚ぎゅうちょの要塞 孫策軍~~~


挿絵(By みてみん)
呉景ごけい
「見違えたな孫策!
よくぞ来てくれた。お前がいれば百人力だ!」


挿絵(By みてみん)
孫静そんせい
「だが劉繇という男、傲慢だが決して無能ではない。
1万もの大軍で迎撃に出てきたか」


挿絵(By みてみん)
張紘ちょうこう
「あわよくば我々を踏みつぶした勢いで、
そのまま揚州に攻め入ろうと考えているのだぞ」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「だったら踏みつぶされる前に、
こっちから踏みつぶしてやろうぜ!」


挿絵(By みてみん)
程普ていふ
「ええ。正々堂々と正面から打ち破ります。
旦那様はごゆるりとご見物ください」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「そうはいかねェぜ程普。これはオレにとって初陣なんだ。
オレが先頭切って戦わねェでどうすんだよ!」


挿絵(By みてみん)
韓当かんとう
「よく言った艦長!
背中は俺が守ってやるから安心して戦ってくれ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「これが孫家の新たな船出だ!
野郎ども、面舵いっぱい! 突撃するぜ!!」


~~~牛渚ぎゅうちょの要塞 劉繇軍~~~


挿絵(By みてみん)
張英ちょうえい
「三倍の兵力の我々に対して正面攻撃だと!?
孫策め、気が違ったか」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
「無策で向かってくるのは歓迎すべきだが……しかしご覧あれ。
孫策を迎えた孫家の兵の士気は、天を突かんばかりに高まっている。
あれと正面からぶつかるのは得策ではありますまい」


挿絵(By みてみん)
張英ちょうえい
「何を弱気なことをぬかすか!
これは袁術と戦う前の予行演習に過ぎん。
先鋒の樊能はんのう于糜うびに迎撃させろ!」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
(あれほど意気軒昂とした軍は見たことがない。
この戦い、ひょっとするとひょっとするぞ……)


~~~牛渚ぎゅうちょの要塞前 戦場~~~


挿絵(By みてみん)
樊能はんのう
「我こそは劉繇軍にその人ありと知られた猛将・樊能だ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「オレこそは孫策軍の総大将・孫策だ!
いざ尋常に勝負しろや!」


挿絵(By みてみん)
樊能はんのう
「むう? 貴様、素手で俺と戦うつもりか?」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「素手じゃねェ。オレの右手はモリ、左手はイカリだ!」


挿絵(By みてみん)
樊能はんのう
「何を訳のわからんことを! 死ね孫策!!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「モリの一撃、喰らいなッ!!」


挿絵(By みてみん)
樊能はんのう
「ぐふぉぉっ!?」


挿絵(By みてみん)
于糜うび
「し、手刀で樊能の首をえぐっただと!?」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「次はお前か!?」


挿絵(By みてみん)
于糜うび
「こ、こいつめ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「今度は左手、イカリが喰い込むぜェ!」


挿絵(By みてみん)
于糜うび
「ば、馬上で首絞めとは……がああああああ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「樊能と……ええと、誰だっけこいつ?
とにかく二将討ち取ったぜ!」


挿絵(By みてみん)
朱治しゅち
「徒手空拳で敵将を討ち取るとは……なんでもありだなうちの殿は」


挿絵(By みてみん)
黄蓋こうがい
「敵は泡を喰ったぞ! 蹴散らせえ!」


~~~劉繇軍~~~


挿絵(By みてみん)
張英ちょうえい
「は? 孫策が? 素手で? 二人を?
何を言ってるのだお前は! 寝言は寝てから言え!」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
「いや張英殿。いまの伝令の報告がもし本当のことならば……」


挿絵(By みてみん)
張英ちょうえい
「本当のわけがあるか!
素手で樊能や于糜を殺せる奴がいるものか!」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
「それではなぜ前衛は大混乱に陥っているのだ!
このままでは全軍が崩壊するぞ!」


挿絵(By みてみん)
張英ちょうえい
「むむむむむむむ」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
「ここはいったん牛渚ぎゅうちょの要塞に退却し、
態勢を立て直すべきだ。
兵力差を盾に籠城すれば……いや、遅かったようだな」


挿絵(By みてみん)
張英ちょうえい
「ああっ! ぎ、牛渚の要塞が燃えているぞ!
これはどうしたことだ太史慈!?」


挿絵(By みてみん)
太史慈たいしじ
「ただの正面攻撃ではなかったということだ。
孫策……恐るべき男だ」


~~~牛渚ぎゅうちょの要塞~~~


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「おう! ご苦労だったな呂範、蒋欽!」


挿絵(By みてみん)
呂範りょはん
「孫策をおとりにしての、要塞への奇襲攻撃。
上手くいったものだな。
だが我々が要塞に火を放つより前に、敵は大混乱していたようだ。
何かあったのか?」


挿絵(By みてみん)
韓当かんとう
「聞いて驚くなよ!
艦長が素手で敵将を二人も討ち取ったんだ!」


挿絵(By みてみん)
蒋欽しょうきん
「おお! さすがは孫策どんでごわす!」


挿絵(By みてみん)
呂範りょはん
「……あいかわらず非常識なことだ」


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
「何を喜んでおるか!
素手で戦場に臨むなぞ、君主のやることではないわ!」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「はっはっ。張昭みてェにごてごて鎧兜つけてたら
動きにくくってしかたねェからよ」


挿絵(By みてみん)
張昭ちょうしょう
「ワシは頭脳労働が務めだからな。
自ら槍をとって戦うことはない。
流れ矢への対策に防備を重点的に固めるのは当然だ。
……いやいや待て。
武器を持たないことの理由にはなっておらんぞ!」


挿絵(By みてみん)
程普ていふ
「つまり旦那様は鍛え上げられた肉体そのものが武器なのです」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「てェこった。
そんなことより、劉繇軍の様子はどうなってやがる?」


挿絵(By みてみん)
張紘ちょうこう
「全軍、本拠地の曲阿きょくあまで退却したぞ。
今度は劉繇自ら報復に出てくるぞ」


挿絵(By みてみん)
孫策そんさく
「上等だ。まとめて蹴散らしてやろうぜみんな!」


挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん)

「「「「おう!!!!」」」」


~~~~~~~~~


かくして孫策は初陣を大勝利で飾った。
だが南の名族・劉繇もこのままでは引き下がらない。
妖しげな怪人物と手を組み、反撃の機会を虎視眈々と窺っていた。

次回 〇二二   江東の小覇王
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ