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アイコン三国志 作者:小金沢

第十一章 三国の終焉

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一一八   因果応報

~~~蜀 北伐軍~~~


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「人っ子一人いやしない……。
クソッ! 遅かったか」


挿絵(By みてみん) 胡済こせい
「姜維はもう撤退した後のようだな」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「さては閻宇えんうの奴め、俺たちに嘘を教えたな!」


挿絵(By みてみん) 胡済こせい
「確かに閻宇は黄皓こうこうの息のかかった男だが……。
姜維を孤立させ敗走させるために、
わざと我々に合流地点を間違えて伝えたと言うのか?」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「姜維だけは決して奴らの思い通りにならないからな。
ありえないことではない」


挿絵(By みてみん) 胡済こせい
「もし廖化殿の言う通りなら、
国を守るために命を賭けている我々になんという仕打ちだ……」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「とにかく姜維の後を追うぞ!
あいつに万が一のことがあれば、それこそ蜀は終わる!」


挿絵(By みてみん) 胡済こせい
「ああ。無事でいろよ姜維……」


~~~魏 蜀方面軍~~~


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「姜維を仕留めれば終わりだ! 全力で追え!」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「旦那も珍しくやる気だ。逃がすなよお前ら!」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「喰らいやがれええッ!!」


挿絵(By みてみん) 張翼ちょうよく
「危ない! 投石の奴が追ってきてますよ!
無防備な背中や頭を狙われています!」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「敵に背を向けるな!
応戦しながら逃げろ!」


挿絵(By みてみん) 姜維きょうい
「くっ…………」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「姜維終わりだ今日で終わりだ。
首を置いてけ馘首になっとけ。
魏軍に追われて魏平に投げられ
石を当てられ遺志だけ残せ」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「鄧艾に退路を塞がれたか……。
姜維、ここは俺に任せて逃げろ」


挿絵(By みてみん) 姜維きょうい
「僕は――」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「うるせえ黙れ!
最後の最後までお前の厨二発言を聞くのはまっぴらだ。
いいから黙って逃げときな」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「やべえ夏侯覇だ! 弓で狙ってやがるぞ!」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「あいつは一度に4本の矢を放つぞ! 射線から離れろ!」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「4本とは洒落になりませんね。
昔のよしみで見逃してはもらえませんかい?」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「お前も黙ってろ。今の俺は蜀の夏侯覇だ」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「姜維とは不仲だと聞いてます。
そんな彼に義理立てするんですかい?」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「蜀に必要なのは俺よりあいつだ」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「そいつは残念だ。……悪いが死んでください」


挿絵(By みてみん) 鍾会しょうかい
「隙だらけだ」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「なっ!? いつの間に背後に――。
ぐううっ!! む、無念…………」


挿絵(By みてみん) 鍾会しょうかい
「フン、貴様の話が長かったせいで姜維に逃げられたぞ」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「夏侯覇さんを討ち取れれば十分でしょう。
名のある将もだいぶ斬ってやりました」


挿絵(By みてみん) 鍾会しょうかい
「手ぬるいな。やはり貴様は司令官に相応しくない」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「そいつはご挨拶で」


挿絵(By みてみん) 鍾会しょうかい
「偽情報をつかませて合流を遅らせた廖化と胡済が迫っている。
そっちを叩きに行くぞ。ついてこい」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「……噂以上の傲慢ヤローだな。
陳泰サンになんて口の利き方だ」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「まあ彼のおかげで楽ができたのは確かですよ。
噂以上のお手並みだ」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「あいつが旦那に代わって対蜀の司令官になるんだろ?
あれの下で働くなんて先が思いやられるぜ……」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「蜀を倒せばそれで御の字。鍾会できれば結果オーライ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「……お前と鍾会が仲良く共闘できてる姿が想像できねえんだが」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「それはともかく早く行かないとまた鍾会さんに鼻で笑われますよ」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「悪いが先に行っててくれ。
こいつをこのままにしておくのは忍びない」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「夏侯覇を埋葬するんだな?」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「俺はこいつの親父さんの下で働いたこともあるんだ。
ただでさえ自分より若いヤツが死ぬのはやり切れねえってのによ」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「わかりました。鍾会さんには適当に言っておきますよ」


~~~呉 建業けんぎょうの都~~~


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「ぬかったわ……」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「ヒャッハー! このアバズレが!
オレ様をキルしようなんて十年早いぜ!」


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「さすがにアタシのことは警戒してたようね」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「呉の実権を握りよりどりみどりのオレ様が、
わざわざお前のようなババアを寝所に招き入れるわけがないだろ。
それも初日に仕掛けてくるとは、焦りすぎだぜ」


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「アンタに指一本でも触れられる前にケリを付けたかったのよ」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「孫峻とはよろしくやってたくせに、
オレ様は生理的に受け付けないってか?」


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「……孫峻もはじめは利用してただけだった。
アイツの方も、孫権の娘のアタシを利用してたしね。
でも、アイツはだんだん良い男になっていったわ」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「もう少し年増じゃなかったら、オレ様の良さも教えてやったんだがな!」


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「駄弁はもう結構。さっさと殺しなさい」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「ヒャッハー! 汚物は消毒だーッ!」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「し、しかし孫綝様。
仮にも孫権の娘を殺したら、各方面から反発を招きますぜ」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「そうか? だったら島流しにしてやる!
その前にこの年増は好きにするがいい!」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「さっすが~、孫綝様は話がわかるッ!」


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「クッ……」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「ついでにお前の息のかかった孫亮のガキは廃位だ!」


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「!? そ、孫亮の、あの子の命だけは助けてあげて!」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「ん~? 目の色が変わったな。
そうかそうか。だったら孫亮もかわいがってやらないとな!
あのガキも好きにしていいぞ丁封!」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「さ、さっすが~、孫綝様は話がわかるッ!」


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「あの子はアタシが巻き込んでしまっただけだから……。
こんなアタシを姉としてまっすぐに慕ってくれたあの子だけは……」


~~~呉 建業の都 丁奉の邸宅~~~


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「……孫綝の暗殺に失敗し孫魯班様も粛清されたか」


挿絵(By みてみん) 張悌ちょうてい
「色仕掛けも悪くないが、初日に襲いかかるのは短慮に過ぎたな」


挿絵(By みてみん) 施朔しさく
「それだけ苦渋の決断だったのでしょう」


挿絵(By みてみん) 張悌ちょうてい
「孫亮陛下ともども流刑になったと聞くが、無事なのか?」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「弟が孫綝に取り入ったふりをして目を光らせている。
御二人にそれ以上の手出しはさせないだろう」


挿絵(By みてみん) 張悌ちょうてい
「で、孫綝は次の皇帝に誰を据えようと企んでいる?」


挿絵(By みてみん) 施朔しさく
「……どうやら孫休様のようです」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「………………あの方か」


挿絵(By みてみん) 張悌ちょうてい
「……どう転ぶか見当もつかないな。
まあいい。いずれにしろ我々は、密かに孫綝を討つ準備をしておくだけだ」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「ああ」


~~~呉 会稽かいけい 孫休の邸宅~~~


挿絵(By みてみん) 濮陽興ぼくようこう
「そ、そ、そ、そ、孫休様あああっ!!
い、い、い、い、一大事ですぞっ!!」


挿絵(By みてみん) 張布ちょうふ
「あ、あ、あ、あ、あわてるな濮陽興!
あ、あ、あのことだろう? そ、そ、それならもう聞いている!」


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「私が皇帝にアサインされるとフィックスした。そうだろう?」


挿絵(By みてみん) 濮陽興ぼくようこう
「朝? 不意? と、と、とにかくそうです! 皇帝です!!」


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「光栄なことだがイシューは山積みだ。
スキームを整えイノベーションなソリューションをしなければならない」


挿絵(By みてみん) 張布ちょうふ
「そ、そうです! おっしゃる通りですとも!」


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「これからは君達もビジーになるよ。
良いフラッシュアイディアがあったら遠慮せずに言ってくれ。
君達のマンパワーでこの国にベネフィットをもたらすとコミットするよ」


挿絵(By みてみん) 濮陽興ぼくようこう
「おお! 言葉の意味はわからんがとにかくすごい自信だ!」


挿絵(By みてみん) 張布ちょうふ
「孫休陛下バンザーーイ!!」


~~~呉 建業の都 孫綝の邸宅~~~


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「……なんなんだあいつは?」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「な、なんなんだとおっしゃいやすと?」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「孫休に決まってるだろ! 言っていることが全くわからん!
さっきのは本当に皇帝即位の挨拶だったのか? いったい何語なんだ!」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「百官もそろってポカーンとしていやしたな……」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「ガリ勉でおとなしいと聞いていたから、
お飾りにちょうどいいと皇帝に選んでやったが……」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「ま、まあ、言葉はともかくおとなしそうなのは確かです。
政治を良くしたいみたいなことを言ってたようですし、
軍事は孫綝様に任せるとも言ってた気がしやす」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「本当にそれで合ってるんだろうな?
まあいい、腰巾着の二人組のほうは会話が通じそうだ。
あいつらを通して話すしかないか……」


~~~呉 建業の都 宮廷~~~


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「君達の話はわかった。だがペンディングだ。
君達はまだマジョリティに過ぎない。カスタマーのコンセンサスも足りないな。
リソースをリテラシーしなければタイトだ。
アライアンスを結ぶには早すぎる」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「????」


挿絵(By みてみん) 張悌ちょうてい
「……要するに気が進まないってことか?」


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「アグリーだ」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「何を悠長なことを。これ以上孫綝を放置すれば国が滅びるのだぞ」


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「皇帝は私だ。彼のクリエイティビティばかりをプライオリティさせない。
もっとバッファを持ちたまえ。まずは一つずつタスクをこなし、
マターを決めてバジェットも確保し、それからアジェンダを立てよう」


挿絵(By みてみん) 張悌ちょうてい
「……いいから俺に任せろと言っているらしい」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
(だったらそう言えばいいだろ……)


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「有意義なブレインストーミングだった。
良いサジェスチョンを得られてシナジー効果が期待できる。
あとはメソッドを模索するだけさ」


~~~呉 建業の都 孫綝の邸宅~~~


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「は? オレ様も神事に参加しろだと?」


挿絵(By みてみん) 施朔しさく
「孫休陛下は即位以来、豊富な知識を活かして
古いしきたりや行事を復活させ、それにより皇族の権威を高めています。
孫一族の筆頭格であるあなたにとっても悪い話ではありません」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「あいつは話が通じねえから苦手なんだよ……。
それに神事なんて退屈でやりたくないぜ」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「しかしここで恩を売っておけば、
念願の武昌ぶしょうへの駐屯も許可されるでしょう。
都の外に出れば、もはや孫綝様の権力は皇帝をしのぎやすぜ!」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「外に出ればもうあいつのチンプンカンプンな言葉も聞かなくて済むな。
それどころか力を蓄え武力で脅して退位させ、もっと単純な奴を即位させてやれる。
ヒャッハー! それなら出席してやるぜ!」


~~~呉 建業の都 宮廷~~~


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「ヒャッハー! 神事といえば生贄だろ?
オレ様が自らキルしてやるぜえ!」


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「孫綝君、それは短絡的なジャストアイディアだ。
我々に求められているのはイノベーションなメソッドだ。
古いコミットを捨て、新しいスキームをリテラシーしなければいけない」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
(意味はわからねえが超うぜえ……)


挿絵(By みてみん) 張布ちょうふ
「意味はわからないが超うぜえという顔だな?」


挿絵(By みてみん) 濮陽興ぼくようこう
「それならわかりやすく言ってやろう。
孫綝、ここが貴様の墓場だ!!」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「死ねええっ!!」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「ぎゃああっーー!!
て、丁封……し、施朔……何をやっている……?
こ、こいつらを殺せ……」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「バーカ。俺はハナから正義の味方だよ。
熟女趣味やショタ趣味でもねえしな!」


挿絵(By みてみん) 施朔しさく
「貴様はずっと一人だったのだ。哀れだな」


挿絵(By みてみん) 孫綝そんちん
「こ、このオレ様を……よくも……。
キ、キ、キルして……や……る……」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「張悌からも孫綝の弟どもを捕らえたと連絡が入った。
首尾よく行ったな」


挿絵(By みてみん) 孫休そんきゅう
「独裁者は死んだ。
我々のソリューションがコンセンサスを得られたと言っていいだろう。
イシューは消えたとカスタマーにも伝えてくれ。
後はアジェンダの通りにタスクをプライオリティさせたまえ」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「お、おう。そうだな……」


~~~~~~~~~


かくして独裁者は死んだ。
結果にコミットした孫休は呉の立て直しに奔走し、
魏でも同じく独裁者の排除に皇帝が動こうとしていた。

次回  一一九   皇帝弑逆
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