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アイコン三国志 作者:小金沢

第十一章 三国の終焉

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一一五   再びの北伐

~~~魏 陳泰軍~~~


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「とうとう郭淮の旦那もぽっくり逝っちまったな」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
王凌おうりょうの反乱未遂に巻き込まれて心労が重なってたんだろうよ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「旦那のかみさんが王凌の妹かなんかだったっけか」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「旦那の功績に免じてかみさんの罪は目こぼしされたそうだが、
それもかえって律儀な旦那には申し訳なかったんだろうな」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「不器用なおっさんだったからなあ」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「………………」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「で、後任になったアンタはまた昼寝か。まったくいい身分だな」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「…………ああ、いや。起きてますよ。
ちょっと英気を養ってただけです」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「それを昼寝っつーんだよ」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「郭淮の旦那も死んで、俺らみたいな三下しか残ってねえんだ。
少しはマシなアンタがしっかりしてくんねえと困るぜ」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「蔣琬、費禕死に蜀軍瀕死。
誰にも止めれぬ姜維の脅威。
身の程知らずの姜維が勝利。
夏侯覇加わり行こうぜやはり」


挿絵(By みてみん) 李歆りきん
「蔣琬と費禕が死にもはや姜維の暴走を止める者はない。
亡命した夏侯覇を加えた姜維の遠征軍がもう目の前に迫っているぞ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「おっ。お前、魏では通訳キャラで行くつもりか」


挿絵(By みてみん) 李歆りきん
「そんなつもりはない。
それにしても鄧艾殿の作った地図には驚かされた。
実際の地形と全く同じである」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「それがわかっただけでもお前が寝返ってくれた甲斐があるな」


挿絵(By みてみん) 李歆りきん
「寝返ったわけではない。行き場を失い蜀から魏へ鞍替えしただけだ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「細けえ野郎だな。まあとにかく、蜀には夏侯覇が加わったが、
俺らにはお前が加わった。条件は同じだ」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「おう、そろそろ蜀軍を迎撃に出ようぜ陳泰さんよ」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「………………」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「だから寝てんじゃねえよ!!」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「将軍スリープ。進軍フリーズ。
さっさと起こしてとっとと行こうぜ」


~~~蜀 北伐軍~~~


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「来たな魏軍め! この俺の鉄拳の前にひれ伏すがいい!」


挿絵(By みてみん) 李歆りきん
「蜀軍の先鋒はお前か」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「ややや! 貴様は李歆!
よくもおめおめと我々の前に姿を現したな!
蜀に残された貴様の家族は肩身の狭い思いをしているぞ!」


挿絵(By みてみん) 李歆りきん
「そうか。少なくとも無事でいるのだな。
俺が魏に降伏したせいで処刑されなくて良かった」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「劉禅陛下がそのような懐の狭い方と思ったか!
貴様の妻子も、今では別の旦那を世話されて貴様のことなど忘れておるわ!」


挿絵(By みてみん) 李歆りきん
「……感謝する。ならばこの拳にもはや迷いはない。
廖化よ、お前とは一度本気で手合わせしたかったところだ」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「貴様の手の内など知り尽くしている!
裏切り者に遅れを取るような俺ではない!!」


挿絵(By みてみん) 李歆りきん
「もはや言葉はいらぬ。考えるな。感じろ」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「行くぞ李歆! うおおおおおっ!!」


~~~魏 陳泰軍~~~


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「蜀軍どもは李歆と同じ拳法家の廖化を先頭に立ててきたか」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「目には目をってわけか。やっぱり夏侯覇からこっちの戦法がバレてんのかな?」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「構いませんよ。こっちの方が兵の数は多いんです。
目には目をの考えで五分に戦おうとしたら勝つのは我々だ」


挿絵(By みてみん) 徐質じょしつ
「見よ! 蜀軍の後方から部隊が前に回り込んで参ったぞ!」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「あれは張嶷。それは病弱」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「張嶷か。病に臥せってて遠征軍には帯同しないだろうと、
李歆からは聞いてたけどな」


挿絵(By みてみん) 徐質じょしつ
「病人など敵ではない! 拙者の斧の錆にしてくれよう!」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「徐質のヤロー、命令も待たずに勝手に行っちまったぞ。
憧れて真似してる徐晃の旦那には程遠い短慮なヤツだな」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「こっちも人材不足で参るぜ。申儀しんぎは文書偽造がバレて飛ばされたし、
その兄貴の申耽しんたん鄧賢とうけんも鬼籍に入っちまった」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「……それにしても少しにおいますね。いや、張嶷の動きのことだけじゃない。
これまで見てきた姜維の用兵とは違う気がする。なにか企んでいそうだ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「罠を仕掛けてるってのか?」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「あるいは仕掛け終わってるか、ですね」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「んん? なんか急報が届いたぞ。
……なんてこった! 別働隊を率いてる王経おうけいが姜維に撃破されたとよ!」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「こっちに姜維はいなかったのか。アンタの予感が当たったな」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「ふむふむ。王経さんは狄道てきどう城に逃げ込んで、姜維に包囲されてると。
こいつは一大事だ。とりあえずここは引き上げるとして、どうしますかね」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「姜維の本隊、勢い脅威。狄道城は捨てるの常道」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「狄道は捨てて隴西ろうせいを固めるのがベストだと?
……俺は賛成できませんね。狄道を失えば雍州や涼州も危うい。
それに王経さんもそれなりの兵力を連れてたし、無能な方じゃない。
姜維のほうも無傷じゃ済んでないでしょうよ」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「姜維の本隊に向かい、王経を救援するんだな?
わかった。李歆や徐質には撤退を指示しとくぜ」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「………………」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「すいませんね鄧艾さん。ここは俺の勘に従って欲しい」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「アンタが大将。従う対象。姜維を討てればそれで大賞」


~~~魏 徐質軍~~~


挿絵(By みてみん) 徐質じょしつ
「撤退しろだと? 馬鹿な! あと一息で蜀軍を殲滅できるのだぞ」


挿絵(By みてみん) 張嶷ちょうぎょく
「無理」


挿絵(By みてみん) 徐質じょしつ
「くそっ、死に損ないのくせにしぶてえ野郎だぜ。さっさと死にやがれよ!
……おっと、徐晃将軍はこんな乱暴な口は利かねえな。いけねえいけねえ。

ここまで粘るとは病人ながらあっぱれだ! だがそろそろ引導を渡してくれる!」


挿絵(By みてみん) 張嶷ちょうぎょく
「無駄」


挿絵(By みてみん) 徐質じょしつ
「チッ! 本当にしぶてえ野郎だ!」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「無理をするな張嶷! 陳泰を引き付ける任務は十分に果たした。
我々も姜維に合流するぞ!」


挿絵(By みてみん) 張嶷ちょうぎょく
「………………」


挿絵(By みてみん) 徐質じょしつ
「陳泰を引き付けた? ど、どういうことだ?」


挿絵(By みてみん) 張嶷ちょうぎょく
「孤立」


挿絵(By みてみん) 徐質じょしつ
「な、なに!? 俺を放って陳泰たちが撤退を始めているだと!?」


挿絵(By みてみん) 張嶷ちょうぎょく
「好機」


挿絵(By みてみん) 徐質じょしつ
「ぐわああっ!! て、撤退に気を取られた隙に……。く、クソが……」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「やったな張嶷!
……ああっ!? な、なんてことだ。お前も血反吐を吐いてるじゃないか。
重病のくせに無理するからだ!」


挿絵(By みてみん) 張嶷ちょうぎょく
「……無念」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「し、しっかりしろ張嶷!
……武人らしく最期は戦場で死にたかったんだな。
お前の勇姿はしっかりと胸に刻んだからな!」


挿絵(By みてみん) 張嶷ちょうぎょく
「………………」


~~~蜀 姜維軍~~~


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「陳泰の動きは予想より早かったな。
廖化、張嶷の陽動部隊を放ってこちらに向かっているそうだ」


挿絵(By みてみん) 張翼ちょうよく
「どうしますか姜維さん。迎撃に出ますか?
ですが私達も王経に手こずり消耗は激しく兵糧もあまり残っていません」


挿絵(By みてみん) 治無載ちむさい
「やるならやってやる。蛾遮塞がしゃさい餓何焼戈がかしょうかの仇討ちだ!」


挿絵(By みてみん) 姜維きょうい
「……いや、撤退しよう。
すでに多くの敵の首を斬り、多くの捕虜も得た。戦果は十分だ。
未確認だが張嶷が戦死したという情報も入っている」


挿絵(By みてみん) 張翼ちょうよく
「いいのですか? 叩けるうちに魏軍を叩いておかず後悔しませんか」


挿絵(By みてみん) 姜維きょうい
「蔣琬も費禕も死に、国内に私の北伐を止められる者はもはやいない。
彼らにも劣らぬ実力をこうして示せただけで十分だ。
無理をせず次のチャンスを待とう」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
(せっかく包囲した狄道城も落とせず、陳泰と戦いもせずに撤退だと?
敵として戦っていた頃の姜維はこんな弱気な男ではなかったが……)


挿絵(By みてみん) 尹賞いんしょう
(……姜維は変わった。いや、弱気になったと言うべきか)


挿絵(By みてみん) 梁緒りょうしょ
(んだ。自信を失ってる感じだぞ)


挿絵(By みてみん) 梁虔りょうけん
(まあ無事に帰れるならいいじゃないか ボソッ)


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「………………」


~~~魏 陳泰軍~~~


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「やれやれ、戦わずに撤退してくれましたか。
姜維と戦ってこれ以上の損害を出してたら、陛下に顔向けできませんでしたよ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「それにしても姜維も慎重になったな。
王平や馬忠が生きてりゃ、焚き付けて撤退なんかさせなかっただろうがよ」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「人材不足に悩んでるのは向こうも同じなんだろうよ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「人材といやあ徐質の馬鹿が戦死したようだな」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「あんな猪武者はどうでもいいだろ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「違えねえや」


挿絵(By みてみん) 李歆りきん
「蜀軍は張嶷が死亡したそうだ。
病を押して出陣したのが祟ったのだろう。彼らしい最期だ……」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「……なあ、こりゃチャンスなんじゃねえか?
姜維には前みたいな積極性がない。歴戦の強者も次々とおっ死んでる。
蔣琬や費禕が死んで政治もガタガタだろうよ」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「今こそ蜀を征伐するべきってか?」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「まあそんなの上が決めることで俺には関係ねえけどよ。
でも確か……アンタは司馬師や司馬昭の親友なんだろ?」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「俺がですか? ただの学友ですよ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「でも偉大な親父さんがいて、都の偉い連中にも顔が利くじゃねえか。
蜀を征伐しようやって、いっちょ焚き付けたらどうだ?」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「ははは。面白そうですが、
言い出しっぺの俺にお鉢が回ってきたら面倒そうですね。気が進まないなあ」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「そういうと思ったぜ! かくいう俺も陛下に逆らって左遷された身だ。
蜀の征伐で手柄を立てても、どうせ出世はできねえからな。
できればやりたくないけどよ」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「………………」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「どうやらやりたいヤツがいるみたいだぜ」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「さっきの王経さんを見捨てようって意見の時にも思ったんだが、
鄧艾さんはどうも守りより攻めの方が冴えてそうだ。
少なくとも俺より適任だと思いますよ」


挿絵(By みてみん) 鄧艾とうがい
「蜀軍征伐。俺が討伐。益州攻め入り告げるぜトゥーバッド」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「それじゃあ鄧艾さんのため、都に掛け合ってみましょうかね」


挿絵(By みてみん) 魏平ぎへい
「……邪推だとは思うが、
それを口実に前線から都に戻るつもりじゃねえだろうな?」


挿絵(By みてみん) 陳泰ちんたい
「おや、バレましたか」


挿絵(By みてみん) 戴陵たいりょう
「アンタの考えそうなこった。にしても不思議なもんだな。
エリート街道を歩んできても、下手に軍事の才能があったせいで、
左遷された俺と同じように前線で命を張らされてんだ。
出世したり才能があったりするのも良いことなのかわからねえや」


~~~魏 洛陽の都~~~


挿絵(By みてみん) 司馬孚しばふ
「…………とうとう、陛下を廃位に追い込んだか」


挿絵(By みてみん) 司馬師しばし
曹芳そうほうは皇帝の器ではなかった。それだけのことですよ叔父上」


挿絵(By みてみん) 司馬孚しばふ
「次の皇帝は曹髦そうぼう様だ。すでに皇后陛下の許可も得ている」


挿絵(By みてみん) 司馬師しばし
「なに? 吾輩の頭ごなしに事を進めたのですか?」


挿絵(By みてみん) 司馬孚しばふ
「顔色が変わったな。曹髦様はお前の思うままには動かせんぞ」


挿絵(By みてみん) 司馬師しばし
「……さすがは司馬懿の弟と、ここは褒めておきましょう」


挿絵(By みてみん) 司馬孚しばふ
「……私とて魏の世は終わったと心得ている。
だが、お前や司馬昭の道は急過ぎる。それではひずみが生まれるぞ」


挿絵(By みてみん) 司馬師しばし
「叔父上と同じように我々に逆らう者が現れると?」


挿絵(By みてみん) 司馬孚しばふ
「私などはかわいいものだ。
……まったく、お前たちが兄上の十分の一でも、
謙虚さを受け継いでおれば良かったのだがな」


挿絵(By みてみん) 司馬師しばし
「あいにくと嫌味に付き合っているほど暇ではないのです。
そろそろ蜀の征伐も考えなくては。失礼しますよ」


挿絵(By みてみん) 司馬孚しばふ
「待て司馬師」


挿絵(By みてみん) 司馬師しばし
「まだなにか?」


挿絵(By みてみん) 司馬孚しばふ
「忙しいのはわかるが一度医者にかかれ。
邪眼だかなんだか知らんが、その眼は治した方がいい」


挿絵(By みてみん) 司馬師しばし
「……お気持ちだけ受け取っておきますよ」


~~~~~~~~~


かくして姜維は戦果を得て引き上げた。
だが蜀の人材不足は深刻で、姜維も自信を失いつつあった。
蜀へ危機が迫る中、呉にはまたも激動が待ち受けていた。

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